前代未聞のダンジョンメーカー

黛 ちまた

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第一章 新しい生活の始まり

005-2

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 クリームスープと簡単パンはみんなに好評だった。
 パンが焼きたてを直に出せたのがまた良かったみたい。あと、パンがカチカチじゃないから、それも良かったみたい。

 簡単パンは塩と水と粉を混ぜてこねて、生地に水分がしみこむまでちょっと置いておいて(放っておけばおくほど、生地が落ち着いて美味しくなるので、少し多めに作っても平気)、それを適当な大きさに千切って綿棒で丸く伸ばしたのを、フライパンで焼けば出来上がり。油も引かなくていいし、直に焼けるから、忙しい時でも作れる。村での主食だった。

「なるほどねぇ。猫とスライムかぁ」

 ノエルさんがスープを食べながら言った。
 今日はクリフさんも一緒に来て、スープを食べてる。

「オレとノエルが身元引受人になってるからな、オレ達のどちらかが一緒なら城壁の外に出ても大丈夫だ。
今度の休みに行くか」

「ありがとうございます、クリフさん!」

「スライムは良いとして、猫って結構難しくない?」とノエルさん。

「そうなんですか?」

「だってすばしっこいでしょ。アシュリーが捕まえるのは結構大変そう」

 ……あ、そういう……。
 確かにそうかも。
 警戒心も強いだろうし、猫は難しいかな。

「テイムしたもの同士とは言え、コッコと一緒にいて大丈夫なのか?」

 クリフさんの言葉に、ラズロさんがあ!と声を上げる。

「僕も、そこは心配です」

「テイムした魔物同士が争う事はないよ、大丈夫」と、ノエルさんが苦笑しながら言った。

 それにしても。

「ノエルさんは本当に物知りですね」

 僕の疑問に何でも答えてくれる!

 にこにこしながら僕がそう言うと、ノエルさんが無表情になった。

「……なんか僕、魔法使いになって初めて良かったって思った……」

 ノエルさんがぽつりと呟くと、ラズロさんがすかさずアホか、とツッコミを入れた。

「だってホラ、みんな出来て当たり前って感じで褒めてくれない。アシュリーは褒めてくれる。午後も頑張れそう」

「神童と呼ばれた男が褒められたいとか、臍で茶を沸かすわ」

「僕だって人の子ですけど?」

 クリフさんは立ち上がると僕の頭をわしわし撫でて笑顔になった。

「アシュリー、美味かった。また明日も食べに来る」

 ではな、と言ってクリフさんは食堂を出て行った。

 ノエルさんもスープを食べ終えると、ふぅ、と息を吐いた。

「あぁ、美味しかった。ご馳走さま。
心もお腹も満たされたので、頑張ってくるねー」

 僕達にひらひらと手を振ると、ノエルさんも食堂を出て行った。

「ノエルさん、神童って呼ばれてたんですか?」

 ラズロさんに聞くと、またコーヒーを飲み始めた。

「まぁな。普通あの若さで魔法師団の副団長とかありえねぇからな」

「クリフさんも若いですよね?」

「あの二人は歴代の中でもずば抜けてイカレてんだよ」

 イカレてるって……。
 それだけ凄い人達なんだ……。

「アシュリーと会った時だってな、あり得ないぐらい難しいミッションだったって聞くぜ?」

 へぇーっ。

「オレには小難しい事は分かんねぇけどよ、あの二人は破格なんだよ、色んな意味でな」

 そんな二人に出会えた僕は、幸運だったんだろうなぁ。
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