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第4話 女は子供を産む道具じゃない
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今日は有史さんも私も残業などなく、一緒に帰る。
途中で、スーパーに寄った。
「食べたいものはあるかい?」
「そうですね……」
カートを押す、有史さんに着いて歩く。
「あっさり系とガッツリ系はどっちがいい?」
「その二択だとあっさりですかね」
「了解」
メニューが決まったのか、有史さんが勢いよく歩き出す。
迷っていたらすぐに選択肢を出してくる当たり、旦那様ポイント高いな。
「すぐに食事の準備するねー」
「お願いしまーす!」
帰ってきてすぐに、有史さんは食事の支度を始めた。
昨日はできあがった頃に部屋から呼ばれたのでよかったが、ただ待っているのはどうしていいのか戸惑う。
代わりにちょっとでも私ができる家事はないかと家の中を探すが、ハウスキーパーさんが入っているのでなにもない。
結局、なにもできずにリビングに戻ってきて、ソファーに座った。
「さっきからうろうろ、なにしてるんだい?」
料理の手は休めず、有史さんが私にちらりと視線を向ける。
「あー、ただできるのを待ってるのって、なんか落ち着かなくて……」
私の答えを聞いた途端、有史さんはおかしそうにくすくすと笑い出した。
「また深里と同じこと言ってる」
「え?」
ちょいちょいと手招きされて、ダイニングテーブルに移動する。
すぐに私の前に蒸した鶏肉が置かれた。
「じゃあ、この鶏を手で裂いてくれるかな?
まだ熱いかもしれないから気をつけて」
「わかりました」
一度、椅子から立ち上がり、手を洗って戻ってきて言われた作業を始めた。
「僕が料理をするようになって最初の頃、深里もただ待ってるのは落ち着かなーい!
って言ってたよ」
「そうなんですね」
「そう。
懐かしいな」
私を見て遠い目をした有史さんは、私の向こうに深里さんを見ているようだった。
「それで深里さんはどうしたんですか?」
「ん?
やっぱり、こうやって料理を手伝ってもらった。
一緒にキッチンに並んで料理するのは、幸せな時間だったな」
眼鏡の向こうで彼の目が、淋しそうに伏せられる。
もう、そんなかけがえのない時間は彼には訪れないのだ。
「……なんか、すみません」
「いや、いいんだ。
こうやって深里を想い出せたのは嬉しいし」
なんでもないように有史さんはまた、調理台に向き合った。
もしかしたら今、私に顔を見られたくないのかもしれない。
「そろそろできるから、お皿を出してもらえるかな?」
「はーい」
今日の料理……棒々鶏と水餃子、玉子スープにチャーハンとあいそうな食器を棚から選んで並べる。
「なかなかいいセンスだね」
有史さんはそれらに料理を盛り付けていった。
私よりも何倍も凄いインテリアデザイナーの彼にセンスを褒めてもらえ、頬がほのかに熱を持った。
「じゃあ、食べようか」
「はい、いただきます」
今日も向かい合って食事をする。
まだ慣れないけれど、そのうちこれが普通になるのかな?
途中で、スーパーに寄った。
「食べたいものはあるかい?」
「そうですね……」
カートを押す、有史さんに着いて歩く。
「あっさり系とガッツリ系はどっちがいい?」
「その二択だとあっさりですかね」
「了解」
メニューが決まったのか、有史さんが勢いよく歩き出す。
迷っていたらすぐに選択肢を出してくる当たり、旦那様ポイント高いな。
「すぐに食事の準備するねー」
「お願いしまーす!」
帰ってきてすぐに、有史さんは食事の支度を始めた。
昨日はできあがった頃に部屋から呼ばれたのでよかったが、ただ待っているのはどうしていいのか戸惑う。
代わりにちょっとでも私ができる家事はないかと家の中を探すが、ハウスキーパーさんが入っているのでなにもない。
結局、なにもできずにリビングに戻ってきて、ソファーに座った。
「さっきからうろうろ、なにしてるんだい?」
料理の手は休めず、有史さんが私にちらりと視線を向ける。
「あー、ただできるのを待ってるのって、なんか落ち着かなくて……」
私の答えを聞いた途端、有史さんはおかしそうにくすくすと笑い出した。
「また深里と同じこと言ってる」
「え?」
ちょいちょいと手招きされて、ダイニングテーブルに移動する。
すぐに私の前に蒸した鶏肉が置かれた。
「じゃあ、この鶏を手で裂いてくれるかな?
まだ熱いかもしれないから気をつけて」
「わかりました」
一度、椅子から立ち上がり、手を洗って戻ってきて言われた作業を始めた。
「僕が料理をするようになって最初の頃、深里もただ待ってるのは落ち着かなーい!
って言ってたよ」
「そうなんですね」
「そう。
懐かしいな」
私を見て遠い目をした有史さんは、私の向こうに深里さんを見ているようだった。
「それで深里さんはどうしたんですか?」
「ん?
やっぱり、こうやって料理を手伝ってもらった。
一緒にキッチンに並んで料理するのは、幸せな時間だったな」
眼鏡の向こうで彼の目が、淋しそうに伏せられる。
もう、そんなかけがえのない時間は彼には訪れないのだ。
「……なんか、すみません」
「いや、いいんだ。
こうやって深里を想い出せたのは嬉しいし」
なんでもないように有史さんはまた、調理台に向き合った。
もしかしたら今、私に顔を見られたくないのかもしれない。
「そろそろできるから、お皿を出してもらえるかな?」
「はーい」
今日の料理……棒々鶏と水餃子、玉子スープにチャーハンとあいそうな食器を棚から選んで並べる。
「なかなかいいセンスだね」
有史さんはそれらに料理を盛り付けていった。
私よりも何倍も凄いインテリアデザイナーの彼にセンスを褒めてもらえ、頬がほのかに熱を持った。
「じゃあ、食べようか」
「はい、いただきます」
今日も向かい合って食事をする。
まだ慣れないけれど、そのうちこれが普通になるのかな?
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