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第一章 令嬢秘書の正体
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「……ところで。
その。
……昨晩はい、いたしたんですか?」
小さなお子様には聞こえないように、社長の顔に自分の顔を寄せてこそこそと話す。
「いたしたって……ああ。
秘密、だ」
意味深に小さく笑った社長の手が、私の後ろ頭に回る。
なにをするんだろうと思っていたらその手は私の頭を引き寄せ、軽く唇が重なった。
「な、なにするんですかー!」
反射的に上げた手を振り下ろす。
しかし今度は易々と止められた。
「二度も食らうかよ」
「ファ、ファーストキスだったのにー!
返して、私のファーストキス、返して!」
ジタバタと暴れたら簡単に手を離され、反動で尻餅をついた。
「返せって……じゃあ」
再び、社長の顔が近づいてくる。
怖くて思わず目を閉じた瞬間、また唇が重なった。
「だ、だからキスとかしないで……!」
「返せって言われたから、返しただけだが」
「うっ」
あきれ顔で社長は私を見ているが、確かにそれは……言われるとおりだ……。
「てか、二十五にもなってまだ、キスすらしたことなかったのかよ」
「悪かったですね!
子育てとお金で頭がいっぱいで、そんな余裕はなかったんですよ!」
健太が生まれたあの日から、家族は私が守ると決めたのだ。
少ないお金でどうやって遣り繰りするか、弟たちに少しでも不自由な思いをさせないためにはどうしたらいいか、そればかり考えてきて恋などする余裕などなかった。
「わるかった」
慰めるように、御子神社長の手が軽くぽんぽんと頭に触れる。
「清子は今まで、いっぱい苦労してきたんだもんな。
これからは俺が、楽させてやる」
レンズ越しに社長が、真剣な眼差しで私を見ている。
その瞳に心臓が一回、甘く鼓動した。
しかし。
「……痛いです」
せっかく感動するところなのに、社長が私の鼻を摘まんできて台無しになった。
でも不思議と、御子神社長との仮初めの婚約関係も悪くないかも、なんて考えている自分がいた。
その。
……昨晩はい、いたしたんですか?」
小さなお子様には聞こえないように、社長の顔に自分の顔を寄せてこそこそと話す。
「いたしたって……ああ。
秘密、だ」
意味深に小さく笑った社長の手が、私の後ろ頭に回る。
なにをするんだろうと思っていたらその手は私の頭を引き寄せ、軽く唇が重なった。
「な、なにするんですかー!」
反射的に上げた手を振り下ろす。
しかし今度は易々と止められた。
「二度も食らうかよ」
「ファ、ファーストキスだったのにー!
返して、私のファーストキス、返して!」
ジタバタと暴れたら簡単に手を離され、反動で尻餅をついた。
「返せって……じゃあ」
再び、社長の顔が近づいてくる。
怖くて思わず目を閉じた瞬間、また唇が重なった。
「だ、だからキスとかしないで……!」
「返せって言われたから、返しただけだが」
「うっ」
あきれ顔で社長は私を見ているが、確かにそれは……言われるとおりだ……。
「てか、二十五にもなってまだ、キスすらしたことなかったのかよ」
「悪かったですね!
子育てとお金で頭がいっぱいで、そんな余裕はなかったんですよ!」
健太が生まれたあの日から、家族は私が守ると決めたのだ。
少ないお金でどうやって遣り繰りするか、弟たちに少しでも不自由な思いをさせないためにはどうしたらいいか、そればかり考えてきて恋などする余裕などなかった。
「わるかった」
慰めるように、御子神社長の手が軽くぽんぽんと頭に触れる。
「清子は今まで、いっぱい苦労してきたんだもんな。
これからは俺が、楽させてやる」
レンズ越しに社長が、真剣な眼差しで私を見ている。
その瞳に心臓が一回、甘く鼓動した。
しかし。
「……痛いです」
せっかく感動するところなのに、社長が私の鼻を摘まんできて台無しになった。
でも不思議と、御子神社長との仮初めの婚約関係も悪くないかも、なんて考えている自分がいた。
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