164 / 271
第三章 ダンジョンメーカーのお仕事
040-2
しおりを挟む
薬草ダンジョンが完成するまで、レンレン様は僕を勧誘し続けて、その度にパフィに追いかけ回されていた。
不思議なのは、そこまでの熱意があるのに食堂には来ない事。
その事をラズロさんに話すと、ラズロさんがうんざりした顔をする。
「主食がな、野草なんだ、アイツは」
え? 主食が野草?
驚いて言葉も出ない僕を見てラズロさんはため息を吐いた。
「真性の病気だな」
野草だけで大丈夫なのかな。肉とか食べたくならないのかな? 麺とか美味しいのに。
少し心配にはなるけど、近づけば大変なことになるのでやめておく。
……美味しいのかな?
「薬草ダンジョンが終わったから、本格的に裏庭だな!」
裏庭のダンジョンで香辛料を育てたり、海を作ることにラズロさんは喜んでる。魚介好きだからね。
ただ、僕としてはあんまり裏庭のダンジョンに色々詰め込みたくなかったりする。
その季節に採れる果物や花が、いつでも採れるようになったら、嬉しさが減ってしまいそうで。
早く春にならないかな、早く秋にならないかな、と思いながら準備をするのが僕は好きだ。
香辛料も本当ならそうなんだけど、あるのとないのとではあまりにも料理の美味しさが変わるので、我慢出来なくてごめんなさい。
海は僕としてはどちらでも良いんだけど、パフィが絶対だと言って聞かないので、作る。
「それにしても、裏庭にギルドに薬草にと、アシュリーさんのダンジョンメーカーのスキル、大活躍だな」
「はい、役に立ててるなら嬉しいです」
どう使うのかも分からなかったスキルだし、クロウリーさんのこともあって悪いスキルだと思われていたこのスキルが、そうではないと分かったら、僕をこの王都に縛り付ける契約が解除出来るとノエルさんは言っていた。
ティール様からトキア様とノエルさんに報告がいってるんだって。
僕はそれほど不自由じゃないけど、村に遊びに行けたらなぁ、とは思う。
やっぱり父さんと母さん、兄さんには会いたいし、村のみんなとも会いたいから。
それに、パフィがまた村に戻ったら会いに行きたい。きまぐれだからいつまでここにいるのかも分からないし、村からだって飽きた、と言っていなくなってしまうかも知れない。
「こんにちは、アシュリー、ラズロ」
ノエルさんがやって来た。休憩かな?
カウンターに腰掛けたノエルさんはホットミルクに蜂蜜多めでお願い、と言った。
珍しくコーヒーじゃないんだ。
近頃は食堂でも蜂蜜を使わせてもらっている。
普段はギルドで買い取ってもらうんだけど、あまり定期的に下ろすと価値が下がる、とパフィが言うので、料理や飲み物に入れさせてもらってる。ちょっとだけ。
温めたミルクに蜂蜜をかきまぜてノエルさんに渡すと、ミルクを飲んでほっと息を吐いた。
「昨日は徹夜だったから、これを飲んで実家に帰る。明日は休暇だから、ちょっとあっちの様子も見ながら休んでくるよ」
それ、休めるのかな?
ノエルさんは器に入ったままのスプーンで、ぐるぐるとミルクをかき回す。
「それにしてもこのダンジョン蜜、凄いね。さっきまでかなり減っていた魔力が凄い勢いで回復していくのが分かる」
だから北の国はダンジョン蜜を欲しがってるんだものね。
「ダンジョン蜂の巣を手に入れようと考えたりするんでしょうか?」
かなり高価なものだし、北の国の人達なら、自分達で手に入れようとするんじゃないかな。
「ダンジョン蜂をテイムするのは難しいんだよ。斥候などの働き蜂をテイムしても意味がないからね。
女王蜂をテイムして、巣ごとものにしなければ蜂蜜は手に入らない。まずこの時点で難しい。凶暴だし毒性も強いからね。
無事にテイム出来てもダンジョン蜂は大量の花や樹皮を必要とする。それを季節問わずに用意する必要がある。
人を襲うだろうし、隔離するしかない」
ダンジョンで生きるからダンジョン蜂なんだものね。
パフィがジャッロを捕まえてきてくれたからこうしてテイム出来たけど、そうでなければ絶対に無理だよね。
「いずれその方法をあっちが見つけるにしても、まだ時間はかかるだろうし、貴重な物である事は変わらないよ。
本来、金儲けの為にダンジョン蜂をテイムしてもらった訳でもないから、国庫の事は気にしないで良いよ」
「はい、ノエルさん」
リンさんから、すっからかんだった国庫に、少しずつお金が溜まってきてるとは聞いている。
たくさん儲けられなくても、殿下やみんなが心配しないで済むぐらい貯まると良いなぁ。
不思議なのは、そこまでの熱意があるのに食堂には来ない事。
その事をラズロさんに話すと、ラズロさんがうんざりした顔をする。
「主食がな、野草なんだ、アイツは」
え? 主食が野草?
驚いて言葉も出ない僕を見てラズロさんはため息を吐いた。
「真性の病気だな」
野草だけで大丈夫なのかな。肉とか食べたくならないのかな? 麺とか美味しいのに。
少し心配にはなるけど、近づけば大変なことになるのでやめておく。
……美味しいのかな?
「薬草ダンジョンが終わったから、本格的に裏庭だな!」
裏庭のダンジョンで香辛料を育てたり、海を作ることにラズロさんは喜んでる。魚介好きだからね。
ただ、僕としてはあんまり裏庭のダンジョンに色々詰め込みたくなかったりする。
その季節に採れる果物や花が、いつでも採れるようになったら、嬉しさが減ってしまいそうで。
早く春にならないかな、早く秋にならないかな、と思いながら準備をするのが僕は好きだ。
香辛料も本当ならそうなんだけど、あるのとないのとではあまりにも料理の美味しさが変わるので、我慢出来なくてごめんなさい。
海は僕としてはどちらでも良いんだけど、パフィが絶対だと言って聞かないので、作る。
「それにしても、裏庭にギルドに薬草にと、アシュリーさんのダンジョンメーカーのスキル、大活躍だな」
「はい、役に立ててるなら嬉しいです」
どう使うのかも分からなかったスキルだし、クロウリーさんのこともあって悪いスキルだと思われていたこのスキルが、そうではないと分かったら、僕をこの王都に縛り付ける契約が解除出来るとノエルさんは言っていた。
ティール様からトキア様とノエルさんに報告がいってるんだって。
僕はそれほど不自由じゃないけど、村に遊びに行けたらなぁ、とは思う。
やっぱり父さんと母さん、兄さんには会いたいし、村のみんなとも会いたいから。
それに、パフィがまた村に戻ったら会いに行きたい。きまぐれだからいつまでここにいるのかも分からないし、村からだって飽きた、と言っていなくなってしまうかも知れない。
「こんにちは、アシュリー、ラズロ」
ノエルさんがやって来た。休憩かな?
カウンターに腰掛けたノエルさんはホットミルクに蜂蜜多めでお願い、と言った。
珍しくコーヒーじゃないんだ。
近頃は食堂でも蜂蜜を使わせてもらっている。
普段はギルドで買い取ってもらうんだけど、あまり定期的に下ろすと価値が下がる、とパフィが言うので、料理や飲み物に入れさせてもらってる。ちょっとだけ。
温めたミルクに蜂蜜をかきまぜてノエルさんに渡すと、ミルクを飲んでほっと息を吐いた。
「昨日は徹夜だったから、これを飲んで実家に帰る。明日は休暇だから、ちょっとあっちの様子も見ながら休んでくるよ」
それ、休めるのかな?
ノエルさんは器に入ったままのスプーンで、ぐるぐるとミルクをかき回す。
「それにしてもこのダンジョン蜜、凄いね。さっきまでかなり減っていた魔力が凄い勢いで回復していくのが分かる」
だから北の国はダンジョン蜜を欲しがってるんだものね。
「ダンジョン蜂の巣を手に入れようと考えたりするんでしょうか?」
かなり高価なものだし、北の国の人達なら、自分達で手に入れようとするんじゃないかな。
「ダンジョン蜂をテイムするのは難しいんだよ。斥候などの働き蜂をテイムしても意味がないからね。
女王蜂をテイムして、巣ごとものにしなければ蜂蜜は手に入らない。まずこの時点で難しい。凶暴だし毒性も強いからね。
無事にテイム出来てもダンジョン蜂は大量の花や樹皮を必要とする。それを季節問わずに用意する必要がある。
人を襲うだろうし、隔離するしかない」
ダンジョンで生きるからダンジョン蜂なんだものね。
パフィがジャッロを捕まえてきてくれたからこうしてテイム出来たけど、そうでなければ絶対に無理だよね。
「いずれその方法をあっちが見つけるにしても、まだ時間はかかるだろうし、貴重な物である事は変わらないよ。
本来、金儲けの為にダンジョン蜂をテイムしてもらった訳でもないから、国庫の事は気にしないで良いよ」
「はい、ノエルさん」
リンさんから、すっからかんだった国庫に、少しずつお金が溜まってきてるとは聞いている。
たくさん儲けられなくても、殿下やみんなが心配しないで済むぐらい貯まると良いなぁ。
17
あなたにおすすめの小説
あの子を甘やかして幸せにスローライフする為の、はずれスキル7回の使い方
tea
ファンタジー
はずれスキル持ちなので、十八になったら田舎でスローライフしようと都落ちの日を心待ちにしていた。
しかし、何故かギルマスのゴリ押しで問答無用とばかりに女勇者のパーティーに組み込まれてしまった。
追放(解放)してもらうため、はずれスキルの無駄遣いをしながら過去に心の傷を負っていた女勇者を無責任に甘やかしていたら、女勇者から慕われ懐かれ、かえって放してもらえなくなってしまったのだが?
どうなる俺の田舎でのスローライフ???
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
【完結】魔術師なのはヒミツで薬師になりました
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
ティモシーは、魔術師の少年だった。人には知られてはいけないヒミツを隠し、薬師(くすし)の国と名高いエクランド国で薬師になる試験を受けるも、それは年に一度の王宮専属薬師になる試験だった。本当は普通の試験でよかったのだが、見事に合格を果たす。見た目が美少女のティモシーは、トラブルに合うもまだ平穏な方だった。魔術師の組織の影がちらつき、彼は次第に大きな運命に飲み込まれていく……。
異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!
ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!?
夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。
しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。
うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。
次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。
そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。
遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。
別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。
Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって!
すごいよね。
―――――――――
以前公開していた小説のセルフリメイクです。
アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。
基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。
1話2000~3000文字で毎日更新してます。
明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです
異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる