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第一章 学園編
043.オネェとスパルタ
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料理長にダイエット系お菓子のレシピを書いたメモを渡す。
実際作るのは料理長ではなく、パティシエらしい。
本職のパティシエが作るにはかなり物足りない内容だけど大丈夫かな……。って言うか、パティシエがいる事に驚いた。あれか? またしても、過去にいた転生者のしわざって奴かな?
不安になっていた私に、「豆腐の活用法に衝撃を受けているようです」と、ロイエが教えてくれた。
私は若干戸惑っている。
何故かと言うと、私に執事がついたからだ。
ルシアン曰く、ルシアン自身が忙しくなってきているのと、ルシアンの代わりに家のことをロイエが仕切っている為、私が何かやりたい時、思いついた時に困るだろうから、ということらしい。
本来であれば家のことを仕切るのは妻の私の役目なんだけど、やらなくていいと言われている。
まだ学生だからというのと、ルシアンの意向らしい。
まぁ、アルト侯爵家には執事だけで四人いて、ルシアンとラトリア様にもそれぞれ執事が付いていたから、何ら不思議じゃないけど。
アレクサンドリア家では執事は父にしか付いてなかったし、男性にしか付かないと思っていたからびっくりだ。
まぁ、ひとえに私の前世の記憶の所為だよね、うん。
私専属の執事は、セラといった。
水色の髪、ロイヤルパープルの瞳、パッと見、美しい女性に見える程の美形だ。
何故男に生まれたんだろう、勿体ない! と思う程の美人だ。
全てのオスは敵だと言い切ってた割に、執事を私に付けるんだな、と思っていたら、直ぐに理由は分かった。
「貴女がルシアン様最愛の妻のミチルちゃんなのねぇ、うふふ、可愛いわぁ!」
まさかの! オネェ属性!!
「あ、大丈夫よ、外に出ればちゃんとするから安心してね☆」
隣でロイエが半眼になっておられます。こんなロイエ初めて見ます。
「こんなですが、腕は確かです。こんなですが」
こんなですが、って二回も言ったな、ロイエ。
「相変わらずロイエってば失礼ねぇ。ミチルちゃん命のルシアン様のお眼鏡に叶う執事なんて、世界広しと言えどワタシだけよぉ?」
それはそうだろう。
っていうかルシアン、執事としての腕よりも、オネェ属性で選んだような気がしてならないよ?
「こんなですが、いないよりは役に立つと思いますから、好きなだけ使い倒して下さいね、ミチル」
ルシアンにまでこんな呼ばわりされてるセラ。
「ルシアン様まで酷いわねぇ」
満更でもなさそうなのは何故ですか。
セラが私のカップにほうじ茶ミルクティーを注いでくれた。
やっぱり、執事なので私の嗜好は把握済みなのだろうか?
「ありがとう、セラ」
セラは一瞬きょとんとした。ロイエが説明する。
「ミチル様は他の方と違い、私どもにもお声かけ下さる方なのです」
なるほど、とセラは頷いて、にっこり微笑む。
本当に男か?!
「それも転生者だからなのかしら?」
私は頷いて、そうですね、と答えた。
「あちらでは、誰かに親切にされたらお礼を言うのは当然でした。それが部下であろうと。違和感をお感じになるかも知れませんけれど、諦めて下さい」
うふふ、とセラは笑う。
「お礼を言われて嫌な気持ちになる人間はいないもの、ワタシも嬉しいわ」
色っぽいな、セラ!
私にはない色気があるよ!
女なのに、セラに負けてる! 負けてるよ!!
セラは私の執事ということで、当然の如く転生者であることを知っているようだ。
それはそうか。そうじゃないと私の話す前世の記憶に、戸惑うだろうしね。
「ミチル、何かありましたら早馬で手紙を送って下さい」
そう、明日からルシアンは皇都に行く。仕事で。
伯爵としての仕事以外にもアルト侯爵の補佐も始まっているようだ。
次期宰相になることは決まっているらしいし。
大変そうだなぁ。
「お身体にはお気を付け下さいね」
はい、と答えてルシアンは微笑む。
ルシアンがいないので、家に帰っても暇です。
そんな訳で研究室に来てみたところ、王子とモニカ、ジェラルドもいた。
テーブルの上には見取り図やら、何かの一覧が広げられている。
あ、これ……。
「ふふ、お気付きになられました?」
「私たちのお店に関するものですの。今は殿下とジェラルド様にも一緒に考えていただいておりました」
婚約が決まってモニカの何かが変わったかと言うと、変わりました。
殿下はモニカを溺愛してるし、モニカもすっかり甘え上手になってるしで、研究室内の室温が上がってる気がする。
以前の自分へのルシアン溺愛が思い出されて、違う意味で私は居た堪れない……。
ジェラルドの婚約者は学年が下なので、週末にしか会えないらしく、毎日手紙を書いてるらしい。
うわぁ、迷惑。
あぁ、でもそれぐらいのほうが淑女にとっては嬉しいのだろうか?
毎日ルシアンから手紙が来るのを想像する。
私、字があんまりキレイじゃないから、緊張しそう!
それに毎日なんて返事に何書けばいいのか分からないよ?!
夏休みの日記とか苦手でまとめて書いてたし。まったくもって日記の体をなしてなかった。
「お酒を飲むお店というのは一般的にあるようなのですが、お菓子だけを扱うお店というのはないので、色々と考えなくてはならないのです」
「こちらにはカフェはないのですね」
カフェ? と三人揃って首を傾げられた。
「あちらの世界では喫茶店とも言います。
紅茶やコーヒー、フレッシュジュース等や、軽食、お菓子を食べることが出来るのです。お酒は扱いませんから、淑女やお子様には安心して利用出来るお店ですわ」
「それは面白い営業形態だね。詳しく教えて欲しい」
カフェの話で散々盛り上がっていたら、セラが迎えに来た。もうそんな時間だったか。
「ミチル様、お迎えに上がりました」
モニカたちは目をぱちくりさせている。
「あ、ご紹介致します。私の執事のセラです」
セラは恭しく三人に向かってお辞儀をする。
「お初にお目にかかります。私、ミチル様の執事を任されましたセラ、と申します。お見知り置き下さいませ」
何故だか三人は固まったまま、若干引きつった笑みを浮かべたまま頷いている。
ルシアンが女の私に執事を付けた過保護さにドン引きしてるんだろうなぁ。私も引いたもの。
「あ、あぁ、よろしく頼む、セラ……」
セラはにっこり微笑んだ。
美しい!! 眩しい!!
「ミチル様、パティシエが新メニューを作りましたので、お帰りになられる前に、皆様とお味見がてら、少しお口に入れられては?」
「まぁ、ありがとう、セラ。いただきたいです」
なんて細かい気配り! さすが執事!
失礼致しますと断ってから、セラは手慣れた様子で準備をしていく。
三人はセラをガン見している。
……あぁ、分かった。
「セラは男性ですよ?」
「知ってる。そうじゃなくてだな……」と、歯切れの悪いジェラルド。
「し、新メニューとおっしゃってましたわね、楽しみですわ」
なんかモニカまでおかしい……。
「皆さま、なにかありました?」
「い、いや……」
お待たせしました、とセラがテーブルの上にお茶と新メニューのスイーツを並べる。
わぁ! 美味しそう!
会話が中断されて聞きたいことが聞けなかったけど、まぁ、いいや。
なんか、答えにくそうだったし。
「学業と、新規事業を同時並行でなさるのは、大変なのではありませんか?」
心配そうにセラが私を見る。
大変なのは私ではなく、他の方たちですけどね。
私は思い出して話してるだけだし。
「スキップなさったらいかがでしょうか?」
スキップ?
「えぇ、ルシアン様がそうなさったように、皆さまも二学年目の授業をスキップなされば、少しは楽になるのでは、と思ったのでございます。
大変さもありますが」
「それだ!」
突然ジェラルドが叫んで、みんなびくっとした。
「あ、すまない。
皆、スキップすれば、皇女と同じ学年にならずに済むぞ! カーネリアン先生にお願いすれば、魔道学は個別授業でなんとかなる筈だ」
おぉ、なるほど!
それは名案!
学園生活でルシアンに接近しようとする皇女と物理的に距離を取る! 大事です!
「セラ、とても良い案をありがとう。私、頑張ります」
帰宅した私は、ロイエに第二学年のスキップを目指すことを話した。
「かしこまりました。それでは不詳ロイエ、ミチル様の昇級のお手伝いをさせていただきます」
これがまた、補助なんていうレベルではなくて、超絶スパルタでした……。
夢にまで教わった内容が出てくる始末!
「私とルシアンでは頭の出来がそもそも違いますのよ?」
そう訴えてみても、「そのお言葉は、試験が終わってから承ります。今は、お勉強なさるのみにございます」と、一蹴されました……。
鬼だ!
鬼がいるよ!!
ルシアン不在をまったく感じる余裕もないまま、ひたすらロイエにしごかれた二週間でした……。
*****
「では、昇級可能になりましたら、お祝いに何かプレゼントしましょうか。」
皇都から戻り、ロイエから報告を受けたルシアンが言ったのは、またしてもプレゼントだった。
「不要です」
「あらっ、ミチルちゃんてば、くれるって言うんだからありがたくもらっておけばいいのよ☆」
セラがウィンクする。
こら、余計なこというなっ。
「私は特に欲しいものなどないのです。欲しいものが出来ましたらおねだり致します」
「そんなこと言って、自分で買うくせにー」
ぎくっ。
うふふと笑うセラが私の頰をつんつんする。
「そうだわ、髪飾りをおねだりしましょうよ」
髪飾り?
「そうよ。今、何も付けないでリボンで結んでいるだけでしょう?
もったいないわ、せっかくこんなにもキレイなアッシュブロンドなのに」
あんまりお金使ってもらいたくないし、何でもいいですとか言うと貴族らしいゴージャスなのにされちゃいそうだし……。
「では……小さなサファイアを沢山散りばめた髪飾りが欲しいです」
プラチナの鎖にブルー、グリーン、バイオレットのサファイアが均等に並ぶように通す。
それを結い上げた髪の上に、巻くように乗せたい。
絵に描きながら説明すると、セラにバシバシ肩を叩かれた。ルシアンが慌てて私を自分の膝の上にのせる。
過保護である。
「まぁまぁ、ミチルちゃんたら、センスいいのね! 素敵だわ!」
「では、早速作らせましょう」
「まだ昇級確定してませんから!」
止めて、ハードル上げないで!
ルシアンが帰って来たからお勉強はお休みかな、と思ったら、ルシアン先生による特別講義がハジマリマシタ。
実際作るのは料理長ではなく、パティシエらしい。
本職のパティシエが作るにはかなり物足りない内容だけど大丈夫かな……。って言うか、パティシエがいる事に驚いた。あれか? またしても、過去にいた転生者のしわざって奴かな?
不安になっていた私に、「豆腐の活用法に衝撃を受けているようです」と、ロイエが教えてくれた。
私は若干戸惑っている。
何故かと言うと、私に執事がついたからだ。
ルシアン曰く、ルシアン自身が忙しくなってきているのと、ルシアンの代わりに家のことをロイエが仕切っている為、私が何かやりたい時、思いついた時に困るだろうから、ということらしい。
本来であれば家のことを仕切るのは妻の私の役目なんだけど、やらなくていいと言われている。
まだ学生だからというのと、ルシアンの意向らしい。
まぁ、アルト侯爵家には執事だけで四人いて、ルシアンとラトリア様にもそれぞれ執事が付いていたから、何ら不思議じゃないけど。
アレクサンドリア家では執事は父にしか付いてなかったし、男性にしか付かないと思っていたからびっくりだ。
まぁ、ひとえに私の前世の記憶の所為だよね、うん。
私専属の執事は、セラといった。
水色の髪、ロイヤルパープルの瞳、パッと見、美しい女性に見える程の美形だ。
何故男に生まれたんだろう、勿体ない! と思う程の美人だ。
全てのオスは敵だと言い切ってた割に、執事を私に付けるんだな、と思っていたら、直ぐに理由は分かった。
「貴女がルシアン様最愛の妻のミチルちゃんなのねぇ、うふふ、可愛いわぁ!」
まさかの! オネェ属性!!
「あ、大丈夫よ、外に出ればちゃんとするから安心してね☆」
隣でロイエが半眼になっておられます。こんなロイエ初めて見ます。
「こんなですが、腕は確かです。こんなですが」
こんなですが、って二回も言ったな、ロイエ。
「相変わらずロイエってば失礼ねぇ。ミチルちゃん命のルシアン様のお眼鏡に叶う執事なんて、世界広しと言えどワタシだけよぉ?」
それはそうだろう。
っていうかルシアン、執事としての腕よりも、オネェ属性で選んだような気がしてならないよ?
「こんなですが、いないよりは役に立つと思いますから、好きなだけ使い倒して下さいね、ミチル」
ルシアンにまでこんな呼ばわりされてるセラ。
「ルシアン様まで酷いわねぇ」
満更でもなさそうなのは何故ですか。
セラが私のカップにほうじ茶ミルクティーを注いでくれた。
やっぱり、執事なので私の嗜好は把握済みなのだろうか?
「ありがとう、セラ」
セラは一瞬きょとんとした。ロイエが説明する。
「ミチル様は他の方と違い、私どもにもお声かけ下さる方なのです」
なるほど、とセラは頷いて、にっこり微笑む。
本当に男か?!
「それも転生者だからなのかしら?」
私は頷いて、そうですね、と答えた。
「あちらでは、誰かに親切にされたらお礼を言うのは当然でした。それが部下であろうと。違和感をお感じになるかも知れませんけれど、諦めて下さい」
うふふ、とセラは笑う。
「お礼を言われて嫌な気持ちになる人間はいないもの、ワタシも嬉しいわ」
色っぽいな、セラ!
私にはない色気があるよ!
女なのに、セラに負けてる! 負けてるよ!!
セラは私の執事ということで、当然の如く転生者であることを知っているようだ。
それはそうか。そうじゃないと私の話す前世の記憶に、戸惑うだろうしね。
「ミチル、何かありましたら早馬で手紙を送って下さい」
そう、明日からルシアンは皇都に行く。仕事で。
伯爵としての仕事以外にもアルト侯爵の補佐も始まっているようだ。
次期宰相になることは決まっているらしいし。
大変そうだなぁ。
「お身体にはお気を付け下さいね」
はい、と答えてルシアンは微笑む。
ルシアンがいないので、家に帰っても暇です。
そんな訳で研究室に来てみたところ、王子とモニカ、ジェラルドもいた。
テーブルの上には見取り図やら、何かの一覧が広げられている。
あ、これ……。
「ふふ、お気付きになられました?」
「私たちのお店に関するものですの。今は殿下とジェラルド様にも一緒に考えていただいておりました」
婚約が決まってモニカの何かが変わったかと言うと、変わりました。
殿下はモニカを溺愛してるし、モニカもすっかり甘え上手になってるしで、研究室内の室温が上がってる気がする。
以前の自分へのルシアン溺愛が思い出されて、違う意味で私は居た堪れない……。
ジェラルドの婚約者は学年が下なので、週末にしか会えないらしく、毎日手紙を書いてるらしい。
うわぁ、迷惑。
あぁ、でもそれぐらいのほうが淑女にとっては嬉しいのだろうか?
毎日ルシアンから手紙が来るのを想像する。
私、字があんまりキレイじゃないから、緊張しそう!
それに毎日なんて返事に何書けばいいのか分からないよ?!
夏休みの日記とか苦手でまとめて書いてたし。まったくもって日記の体をなしてなかった。
「お酒を飲むお店というのは一般的にあるようなのですが、お菓子だけを扱うお店というのはないので、色々と考えなくてはならないのです」
「こちらにはカフェはないのですね」
カフェ? と三人揃って首を傾げられた。
「あちらの世界では喫茶店とも言います。
紅茶やコーヒー、フレッシュジュース等や、軽食、お菓子を食べることが出来るのです。お酒は扱いませんから、淑女やお子様には安心して利用出来るお店ですわ」
「それは面白い営業形態だね。詳しく教えて欲しい」
カフェの話で散々盛り上がっていたら、セラが迎えに来た。もうそんな時間だったか。
「ミチル様、お迎えに上がりました」
モニカたちは目をぱちくりさせている。
「あ、ご紹介致します。私の執事のセラです」
セラは恭しく三人に向かってお辞儀をする。
「お初にお目にかかります。私、ミチル様の執事を任されましたセラ、と申します。お見知り置き下さいませ」
何故だか三人は固まったまま、若干引きつった笑みを浮かべたまま頷いている。
ルシアンが女の私に執事を付けた過保護さにドン引きしてるんだろうなぁ。私も引いたもの。
「あ、あぁ、よろしく頼む、セラ……」
セラはにっこり微笑んだ。
美しい!! 眩しい!!
「ミチル様、パティシエが新メニューを作りましたので、お帰りになられる前に、皆様とお味見がてら、少しお口に入れられては?」
「まぁ、ありがとう、セラ。いただきたいです」
なんて細かい気配り! さすが執事!
失礼致しますと断ってから、セラは手慣れた様子で準備をしていく。
三人はセラをガン見している。
……あぁ、分かった。
「セラは男性ですよ?」
「知ってる。そうじゃなくてだな……」と、歯切れの悪いジェラルド。
「し、新メニューとおっしゃってましたわね、楽しみですわ」
なんかモニカまでおかしい……。
「皆さま、なにかありました?」
「い、いや……」
お待たせしました、とセラがテーブルの上にお茶と新メニューのスイーツを並べる。
わぁ! 美味しそう!
会話が中断されて聞きたいことが聞けなかったけど、まぁ、いいや。
なんか、答えにくそうだったし。
「学業と、新規事業を同時並行でなさるのは、大変なのではありませんか?」
心配そうにセラが私を見る。
大変なのは私ではなく、他の方たちですけどね。
私は思い出して話してるだけだし。
「スキップなさったらいかがでしょうか?」
スキップ?
「えぇ、ルシアン様がそうなさったように、皆さまも二学年目の授業をスキップなされば、少しは楽になるのでは、と思ったのでございます。
大変さもありますが」
「それだ!」
突然ジェラルドが叫んで、みんなびくっとした。
「あ、すまない。
皆、スキップすれば、皇女と同じ学年にならずに済むぞ! カーネリアン先生にお願いすれば、魔道学は個別授業でなんとかなる筈だ」
おぉ、なるほど!
それは名案!
学園生活でルシアンに接近しようとする皇女と物理的に距離を取る! 大事です!
「セラ、とても良い案をありがとう。私、頑張ります」
帰宅した私は、ロイエに第二学年のスキップを目指すことを話した。
「かしこまりました。それでは不詳ロイエ、ミチル様の昇級のお手伝いをさせていただきます」
これがまた、補助なんていうレベルではなくて、超絶スパルタでした……。
夢にまで教わった内容が出てくる始末!
「私とルシアンでは頭の出来がそもそも違いますのよ?」
そう訴えてみても、「そのお言葉は、試験が終わってから承ります。今は、お勉強なさるのみにございます」と、一蹴されました……。
鬼だ!
鬼がいるよ!!
ルシアン不在をまったく感じる余裕もないまま、ひたすらロイエにしごかれた二週間でした……。
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「では、昇級可能になりましたら、お祝いに何かプレゼントしましょうか。」
皇都から戻り、ロイエから報告を受けたルシアンが言ったのは、またしてもプレゼントだった。
「不要です」
「あらっ、ミチルちゃんてば、くれるって言うんだからありがたくもらっておけばいいのよ☆」
セラがウィンクする。
こら、余計なこというなっ。
「私は特に欲しいものなどないのです。欲しいものが出来ましたらおねだり致します」
「そんなこと言って、自分で買うくせにー」
ぎくっ。
うふふと笑うセラが私の頰をつんつんする。
「そうだわ、髪飾りをおねだりしましょうよ」
髪飾り?
「そうよ。今、何も付けないでリボンで結んでいるだけでしょう?
もったいないわ、せっかくこんなにもキレイなアッシュブロンドなのに」
あんまりお金使ってもらいたくないし、何でもいいですとか言うと貴族らしいゴージャスなのにされちゃいそうだし……。
「では……小さなサファイアを沢山散りばめた髪飾りが欲しいです」
プラチナの鎖にブルー、グリーン、バイオレットのサファイアが均等に並ぶように通す。
それを結い上げた髪の上に、巻くように乗せたい。
絵に描きながら説明すると、セラにバシバシ肩を叩かれた。ルシアンが慌てて私を自分の膝の上にのせる。
過保護である。
「まぁまぁ、ミチルちゃんたら、センスいいのね! 素敵だわ!」
「では、早速作らせましょう」
「まだ昇級確定してませんから!」
止めて、ハードル上げないで!
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