前代未聞のダンジョンメーカー

黛 ちまた

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第三章 ダンジョンメーカーのお仕事

037-5

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 今日は浅瀬を作るところまでで終わり。浅瀬は出来たんだけど、みんな、何も言わずに繋がったばかりの海を見ていた。
 作り物だけれど、空は青くて、浅瀬に打ち寄せる波は青くて透き通ってた。キレイだった。
 岩だけだったのに、少しずつ砂も波に運ばれてきて、小魚が波にのってやってきた。

「小魚だ。パフィ、あれは食べちゃ駄目だよ」

 稚魚は釣っちゃ駄目って村で教わった。

 頰に猫ぱんちされる。

『それぐらい知ってる』

「今、マグロと同調してるから、小魚に襲いかかりたくなるのかなと思って」

 僕がパフィと話をしている間に、ティール様が職員さんへの説明が終わったみたいで、ダンジョンを後にした。

「問題ないとは思うんですが、第二層の沖合は一週間後になります」

「分かりました」

 ギルドを出て広場に戻ると、いくつもの屋台が並んでいた。

『肉が食べたい』

 本当に肉が好きだなぁ……。
 パフィに野菜を食べさせるのに苦労して、色んな料理を覚えたんだよね……。

「僕も食べたい」とノエルさん。

「肉、良いな。ここの肉は焼き加減が絶妙なんだよな」とラズロさんまで。

 聞いていたら僕も食べたくなってしまった。
 みんなで屋台に並んで、焼きたての肉にかぶりつく。
 隣に座るナインさんは目をきらきらさせながら肉を食べていく。
 僕の視線に気付いて、首を傾げる。

「アシュリー、食べない?」

「食べますよ。美味しそうに食べるなーって思って見てたんです」

 ナインさんは頷く。

「美味しい。肉、柔らかい。しあわせ」

 そう言って嬉しそうに笑うナインさんに、僕も嬉しくなって、「美味しいものを食べると幸せですよね」と答えて肉を頬張った。

 それからもパフィがあれが食べたい、これが食べたいと言うものだから、すぐに僕はおなかがいっぱいになってしまって、フルールに食べてもらった。
 フルールが串を食べているのを見たのか、屋台のおじさんに食べてもらえないかと言われたので、ありがたくもらった。串も捨てるとなったらお金がかかるんだろうし、フルールはいくらでも食べられそうだし。

「廃棄の税がかかるのが、悩みどころだよなぁ」

 ラズロさんが言う。

「かと言って、フルールはアシュリーから離れないよ」

「廃棄物を城に持ってきてもらうのも現実的じゃありませんしねぇ……」

「僕と同じテイマーの人がスライムをテイムして、食べてもらうのはどうでしょう?」

 名案だと思ったのに、うーん、とノエルさんに首を捻られてしまった。

「あのねアシュリー、フルールはとても分解吸収速度が早いけど、他のスライムはこんなに早くないんだよ。
だから大量のスライムが必要になってしまう」

「そうなんですね」

 トキア様もフルールの速度は早いって言ってた。

「フルールならいくらでも食べられますけど、フルールだけを外には出せませんし、さっきの海みたいに、裏庭と繋いで、運ばれてきたものをフルールが食べるとか出来れば良いんですけどね」

「それですよ!」と、突然ティール様が叫ぶ。

 皆が驚いた顔でティール様を見る。

「廃棄物処理場と裏庭をつなげて、フルールが分解吸収すれば良いんです。その際には廃棄物を燃やす為の燃料なども不要なんですから、無料で回収が可能になります。
そうすれば誰にも負担がかかる事なく減税が可能です」

 おぉ、とラズロさんが感心する。

「ただの研究馬鹿かと思ってたぞ、ティール」

 幼馴染だからか、言いたい放題です。

「悪くないかも知れないね」

 ノエルさんが頷く。

「廃棄の為の税を払うのを惜しむ者が最近現れていて、不法に投棄されたゴミが散見されてるんだよ。その為に夜間の見回りをしてるぐらいなんだ」

「人を雇用してまでやる事ではないと城の兵士が巡回を担当しているが、勤務時間が長時間化している。
もしその案が通れば、店を営むものにとっても、城の兵士にとっても利点が大きい」

 クリフさんがフルールを撫でる。

「実に建設的です。戻り次第殿下に奏上します」

 フルールがおなかいっぱい食べられるようになるのは良いことだと思う。いつ見てもフルールはおなかが空いているみたいだから。

「フルール、ごはん沢山食べられるようになるって」

 僕の言葉に、フルールは鼻をひくひくさせた。
 心なし、嬉しそうに見える。
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