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第四章 魔女の国
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「キルヒシュタフが王子を生き返らせるために奔走している間、私たちはパシュパフィッツェを育てたの。新たな魔女に、魔女のことを教えなくてはならないから」
アマーリアーナ様の手が、パフィの頰を撫でる。
パフィはいつも口紅を塗っていて、唇は真っ赤だった。今は塗っていないから、寝ているように見える。
寝起きは、塗ってなかったから。
「多くのことを学んでいく中で、少しずつ狂っていく母親をパシュパフィッツェがどんな思いで見ていたのかは分からなかったのだけれど……父と母を一緒にさせてあげたかったのね……」
それきり黙ってしまったアマーリアーナ様の代わりなのか、ヴィヴィアンナ様が口を開いた。
「私の予知は、いつも同じことを指し示していた……幼き魔女が、大きな魔女に滅ぼされてしまうというものだった……」
馬がヴィヴィアンナ様の髪に頬擦りする。
慰めているように見えた。
使い魔は魔女と同じ時を生きる唯一の存在だとパフィは言った。
「そうならぬように手を尽くしても、見える未来は変わらなかった。けれどある日から、未来を見ようとすると邪魔が入るようになった。
キルヒシュタフが邪魔をしていたのはすぐに分かった。私を上回る力を持つのは、ダリアかキルヒシュタフのどちらかしない。
ダリアがそんなことをする必要はない」
「……あの……それほどの力の差があるのに、何故パシュパフィッツェ様はキルヒシュタフ様と、その、刺し違えることが出来たのでしょうか……」
言いづらそうに、ノエルさんが質問した。
「……ある時からパシュパフィッツェは薬草の研究を始めた。薬になるものから、毒になるものまで」
少し離れた場所に置かれた棺には、キルヒシュタフ様が眠ってる。その棺をヴィヴィアンナ様が見る。
「魔女は確かに膨大な魔力を持ち、魔法を操り、永遠の時間を生きるけれど、身体は人よりも少し丈夫なぐらいなのよ。まぁ、毒は効きにくいわね」
「魔女の身体にも効く毒をパシュパフィッツェは作り出した。それがあったからキルヒシュタフを滅ぼすことができたのだ」
自分の目の前までやってきたキルヒシュタフ様の胸を突き刺すときに、その毒を……。
母さんと父さんを一緒にさせるために、母さんを殺す毒を作らなくちゃいけなかったパフィの気持ちを考える。
いつもなんでも分かってるという顔をして、僕に色々教えてくれたパフィ。自分の決めたことに、迷いとかなかったのかな…………きっと、悩んだよね……。
止まっていた涙がこぼれてきて、目が熱い。
他に方法がないのかとか、調べたんだろうな。でも、そうすることに決めた。それしか、見つけられなかったから。
「魔力を持つ人に何度王子の核を埋め込んでも、人でしかなかった。どれだけ魔力のある人間が北の国に生まれるように呪いをかけても。
……王子の核を埋め込まれた者は、体内の魔力を食われて正気を失う。
いつしか、魔力がもっとも身の内に篭もる冬に活動するためか、冬の王と呼ばれるようになった。
人の身が持つ魔力はそのまま減り続けた。王子の核は常に魔力を必要とする。魔女の魔力を元は人である王子の核はうけつけなかった。
丁度良い人がいなくなり、魔物に埋め込むようになる。
そうしてるうちに稀代の魔術師 クロウリーが生まれた」
クロウリーさんの身体に核を埋め込んだ。
「魔力水晶を通せば魔女の魔力を与えることが、クロウリーの研究により判明した。
あともう少しで魔力水晶は完成し、クロウリーは王子の核に取り込まれる筈だった」
それを、ダリア様が止めた……。
「クロウリーは死に、魔力水晶は壊した。核に傷もつき、ここまでくればさすがのキルヒシュタフも諦めるだろうと考えた」
「……キルヒシュタフは、既に壊れていた」
アマーリアーナ様の手が、パフィの頰を撫でる。
パフィはいつも口紅を塗っていて、唇は真っ赤だった。今は塗っていないから、寝ているように見える。
寝起きは、塗ってなかったから。
「多くのことを学んでいく中で、少しずつ狂っていく母親をパシュパフィッツェがどんな思いで見ていたのかは分からなかったのだけれど……父と母を一緒にさせてあげたかったのね……」
それきり黙ってしまったアマーリアーナ様の代わりなのか、ヴィヴィアンナ様が口を開いた。
「私の予知は、いつも同じことを指し示していた……幼き魔女が、大きな魔女に滅ぼされてしまうというものだった……」
馬がヴィヴィアンナ様の髪に頬擦りする。
慰めているように見えた。
使い魔は魔女と同じ時を生きる唯一の存在だとパフィは言った。
「そうならぬように手を尽くしても、見える未来は変わらなかった。けれどある日から、未来を見ようとすると邪魔が入るようになった。
キルヒシュタフが邪魔をしていたのはすぐに分かった。私を上回る力を持つのは、ダリアかキルヒシュタフのどちらかしない。
ダリアがそんなことをする必要はない」
「……あの……それほどの力の差があるのに、何故パシュパフィッツェ様はキルヒシュタフ様と、その、刺し違えることが出来たのでしょうか……」
言いづらそうに、ノエルさんが質問した。
「……ある時からパシュパフィッツェは薬草の研究を始めた。薬になるものから、毒になるものまで」
少し離れた場所に置かれた棺には、キルヒシュタフ様が眠ってる。その棺をヴィヴィアンナ様が見る。
「魔女は確かに膨大な魔力を持ち、魔法を操り、永遠の時間を生きるけれど、身体は人よりも少し丈夫なぐらいなのよ。まぁ、毒は効きにくいわね」
「魔女の身体にも効く毒をパシュパフィッツェは作り出した。それがあったからキルヒシュタフを滅ぼすことができたのだ」
自分の目の前までやってきたキルヒシュタフ様の胸を突き刺すときに、その毒を……。
母さんと父さんを一緒にさせるために、母さんを殺す毒を作らなくちゃいけなかったパフィの気持ちを考える。
いつもなんでも分かってるという顔をして、僕に色々教えてくれたパフィ。自分の決めたことに、迷いとかなかったのかな…………きっと、悩んだよね……。
止まっていた涙がこぼれてきて、目が熱い。
他に方法がないのかとか、調べたんだろうな。でも、そうすることに決めた。それしか、見つけられなかったから。
「魔力を持つ人に何度王子の核を埋め込んでも、人でしかなかった。どれだけ魔力のある人間が北の国に生まれるように呪いをかけても。
……王子の核を埋め込まれた者は、体内の魔力を食われて正気を失う。
いつしか、魔力がもっとも身の内に篭もる冬に活動するためか、冬の王と呼ばれるようになった。
人の身が持つ魔力はそのまま減り続けた。王子の核は常に魔力を必要とする。魔女の魔力を元は人である王子の核はうけつけなかった。
丁度良い人がいなくなり、魔物に埋め込むようになる。
そうしてるうちに稀代の魔術師 クロウリーが生まれた」
クロウリーさんの身体に核を埋め込んだ。
「魔力水晶を通せば魔女の魔力を与えることが、クロウリーの研究により判明した。
あともう少しで魔力水晶は完成し、クロウリーは王子の核に取り込まれる筈だった」
それを、ダリア様が止めた……。
「クロウリーは死に、魔力水晶は壊した。核に傷もつき、ここまでくればさすがのキルヒシュタフも諦めるだろうと考えた」
「……キルヒシュタフは、既に壊れていた」
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