天才魔導師と秀才魔法剣士を(いろんな意味で)癒すのがお仕事です

うづきなな

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三人で

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「ゼリンダさんを狙った奴は、まだ結論が出てないけどどちらに転んでも国外追放は確定。トウ国へ返すか、あいつを指名手配してる国へ引き渡すか。より厳しく処罰してくれるところを司法省は選びたいらしいけど、陛下はトウ国に恩を売っておきたい気持ちもあるみたい。をトウ国へ戻したら面汚しってことで処刑されると思うんだけど。ま、だから、とりあえずゼリンダさんは安心して大丈夫だよ。しっかり俺が魔法封じもしといたから、見張りに毒を食らわせて逃げ出すこともできなくなってる」
 ゼリンダはホッと胸をなで下ろした。同時に、あの男は余所でも悪事を働いていたと知りゾッとする。
「ありがとうございます」
「こいつのせいなんだから礼は必要ない」
 カイはウォルフガングに辛辣だ。
「そうなんだけど! おかげであいつの身柄も生きたまま確保できたし。ありがとう」
「あんたがお礼を言うことなんてあるんだねぇ」
 ノーラが驚きを隠さずしみじみつぶやく。
「シエルくん、みんな俺にひどくない?」
 いじけてみせるウォルフガングにシエルは困った様子で曖昧な微笑みを浮かべた。
「ええと……親愛の証じゃないでしょうか」
「そんな感じしないんだけど」
 シエルの懸命なフォローにも納得できないようで唇をとがらせたウォルフガングだが、小さくため息をついて真顔に戻る。
「俺が捕まえた連中は裁判を受けることになるけど、だけはちょっと扱いが特殊だから裁判はないと思う。今のところは自殺できないようにして幽閉してるけど、この先どうするかは全くの未定。逃げた仲間も取っ捕まえないと」
「もう手伝わないぞ」
 カイは眼鏡の奥を半眼にしてきっぱりと言い放つ。
「わかってるよぉ」
 笑顔でひらひらと手を振るウォルフガングをカイは疑いの眼でじとっと見つめる。
「そんなわけで、報告終わり!」
「さっさと帰れ」
「カイくんは冷たいなぁ」
 カイに追い払われたウォルフガングはここから立ち去るためにしょぼしょぼと階段へ向かう。しかし突然くるんっと振り返った。目が合ったゼリンダは驚いて飛び上がりそうになる。
「三人でやっていけそうで良かった」
 そう言って小さく笑ったウォルフガングはまるで兄のような顔をしていた。
「カイくんとシエルくんがそばにいて守ってくれてると言っても、ゼリンダさんの秘密は他の人には気づかれない方が良い。気をつけて」
 真剣に伝えてくれるウォルフガングに、ゼリンダは深くうなずく。秘密、としか彼は言わなかったが、おそらくゼリンダが魔法石の澱を取り除く能力があることを察している。さすが最強だ。
「じゃ、またね!」
 遊び終えて公園から自宅へ帰る子供のように無邪気な挨拶をして、ウォルフガングは大きく手を振りながら道具屋を去った。
 まだ事件から数日で言えることも少ない中、わざわざ報告に来てくれたウォルフガングは、シエルほどではないが面倒見のいい人なのではないかとゼリンダは思った。
「ゼリンダ、今日の稽古は終わったのか?」
「あとちょっと」
「全部終わったら買い物してから帰ろうか」
「うん!」
 カイとシエルとゼリンダの仲の良さが声からあふれ出していた。ノーラは温かく見守る。
「ほら、あとちょっとだよ」
「はい!」
 ゼリンダはカイとシエルと一緒に戦いの場に出られるように、人体へ施す回復魔法の練習に戻った。
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