前代未聞のダンジョンメーカー

黛 ちまた

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第三章 ダンジョンメーカーのお仕事

040-2

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 薬草ダンジョンが完成するまで、レンレン様は僕を勧誘し続けて、その度にパフィに追いかけ回されていた。
 不思議なのは、そこまでの熱意があるのに食堂には来ない事。
 その事をラズロさんに話すと、ラズロさんがうんざりした顔をする。

「主食がな、野草なんだ、アイツは」

 え? 主食が野草?
 驚いて言葉も出ない僕を見てラズロさんはため息を吐いた。

「真性の病気だな」

 野草だけで大丈夫なのかな。肉とか食べたくならないのかな? 麺とか美味しいのに。
 少し心配にはなるけど、近づけば大変なことになるのでやめておく。
 ……美味しいのかな?

「薬草ダンジョンが終わったから、本格的に裏庭だな!」

 裏庭のダンジョンで香辛料を育てたり、海を作ることにラズロさんは喜んでる。魚介好きだからね。
 ただ、僕としてはあんまり裏庭のダンジョンに色々詰め込みたくなかったりする。
 その季節に採れる果物や花が、いつでも採れるようになったら、嬉しさが減ってしまいそうで。
 早く春にならないかな、早く秋にならないかな、と思いながら準備をするのが僕は好きだ。
 香辛料も本当ならそうなんだけど、あるのとないのとではあまりにも料理の美味しさが変わるので、我慢出来なくてごめんなさい。
 海は僕としてはどちらでも良いんだけど、パフィが絶対だと言って聞かないので、作る。

「それにしても、裏庭にギルドに薬草にと、アシュリーさんのダンジョンメーカーのスキル、大活躍だな」

「はい、役に立ててるなら嬉しいです」

 どう使うのかも分からなかったスキルだし、クロウリーさんのこともあって悪いスキルだと思われていたこのスキルが、そうではないと分かったら、僕をこの王都に縛り付ける契約が解除出来るとノエルさんは言っていた。
 ティール様からトキア様とノエルさんに報告がいってるんだって。
 僕はそれほど不自由じゃないけど、村に遊びに行けたらなぁ、とは思う。
 やっぱり父さんと母さん、兄さんには会いたいし、村のみんなとも会いたいから。
 それに、パフィがまた村に戻ったら会いに行きたい。きまぐれだからいつまでここにいるのかも分からないし、村からだって飽きた、と言っていなくなってしまうかも知れない。

「こんにちは、アシュリー、ラズロ」

 ノエルさんがやって来た。休憩かな?
 カウンターに腰掛けたノエルさんはホットミルクに蜂蜜多めでお願い、と言った。
 珍しくコーヒーじゃないんだ。

 近頃は食堂でも蜂蜜を使わせてもらっている。
 普段はギルドで買い取ってもらうんだけど、あまり定期的に下ろすと価値が下がる、とパフィが言うので、料理や飲み物に入れさせてもらってる。ちょっとだけ。

 温めたミルクに蜂蜜をかきまぜてノエルさんに渡すと、ミルクを飲んでほっと息を吐いた。

「昨日は徹夜だったから、これを飲んで実家に帰る。明日は休暇だから、ちょっとあっちの様子も見ながら休んでくるよ」

 それ、休めるのかな?

 ノエルさんは器に入ったままのスプーンで、ぐるぐるとミルクをかき回す。

「それにしてもこのダンジョン蜜、凄いね。さっきまでかなり減っていた魔力が凄い勢いで回復していくのが分かる」

 だから北の国はダンジョン蜜を欲しがってるんだものね。

「ダンジョン蜂の巣を手に入れようと考えたりするんでしょうか?」

 かなり高価なものだし、北の国の人達なら、自分達で手に入れようとするんじゃないかな。

「ダンジョン蜂をテイムするのは難しいんだよ。斥候などの働き蜂をテイムしても意味がないからね。
女王蜂をテイムして、巣ごとものにしなければ蜂蜜は手に入らない。まずこの時点で難しい。凶暴だし毒性も強いからね。
無事にテイム出来てもダンジョン蜂は大量の花や樹皮を必要とする。それを季節問わずに用意する必要がある。
人を襲うだろうし、隔離するしかない」

 ダンジョンで生きるからダンジョン蜂なんだものね。
 パフィがジャッロを捕まえてきてくれたからこうしてテイム出来たけど、そうでなければ絶対に無理だよね。

「いずれその方法をあっちが見つけるにしても、まだ時間はかかるだろうし、貴重な物である事は変わらないよ。
本来、金儲けの為にダンジョン蜂をテイムしてもらった訳でもないから、国庫の事は気にしないで良いよ」

「はい、ノエルさん」

 リンさんから、すっからかんだった国庫に、少しずつお金が溜まってきてるとは聞いている。
 たくさん儲けられなくても、殿下やみんなが心配しないで済むぐらい貯まると良いなぁ。
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