115 / 271
第二章 マレビト
028-5
しおりを挟む
『それが何かは教えられん。魔女の言葉には力があるからな』
ノエルさんが頷いた。
『結論から言えば、クロウリーのダンジョンを破ったのは、魔女だろう』
その場の空気が凍ったのが分かる。みんな動けなくなった。僕も、どうしていいのか分からない。
『私でない事は確かだ。ヴィヴィアンナでも、アマーリアーナでも無い事は確認済みだ。嘘を吐いたらヒキガエルになる誓約をかけたが、そうはならなかったからな、間違いない』
そうなると、焦熱の魔女ダリア様か、氷花の魔女キルヒシュタフ様……?
『どちらもあり得ると言えるし、あり得ないとも言える』
「ナインは何か、その事で記憶はある?」
ノエルさんの質問に、ナインさんに注目が集まる。
「誰かに狙われてた。それは覚えてる。でも、誰か分からない。後ろから、刺された」
『犯人探しは後にしろ。早く女王蜂に巣を作らせる必要がある』
みんながハッとする。
そうだった。ダンジョン蜂をテイムしないとだった。
「アシュリー、ダンジョンに制約、かける。思うだけで良い」
ナインさんに言われて、僕は目をつぶった。
このダンジョンから、ダンジョン蜂は出られない、と強く念じる。
「思った?」と、首を傾げながらナインさんが聞いてきたので、頷いた。
「はい、念じました」
「じゃあ大丈夫」
「パシュパフィッツェ様、女王蜂はどんな状態で捕獲されているんでしょうか?」
『思考を残したまま麻痺させている。本気で怒っていると思うぞ』
ククク、と楽しそうに笑うマグロに反して、僕たちの顔色は悪くなった。
「パフィ、それはテイムに失敗すると思う。僕は魔力が少ない上に、このダンジョンを作る為に魔力はほとんど残ってないもの」
『だから何だ。魔力を復元させる物ならあるだろう。こう言う時こそ使え』
ポーションの事?
でも僕、用意してない。
ノエルさんが、そう言う事か……と呟いた。
「あまり、身体に良いものではないんですが……」
そう言いつつ、ノエルさんが取り出したのは、瓶だった。
「アシュリー、美味しくないけど、魔力は直ぐに回復するから、飲んで」
美味しくないんだ……。
嫌とは言えない雰囲気の中、ノエルさんから渡された瓶を受け取り、コルクの蓋を外す。
……うん、なんだか青臭さに満ち満ちた臭いがします。
ちらりとマグロを見る。
しっぽを振って楽しそうだ。
……あ、これ、わざとだ。
多分だけど僕が村を出る時にパフィに確認しなかったから、その仕返しだ。
「パフィ……ごめんなさい……」
『ようやく認めたか』
ナインさんの腕から飛び降りたマグロは、僕の前まで来た。
『口を開けろ』
言われるままに口を開ける。
何かが口の中に入ってきた。
甘い……?
『女王蜜だ』
「?!」
今の、僕にじゃなくて、第一王子にあげるべきだったんじゃ……?!
『第一王子にくれてやっても良いが、効き目はあまりないからな、おまえにくれてやった』
ほら、早くポーションを飲め、と言われ、口の中に甘さが残ってる間に口に入れた。
「?!」
最後までなんとか飲み切った……けど……不味い!
「パフィ、不味いよ?!」
『苦味はあるまいよ』
そうだった、パフィはこう言う人だった……。
ノエルさんが頷いた。
『結論から言えば、クロウリーのダンジョンを破ったのは、魔女だろう』
その場の空気が凍ったのが分かる。みんな動けなくなった。僕も、どうしていいのか分からない。
『私でない事は確かだ。ヴィヴィアンナでも、アマーリアーナでも無い事は確認済みだ。嘘を吐いたらヒキガエルになる誓約をかけたが、そうはならなかったからな、間違いない』
そうなると、焦熱の魔女ダリア様か、氷花の魔女キルヒシュタフ様……?
『どちらもあり得ると言えるし、あり得ないとも言える』
「ナインは何か、その事で記憶はある?」
ノエルさんの質問に、ナインさんに注目が集まる。
「誰かに狙われてた。それは覚えてる。でも、誰か分からない。後ろから、刺された」
『犯人探しは後にしろ。早く女王蜂に巣を作らせる必要がある』
みんながハッとする。
そうだった。ダンジョン蜂をテイムしないとだった。
「アシュリー、ダンジョンに制約、かける。思うだけで良い」
ナインさんに言われて、僕は目をつぶった。
このダンジョンから、ダンジョン蜂は出られない、と強く念じる。
「思った?」と、首を傾げながらナインさんが聞いてきたので、頷いた。
「はい、念じました」
「じゃあ大丈夫」
「パシュパフィッツェ様、女王蜂はどんな状態で捕獲されているんでしょうか?」
『思考を残したまま麻痺させている。本気で怒っていると思うぞ』
ククク、と楽しそうに笑うマグロに反して、僕たちの顔色は悪くなった。
「パフィ、それはテイムに失敗すると思う。僕は魔力が少ない上に、このダンジョンを作る為に魔力はほとんど残ってないもの」
『だから何だ。魔力を復元させる物ならあるだろう。こう言う時こそ使え』
ポーションの事?
でも僕、用意してない。
ノエルさんが、そう言う事か……と呟いた。
「あまり、身体に良いものではないんですが……」
そう言いつつ、ノエルさんが取り出したのは、瓶だった。
「アシュリー、美味しくないけど、魔力は直ぐに回復するから、飲んで」
美味しくないんだ……。
嫌とは言えない雰囲気の中、ノエルさんから渡された瓶を受け取り、コルクの蓋を外す。
……うん、なんだか青臭さに満ち満ちた臭いがします。
ちらりとマグロを見る。
しっぽを振って楽しそうだ。
……あ、これ、わざとだ。
多分だけど僕が村を出る時にパフィに確認しなかったから、その仕返しだ。
「パフィ……ごめんなさい……」
『ようやく認めたか』
ナインさんの腕から飛び降りたマグロは、僕の前まで来た。
『口を開けろ』
言われるままに口を開ける。
何かが口の中に入ってきた。
甘い……?
『女王蜜だ』
「?!」
今の、僕にじゃなくて、第一王子にあげるべきだったんじゃ……?!
『第一王子にくれてやっても良いが、効き目はあまりないからな、おまえにくれてやった』
ほら、早くポーションを飲め、と言われ、口の中に甘さが残ってる間に口に入れた。
「?!」
最後までなんとか飲み切った……けど……不味い!
「パフィ、不味いよ?!」
『苦味はあるまいよ』
そうだった、パフィはこう言う人だった……。
16
あなたにおすすめの小説
あの子を甘やかして幸せにスローライフする為の、はずれスキル7回の使い方
tea
ファンタジー
はずれスキル持ちなので、十八になったら田舎でスローライフしようと都落ちの日を心待ちにしていた。
しかし、何故かギルマスのゴリ押しで問答無用とばかりに女勇者のパーティーに組み込まれてしまった。
追放(解放)してもらうため、はずれスキルの無駄遣いをしながら過去に心の傷を負っていた女勇者を無責任に甘やかしていたら、女勇者から慕われ懐かれ、かえって放してもらえなくなってしまったのだが?
どうなる俺の田舎でのスローライフ???
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
【完結】魔術師なのはヒミツで薬師になりました
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
ティモシーは、魔術師の少年だった。人には知られてはいけないヒミツを隠し、薬師(くすし)の国と名高いエクランド国で薬師になる試験を受けるも、それは年に一度の王宮専属薬師になる試験だった。本当は普通の試験でよかったのだが、見事に合格を果たす。見た目が美少女のティモシーは、トラブルに合うもまだ平穏な方だった。魔術師の組織の影がちらつき、彼は次第に大きな運命に飲み込まれていく……。
異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!
ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!?
夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。
しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。
うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。
次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。
そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。
遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。
別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。
Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって!
すごいよね。
―――――――――
以前公開していた小説のセルフリメイクです。
アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。
基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。
1話2000~3000文字で毎日更新してます。
明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです
異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる