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第五章 私は道具
5-6
酷い腹痛と頭痛で目が覚めた。
「お腹痛い、頭痛い……」
「大丈夫か?」
ベッドに蹲ったまま、海星さんが渡してくれたカップを受け取る。
中身はホットミルクで、薬を飲む前に飲むように言われた。
そういう気遣いは本当にありがたい。
「今日は休め。
俺が連絡入れとく」
「そういうわけには……」
とはいえこの状態では働ける気がまったくしない。
「生理痛と二日酔いのダブルパンチじゃ仕方ないだろ。
無理はするな」
「ううっ、じゃあ午前休で……」
「全休だ」
薬を飲んだ私の頭を枕に押さえつけ、呆れ気味に海星さんはため息をついた。
「あと、生理痛は病気の可能性があるらしい。
予約入れておくから今度、病院行ってこい」
カップとグラスを片付け、彼が戻ってくる。
「病院、ですか……?」
「ああ」
なぜか海星さんは私の枕元に座った。
「そこまでしなくてもいいのでは……?」
彼が私を心配してくれているのはわかる。
けれど、もしそれでなにか病気が見つかり、私が妊娠できないとわかったら……?
「なにか大きな病気だったら大変だろ。
調べておくに越したことはない」
大真面目に彼が頷く。
「それはそう……ですが」
妊娠できないと結果が出たら海星さんはどうするのだろう。
想像するだけで、怖い。
「そんなに心配することはない。
悪いところがあれば治せばいいだけだろ」
私の頭を軽くぽんぽんし、彼が立ち上がる。
「今日は俺も休んで……」
「え、そんな必要ないです!
うっ。
いたたたた……」
海星さんが全部言い終わらないうちに止めた。
しかし大きな声を出して勢いよく起き上がったせいで、盛大に頭痛が増す。
「ほら、そんな大きな声を出すから……」
手を貸し、彼はまた私を寝かしつけた。
「すみません……」
ちょっと情けなくて泣きそう。
「でも、休んで看病とかほんと、いいので。
ただの生理痛と二日酔いです。
寝てれば大丈夫ですから」
うんうん、これくらいで看病とか大袈裟すぎる。
それに二日酔いがなかったら今日も仕事に行っていたし。
「いや、でもな……」
「大丈夫!
なので!
うっ、いたっ」
力一杯、言い切ったせいでまた頭痛がした。
「……わかった」
私があまりに頑なで呆れたのか、海星さんが小さくため息をつく。
「でも、なんかあったらすぐ連絡しろ。
接待は断って早く帰ってくる」
「だから接待断るとかしなくていいので……」
「俺が!
心配なんだ!」
噛みつくように言われ、降参だと手を上げた。
「病気じゃないとわかってても、花音が苦しんでるのになにもできないってどれだけもどかしいかわかるか?
だからこれくらいさせろ」
本当に苦しそうに彼が顔を歪ませる。
「……はい」
気圧され気味に再び枕に頭を預けた。
そうか、海星さんはこんなにも私を心配してくれるんだ。
生理痛で唸っていても「メシは?」
とか言ってきた誰かさんとは大違いだ。
「じゃあ、俺はいってくるけど。
なんかあったら連絡しろ。
すぐに帰ってくる」
「だか……」
そこまでしなくていいと言いかけて止まる。
そうしないと海星さんの気が済まないし、安心できないのだ。
「……わかりました」
今度は素直に頷いた。
私の旦那様はどうも、心配性の過保護なのらしい。
「なるべく早く帰ってくる」
「いってらっしゃい」
私の額に口付けを落とし、海星さんは仕事に行った。
「お腹痛い……。
頭痛い……」
ひとりになって布団の中で丸くなる。
それでも薬が効いてきたのと、昨晩もこんな状態でぐっすり眠れなかったのでうとうとしてきて、そのうち眠っていた。
「お腹痛い、頭痛い……」
「大丈夫か?」
ベッドに蹲ったまま、海星さんが渡してくれたカップを受け取る。
中身はホットミルクで、薬を飲む前に飲むように言われた。
そういう気遣いは本当にありがたい。
「今日は休め。
俺が連絡入れとく」
「そういうわけには……」
とはいえこの状態では働ける気がまったくしない。
「生理痛と二日酔いのダブルパンチじゃ仕方ないだろ。
無理はするな」
「ううっ、じゃあ午前休で……」
「全休だ」
薬を飲んだ私の頭を枕に押さえつけ、呆れ気味に海星さんはため息をついた。
「あと、生理痛は病気の可能性があるらしい。
予約入れておくから今度、病院行ってこい」
カップとグラスを片付け、彼が戻ってくる。
「病院、ですか……?」
「ああ」
なぜか海星さんは私の枕元に座った。
「そこまでしなくてもいいのでは……?」
彼が私を心配してくれているのはわかる。
けれど、もしそれでなにか病気が見つかり、私が妊娠できないとわかったら……?
「なにか大きな病気だったら大変だろ。
調べておくに越したことはない」
大真面目に彼が頷く。
「それはそう……ですが」
妊娠できないと結果が出たら海星さんはどうするのだろう。
想像するだけで、怖い。
「そんなに心配することはない。
悪いところがあれば治せばいいだけだろ」
私の頭を軽くぽんぽんし、彼が立ち上がる。
「今日は俺も休んで……」
「え、そんな必要ないです!
うっ。
いたたたた……」
海星さんが全部言い終わらないうちに止めた。
しかし大きな声を出して勢いよく起き上がったせいで、盛大に頭痛が増す。
「ほら、そんな大きな声を出すから……」
手を貸し、彼はまた私を寝かしつけた。
「すみません……」
ちょっと情けなくて泣きそう。
「でも、休んで看病とかほんと、いいので。
ただの生理痛と二日酔いです。
寝てれば大丈夫ですから」
うんうん、これくらいで看病とか大袈裟すぎる。
それに二日酔いがなかったら今日も仕事に行っていたし。
「いや、でもな……」
「大丈夫!
なので!
うっ、いたっ」
力一杯、言い切ったせいでまた頭痛がした。
「……わかった」
私があまりに頑なで呆れたのか、海星さんが小さくため息をつく。
「でも、なんかあったらすぐ連絡しろ。
接待は断って早く帰ってくる」
「だから接待断るとかしなくていいので……」
「俺が!
心配なんだ!」
噛みつくように言われ、降参だと手を上げた。
「病気じゃないとわかってても、花音が苦しんでるのになにもできないってどれだけもどかしいかわかるか?
だからこれくらいさせろ」
本当に苦しそうに彼が顔を歪ませる。
「……はい」
気圧され気味に再び枕に頭を預けた。
そうか、海星さんはこんなにも私を心配してくれるんだ。
生理痛で唸っていても「メシは?」
とか言ってきた誰かさんとは大違いだ。
「じゃあ、俺はいってくるけど。
なんかあったら連絡しろ。
すぐに帰ってくる」
「だか……」
そこまでしなくていいと言いかけて止まる。
そうしないと海星さんの気が済まないし、安心できないのだ。
「……わかりました」
今度は素直に頷いた。
私の旦那様はどうも、心配性の過保護なのらしい。
「なるべく早く帰ってくる」
「いってらっしゃい」
私の額に口付けを落とし、海星さんは仕事に行った。
「お腹痛い……。
頭痛い……」
ひとりになって布団の中で丸くなる。
それでも薬が効いてきたのと、昨晩もこんな状態でぐっすり眠れなかったのでうとうとしてきて、そのうち眠っていた。
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