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序章 暗殺者、異世界転移する
第5話 暗殺者、世界の理と人間社会のルールを学ぶ
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ひと晩ゆっくり睡眠を取ったので、体調はすこぶる良い。ここをフェンリルの巣穴と知って入ってくる魔物は殆どいない上に、両親が張った結界を破れる上位のモンスターはあの大蛇レベルくらいだそうな。でも結界を維持していた母フェンリルも亡くなった今、結界はあと三ヶ月ほどで消滅してしまうそうだ。それまでにルチアが成体となるので、しばらくここにいても問題ないとのこと。
『ソーは異世界から来た人間なんだよね』
「ああ。前の世界で雷に打たれたと思っていたら、気付けばここにいた。壁が崩れて転がり落ちたら、ルチアたちの前にいたって訳だ」
『この世界は色んな世界と接しているらしく、たまにソーのように異世界から転移したり転生してきたりするんだ。ボクの父さんと契約した、ソーの持っているその魔銃の元の持ち主も転移してきた人だった』
「ん? ルチアはそのとき母親の腹の中にいたんだろ? なんでそんなことを知っているんだ」
親父さんと契約していたという、この魔銃の元の持ち主。俺以外に人間はいなかったし魔銃だけが残されていたということは、その人はもうこの世にいないんだろう。
『フェンリル族は胎内にいるときに、先祖の記憶を受け継ぐんだ。この世界が誕生した頃の記憶も持っているよ。人間たちと契約していたから、人間社会のルールも熟知しているから巣穴を出てもソーは苦労しないはず』
「そうか、それは助かる」
現在ルチアとの会話は脳内で直接交わされているんだが、俺は当然この世界の言語も文字も通貨といった社会常識の一切を知らない。ルチアとは契約前から言葉が全て日本語に変換されるが、これから巣穴を出たらそうはいかない。結界が完全に消え失せる前に、ルチアから人間社会の言語とルールを教えてもらうことにした。
ここは人間界とも呼ばれていて、万物の創造神にして最高神のデウス神とその眷属神が支配している。デウス神を含めた十二柱が特に力を持つ多神教の概念だな。他にも精霊たちが住む精霊界と、亡くなった英雄の魂が住む天上界、そしてデウス神の双子で魔王神であるディアボロスが支配する魔界。
「人間界は常に狙われていて、魔界から干渉されるためにダンジョンが次々と出来てしまうってわけか」
「そう。神々は直接干渉できないから、神官・聖女の祈りなどを媒介にした神聖魔法が一番効果的なんだ」
膨大な講義だが、暗殺者時代は短期間で様々な言語や風習を頭に叩き込むことも必要だったので、この座学もルチアが驚くほどのスピードで吸収している。
天上界には神々の次に聖なる存在の、聖龍も住んでいるが人間の召喚には決して応じない。姿を見ることは不可能な存在だそうだが、フェンリル族は神獣であるために成体になるとその存在を感知することが出来るらしい。姿は東洋の龍で、人間界に生息するドラゴンはいわゆるファンタジーに登場する翼の生えたトカゲ形態だ。脳内に送られてきたイメージ映像に少々興奮した。
『ソーは異世界から来た人間なんだよね』
「ああ。前の世界で雷に打たれたと思っていたら、気付けばここにいた。壁が崩れて転がり落ちたら、ルチアたちの前にいたって訳だ」
『この世界は色んな世界と接しているらしく、たまにソーのように異世界から転移したり転生してきたりするんだ。ボクの父さんと契約した、ソーの持っているその魔銃の元の持ち主も転移してきた人だった』
「ん? ルチアはそのとき母親の腹の中にいたんだろ? なんでそんなことを知っているんだ」
親父さんと契約していたという、この魔銃の元の持ち主。俺以外に人間はいなかったし魔銃だけが残されていたということは、その人はもうこの世にいないんだろう。
『フェンリル族は胎内にいるときに、先祖の記憶を受け継ぐんだ。この世界が誕生した頃の記憶も持っているよ。人間たちと契約していたから、人間社会のルールも熟知しているから巣穴を出てもソーは苦労しないはず』
「そうか、それは助かる」
現在ルチアとの会話は脳内で直接交わされているんだが、俺は当然この世界の言語も文字も通貨といった社会常識の一切を知らない。ルチアとは契約前から言葉が全て日本語に変換されるが、これから巣穴を出たらそうはいかない。結界が完全に消え失せる前に、ルチアから人間社会の言語とルールを教えてもらうことにした。
ここは人間界とも呼ばれていて、万物の創造神にして最高神のデウス神とその眷属神が支配している。デウス神を含めた十二柱が特に力を持つ多神教の概念だな。他にも精霊たちが住む精霊界と、亡くなった英雄の魂が住む天上界、そしてデウス神の双子で魔王神であるディアボロスが支配する魔界。
「人間界は常に狙われていて、魔界から干渉されるためにダンジョンが次々と出来てしまうってわけか」
「そう。神々は直接干渉できないから、神官・聖女の祈りなどを媒介にした神聖魔法が一番効果的なんだ」
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