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第4章〜同盟国を求めて〜

ベロウズ・ケイジュ

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「ベロウズ・ケイジュ……!?間違いないのですか?」
ベロウズの名を聞いた途端
汗を滲ませるシルビア。

「はい。間違いありません」

「ベロウズってあのレベッカも言ってた奴だよな?そんなにやばいのか?」

「まず私では何も出来ずに殺されてしまう可能性もあります」

「シルビアが……!?でもそんな奴から襲われても国として存続してるって事はグリーディアは奴を撃退出来たんだろ?どうやって撃退したんだ?」

「我々はベロウズを……撃退など出来ませんでした」
震えながら俯くキャラット。

「どういう事だ?ベロウズは色んな国を滅ぼしたりしてるんだろ?」

「はい……。グリーディアも襲われた時ベロウズ1人に対して軍は壊滅状態まで追い込まれ、あたしもレベッカも戦いましたが全く敵いませんでした。国の崩壊と死を覚悟した時突然ベロウズがこう言ったのです……」
目に涙を貯め拳を握り込むキャラット。

「“飽きた”と」

「飽きた……!?それでそのまま帰ったって言うのか!?」

「はい。グリーディアを1人で攻め落とし、侵略が完遂されるその直前に唐突に飽きたと帰りました。…もっともその気まぐれにグリーディアは生かされたのですが……」

……何て奴だ。
1人でグリーディアを落としただけでも
敵としてかなり大きな存在だが……
侵略に来ていたのに“飽きた”で帰るなんて
何を考えてるんだ……?全く読めないぞ。

「そのベロウズが今ここにいるのか?」

「恐らく……これだけの魔力でここに居ないということは考えにくいですね」

「……今すぐ船に戻るか?」

「いえ、もう気付かれていると思うので船は危険では……」

「ちょっと待て。それならモナ達が危ないんじゃないか!?急いで戻るぞ!」
フューゼ達が急いで戻ろうと
後ろを振り返った時だった。

「これはこれはみなさまごきげんよう。そんなに急いで何処に向かわれるのですか?」
ひらひらした奇抜な服を着た
ピエロ風のメイクをした男が
両手は翼のように広げおじぎをし
にたりとした笑顔を向けていた。
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