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最終章 堕ちる
4.一緒に地獄に堕ちよう
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「時任、どれがいい?
私はゴールドが好きだけど、時任にはプラチナの方が似合うよね」
ずり落ちてくる眼鏡を朝香は中指でくいっと押し上げた。
自分には度のきつい眼鏡はあたまが痛くなってくるが、それすらも愛おしい。
「結婚指環のお下見ですか」
「いえ、やっと愛する人と一緒になれたので、今日買おうかなって」
「それはおめでとうございます」
にっこりと笑って祝福する店員に、朝香も嬉しくて笑い返す。
「先程のお話ですと、ゴールドかプラチナか迷っておられるようでしたが……」
店員は白手袋をはめると、ショーケースの中からいくつかの指環を出した。
「こちらのようにゴールドとプラチナがコンビネーションになっているタイプもございますし、片方がプラチナ、片方がゴールドにプラチナというタイプもございます」
「うわぁー、どれも素敵で迷っちゃうな……」
目の前の指環はどれもきらきらして目移りしてしまう。
「彼は絶対、プラチナなんです。
うん、プラチナオンリーがいい」
前に時任がしていた指環を思い出して、少し不機嫌になる。
あの女の趣味なのかピンクゴールドの指環は全然、時任に似合ってなかった。
「それでしたら……」
店員がさらに、プラチナの指環とプラチナとゴールドのコンビネーションになった指環のペアを並べていく。
「このあたりはいかがでしょうか」
「ほんと、迷っちゃう……」
散々迷って、クロスの溝があるものにした。
時任のはプラチナオンリー、朝香の分は溝の部分に裏のピンクゴールドがのぞき、中央にダイヤが一粒あしらってある。
神に背くふたりがつける指環にはぴったりな気がする。
「あの、これって歯形がついたりしませんよね?」
「歯形ですか?」
梱包の準備をしようとしていた店員は手を止めると、苦笑いを浮かべた。
「そうですね、金は純度が高いほど柔らかいですし、プラチナも本来は柔らかいものです。
でも残念ながらこちらの指環はそれほど純度の高いものではございません」
「よかった」
ほっと胸を撫で下ろす朝香に、店員は何事もなかったかのように梱包を再開した。
「ありがとうございました」
店員に見送られ、結婚指環の入った小袋を手に店を出る。
近くのコーヒーショップに入ると、クリームたっぷりの抹茶ドリンクを頼んだ。
「時任、お待たせ。
指環だよ」
膝の上でバッグを開け、中に入っている時任の左手に話しかける。
ケースの中の指環を取り出し、そっとその薬指にはめた。
「やっぱり時任にはプラチナが似合うね」
うっとりと左手を撫で、自分の左手にもお揃いの指環をはめる。
バッグの中で手を重ね、ずずっと抹茶ドリンクを飲んだ。
甘ったるいドリンクはいまの気分にぴったりだと思う。
「時任、いまからどうしようか。
よく考えたらふたりでデートもしたことないよね」
時任の左手をうっとりと撫でながら、朝香はひとり、話し続ける。
「とりあえず、デートしよ。
映画でも観ようか。
時任はなに観たい?
結構、任侠ものとか好きそうだよね」
なくなったドリンクに席を立つ。
ゴミを捨てて店を出た。
映画館を探しながらぶらぶらと歩いて行く。
「そのあとは……。
そうだね、新婚旅行に行こう。
どこがいい?
沖縄?
北海道?
温泉でしっぽりとかもいいよね。
あ、でも、温泉旅館とかに泊まったら時任、『温泉旅館ってやらしいよな』とか言って、ずっとヤってそう」
くすくすと楽しそうに笑いながら朝香は雑踏へ消えてく。
「時任と一緒なら、どこへでも行くよ。
たとえ地獄でも一緒に堕ちよう」
私はゴールドが好きだけど、時任にはプラチナの方が似合うよね」
ずり落ちてくる眼鏡を朝香は中指でくいっと押し上げた。
自分には度のきつい眼鏡はあたまが痛くなってくるが、それすらも愛おしい。
「結婚指環のお下見ですか」
「いえ、やっと愛する人と一緒になれたので、今日買おうかなって」
「それはおめでとうございます」
にっこりと笑って祝福する店員に、朝香も嬉しくて笑い返す。
「先程のお話ですと、ゴールドかプラチナか迷っておられるようでしたが……」
店員は白手袋をはめると、ショーケースの中からいくつかの指環を出した。
「こちらのようにゴールドとプラチナがコンビネーションになっているタイプもございますし、片方がプラチナ、片方がゴールドにプラチナというタイプもございます」
「うわぁー、どれも素敵で迷っちゃうな……」
目の前の指環はどれもきらきらして目移りしてしまう。
「彼は絶対、プラチナなんです。
うん、プラチナオンリーがいい」
前に時任がしていた指環を思い出して、少し不機嫌になる。
あの女の趣味なのかピンクゴールドの指環は全然、時任に似合ってなかった。
「それでしたら……」
店員がさらに、プラチナの指環とプラチナとゴールドのコンビネーションになった指環のペアを並べていく。
「このあたりはいかがでしょうか」
「ほんと、迷っちゃう……」
散々迷って、クロスの溝があるものにした。
時任のはプラチナオンリー、朝香の分は溝の部分に裏のピンクゴールドがのぞき、中央にダイヤが一粒あしらってある。
神に背くふたりがつける指環にはぴったりな気がする。
「あの、これって歯形がついたりしませんよね?」
「歯形ですか?」
梱包の準備をしようとしていた店員は手を止めると、苦笑いを浮かべた。
「そうですね、金は純度が高いほど柔らかいですし、プラチナも本来は柔らかいものです。
でも残念ながらこちらの指環はそれほど純度の高いものではございません」
「よかった」
ほっと胸を撫で下ろす朝香に、店員は何事もなかったかのように梱包を再開した。
「ありがとうございました」
店員に見送られ、結婚指環の入った小袋を手に店を出る。
近くのコーヒーショップに入ると、クリームたっぷりの抹茶ドリンクを頼んだ。
「時任、お待たせ。
指環だよ」
膝の上でバッグを開け、中に入っている時任の左手に話しかける。
ケースの中の指環を取り出し、そっとその薬指にはめた。
「やっぱり時任にはプラチナが似合うね」
うっとりと左手を撫で、自分の左手にもお揃いの指環をはめる。
バッグの中で手を重ね、ずずっと抹茶ドリンクを飲んだ。
甘ったるいドリンクはいまの気分にぴったりだと思う。
「時任、いまからどうしようか。
よく考えたらふたりでデートもしたことないよね」
時任の左手をうっとりと撫でながら、朝香はひとり、話し続ける。
「とりあえず、デートしよ。
映画でも観ようか。
時任はなに観たい?
結構、任侠ものとか好きそうだよね」
なくなったドリンクに席を立つ。
ゴミを捨てて店を出た。
映画館を探しながらぶらぶらと歩いて行く。
「そのあとは……。
そうだね、新婚旅行に行こう。
どこがいい?
沖縄?
北海道?
温泉でしっぽりとかもいいよね。
あ、でも、温泉旅館とかに泊まったら時任、『温泉旅館ってやらしいよな』とか言って、ずっとヤってそう」
くすくすと楽しそうに笑いながら朝香は雑踏へ消えてく。
「時任と一緒なら、どこへでも行くよ。
たとえ地獄でも一緒に堕ちよう」
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