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第七章 嫉妬と愛と
7-2
会場であるホテルに入る。
宿泊する部屋も同じホテルに取ってあった。
私と右田課長はシングルだが、海星はスイートらしい。
一度、部屋に入り持ってきたドレスに着替える。
紺のミモレ丈Aラインドレスは今日のために海星が買ってくれたものだ。
「いい、かな?」
鏡の前で回り、姿を確認する。
髪は巻いて甘めのお団子に結ったが、黒縁眼鏡は健在だ。
「仕方ないよね」
つい、苦笑いが漏れる。
絶対に眼鏡は外さないように今日も海星から言われた。
これが男避けになっているのなら、従うしかない。
パーティは普通といえば普通だった。
私も、右田課長も挨拶回りが忙しい。
「この度は大変お世話になりました」
「えっと……」
相手の男性はぼーっと私を見ていたが、挨拶をされて戸惑いの表情を見せた。
「盛重……坂下です」
「ああ!
坂下さん!」
私が名乗り、合点がいったとばかりに彼は明るい声を上げた。
「すっかり変わられていて、驚きました」
「ありがとうございます」
苦笑いでそれに答える。
最近は対面でのやりとりをほぼしていなかったので、ほとんどの人が同じような反応だった。
にこやかに相手と会話を交わしながら、前方の人だかりをさりげなく見る。
そこでは海星が、多くの女性に囲まれていた。
「マグネイトエステートの社長の息子さんなんですか」
「ええ、まあ」
会話をしながら海星の視線がこちらを向く。
目のあった彼は私にだけわかるように、右の口端を僅かに持ち上げた。
……なにあれ!
デレデレしちゃって。
私には人に盗られると困るから眼鏡を外すなとか言っておいて、自分はあれとか許せない。
やっていられないと、お酒を呷ったのがいけなかった。
「大丈夫か」
「すみません……」
酔ってしまった私をロビーに連れ出し、右田課長が休ませてくれる。
「ほら、水」
「本当になにからなにまですみません……」
自販機を探し、買ってきた水を彼が渡してくれる。
迷惑をかけてしまい、大変申し訳ない。
「まあ、気持ちはわかるけどな」
困ったように右田課長は小さく笑った。
「でも、あれは社交辞令だから許してやれ」
「わかってるん、ですけど……」
ペットボトルを手の中で弄ぶ。
彼に言われなくても、あれは作り笑顔だってわかっていた。
それでも、海星が女性の前でにこにこ笑っているのが嫌だった。
しかも私がヤキモチを妬いているのに気づいているのか、勝ち誇ったように笑っちゃって!
「旦那がイケメンで金持ちだと盛重さんも苦労するな」
「ほんとですよ。
少しは私の苦労もわかってほしいです」
はぁーっと私の口から苦悩の濃いため息が落ちていき、ふたりで笑っていた。
宿泊する部屋も同じホテルに取ってあった。
私と右田課長はシングルだが、海星はスイートらしい。
一度、部屋に入り持ってきたドレスに着替える。
紺のミモレ丈Aラインドレスは今日のために海星が買ってくれたものだ。
「いい、かな?」
鏡の前で回り、姿を確認する。
髪は巻いて甘めのお団子に結ったが、黒縁眼鏡は健在だ。
「仕方ないよね」
つい、苦笑いが漏れる。
絶対に眼鏡は外さないように今日も海星から言われた。
これが男避けになっているのなら、従うしかない。
パーティは普通といえば普通だった。
私も、右田課長も挨拶回りが忙しい。
「この度は大変お世話になりました」
「えっと……」
相手の男性はぼーっと私を見ていたが、挨拶をされて戸惑いの表情を見せた。
「盛重……坂下です」
「ああ!
坂下さん!」
私が名乗り、合点がいったとばかりに彼は明るい声を上げた。
「すっかり変わられていて、驚きました」
「ありがとうございます」
苦笑いでそれに答える。
最近は対面でのやりとりをほぼしていなかったので、ほとんどの人が同じような反応だった。
にこやかに相手と会話を交わしながら、前方の人だかりをさりげなく見る。
そこでは海星が、多くの女性に囲まれていた。
「マグネイトエステートの社長の息子さんなんですか」
「ええ、まあ」
会話をしながら海星の視線がこちらを向く。
目のあった彼は私にだけわかるように、右の口端を僅かに持ち上げた。
……なにあれ!
デレデレしちゃって。
私には人に盗られると困るから眼鏡を外すなとか言っておいて、自分はあれとか許せない。
やっていられないと、お酒を呷ったのがいけなかった。
「大丈夫か」
「すみません……」
酔ってしまった私をロビーに連れ出し、右田課長が休ませてくれる。
「ほら、水」
「本当になにからなにまですみません……」
自販機を探し、買ってきた水を彼が渡してくれる。
迷惑をかけてしまい、大変申し訳ない。
「まあ、気持ちはわかるけどな」
困ったように右田課長は小さく笑った。
「でも、あれは社交辞令だから許してやれ」
「わかってるん、ですけど……」
ペットボトルを手の中で弄ぶ。
彼に言われなくても、あれは作り笑顔だってわかっていた。
それでも、海星が女性の前でにこにこ笑っているのが嫌だった。
しかも私がヤキモチを妬いているのに気づいているのか、勝ち誇ったように笑っちゃって!
「旦那がイケメンで金持ちだと盛重さんも苦労するな」
「ほんとですよ。
少しは私の苦労もわかってほしいです」
はぁーっと私の口から苦悩の濃いため息が落ちていき、ふたりで笑っていた。
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