契約書は婚姻届

霧内杳/眼鏡のさきっぽ

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第16話 新婚旅行へゴー!

8.とても、とても幸せ

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「朋香、可愛い」

着替えをすませた朋香に尚一郎が口付けを落とす。

レースでできているベビードールは中途半端に身体を隠し、反対に恥ずかしい。

「しょ、尚一郎さん」

羞恥から瞳を潤ませて見つめる朋香に、尚一郎は右手で口元を覆うと視線を外してしまった。

「……可愛すぎる」

「え?」

「朋香、凄く可愛い!
加減ができなかったらごめんね」

「……!」

ちゅっ、ちゅっ、啄むように重なる唇に、次第に身体へ熱が宿っていく。

一度顔を離した尚一郎が愛おしそうに、顔を挟んでいた両手の親指で目尻を撫でた。

再び重なった唇は深く、朋香の中へと進入してくる。

尚一郎の熱を受け入れながら、朋香もたぎる思いを伝えようと必死で腕を伸ばす。
ぎゅっと抱きつくと、さらに尚一郎と深く交わった。

唇の角度が変わる度に漏れるどちらのものともしれない吐息は甘く、さらに身体の熱を上げていく。
まだ口付けだけしか交わしてないというのに、しっとりと身体が濡れている気さえした。

「朋香……」

押し倒されてた枕の上から見上げると、熱で潤んだ尚一郎の瞳が見つめていた。
そっと頬にふれると目が細められ、また唇が重なる。

……やっと、尚一郎さんと身も心もひとつになれるんだ。

そう思うと胸が詰まって泣きそうになる。

そして――。


尚一郎とひとつになると、幸福感で満ちあふれていく。
それは身体の中からあふれ出し、涙が流れた。

「朋香?」

心配そうな尚一郎に笑い返し、腕を伸ばすと自分から口付けをする。

「とても、とても幸せなんです……」

雪也と初体験したときも幸せだと思っていたが、それとは比べものにならないほど幸せだった。
それほど深く深く、尚一郎を愛しているのだと自覚した。

「僕もとても、幸せだよ」

うっとりと朋香の涙を拭うと、尚一郎の唇が重なった。
そのまま、熱い波にさらわれていく。

きっと、今夜のことは一生忘れない。

そう朋香は思っていた。
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