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“ G”
自己紹介2
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「じゃあ…女子は私からだね。」
ミディアムの女子が口を開く。
「私は南 友梨。私も…彼氏が居ます。一番…大切です。」
もじもじとする南。
「南さんも大切な人が居るんだね。素晴らしいよ。本当に素敵だね!」
笑顔の猿渡。
「ありがとう…。」
チラリと大島を見つめる南。
「ん……?もしかして…大島君と……?」
「う……うん。」
「友梨…!」
「…隠さなくてもいいと思ったから。」
「まぁ…いいけどさ。」
「いつまでやってんだ。後で勝手にやれよな。」
嫌そうに鈴木が声をかける。
その時チャイムが鳴りGガチャが動きだした。
そして1460に変わった。
「猿渡、早く進行してくれ。」
「鈴木君…。わかったよ。じゃあ次の人いいかな?」
ショートスタイルの女子を指差す猿渡。
「うちの番か!うちは中西 唯!バスケしてるよ!でもスポーツ全般好き!よろしくね!」
「中西さんも彼氏がいるのかな?」
笑いながら言う猿渡。
「うちはいないよ!てか女子にそんな事はすぐ聞いちゃダメでしょ!」
笑う中西。
「ご、ごめん!悪気はなかったんだけど…。」
「お前も隆一の事聞きまくってたじゃないか!」
異世がツッコミを入れると中西はへへっと笑った。
「上川君は男の子でしょ!それに気になったから聞いちゃった。ごめんね?上川君。嫌だった?」
上川に目線を向ける中西。
「え?お、おう気にしなくていいよ。」
このタイミングでチャイムが鳴りGガチャは1510へと変わった。
「あ、終わったみたい!じゃあ次はりのあちゃんだね!」
隣の金髪女子に目を向ける中西。
「いきなりりのあとか呼ぶな!」
「え?あ、ごめんね?りのあちゃん!」
笑顔で答える中西。
「……チッ!わかってんのかよ……!」
「ま、まぁまぁ落ち着いて!自己紹介をお願いしてもいいかな?」
間に入る猿渡。
「……柊 りのあ。お金の為に自己紹介はするけど仲良くする気は無いわ。」
「…素直なんだね。柊さんは。」
「そうよ。嘘は嫌いなの。」
「何か趣味とかあるの?」
「は?仲良くも無いのに言う必要ある?」
「そこから仲良くなれるかもしれないだろ?」
「馬鹿ね。そんな必要無いって言ってるの。」
「でもミッションが…。」
その時猿渡の言葉を遮るようにチャイムが鳴りGガチャも動き、1560と表示した。
「達成したようね。文句無いでしょ?」
猿渡を見下す柊。
(柊りのあ……。結構厄介かもしれないな。)
「…問題無いよ。」
「でしょうね。次はあんたよ桃香。」
「はぁーい。」
柊の横のウェーブがかかったロングの黒髪女子が返事をする。
「菊森 桃香でぇーす。りのあちゃんのお友達でぇーす。」
そう言うとにこりとする菊森。
「えぇーと……終わり…?」
「他に言うことないのよねー。」
「えぇと……。好きな食べ物とかは無いの?」
「かまぼこー。」
「かまぼこ?どういったところが好きなの?」
「りのあちゃんが好きだからー!」
「ちょっと桃香!」
「あぁー!怒られちゃったー!」
にやにやとする菊森。
その時チャイムが鳴りGガチャは1610へと変わった。
「あ、終わったみたいー。じゃああとよろしくー。」
ひらひらと手を振る菊森。
「…内容はそんなに無くてもいいのかな…?とりあえず次は君だね。」
ミディアムの前髪が揃っている子を指差す猿渡。
「あ、私の番か!私は竹端 まこ!周りからはたまこって呼ばれてるよ!特技とかは思いつかないけど出来るだけ仲良くしたいと思ってるよ!よろしくね!」
にこにことしている竹端。
「たまこって何?変なあだ名ね。」
柊が見下すように笑う。
「そうかなー?私は気に入ってるよー!」
「馬鹿っぽいからお似合いなんじゃない?」
柊の会話に割って入る猿渡。
「竹端さんはみんなと仲良くなりたいんだね!」
「うん!そうだね!誰でも話しかけてくれたら嬉しいな!」
「だそうだよみんな!よかったらみんなで仲良く協力していこう!」
猿渡が周りに声をかける。
「りのあは仲良くやる気は無いからね。」
「りのあちゃんがいないなら桃香もー。」
「柊さん……。菊森さん……。」
「…俺達はそんな事ないぞ。な?圭樹。」
異世に目を向ける上川。
「…あぁ!もちろん。」
「ありがとう上川君、異世君!」
ここでチャイムが鳴りGガチャは1660へ変わった。
「次は美羽ちゃんだねぇ!」
高く明るい声が響く。
そちらに向くとツインテールの女子が手を挙げていた。
「美羽ちゃんは吉見 美羽ちゃん!フリルの付いた服とくまちゃんが好きだよぉ!よろしくねぇ!」
ぴょんぴょんと動く吉見。
(喋る度に動きが多いな。舌禍みたいだ。)
「吉見さんは……。」
「美羽ちゃん!」
猿渡の質問を遮る吉見。
「へ?」
「美羽ちゃんって呼んで!」
「え?でも……。」
「美羽ちゃんは美羽ちゃんって呼ばれたいの!」
頬を膨らます吉見。
「でも吉見さん……。」
困る猿渡。しかし吉見はぷいとそっぽを向く。
「え、えーと……み…美羽…ちゃん。」
「なぁに?」
振り返る吉見。
「好きなのがくまちゃんってのは……?」
「お人形さんだよ!くまちゃんのお人形さんが大好きなの!ふふっ!」
「そ、そっか。可愛いよねテディベア。」
(猿渡でも困ってるな…。中々個性的だ。)
「何が美羽ちゃんよ!気持ち悪い。」
柊が睨みつける。
「えー?どこが気持ち悪いのー?」
「全部よブス。」
「りのたんひどーい!美羽ちゃんが可愛いからって嫉妬しちゃだめだよぉ?」
人差し指を立てる吉見。
「りのたん…!?気色悪い呼び方するな!」
「りのたんかぁー。可愛いじゃーん!」
笑顔の菊森。
「何言ってんの桃香!」
焦る柊。
「でしょでしょー?」
「でもね、りのあちゃんが貴方ごときに嫉妬なんてしないからそこだけは気を付けてねー?」
笑顔から鋭い目付きに変わる菊森。
「……ふーん。 まぁ美羽ちゃんもりのたんに嫉妬なんてしないけどねぇー。」
「そう返す時点で怪しいけれどね。」
睨み合う菊森と吉見。
顔の引きつっている猿渡。
ここでチャイムが鳴りGガチャが起動する。
その音で菊森達は睨み合うのをやめた。
そして1710とGガチャは表示された。
「や、やったね!ミッション成功だよ!」
何とか進行しようとする猿渡。
「うん!やったね!もんもん!」
笑顔に変わる吉見。
「もんもん…?僕の事?」
自分を指さす猿渡。
「うん!お猿さんみたいで可愛いからもんもん!」
「はは…。ありがとう。次の人に移ろうか。」
吉見の隣の横髪の跳ねた女子を指差す猿渡。
「あ、私ですか。神納 りりかです。アニメとか好きです。よろしくお願いします。」
ぺこりと礼をする神納。
「アニメはどんなのが好きなの?」
「仲良くなってから教えます。」
「そっか…。他に何か好きなものとかはある?」
「……ネイルとか好きですよ。」
「ネイル?爪に塗るやつ?」
「そうですね。こういうやつです。」
そう言って両手を開き爪を見せる神納。
「きゃー!かわいぃー!りりまろが自分でしたのー!?」
ぴょんぴょんする吉見。
「え、えぇ。そうです。」
「美羽ちゃんにもしてぇー!」
「な、仲良くなってからで……。」
ここでチャイムが鳴り響く。
Gガチャは1760と表示される。
「終わったみたいなので進行お願いします。」
吉見をいなしつつ猿渡に声をかける神納。
「そうだね、ありがとう。次は君だね、よろしくね。」
くせっ毛の女子に目を向ける猿渡。
「あ、私は古川 成美。趣味は…」
「今なるみって言ったか!?」
遮るように声を出した姫松。
「え、えぇ。」
「なるみ仲間だな!漢字は?」
「成功の成に美しいだけど……。」
「おー!成るの部分は一緒だな!俺はみの部分が海だぜ!」
「そ、そうなの?」
「おう!成長する美しさっていい響きじゃん!仲良くやろうぜ!」
にこりとする姫松。
「よ、よろしく……。」
「おう!よろしくな!」
「ちょっと成海、あんた何ナンパしてんの?」
柊が横から割り入る。
「なるみ仲間とは仲良くしたいじゃん。何だのあ、嫉妬か?」
「は?何でりのあが嫉妬する必要あるのよ。馬鹿じゃないの?」
「ははっ!可愛くねぇな!」
「何ですって!?」
柊が席を立つがチャイムが鳴り柊は着席する。
Gガチャは1810と表示された。
「悪いな二号!邪魔が入った!」
古川を見る姫松。
「二号ってわ、私?」
「おう!俺が一号だ!一号でも成海でも好きに呼んでくれ!」
「わ、わかった…。」
目を伏せる古川。
「……自己紹介済ませていいかしら。」
古川の隣の黒髪ロングの女子がぼそりと呟く。
「え?もちろん!よろしくね。」
「小宮 杏……。明るい所とうるさい所が嫌い。」
目線を下げたまま話す小宮。
「えと…。好きなものとかは……?」
「実験…。」
「実験……?例えば?」
「貴方達に言ってもどうせ理解されないわ……。ひひっ。」
肩で笑う小宮。
「一つ何か聞いてもいいかな?」
「命が消える瞬間について……。」
「え……?」
予想外の答えに戸惑う猿渡。
周囲の空気も淀んだ。
「命が消える瞬間って貴方達わかる……?」
「心臓とか呼吸が止まった時……?」
「ふふふふ……。そうね。でも一度止まっても動き出す時もある。それはもう死んでるのかしら?」
「え?い、いや生き返った……のかな?」
「私は蛙…鼠…色々な生物で幾度も試してきたの……!死について知りたくて……!!」
「何だって…?」
「磔にしてお腹を開くのよ……!動く臓器を見つめているといずれ止まる…!でもまた動いたり臓器を取り除いても動いていたり……死とは何なのかどれだけ実験してもわからないわ……!」
目線は上げないまま早口で話す小宮。
言葉の出ない猿渡。
「隆一…!猿渡が話せなくなってる…!フォローしないとミッションまだ達成してないぞ。」
「……だな。何とかしよう。」
「そ、その実験ってのはいつからやってるんだ?」
異世が質問を飛ばす。
「あら…貴方は興味があるの…?死について。」
「え!?……そ、そうだな。少しは…あるかもな。」
「私は気付いたらそれが気になって気になってどうしようもなくなってたの…!いつからとかじゃないわ…。」
「そ、そうか。」
「人間では試したこと何も無いのよ。」
目線を初めてあげる小宮。
その目は真っ直ぐ異世を見つめていた。
「いっ…!?」
「ほ、他に興味がある事は何も無いのか?」
上川が質問を飛ばすと目線を下げた小宮。
「…無いわ。それより…。」
目線を異世に向ける小宮。
「異世 圭樹だったわよね。貴方……!」
小宮の声を遮るようにチャイムが鳴り響く。
騒々しくGガチャも起動し1860へと表示された。
「次でラストだぞ!猿渡!」
異世が猿渡に声をかける。
「あ、あぁ、そうだね。」
進行しようとする猿渡。
小声で異世が上川に声をかける。
「やばいよ隆一。俺怖いんだけど!」
「…大丈夫だろ。たった一週間だ。」
「一週間ずっと一緒なんだぞ!?昼も夜も!」
「俺も一緒にいるから安心してくれ。ほら、最後の自己紹介始まるぞ。」
目線をポニーテールの女子に向ける上川。
「……瀧田 桜です。みなさんとは友好的になりたいと思っております。よろしくお願い致します。」
立ち上がり深く礼をすると着席する瀧田。
「友好的…!いいね!得意な事とかある?」
「……勉学には少し自信があります。」
「そうなんだね!僕はあまり得意じゃないから難しい事は話せないな!逆に苦手なこととかあるの?」
「……料理に関しては現在精進中です。」
「えー?料理苦手なの?意外!出来そうな気がするのに!」
中西が驚いたように声を出す。
「恥ずかしながら苦手です…。」
「それだったら…」
猿渡が何かを言おうとした所でチャイムが鳴り
Gガチャが起動した。そして数字は1910となった。
「あ!ミッション成功だ!みんなありがとう!凄いよ!千九百十だよ!?幸先いいね!」
笑顔の猿渡。谷ケ城を除いた一同も各々喜んでいる。
「お返しと言ってはなんだけど晩御飯僕が作るよ!」
「料理?猿渡お前料理できるのか?」
「ふふ、これでもかなり得意なんだよ?」
「どこに食材なんかあるのよ。」
柊が猿渡を見る。
「家庭科室を見てくるよ!もし無ければ舌禍に聞くよ。さ、瀧田さん行くよ!」
「え!?」
驚く瀧田。
「猿渡君いきなりどうしたの?」
同じく驚く竹端。
「苦手って言ってたからね!僕は得意だから教えようかと!仲良くなりたいしね!」
「な、なるほど…。でも女子と二人きりは…。」
「え!?いや僕は何も変な事はしないよ!?」
「そ、そうじゃなくて!危ないかもしれないじゃない!まだここが絶対安全かなんてわからないんだから…!」
「そ、そうだね。うーん…どうしよう。」
悩む猿渡。
「隆一と俺が付いていこうか?」
異世が猿渡に提案する。
「圭樹!?」
驚く上川に小さく囁く異世。
「すまん、小宮から今は離れたいんだよ。頼む!」
「……わかったよ、俺も行く。」
「異世君と上川君が来てくれるのかい?」
「…いいぞ。ないよりマシだから箒だけ持ってくよ。」
箒を取りに行く上川。
「それならうちも行くよ!」
中西が手を挙げる。
「中西さんも?」
「女子が桜ちゃん一人だと心細いかもでしょ!うちも行く!玉子割るのは上手いんだから!」
腰に手を当てる中西。
「はは、心強いね。よし、なら僕と瀧田さんと上川君異世君、中西さんの五人で家庭科室まで行こう。」
上川と異世が箒を手にしたのを確認し猿渡がドアに手をかける。
「もし僕達が二時間くらいしても帰ってこなかったら気を付けてね。何かがあったのかもしれない。何も無ければご飯を持ってくるから期待しててね!」
そう言うとドアを開け猿渡達は職員室を後にした。
ミディアムの女子が口を開く。
「私は南 友梨。私も…彼氏が居ます。一番…大切です。」
もじもじとする南。
「南さんも大切な人が居るんだね。素晴らしいよ。本当に素敵だね!」
笑顔の猿渡。
「ありがとう…。」
チラリと大島を見つめる南。
「ん……?もしかして…大島君と……?」
「う……うん。」
「友梨…!」
「…隠さなくてもいいと思ったから。」
「まぁ…いいけどさ。」
「いつまでやってんだ。後で勝手にやれよな。」
嫌そうに鈴木が声をかける。
その時チャイムが鳴りGガチャが動きだした。
そして1460に変わった。
「猿渡、早く進行してくれ。」
「鈴木君…。わかったよ。じゃあ次の人いいかな?」
ショートスタイルの女子を指差す猿渡。
「うちの番か!うちは中西 唯!バスケしてるよ!でもスポーツ全般好き!よろしくね!」
「中西さんも彼氏がいるのかな?」
笑いながら言う猿渡。
「うちはいないよ!てか女子にそんな事はすぐ聞いちゃダメでしょ!」
笑う中西。
「ご、ごめん!悪気はなかったんだけど…。」
「お前も隆一の事聞きまくってたじゃないか!」
異世がツッコミを入れると中西はへへっと笑った。
「上川君は男の子でしょ!それに気になったから聞いちゃった。ごめんね?上川君。嫌だった?」
上川に目線を向ける中西。
「え?お、おう気にしなくていいよ。」
このタイミングでチャイムが鳴りGガチャは1510へと変わった。
「あ、終わったみたい!じゃあ次はりのあちゃんだね!」
隣の金髪女子に目を向ける中西。
「いきなりりのあとか呼ぶな!」
「え?あ、ごめんね?りのあちゃん!」
笑顔で答える中西。
「……チッ!わかってんのかよ……!」
「ま、まぁまぁ落ち着いて!自己紹介をお願いしてもいいかな?」
間に入る猿渡。
「……柊 りのあ。お金の為に自己紹介はするけど仲良くする気は無いわ。」
「…素直なんだね。柊さんは。」
「そうよ。嘘は嫌いなの。」
「何か趣味とかあるの?」
「は?仲良くも無いのに言う必要ある?」
「そこから仲良くなれるかもしれないだろ?」
「馬鹿ね。そんな必要無いって言ってるの。」
「でもミッションが…。」
その時猿渡の言葉を遮るようにチャイムが鳴りGガチャも動き、1560と表示した。
「達成したようね。文句無いでしょ?」
猿渡を見下す柊。
(柊りのあ……。結構厄介かもしれないな。)
「…問題無いよ。」
「でしょうね。次はあんたよ桃香。」
「はぁーい。」
柊の横のウェーブがかかったロングの黒髪女子が返事をする。
「菊森 桃香でぇーす。りのあちゃんのお友達でぇーす。」
そう言うとにこりとする菊森。
「えぇーと……終わり…?」
「他に言うことないのよねー。」
「えぇと……。好きな食べ物とかは無いの?」
「かまぼこー。」
「かまぼこ?どういったところが好きなの?」
「りのあちゃんが好きだからー!」
「ちょっと桃香!」
「あぁー!怒られちゃったー!」
にやにやとする菊森。
その時チャイムが鳴りGガチャは1610へと変わった。
「あ、終わったみたいー。じゃああとよろしくー。」
ひらひらと手を振る菊森。
「…内容はそんなに無くてもいいのかな…?とりあえず次は君だね。」
ミディアムの前髪が揃っている子を指差す猿渡。
「あ、私の番か!私は竹端 まこ!周りからはたまこって呼ばれてるよ!特技とかは思いつかないけど出来るだけ仲良くしたいと思ってるよ!よろしくね!」
にこにことしている竹端。
「たまこって何?変なあだ名ね。」
柊が見下すように笑う。
「そうかなー?私は気に入ってるよー!」
「馬鹿っぽいからお似合いなんじゃない?」
柊の会話に割って入る猿渡。
「竹端さんはみんなと仲良くなりたいんだね!」
「うん!そうだね!誰でも話しかけてくれたら嬉しいな!」
「だそうだよみんな!よかったらみんなで仲良く協力していこう!」
猿渡が周りに声をかける。
「りのあは仲良くやる気は無いからね。」
「りのあちゃんがいないなら桃香もー。」
「柊さん……。菊森さん……。」
「…俺達はそんな事ないぞ。な?圭樹。」
異世に目を向ける上川。
「…あぁ!もちろん。」
「ありがとう上川君、異世君!」
ここでチャイムが鳴りGガチャは1660へ変わった。
「次は美羽ちゃんだねぇ!」
高く明るい声が響く。
そちらに向くとツインテールの女子が手を挙げていた。
「美羽ちゃんは吉見 美羽ちゃん!フリルの付いた服とくまちゃんが好きだよぉ!よろしくねぇ!」
ぴょんぴょんと動く吉見。
(喋る度に動きが多いな。舌禍みたいだ。)
「吉見さんは……。」
「美羽ちゃん!」
猿渡の質問を遮る吉見。
「へ?」
「美羽ちゃんって呼んで!」
「え?でも……。」
「美羽ちゃんは美羽ちゃんって呼ばれたいの!」
頬を膨らます吉見。
「でも吉見さん……。」
困る猿渡。しかし吉見はぷいとそっぽを向く。
「え、えーと……み…美羽…ちゃん。」
「なぁに?」
振り返る吉見。
「好きなのがくまちゃんってのは……?」
「お人形さんだよ!くまちゃんのお人形さんが大好きなの!ふふっ!」
「そ、そっか。可愛いよねテディベア。」
(猿渡でも困ってるな…。中々個性的だ。)
「何が美羽ちゃんよ!気持ち悪い。」
柊が睨みつける。
「えー?どこが気持ち悪いのー?」
「全部よブス。」
「りのたんひどーい!美羽ちゃんが可愛いからって嫉妬しちゃだめだよぉ?」
人差し指を立てる吉見。
「りのたん…!?気色悪い呼び方するな!」
「りのたんかぁー。可愛いじゃーん!」
笑顔の菊森。
「何言ってんの桃香!」
焦る柊。
「でしょでしょー?」
「でもね、りのあちゃんが貴方ごときに嫉妬なんてしないからそこだけは気を付けてねー?」
笑顔から鋭い目付きに変わる菊森。
「……ふーん。 まぁ美羽ちゃんもりのたんに嫉妬なんてしないけどねぇー。」
「そう返す時点で怪しいけれどね。」
睨み合う菊森と吉見。
顔の引きつっている猿渡。
ここでチャイムが鳴りGガチャが起動する。
その音で菊森達は睨み合うのをやめた。
そして1710とGガチャは表示された。
「や、やったね!ミッション成功だよ!」
何とか進行しようとする猿渡。
「うん!やったね!もんもん!」
笑顔に変わる吉見。
「もんもん…?僕の事?」
自分を指さす猿渡。
「うん!お猿さんみたいで可愛いからもんもん!」
「はは…。ありがとう。次の人に移ろうか。」
吉見の隣の横髪の跳ねた女子を指差す猿渡。
「あ、私ですか。神納 りりかです。アニメとか好きです。よろしくお願いします。」
ぺこりと礼をする神納。
「アニメはどんなのが好きなの?」
「仲良くなってから教えます。」
「そっか…。他に何か好きなものとかはある?」
「……ネイルとか好きですよ。」
「ネイル?爪に塗るやつ?」
「そうですね。こういうやつです。」
そう言って両手を開き爪を見せる神納。
「きゃー!かわいぃー!りりまろが自分でしたのー!?」
ぴょんぴょんする吉見。
「え、えぇ。そうです。」
「美羽ちゃんにもしてぇー!」
「な、仲良くなってからで……。」
ここでチャイムが鳴り響く。
Gガチャは1760と表示される。
「終わったみたいなので進行お願いします。」
吉見をいなしつつ猿渡に声をかける神納。
「そうだね、ありがとう。次は君だね、よろしくね。」
くせっ毛の女子に目を向ける猿渡。
「あ、私は古川 成美。趣味は…」
「今なるみって言ったか!?」
遮るように声を出した姫松。
「え、えぇ。」
「なるみ仲間だな!漢字は?」
「成功の成に美しいだけど……。」
「おー!成るの部分は一緒だな!俺はみの部分が海だぜ!」
「そ、そうなの?」
「おう!成長する美しさっていい響きじゃん!仲良くやろうぜ!」
にこりとする姫松。
「よ、よろしく……。」
「おう!よろしくな!」
「ちょっと成海、あんた何ナンパしてんの?」
柊が横から割り入る。
「なるみ仲間とは仲良くしたいじゃん。何だのあ、嫉妬か?」
「は?何でりのあが嫉妬する必要あるのよ。馬鹿じゃないの?」
「ははっ!可愛くねぇな!」
「何ですって!?」
柊が席を立つがチャイムが鳴り柊は着席する。
Gガチャは1810と表示された。
「悪いな二号!邪魔が入った!」
古川を見る姫松。
「二号ってわ、私?」
「おう!俺が一号だ!一号でも成海でも好きに呼んでくれ!」
「わ、わかった…。」
目を伏せる古川。
「……自己紹介済ませていいかしら。」
古川の隣の黒髪ロングの女子がぼそりと呟く。
「え?もちろん!よろしくね。」
「小宮 杏……。明るい所とうるさい所が嫌い。」
目線を下げたまま話す小宮。
「えと…。好きなものとかは……?」
「実験…。」
「実験……?例えば?」
「貴方達に言ってもどうせ理解されないわ……。ひひっ。」
肩で笑う小宮。
「一つ何か聞いてもいいかな?」
「命が消える瞬間について……。」
「え……?」
予想外の答えに戸惑う猿渡。
周囲の空気も淀んだ。
「命が消える瞬間って貴方達わかる……?」
「心臓とか呼吸が止まった時……?」
「ふふふふ……。そうね。でも一度止まっても動き出す時もある。それはもう死んでるのかしら?」
「え?い、いや生き返った……のかな?」
「私は蛙…鼠…色々な生物で幾度も試してきたの……!死について知りたくて……!!」
「何だって…?」
「磔にしてお腹を開くのよ……!動く臓器を見つめているといずれ止まる…!でもまた動いたり臓器を取り除いても動いていたり……死とは何なのかどれだけ実験してもわからないわ……!」
目線は上げないまま早口で話す小宮。
言葉の出ない猿渡。
「隆一…!猿渡が話せなくなってる…!フォローしないとミッションまだ達成してないぞ。」
「……だな。何とかしよう。」
「そ、その実験ってのはいつからやってるんだ?」
異世が質問を飛ばす。
「あら…貴方は興味があるの…?死について。」
「え!?……そ、そうだな。少しは…あるかもな。」
「私は気付いたらそれが気になって気になってどうしようもなくなってたの…!いつからとかじゃないわ…。」
「そ、そうか。」
「人間では試したこと何も無いのよ。」
目線を初めてあげる小宮。
その目は真っ直ぐ異世を見つめていた。
「いっ…!?」
「ほ、他に興味がある事は何も無いのか?」
上川が質問を飛ばすと目線を下げた小宮。
「…無いわ。それより…。」
目線を異世に向ける小宮。
「異世 圭樹だったわよね。貴方……!」
小宮の声を遮るようにチャイムが鳴り響く。
騒々しくGガチャも起動し1860へと表示された。
「次でラストだぞ!猿渡!」
異世が猿渡に声をかける。
「あ、あぁ、そうだね。」
進行しようとする猿渡。
小声で異世が上川に声をかける。
「やばいよ隆一。俺怖いんだけど!」
「…大丈夫だろ。たった一週間だ。」
「一週間ずっと一緒なんだぞ!?昼も夜も!」
「俺も一緒にいるから安心してくれ。ほら、最後の自己紹介始まるぞ。」
目線をポニーテールの女子に向ける上川。
「……瀧田 桜です。みなさんとは友好的になりたいと思っております。よろしくお願い致します。」
立ち上がり深く礼をすると着席する瀧田。
「友好的…!いいね!得意な事とかある?」
「……勉学には少し自信があります。」
「そうなんだね!僕はあまり得意じゃないから難しい事は話せないな!逆に苦手なこととかあるの?」
「……料理に関しては現在精進中です。」
「えー?料理苦手なの?意外!出来そうな気がするのに!」
中西が驚いたように声を出す。
「恥ずかしながら苦手です…。」
「それだったら…」
猿渡が何かを言おうとした所でチャイムが鳴り
Gガチャが起動した。そして数字は1910となった。
「あ!ミッション成功だ!みんなありがとう!凄いよ!千九百十だよ!?幸先いいね!」
笑顔の猿渡。谷ケ城を除いた一同も各々喜んでいる。
「お返しと言ってはなんだけど晩御飯僕が作るよ!」
「料理?猿渡お前料理できるのか?」
「ふふ、これでもかなり得意なんだよ?」
「どこに食材なんかあるのよ。」
柊が猿渡を見る。
「家庭科室を見てくるよ!もし無ければ舌禍に聞くよ。さ、瀧田さん行くよ!」
「え!?」
驚く瀧田。
「猿渡君いきなりどうしたの?」
同じく驚く竹端。
「苦手って言ってたからね!僕は得意だから教えようかと!仲良くなりたいしね!」
「な、なるほど…。でも女子と二人きりは…。」
「え!?いや僕は何も変な事はしないよ!?」
「そ、そうじゃなくて!危ないかもしれないじゃない!まだここが絶対安全かなんてわからないんだから…!」
「そ、そうだね。うーん…どうしよう。」
悩む猿渡。
「隆一と俺が付いていこうか?」
異世が猿渡に提案する。
「圭樹!?」
驚く上川に小さく囁く異世。
「すまん、小宮から今は離れたいんだよ。頼む!」
「……わかったよ、俺も行く。」
「異世君と上川君が来てくれるのかい?」
「…いいぞ。ないよりマシだから箒だけ持ってくよ。」
箒を取りに行く上川。
「それならうちも行くよ!」
中西が手を挙げる。
「中西さんも?」
「女子が桜ちゃん一人だと心細いかもでしょ!うちも行く!玉子割るのは上手いんだから!」
腰に手を当てる中西。
「はは、心強いね。よし、なら僕と瀧田さんと上川君異世君、中西さんの五人で家庭科室まで行こう。」
上川と異世が箒を手にしたのを確認し猿渡がドアに手をかける。
「もし僕達が二時間くらいしても帰ってこなかったら気を付けてね。何かがあったのかもしれない。何も無ければご飯を持ってくるから期待しててね!」
そう言うとドアを開け猿渡達は職員室を後にした。
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