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第10章 抱かせていただいてもいいですか
5.抱かせていただいてもいいですか
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晩ごはんはもちろん、カニ鍋だった。
「カニです……!」
本当に嬉しそうに、漸はカニを食べている。
のはいいが、カニって無言になっちゃうんだよね。
「やっぱりカニは美味しいです。
まさかスーパーで、あんなに簡単に買えるなんて思いませんでした……」
お腹いっぱい食べ、食後のコーヒーを飲みながら漸はしみじみと言っているが……買えるよね?
カニ。
スーパーで。
「金沢はいいです。
魚は美味しいし、カニも美味しいし」
「食べるものばかりですね。
天気の悪い日は多いし、湿度は高いし、それなりに大変ですよ」
いいことばかりあげる漸はちょっと可愛いが、厳しい部分だって知ってほしい。
「全部好きになりますよ。
それが、鹿乃子さんを育ててくれたものですから」
ちゅっ、と唇が重なった。
少しだけ顔は離れたものの、そのまま漸はじっと、私の目を見ている。
「……いまから。
鹿乃子さんを抱かせていただいてもいいですか」
「……なんですか、抱かせていただくって」
つい、ぷっ、と吹きだしていた。
「笑うなんてせっかくの空気が台無しです」
漸は不満そうだが、だっておかしいんだもの。
「せめて抱いていいですか、にしてください」
「でも私は、させていただくわけですし……」
「だから、させていただくって!」
そこまでへりくだる必要が?
私にはわからないけれど。
「じゃあ、漸。
……私を抱いていただけますか?」
「……鹿乃子さんは意地悪です」
拗ねながらも再び、唇が重なる。
私を抱き上げて、漸は立ち上がった。
「お風呂は一緒に入りますか?」
「あー……。
別で」
みるみる漸が萎んでいき、慌ててフォローする。
「ほら、それぞれの事前準備とかあるじゃないですか」
「事前準備ですか?」
少し考えた漸の顔が、ぱっと上がった。
「そうですね、それは大事です」
納得してくれたみたいで、ほっとした。
お先にどうぞ、と言われたので、素直に先に入る。
「エロ……過ぎ?」
帰ってきたらそうなるのはわかっていたので、東京でセクシー下着を買ってきた。
ええ、立本さんと一緒に行くわけにもいかず、最終日に迷いながら手に入れてきましたが、なにか?
「そもそも、漸の趣味がわかんないんだよね……」
エロの定番といえる黒にしようとしたが、それには私の魅力が足りないので赤にした。
しかし世間には清楚な白派と可愛いパステル派もいるのは知っている。
「それとなく立本さんに確認してみればよかった……」
立本さんなら絶対に黒派だから赤も喜んでくれそうだ。
……いや。
漸と立本さんは見た目と車の趣味が正反対だから、案外、立本さんが白で漸が黒?
なら、いける。
「ま、いっか。
違ったら次、漸の好みのを買えばいいわけだし!
……ぜーん、あがりましたー」
結論を出してパジャマを着る。
私が浴室を出ると、入れ違いで漸はお風呂に入った。
寝室で漸を待ちながら……緊張してくる。
よく考えたら私は……セックスが好きではないのだ。
前の彼氏のときは全然気持ちよくなかった。
まあ相手が気持ちいいのならいいか、くらいの感じで少しばかり我慢していたが、彼もそれを感じ取っていたらしく三回寝たところで別れた。
「漸ともそーだったらどうしよう……」
いまさらながら男を喜ばせるテクとか検索をかける。
「鹿乃子さん、あがりました」
検索結果一番上のをクリックしようとしたところで、漸が寝室に来た。
つい、慌てて携帯を隠した。
「ああ、うん。
はい」
別に悪いことをしていたわけでもないのに、心臓はばくばくと落ち着かない。
「どうかしましたか?」
「えっと、なんでもない、です」
笑って誤魔化したものの、内心、だらだらと汗を掻いていた。
「そうですか?」
「はい」
……うん。
これは次の課題、ってことで。
「その。
もし、ダメだったときは鹿乃子さんだけでも気持ちよくして差し上げますので、心配しないでください」
「……漸……」
少し思い詰める漸の首へ、抱きついていた。
「きっと、大丈夫ですよ。
それに私、漸とできなかったとしても、こうやって一緒にいるだけで幸せです」
「……鹿乃子さん……。
ありがとう、ございます」
ようやく笑ってくれて、ほっとした。
「カニです……!」
本当に嬉しそうに、漸はカニを食べている。
のはいいが、カニって無言になっちゃうんだよね。
「やっぱりカニは美味しいです。
まさかスーパーで、あんなに簡単に買えるなんて思いませんでした……」
お腹いっぱい食べ、食後のコーヒーを飲みながら漸はしみじみと言っているが……買えるよね?
カニ。
スーパーで。
「金沢はいいです。
魚は美味しいし、カニも美味しいし」
「食べるものばかりですね。
天気の悪い日は多いし、湿度は高いし、それなりに大変ですよ」
いいことばかりあげる漸はちょっと可愛いが、厳しい部分だって知ってほしい。
「全部好きになりますよ。
それが、鹿乃子さんを育ててくれたものですから」
ちゅっ、と唇が重なった。
少しだけ顔は離れたものの、そのまま漸はじっと、私の目を見ている。
「……いまから。
鹿乃子さんを抱かせていただいてもいいですか」
「……なんですか、抱かせていただくって」
つい、ぷっ、と吹きだしていた。
「笑うなんてせっかくの空気が台無しです」
漸は不満そうだが、だっておかしいんだもの。
「せめて抱いていいですか、にしてください」
「でも私は、させていただくわけですし……」
「だから、させていただくって!」
そこまでへりくだる必要が?
私にはわからないけれど。
「じゃあ、漸。
……私を抱いていただけますか?」
「……鹿乃子さんは意地悪です」
拗ねながらも再び、唇が重なる。
私を抱き上げて、漸は立ち上がった。
「お風呂は一緒に入りますか?」
「あー……。
別で」
みるみる漸が萎んでいき、慌ててフォローする。
「ほら、それぞれの事前準備とかあるじゃないですか」
「事前準備ですか?」
少し考えた漸の顔が、ぱっと上がった。
「そうですね、それは大事です」
納得してくれたみたいで、ほっとした。
お先にどうぞ、と言われたので、素直に先に入る。
「エロ……過ぎ?」
帰ってきたらそうなるのはわかっていたので、東京でセクシー下着を買ってきた。
ええ、立本さんと一緒に行くわけにもいかず、最終日に迷いながら手に入れてきましたが、なにか?
「そもそも、漸の趣味がわかんないんだよね……」
エロの定番といえる黒にしようとしたが、それには私の魅力が足りないので赤にした。
しかし世間には清楚な白派と可愛いパステル派もいるのは知っている。
「それとなく立本さんに確認してみればよかった……」
立本さんなら絶対に黒派だから赤も喜んでくれそうだ。
……いや。
漸と立本さんは見た目と車の趣味が正反対だから、案外、立本さんが白で漸が黒?
なら、いける。
「ま、いっか。
違ったら次、漸の好みのを買えばいいわけだし!
……ぜーん、あがりましたー」
結論を出してパジャマを着る。
私が浴室を出ると、入れ違いで漸はお風呂に入った。
寝室で漸を待ちながら……緊張してくる。
よく考えたら私は……セックスが好きではないのだ。
前の彼氏のときは全然気持ちよくなかった。
まあ相手が気持ちいいのならいいか、くらいの感じで少しばかり我慢していたが、彼もそれを感じ取っていたらしく三回寝たところで別れた。
「漸ともそーだったらどうしよう……」
いまさらながら男を喜ばせるテクとか検索をかける。
「鹿乃子さん、あがりました」
検索結果一番上のをクリックしようとしたところで、漸が寝室に来た。
つい、慌てて携帯を隠した。
「ああ、うん。
はい」
別に悪いことをしていたわけでもないのに、心臓はばくばくと落ち着かない。
「どうかしましたか?」
「えっと、なんでもない、です」
笑って誤魔化したものの、内心、だらだらと汗を掻いていた。
「そうですか?」
「はい」
……うん。
これは次の課題、ってことで。
「その。
もし、ダメだったときは鹿乃子さんだけでも気持ちよくして差し上げますので、心配しないでください」
「……漸……」
少し思い詰める漸の首へ、抱きついていた。
「きっと、大丈夫ですよ。
それに私、漸とできなかったとしても、こうやって一緒にいるだけで幸せです」
「……鹿乃子さん……。
ありがとう、ございます」
ようやく笑ってくれて、ほっとした。
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