前代未聞のダンジョンメーカー

黛 ちまた

文字の大きさ
7 / 271
第一章 新しい生活の始まり

002-4

しおりを挟む
 クリフさんとノエルさんに挟まれ、鞄の上にコッコを乗せ、森の道なき道を進んでいると、突然目の前の世界が開けた。

 平野の真ん中に、城壁に囲まれた大きな街!
 村にある、木の囲みなんかの比ではない、二階建てのお家よりも高さがあるんじゃないだろうか?!
 全然、街の中が見えない!

 行列が見える。
 王都に入る為の検問所だと思う。
 初めて王都に入る僕は、最後尾に並んで検問を受けねば。

 そう思って行列の最後尾方面に向かおうとした所、クリフさんが言った。

「アシュリー? 何処に行くんだ?」

「えっ? 列の最後尾に……」

 ノエルさんが笑って言った。

「アシュリーには必要ないよ。僕達がいるもの」

「えっ? でも、あの?」

 有無を言わさずクリフさんが僕を抱き上げると肩に乗せ、ずんずん検問所に向かう。

 えぇ?!
 そんな、皆並んでるのに、いいのかな?!

 検問所に立つ兵士の人が、クリフさんとノエルさんを見て、敬礼をした。

「お疲れ様です! ご無事のご帰還何よりです!」

 さすが騎士団の副団長達! 有名なんだ!

 兵士の人はちらりと僕を見た。

「訳あって保護した。身元は保証する」

「分かりました。お二人がそうおっしゃるのであれば、お通りいただいて結構です」

 まさかの! 顔パス?!

 クリフさんはそのまま僕を下ろしてくれない。街の人達がジロジロ見てくるから恥ずかしい!

「クリフさん、下ろして下さいっ! 僕、自分で歩けますからっ! 重いでしょうし!」

「全然重くない。っていうか軽すぎる。アシュリーは痩せすぎじゃないか?」

「街中は色んな人がいるからね。保護の為にも、このままでいさせてくれると嬉しいな」

 そう言われてしまっては、これ以上我儘は言えない。
 二人のお陰で検問を通らずに入れたのだもの。

 街の中央の広場を抜けると、巨大な建造物が見えた。
 お城だ……!

 クリフさんの肩にのったまま、お城の門の前まで辿り着くと、ようやく下ろしてもらえた。

 胸に手を当てたクリフさんは両足を揃えた。
 城門の前の兵士さん達も、同じように足を揃え、胸に手を当てる。

「任務完了につき、クリフォード・フォン・ジャーメイン、帰還した」

「ご無事のご帰還、お待ち申し上げておりました」

「副団長、あの、この子供は?」

「アシュリーという。途中の村で保護した。
第一級危険スキル持ちの子供だ」

 兵士さん達の顔色が悪くなる。

 第一級危険スキル?
 ダンジョンメーカーの事?
 でも僕、魔力がないよ?
 あぁ、でもノエルさんが、悪い奴が僕の力を悪用するかも知れないって言ってた。

 兵士さん達は恐々した顔で僕を見ると、城門を開けてくれた。

 中を少し進んだ所で、クリフさんが足を止めた。

「ノエル、師長に至急取り次いでくれ」

 ノエルさんは僕の頭を撫でると、また後でね、と言って去って行った。

「さ、アシュリー、厨房に案内しよう」

「はい!」
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

あの子を甘やかして幸せにスローライフする為の、はずれスキル7回の使い方

tea
ファンタジー
はずれスキル持ちなので、十八になったら田舎でスローライフしようと都落ちの日を心待ちにしていた。 しかし、何故かギルマスのゴリ押しで問答無用とばかりに女勇者のパーティーに組み込まれてしまった。 追放(解放)してもらうため、はずれスキルの無駄遣いをしながら過去に心の傷を負っていた女勇者を無責任に甘やかしていたら、女勇者から慕われ懐かれ、かえって放してもらえなくなってしまったのだが? どうなる俺の田舎でのスローライフ???

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

【完結】魔術師なのはヒミツで薬師になりました

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 ティモシーは、魔術師の少年だった。人には知られてはいけないヒミツを隠し、薬師(くすし)の国と名高いエクランド国で薬師になる試験を受けるも、それは年に一度の王宮専属薬師になる試験だった。本当は普通の試験でよかったのだが、見事に合格を果たす。見た目が美少女のティモシーは、トラブルに合うもまだ平穏な方だった。魔術師の組織の影がちらつき、彼は次第に大きな運命に飲み込まれていく……。

異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!

ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!? 夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。 しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。 うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。 次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。 そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。 遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。 別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。 Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって! すごいよね。 ――――――――― 以前公開していた小説のセルフリメイクです。 アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。 基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。 1話2000~3000文字で毎日更新してます。

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。 彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。 最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。 一種の童話感覚で物語は語られます。 童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

処理中です...