あなた色に染まり……ません!~呉服屋若旦那は年下彼女に独占宣言される~

霧内杳/眼鏡のさきっぽ

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第10章 抱かせていただいてもいいですか

9.一緒のお風呂

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「鹿乃子さん、大丈夫ですか」

漸の声で意識が次第に戻ってくる。
ようやく焦点があった目に映った漸は、酷く心配そうだった。

「大丈夫ですよ」

漸にキスしたいのに、身体が動かない。
それほどまでにぐったりと、疲れていた。

「あー、えと」

「すみません、少々無理をさせましたね」

代わりに漸の方からちゅっ、とキスしてくれる。
それだけで幸せで、ついへへっとか笑っていた。

「お風呂、もう一度、入るでしょう?」

「えっ、あの、でも」

戸惑う私をよそに、まだ起き上がれない私を漸がお姫様抱っこする。

「私が入れて差し上げます」

「あっ、えっと。
……お願いします」

汚れた身体は洗ってさっぱりしてから寝たい。
そうなると、……そうなるわけで。

「……なんか、えっちするより恥ずかしいです」

「そうですか?」

どうにか椅子に座れるまでは回復したものの、それでも危なっかしいので支えながら漸が洗ってくれる。

……うん。
寝室より明るいから、というのを除いても、恥ずかしい。

「はい、おしまいです」

泡を流してもらい、一緒に湯船に浸かる。

「いいにおーい」

「気に入ってくれましたか?」

「はい」

乳白色のお湯は、少し甘めの匂いがした。

「それはよかったです」

「んっ」

後ろから私を抱き締めた、漸の唇が首筋へ触れる。
のはいい。

……いやよくないが。

それよりも。

「あのー、漸?」

「なんですか」

ふふっ、とか笑ってキスしてくるけれど、もしかして誤魔化す気ですか?

「そのー、……当たってるんですけど」

「バレましたか」

いや、バレない方がおかしいと思う。
すっかり硬くなったものが、腰に当たっているんだから。

「えーっと、確認しますが。
……あれ、飲んだんですか」

なら、わかる。
そこまで効き目があるものなのかは知らないけど。

「いいえ。
念のために買いましたが、必要なかったですね」

「えっと……」

じゃあ、なんで?

「鹿乃子さんが悪いんですよ?
とっても美味しそうな身体をしているので、身体を洗っているうちにまた、ムラムラしてきました」

「あっ」

耳朶を甘噛みされ、声が漏れる。

「ねえ。
このままシテもいいですか」

さりげなく足のあいだに差し入れられた手が、花芽を弄りだす。
さらにもう片方の手は、胸の先端を捏ねた。

「もう一度、鹿乃子さんの胎内に入りたいんです」

耳もとで囁きながら、すっかり勃ち上がったそれが、腰へ擦りつける。

「でも、ここだと、……あれ、ないから……はぁっ、ああん」

口では断りながらも、漸から与えられる喜びを知った身体はすでに漸を心待ちにしていた。

「ああ、そうですね」

ピタリと手を止められ、振り返って恨みがましく漸を見上げる。

「入籍もまだなのに子供ができてしまったら、おじい様に叱られます」

「……」

中途半端に火をつけられた身体は燻り、はけ口を求めていた。
その腕を掴み、じっと漸を見つめる。
けれど漸は僅かに唇に笑みをのせ、私を見ているだけだった。

「……漸」

……漸が、欲しい。

「決めるのは、鹿乃子さんです。
ここでやめるか、……このまま俺に抱かれるか」

片頬をつり上げ、漸がニィッ、と笑う。
狡い、あの漸に私は逆らえないのを知っているのに。

「……シテ、漸」

操られるように、震える唇で四文字を紡ぐ。

「わかった」

少し私に、腰を浮かせさせる。
そして。

「ああっ!」

一気に奥まで、剛直が突っ込まれた。

「あんなに怖がってたのに、もうすんなり飲み込むな」

「ああっ、だって……!」

ごりごりと漸に媚壁を擦られるのも、ガツガツと乱雑に奥を撞かれるのも、気持ちいい。
漸が動くのにあわせて、お湯がぢゃぼぢゃぼと揺れた。

「漸、激しい……!」

「鹿乃子が締め付けるからだろ」

焦らされていた身体はすぐに、ゴールに向かって走りだす。

「漸、漸」

「なんだ?」

「漸の顔が見えないの、ヤダ……!」

後ろからは掴まるところがなくて不安になった。
ちゃんと、漸の顔を見たい。
ピタリ、と漸の動きが止まる。
すぐにずるりと出ていき、私に自分の方を向かせた。
顔を寄せてきて、耳もとでぼそりと囁く。

〝自分で挿れろ〟

できないと首を振った。
けれど私を見つめる漸の目は、それを許さない。
それに走りはじめた身体はゴールを渇望している。

「……」

ごくりと唾を飲み込み、それめがけてゆっくりと腰を下ろす。
つるりと逃れそうになったそれは、漸の手が支えてくれた。

「あっ、……はぁっ」

徐々に漸の昂りが私の胎内に入っていく。
全部入りきってはぁーっ、と大きく息をついた。

「……よくできまし、た!」

「ああっ!」

ごっ、と音がしそうなほど強く奥を撞かれ、意識が飛びそうになる。

「やっぱり可愛いな、鹿乃子は」

「あっ、あっ!」

私の腰を掴み、ごっ、ごっ、と打ち付ける。
きっとあと数撞きで、私は。

「あっ、漸、……好き!」

夢中で漸の顔を掴み、唇を重ねる。
拙いながらも自分から舌を入れて、絡めた。
漸の腰の動きが速くなる。
ついに。

「あぁっ、あっ、ああーっ!」

背中を仰け反らせ、絶頂を迎えた私を倒れないように漸が支えてくれた。
同時に、どくっ、どくっ、とお腹の中へと温かいものが広がっていく。
それが酷く、愛おしかった。

「……鹿乃子さん」

「はひーっ?」

ぐったりと疲れて、漸にもたれかかる。

「もう一度、身体を洗ってあがりましょうか。
そろそろ、のぼせそうです」

「……そう、ですね」

てか、誰のせいだ!? なんてことは言わないでおく。
私も乗せられたとはいえ、途中からその気だったし。



「あつ……」

リビングのソファーに座り、手で顔を仰ぐ。

「どうぞ」

「ありがとうございます」

すぐに漸が、炭酸水のボトルを渡してくれた。

「私はシーツを買えてきますので、少し待っていてくださいね」

「えっ、そんなの私が……!」

慌てて立ち上がろうとしたものの、足がふらついてすぐにぽすっ、とソファーに座っていた。

「二度も無理をさせてしまいましたからね、私がやります」

「……お願いします」

ふふっ、と漸が笑い、さらに身体が熱くなる。
今度は素直に頼み、ボトルに口をつけた。

「染みる……」

しかし、不能かもしれないとかいったい、なんだったんだろう?
二回もしたんだよ、二回も。
しかももう一度、身体を洗いながら、またちょっとあれだったし。

「嘘をついてるとは思わないけどさー」

あんなに漸は不安そうだったのだ。
だから、あんなドリンクまで買って。
なのに、あれだ。

「まー、いいや……」

ほてりが治まるとともに眠気が襲ってくる。

「……だから、寝ちゃダメだって……」

けれど瞼は重力に逆らえず、もうすぐくっつきそうだ。

「お待たせしました。
ベッドへ……」

漸の声が聞こえてきて、返事をしたいけれどもう声が出ない。

「随分、無理をさせてしまいましたもんね。
おやすみなさい、私の可愛い鹿乃子さん」

ちゅっ、と優しい口付けを最後に、完全に眠りに落ちた。
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