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第五章 恋だの愛だの
5-8
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「じゃ、じゃあ帰るね」
「清ねぇ、今日はありがとな」
「さやねぇちゃん、ひゅうがおにぃちゃん、ばいばいー」
微妙な気持ちのまま、家族に見送られて実家をあとにする。
「送る」
と言いながら、彪夏さんは徒歩で着いてきた。
「車はいいんですか?」
「あとで取りに来るからいい。
それよりも今は、清子と少し歩きたい気分」
さりげなく、彪夏さんが私と手を繋いでくる。
一瞬、振り払おうかと思ったが、やめた。
とはいえ、こちらから握り返す気にはなれないが。
「健太も多感なお年頃だ、気にするな」
もしかして私が落ち込んでいるのに気づいて、フォローするために徒歩での送りを選んでくれたんだろうか。
「そう、ですね」
今まであんなこと、言われたりしなかった。
なんで、急に?
気にするなと言われても、それでも気にかかる。
「きっといつか、本当の気持ちを話してくれるよ」
「本当の気持ち……?」
あれが、健太の本音じゃないんだろうか。
それとも私にはわからない、健太の気持ちが彪夏さんには理解できるんだろうか。
「ああ。
今はちょっと、素直になれないだけだ。
だから、待ってやれ」
「……はい」
納得したわけではない、でも彪夏さんの言葉なら信じていいとなぜか思えた。
十分ほどで私の住むアパートに着く。
「じゃあ清子、おやすみ」
軽く身を屈めた彪夏さんが顔を近づけてくる。
すぐに唇が重なって、離れた。
「……なんでキス、するんですか?」
上目で彪夏さんを軽く睨む。
「ん?
清子とのあいだに、恋だの愛だの発生させようと思って。
ドキドキしたか?」
小馬鹿にしたように右頬を歪めて彪夏さんがニヤリと笑い、カッと頬に熱が走る。
「しません!
さっさと帰ってください!」
「残念」
彪夏さんを押し出して、ドアに鍵をかける。
まるでその音を確認していたかのように、少しして足音が遠ざかっていった。
「……ドキドキなんてしませんよ」
嘘。
とくんとくんと心臓の鼓動が少し早い。
もしかして私、彪夏さんを好きになりはじめている……?
「清ねぇ、今日はありがとな」
「さやねぇちゃん、ひゅうがおにぃちゃん、ばいばいー」
微妙な気持ちのまま、家族に見送られて実家をあとにする。
「送る」
と言いながら、彪夏さんは徒歩で着いてきた。
「車はいいんですか?」
「あとで取りに来るからいい。
それよりも今は、清子と少し歩きたい気分」
さりげなく、彪夏さんが私と手を繋いでくる。
一瞬、振り払おうかと思ったが、やめた。
とはいえ、こちらから握り返す気にはなれないが。
「健太も多感なお年頃だ、気にするな」
もしかして私が落ち込んでいるのに気づいて、フォローするために徒歩での送りを選んでくれたんだろうか。
「そう、ですね」
今まであんなこと、言われたりしなかった。
なんで、急に?
気にするなと言われても、それでも気にかかる。
「きっといつか、本当の気持ちを話してくれるよ」
「本当の気持ち……?」
あれが、健太の本音じゃないんだろうか。
それとも私にはわからない、健太の気持ちが彪夏さんには理解できるんだろうか。
「ああ。
今はちょっと、素直になれないだけだ。
だから、待ってやれ」
「……はい」
納得したわけではない、でも彪夏さんの言葉なら信じていいとなぜか思えた。
十分ほどで私の住むアパートに着く。
「じゃあ清子、おやすみ」
軽く身を屈めた彪夏さんが顔を近づけてくる。
すぐに唇が重なって、離れた。
「……なんでキス、するんですか?」
上目で彪夏さんを軽く睨む。
「ん?
清子とのあいだに、恋だの愛だの発生させようと思って。
ドキドキしたか?」
小馬鹿にしたように右頬を歪めて彪夏さんがニヤリと笑い、カッと頬に熱が走る。
「しません!
さっさと帰ってください!」
「残念」
彪夏さんを押し出して、ドアに鍵をかける。
まるでその音を確認していたかのように、少しして足音が遠ざかっていった。
「……ドキドキなんてしませんよ」
嘘。
とくんとくんと心臓の鼓動が少し早い。
もしかして私、彪夏さんを好きになりはじめている……?
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