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第一章 なら俺は、諦めません
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食事が終わり、会議室へ戻る前にコーヒーショップに寄る。
真北さんも一緒に着いてきた。
「ブレンドのMを」
すぐに出てきたそれを受け取り、店を出かけて足が止まる。
真北さんを待つべきだろうか。
どうも、僕は彼が苦手だ。
昨日の初対面のときもそれは感じたが、今日はさらに。
「お待たせしました」
ほどなくして真北さんが出てきた。
並んで会議室へと戻る。
彼はいったい、僕をどう思っているのだろう。
やはり……。
「森宗さん!」
「……え?」
いきなり、真北さんから腕を引っ張られた。
おかげで倒れそうになり、彼から支えられる。
しかしその手は、僕を突き放すように離れた。
「えっと……」
「ぶつかりますよ」
言われて目を向けた先には看板があった。
考え事をするあまりぼーっと歩き、あれにぶつかりそうになった僕を止めてくれたのか。
「ああ、ありがとう……」
「いえ」
助けてくれたのはいいが、今のあれはなんだったんだろう。
相変わらず真北さんは笑っていて、なにを考えているのかわからない。
午後からもなんの問題なく無事に講義を終え、帰途に就く。
「森宗さん、どこかに寄るんですか?」
真北くんの声で、足が止まる。
「真っ直ぐ家に帰りますが?」
質問の意図がわからず、困惑して振り返る。
なぜか真北くんも困惑気味に僕を見ていた。
「駅はあっちですよ?」
彼の指が反対方向を指す。
それを見て、みるみる顔が熱を持っていった。
無言で踵を返し、今度こそ駅へ向かって足早に歩きだす。
「あ、待ってください!」
真北さんが慌てて追ってきたが、逃げるように振り向きもせずに歩いた。
年下の彼の前で間違えるなんて恥ずかしすぎる。
いつも僕はそうなのだ。
周囲から見れば〝できる男〟らしいが、それに反してちょいちょいミスをしてしまう。
それを知られ、笑われるなんてしょっちゅうだ。
前のパートナーはそのせいで僕を軽んじ、おかげで真北さんに変わったという事情もある。
「森宗さんって歩くの、速いんですね」
すぐに真北さんが追いつき、僕の隣に並ぶ。
あんな態度を取ってしまった僕が、嫌にならないんだろうか。
「真北さん、君は……」
ちょうど改札にさしかかり、言葉はそこで途切れた。
「俺、線が違うんで。
じゃあ、また明日」
さらにその先を言わせないかのように、真北くんはさっさと去っていってしまった。
「ああ、うん……」
それを見送り、改札をくぐる。
もしかして、呆れられた?
自分のせいだとわかっていながら、明日からの講義が、気が重くなってきた……。
真北さんも一緒に着いてきた。
「ブレンドのMを」
すぐに出てきたそれを受け取り、店を出かけて足が止まる。
真北さんを待つべきだろうか。
どうも、僕は彼が苦手だ。
昨日の初対面のときもそれは感じたが、今日はさらに。
「お待たせしました」
ほどなくして真北さんが出てきた。
並んで会議室へと戻る。
彼はいったい、僕をどう思っているのだろう。
やはり……。
「森宗さん!」
「……え?」
いきなり、真北さんから腕を引っ張られた。
おかげで倒れそうになり、彼から支えられる。
しかしその手は、僕を突き放すように離れた。
「えっと……」
「ぶつかりますよ」
言われて目を向けた先には看板があった。
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「ああ、ありがとう……」
「いえ」
助けてくれたのはいいが、今のあれはなんだったんだろう。
相変わらず真北さんは笑っていて、なにを考えているのかわからない。
午後からもなんの問題なく無事に講義を終え、帰途に就く。
「森宗さん、どこかに寄るんですか?」
真北くんの声で、足が止まる。
「真っ直ぐ家に帰りますが?」
質問の意図がわからず、困惑して振り返る。
なぜか真北くんも困惑気味に僕を見ていた。
「駅はあっちですよ?」
彼の指が反対方向を指す。
それを見て、みるみる顔が熱を持っていった。
無言で踵を返し、今度こそ駅へ向かって足早に歩きだす。
「あ、待ってください!」
真北さんが慌てて追ってきたが、逃げるように振り向きもせずに歩いた。
年下の彼の前で間違えるなんて恥ずかしすぎる。
いつも僕はそうなのだ。
周囲から見れば〝できる男〟らしいが、それに反してちょいちょいミスをしてしまう。
それを知られ、笑われるなんてしょっちゅうだ。
前のパートナーはそのせいで僕を軽んじ、おかげで真北さんに変わったという事情もある。
「森宗さんって歩くの、速いんですね」
すぐに真北さんが追いつき、僕の隣に並ぶ。
あんな態度を取ってしまった僕が、嫌にならないんだろうか。
「真北さん、君は……」
ちょうど改札にさしかかり、言葉はそこで途切れた。
「俺、線が違うんで。
じゃあ、また明日」
さらにその先を言わせないかのように、真北くんはさっさと去っていってしまった。
「ああ、うん……」
それを見送り、改札をくぐる。
もしかして、呆れられた?
自分のせいだとわかっていながら、明日からの講義が、気が重くなってきた……。
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