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1章
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国王は帰っていったが、カタリーナは積もりきった疲労感をどうすることもできなかった。どうにかお茶会の会場へ戻るが、すでに挨拶を返す元気もない。とりあえず微笑みを返しながら残りの時間はごまかした。2度と誕生パーティーなどやるものかと心に誓うとともに、自分の誕生日は厄日なのではないかと思わずにはいられなかった。
7歳のデビュー以降お茶会へのお誘いはひっきりなしだがほぼ断っている状態だ。欲を言えば全て断ってしまいたいのだが、そこは母に諌められてしまう。どうしても出なくてはいけないものだけ、母とともに参加し適当に笑顔を振りまいてから帰って来ていると言うのが現状だ。適度に引きこもることで世の中では深窓の聖女さまと呼ばれているらしい。
「12歳までは婚約者を決めない」と父が宣言して以降、釣書もどどかなくなり平和な日々を満喫していたカタリーナに、さらに幸せになれるニュースがやって来た。ファビウス公爵家に男児が生まれたのだ。父親譲りの紫の瞳に母親譲りのシルバーブロンドの髪。弟はルルーシュと名付けられ、まつげも長く整った顔立ちは天使のようだった。カタリーナは年の離れた弟が可愛くて仕方がなかった。寝顔なら何時間でも見ていられる。構いたがるカタリーナを見た両親は
「もうすっかりお姉さんね」
と微笑ましい視線をよこしている。
そして、国の方にも喜ばしいニュースがあった。カタリーナの弟が産まれて、さらに半年後、王家にも待望の男児が産まれた。黒髪黒目としっかりと王家の色を受け継いだ皇子だと父が教えてくれた。このままいけば公爵家である私の弟は側近候補になるだろう。恵まれていると言えばその通りかもしれないが、それ以上に既にレールの敷かれた人生を歩む以外の手段のない弟を少し哀れに思ってしまった。
王家に待望の皇子が産まれ国中がお祭りムードだったが数ヶ月経つとだいぶ落ち着いてくる。そんな中カタリーナの8歳となる誕生日が近づいてきた。昨年はお茶会デビューであったため避けることができなかったが、今年はあんな思いはしたくない。朝食の時間に
「昨年の誕生日も楽しかったのですが、お父様やお母様、いつも世話になっている屋敷の人たちとはあまり話ができず寂しかったのです。今年は身近な人たちに祝ってもらえたら嬉しいのですけど」
こ首を傾げながらお願いしてみる。昨年は婚約希望者やら国王の突然訪問など苦い思い出もある。また、昨年国王が残した「また来年のこの時期に会おう」という言葉も不気味以外の何物でもなかった。色々な思惑があったのだろうが、しばらく考えたのち父は了承してくれた。
そんな身内誕生会を楽しみに過ごしつつ弟と遊んでいると険しい表情をした父が部屋にやって来た。夕食前の時間に帰ってくるのは珍しい。険しい顔のまま話があると言われ弟を乳母に頼み父の書斎へ向かう。書斎のソファーに向かい合って座ると間も無くお茶を持った侍女がやって来た。お茶を飲みながら父の様子を伺うが話す様子がない
「お父様どうかなさいましたか?」
本来であれば話始めるのを待つべきであろうが、その気配を見せない父に思い切って声をかけてみる。しばらく口を開けたり閉じたりした後
「陛下から、カタリーナの誕生日に招待しろと話があった。もし招待しなければまた勝手に来るそうだ。だが、今回の誕生日については屋敷の使用人含め近しい身内のみで行う予定であり国王を招くような場でないことを伝えたが…お忍びなら関係ないと言い切られてしまった。流石に警備の問題も出て来るので、王宮で謁見の場を設けることでひと段落ついたが、勝手に約束してしまいすまなかった」
国王と娘の謁見について嫌そうにするのはきっと父ぐらいだろう。
我が家を訪問した際に、国王がほんの少しの怪我でもしたら一大事だ。父の話を聞く限り、これ以上の方法は思い浮かばないため了承を意を示した。王宮を訪れるのは誕生日の翌日予定だ。
誕生日はとても素晴らしい1日になった。父と母からは瞳と同じ色のペンダントをもらい、仲良くなった使用人たちからは、流行りの本をもらった。料理長は好物ばかり作ってくれたし、庭師自慢の花束には感嘆の声が漏れてしまった。幸せな時間はあっという間に過ぎて行く。パーティーはお開きとなり、入眠の時間がやって来た。ベッドに入ると明日の謁見についてどうしても考えてしまいカタリーナは気を重くするが、子どもの体は素直でありすぐに眠りに落ちる事になった。
翌朝、起きてすぐにカタリーナの支度が始まる。カタリーナはヒラヒラフリフリのドレスを纏う事に気を重くするが、そんな事は関係なしに使用人達は準備を進めていく。今日も現実逃避をしているとあっという間に準備が終わっていた。
父と共に馬車に乗り込む。見送ってくれた母は、心なしか悲しそうな顔をしていた。馬車の中では、会話をするがお互いすぐに会話が途切れてしまう。どうしても今日の話が不安で仕方なく、それとなく父に探りを入れるが
「いやまさか・・・しかし、・・・・・・・それ以外には考えられないが・・・・・・・」
など、つぶやくような返事で明確な回答が得られることはない。
考えを巡られているうち、あっという間に馬車は王宮への到着を告げる。父とカタリーナは王宮についてからは、控えの間で待たせてもらい、時間になったら謁見室に移動することとなった。
7歳のデビュー以降お茶会へのお誘いはひっきりなしだがほぼ断っている状態だ。欲を言えば全て断ってしまいたいのだが、そこは母に諌められてしまう。どうしても出なくてはいけないものだけ、母とともに参加し適当に笑顔を振りまいてから帰って来ていると言うのが現状だ。適度に引きこもることで世の中では深窓の聖女さまと呼ばれているらしい。
「12歳までは婚約者を決めない」と父が宣言して以降、釣書もどどかなくなり平和な日々を満喫していたカタリーナに、さらに幸せになれるニュースがやって来た。ファビウス公爵家に男児が生まれたのだ。父親譲りの紫の瞳に母親譲りのシルバーブロンドの髪。弟はルルーシュと名付けられ、まつげも長く整った顔立ちは天使のようだった。カタリーナは年の離れた弟が可愛くて仕方がなかった。寝顔なら何時間でも見ていられる。構いたがるカタリーナを見た両親は
「もうすっかりお姉さんね」
と微笑ましい視線をよこしている。
そして、国の方にも喜ばしいニュースがあった。カタリーナの弟が産まれて、さらに半年後、王家にも待望の男児が産まれた。黒髪黒目としっかりと王家の色を受け継いだ皇子だと父が教えてくれた。このままいけば公爵家である私の弟は側近候補になるだろう。恵まれていると言えばその通りかもしれないが、それ以上に既にレールの敷かれた人生を歩む以外の手段のない弟を少し哀れに思ってしまった。
王家に待望の皇子が産まれ国中がお祭りムードだったが数ヶ月経つとだいぶ落ち着いてくる。そんな中カタリーナの8歳となる誕生日が近づいてきた。昨年はお茶会デビューであったため避けることができなかったが、今年はあんな思いはしたくない。朝食の時間に
「昨年の誕生日も楽しかったのですが、お父様やお母様、いつも世話になっている屋敷の人たちとはあまり話ができず寂しかったのです。今年は身近な人たちに祝ってもらえたら嬉しいのですけど」
こ首を傾げながらお願いしてみる。昨年は婚約希望者やら国王の突然訪問など苦い思い出もある。また、昨年国王が残した「また来年のこの時期に会おう」という言葉も不気味以外の何物でもなかった。色々な思惑があったのだろうが、しばらく考えたのち父は了承してくれた。
そんな身内誕生会を楽しみに過ごしつつ弟と遊んでいると険しい表情をした父が部屋にやって来た。夕食前の時間に帰ってくるのは珍しい。険しい顔のまま話があると言われ弟を乳母に頼み父の書斎へ向かう。書斎のソファーに向かい合って座ると間も無くお茶を持った侍女がやって来た。お茶を飲みながら父の様子を伺うが話す様子がない
「お父様どうかなさいましたか?」
本来であれば話始めるのを待つべきであろうが、その気配を見せない父に思い切って声をかけてみる。しばらく口を開けたり閉じたりした後
「陛下から、カタリーナの誕生日に招待しろと話があった。もし招待しなければまた勝手に来るそうだ。だが、今回の誕生日については屋敷の使用人含め近しい身内のみで行う予定であり国王を招くような場でないことを伝えたが…お忍びなら関係ないと言い切られてしまった。流石に警備の問題も出て来るので、王宮で謁見の場を設けることでひと段落ついたが、勝手に約束してしまいすまなかった」
国王と娘の謁見について嫌そうにするのはきっと父ぐらいだろう。
我が家を訪問した際に、国王がほんの少しの怪我でもしたら一大事だ。父の話を聞く限り、これ以上の方法は思い浮かばないため了承を意を示した。王宮を訪れるのは誕生日の翌日予定だ。
誕生日はとても素晴らしい1日になった。父と母からは瞳と同じ色のペンダントをもらい、仲良くなった使用人たちからは、流行りの本をもらった。料理長は好物ばかり作ってくれたし、庭師自慢の花束には感嘆の声が漏れてしまった。幸せな時間はあっという間に過ぎて行く。パーティーはお開きとなり、入眠の時間がやって来た。ベッドに入ると明日の謁見についてどうしても考えてしまいカタリーナは気を重くするが、子どもの体は素直でありすぐに眠りに落ちる事になった。
翌朝、起きてすぐにカタリーナの支度が始まる。カタリーナはヒラヒラフリフリのドレスを纏う事に気を重くするが、そんな事は関係なしに使用人達は準備を進めていく。今日も現実逃避をしているとあっという間に準備が終わっていた。
父と共に馬車に乗り込む。見送ってくれた母は、心なしか悲しそうな顔をしていた。馬車の中では、会話をするがお互いすぐに会話が途切れてしまう。どうしても今日の話が不安で仕方なく、それとなく父に探りを入れるが
「いやまさか・・・しかし、・・・・・・・それ以外には考えられないが・・・・・・・」
など、つぶやくような返事で明確な回答が得られることはない。
考えを巡られているうち、あっという間に馬車は王宮への到着を告げる。父とカタリーナは王宮についてからは、控えの間で待たせてもらい、時間になったら謁見室に移動することとなった。
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