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誠史郎ルート 2章
禁断の果実 2
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お隣から誰か私の後を付けていないか、背中を気にしながら駅へ向かう。
誠史郎さんは朝ごはんを食べ終わってからすぐに一度車で自宅に戻った。待ち合わせはお昼前に設定した。
ホームでも周囲を警戒していたけれど、山神さんは見当たらなかった。他にも雇われている人がいるかもしれないけれど。
電車を降りて、小走りで駅前のロータリーへ行く。見慣れた誠史郎さんの車はすぐに見つかった。
誰にも邪魔されたくなくて、自然に走り出していた。
運転席にある涼やかで整った横顔を確認して、助手席に滑り込む。
「お待たせしました」
素早くシートベルトを装着する。それを確認した誠史郎さんの流し目が妖艶でどきりとした。
「こちらこそ、お待たせしました。行きましょう」
緩やかにアクセルを踏んだ誠史郎さんはバックミラーを気にしている。私もつられて後ろを気にして振り返る。この車の動きに呼応するような車は今のところ見当たらなかった。
「少し遠くへ行きましょうか。木を隠すなら森の中が良いでしょうし」
都心へ向かう高速道路に向けて車は進む。ここまで来ると、もう後を追ってくる自動車があるかどうかは私には判断がつかない。
「昼食は少し遅くなっても構いませんか?」
「はい。大丈夫です」
時々バックミラーを気にしていた誠史郎さんが穏やかな様子なので、もう心配いらないのかもしれない。
一時間ほど経つと、高層ビルが両サイドに流れる風景になった。
土曜日のお昼なので、さすがに道路は混雑している。
そこから更に走ってトンネルに入る。カーナビは海へと向かっていることを示していた。
誠史郎さんが私を連れていこうとしている場所に察しがついた。わくわくしてくる。いろんな味のポップコーンがあるけれど、私はキャラメル味を買いたい。
「行き先はファンタジーキングダムですか?」
ファンタジーキングダムは日本で1番人気と言っても過言ではない、有名なテーマパーク。ケットシーという猫の精霊の王様がメインキャラクターだ。他にもいろんな動物がモチーフのたくさん仲間がいて、とてもかわいいグッズもたくさんある。
「ええ。あそこなら人がたくさんいますし、みさきさんとの約束もひとつ果たせます」
誠史郎さんの気持ちが嬉しくて頬が緩む。
ファンタジーキングダムが近くなってくると、高速道路に平行するように電車が走っているのが見えた。子どもの頃、何度か見た景色だと思い出す。最近は来ていなかった。
シンボルのお城が見えてくる。目的地はもう目の前だった。
駐車場に車を置いて、入園口へ向かって歩き始める。
すぐ隣にいる誠史郎さんを見上げる。手を繋ぎたい衝動に駆られた。
私の視線に気づいたのか、誠史郎さんがこちらに振り向いた。
目が合っただけで心臓が跳ねる。
何も言っていないのに、誠史郎さんのしなやかな手が私の手をそっと握ってくれた。どうしてわかったのだろうとうろたえてしまう。
「デートですから」
優しい微笑みに胸がきゅんとなる。自然にきゅっと握り返していた。
この時間がずっと続けば良いのに。
そう思いながらゲートをくぐる。チケットも誠史郎さんが用意してくれていた。急遽やって来たのに、何と言う準備の良さだろうと驚く。
入ってすぐの場所はいろんなグッズをお店がたくさん集まる区画になっている。
「郷に入っては郷に従いましょう」
そのお店はパーク内で多くの人が装着しているキャラクターの耳を模したカチューシャや帽子、Tシャツと言った身につけるものを中心に販売していた。
誠史郎さんの頭にネコミミ。すごく見たい。
わくわくしながら物色し始める。
「誠史郎さん!これはどうですか?」
「私よりみさきさんに似合うと思いますよ」
ここの王様の猫の灰色の耳を薦めたけれど、誠史郎にひょいと取り上げられて私の頭につけられる。
「私はサングラスにしますから、先にみさきさんの耳を選びましょう」
カチューシャがお妃様のピンクのネコミミの取り替えられる。私は誠史郎さんの楽しそうな表情に見とれてしまう。普段と違って、なんだかちょっと少年のような顔に思えた。これも王国の魔力だろうか。
「似合っていますよ。とてもかわいいです」
誠史郎さんにそう言われると照れてしまう。だけど今の私には誠史郎さんがとてもかわいく見える。人前なのに、つい好きと声に出してしまいそう。
「これにします」
私がそう伝えると、誠史郎さんは破顔してうなずいてくれた。
誠史郎さんはゆっくり吟味することなく、手近にあったケットシーをモチーフにしたシルバーのフレームのサングラスを取った。これをかけるのかとちょっと驚く。
「私がこんなサングラスをかけているなんて、知り合いは夢にも思わないでしょうから」
その笑顔は策士の表情だった。
カチューシャとサングラスを買って、お店の人にタグを取ってもらった。装着して外へ出る。もうすっかり王国の住人だ。
目元の隠れている誠史郎さんの口角が上がっている。互いに自然に手を取り合っていた。
「食べたいものはありますか?」
「肉まんが食べたいです」
王国にはレストランがいくつかあるけれど、売店のようなところで手軽に食べられるものもいろんな場所で売っている。
こんな機会はそんなにないと思うので、誠史郎さんとベンチに座って青空の下で食べたい。
「売っているお店の場所はご存知ですか?」
「忘れちゃったので、案内図見ましょう!」
誠史郎さんは穏やかな微笑みで応えてくれた。
誠史郎さんは朝ごはんを食べ終わってからすぐに一度車で自宅に戻った。待ち合わせはお昼前に設定した。
ホームでも周囲を警戒していたけれど、山神さんは見当たらなかった。他にも雇われている人がいるかもしれないけれど。
電車を降りて、小走りで駅前のロータリーへ行く。見慣れた誠史郎さんの車はすぐに見つかった。
誰にも邪魔されたくなくて、自然に走り出していた。
運転席にある涼やかで整った横顔を確認して、助手席に滑り込む。
「お待たせしました」
素早くシートベルトを装着する。それを確認した誠史郎さんの流し目が妖艶でどきりとした。
「こちらこそ、お待たせしました。行きましょう」
緩やかにアクセルを踏んだ誠史郎さんはバックミラーを気にしている。私もつられて後ろを気にして振り返る。この車の動きに呼応するような車は今のところ見当たらなかった。
「少し遠くへ行きましょうか。木を隠すなら森の中が良いでしょうし」
都心へ向かう高速道路に向けて車は進む。ここまで来ると、もう後を追ってくる自動車があるかどうかは私には判断がつかない。
「昼食は少し遅くなっても構いませんか?」
「はい。大丈夫です」
時々バックミラーを気にしていた誠史郎さんが穏やかな様子なので、もう心配いらないのかもしれない。
一時間ほど経つと、高層ビルが両サイドに流れる風景になった。
土曜日のお昼なので、さすがに道路は混雑している。
そこから更に走ってトンネルに入る。カーナビは海へと向かっていることを示していた。
誠史郎さんが私を連れていこうとしている場所に察しがついた。わくわくしてくる。いろんな味のポップコーンがあるけれど、私はキャラメル味を買いたい。
「行き先はファンタジーキングダムですか?」
ファンタジーキングダムは日本で1番人気と言っても過言ではない、有名なテーマパーク。ケットシーという猫の精霊の王様がメインキャラクターだ。他にもいろんな動物がモチーフのたくさん仲間がいて、とてもかわいいグッズもたくさんある。
「ええ。あそこなら人がたくさんいますし、みさきさんとの約束もひとつ果たせます」
誠史郎さんの気持ちが嬉しくて頬が緩む。
ファンタジーキングダムが近くなってくると、高速道路に平行するように電車が走っているのが見えた。子どもの頃、何度か見た景色だと思い出す。最近は来ていなかった。
シンボルのお城が見えてくる。目的地はもう目の前だった。
駐車場に車を置いて、入園口へ向かって歩き始める。
すぐ隣にいる誠史郎さんを見上げる。手を繋ぎたい衝動に駆られた。
私の視線に気づいたのか、誠史郎さんがこちらに振り向いた。
目が合っただけで心臓が跳ねる。
何も言っていないのに、誠史郎さんのしなやかな手が私の手をそっと握ってくれた。どうしてわかったのだろうとうろたえてしまう。
「デートですから」
優しい微笑みに胸がきゅんとなる。自然にきゅっと握り返していた。
この時間がずっと続けば良いのに。
そう思いながらゲートをくぐる。チケットも誠史郎さんが用意してくれていた。急遽やって来たのに、何と言う準備の良さだろうと驚く。
入ってすぐの場所はいろんなグッズをお店がたくさん集まる区画になっている。
「郷に入っては郷に従いましょう」
そのお店はパーク内で多くの人が装着しているキャラクターの耳を模したカチューシャや帽子、Tシャツと言った身につけるものを中心に販売していた。
誠史郎さんの頭にネコミミ。すごく見たい。
わくわくしながら物色し始める。
「誠史郎さん!これはどうですか?」
「私よりみさきさんに似合うと思いますよ」
ここの王様の猫の灰色の耳を薦めたけれど、誠史郎にひょいと取り上げられて私の頭につけられる。
「私はサングラスにしますから、先にみさきさんの耳を選びましょう」
カチューシャがお妃様のピンクのネコミミの取り替えられる。私は誠史郎さんの楽しそうな表情に見とれてしまう。普段と違って、なんだかちょっと少年のような顔に思えた。これも王国の魔力だろうか。
「似合っていますよ。とてもかわいいです」
誠史郎さんにそう言われると照れてしまう。だけど今の私には誠史郎さんがとてもかわいく見える。人前なのに、つい好きと声に出してしまいそう。
「これにします」
私がそう伝えると、誠史郎さんは破顔してうなずいてくれた。
誠史郎さんはゆっくり吟味することなく、手近にあったケットシーをモチーフにしたシルバーのフレームのサングラスを取った。これをかけるのかとちょっと驚く。
「私がこんなサングラスをかけているなんて、知り合いは夢にも思わないでしょうから」
その笑顔は策士の表情だった。
カチューシャとサングラスを買って、お店の人にタグを取ってもらった。装着して外へ出る。もうすっかり王国の住人だ。
目元の隠れている誠史郎さんの口角が上がっている。互いに自然に手を取り合っていた。
「食べたいものはありますか?」
「肉まんが食べたいです」
王国にはレストランがいくつかあるけれど、売店のようなところで手軽に食べられるものもいろんな場所で売っている。
こんな機会はそんなにないと思うので、誠史郎さんとベンチに座って青空の下で食べたい。
「売っているお店の場所はご存知ですか?」
「忘れちゃったので、案内図見ましょう!」
誠史郎さんは穏やかな微笑みで応えてくれた。
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