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1章
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連れてこられたのはエヴァトリスの執務室だった。部屋に入るなり
「皆一度外に出ろ」
とエヴァトリスは有無を言わさず告げた。急に連れてこられ、執務室に二人っきりの状況になんとも言えない空気が生まれる。あれだけ故意に避けられていれば仕方のない事だろう。エヴァトリスに促されソファーに座ると正面から顔をあわせることになった。顔を合わせたエヴァトリスは困ったような笑顔を見せた後にすっと目を逸らす。最近会ってなかったから気まずいのだろう。少し前まで眩しいくらい一生懸命にカタリーナの目を見て話してくれたエヴァトリスを酷く懐かしく感じた。
無言の時間が流れる。部屋に入り早々に人払いがされたためお茶すら出ていない状態だ。カタリーナがやるべきとは思いながらも今世での経験はない。前世の経験を元に試してみようかとも思ったが、それ以前に物の場所がわからない。エヴァトリスは・・・知るはずがないだろう。何の目的でここに連れてこられたかはわかないけれど、先程令嬢に絡まれた事が関係しているのは間違いない。無言の時間にも飽きたためカタリーナから話をふってみることにした。
「先程はお見苦しいところを見せてしまい申し訳ありませんでした。それに、殿下が来てくださって、とても心強く思いました。」
まだ、エヴァトリスは視線の合わないまま答える。
「こっちこそ、嫌な思いをさせてすまなかった。出来るだけカタリーナがの迷惑にならない者と関わるようにはしていたんだが・・・」
「私の迷惑にならない方?」
意味が分からずに言葉を繰り返す。その言葉にはっとしたように視線をこちらに向けた。少しバツの悪そうな表情だ。今日は色々なエヴァトリスの表情が見える日だと思い思わず笑みがこぼれる。すると、それが目に入ったエヴァトリスの顔が少し赤くなるのがわかり、私はさらに笑みを深めてしまった。
「いや。周りの貴族を納得させるためにも令嬢達との対話が必要なのはわかっているので、出来るだけ自分の立場を分かって行動出来るものを選んでいたつもりだったのだが・・・」
少し恥ずかしそうに答えるエヴァトリスが居たが、その言葉でカタリーナは気づいてしまった。エヴァトリスは、王族の義務として令嬢たちの時間を過ごしていたという事だ。エヴァトリスが、望んで、楽しんで令嬢達と過ごして居たのでなければ、今までの時間は何のためのものだったのか。王族としではなく、一人の人として幸せを感じられる時間がエヴァトリスにはあるのか心配になる。
「王族としての生まれを苦痛と思う事はありませんか?」
思わず出た言葉にすぐに失言だと気づき口元を手で覆ってしまったが後の祭りだった。しっかりと聞こえてたであろうエヴァトリスは優しく笑っている。
「ありがとう。確かにタヌキやキツネと化かし合いするのは楽しくないし、香水臭い令嬢たちもごめん被りたいね。でも、この立場で無条件に得られるものがあるんだ。それが何にも代えがたくて、他に奪われるような事があればきっと私は生きていけないと思うよ。」
蕩けるような笑みとはこういう事を言うのだと初めて知り、思わず見惚れてしまう。エヴァトリスがそれほど求めるものはなんだろうと思わずにはいられない。それほど権力に固執する様子も、強い物欲も今まで側にいて感じることはなかった。
「殿下が求めているものは王位ですか?」
「こんなことを言ってはいけないんだろうけど、僕にとっては王位はそれを得るためのおまけみたいなものかな」
「それは一体なんですか?」
問わずにはいられなかった。生まれてからずっと成長を見守ってきたエヴァトリスがそこまで執着している物に気づけなかった悔しさもあるのかもしれない。カタリーナのその質問に対してエヴァトリスは嬉しいのか悲しいのか困っているのか愛しいのか憎いのか分からない、色々な思いが込められた笑みはいつもの穏やかな笑みの何倍も美しかった。
優しい顔と声で殿下は話し始める。
「貴女だよ、カタリーナ。いつか気づいてもらえればと思っていたんだけど、全くその気配がないんだから困ったよ。私はずっと貴女のことを愛しているよ。いつからかなんてわからない。でも貴女のいない人生なんて考えられないんだ。意識するよりも婚約の発表が早かったのは事実だけど、それでも思ったよ。私が王族で、貴女が聖女でよかったと。弟としか思われていないこともわかっているつもりだ。だけど少しずつでいいから私のことをそういう目で見てくれないかな?カタリーナと本当の夫婦になりたいんだ」
話を聞いているうちに少しずつ顔が火照ってきたのがわかる。何を言われているのか分からない、いや分かるんだけどわからない。どう反応してよいかわからず、火照る頬を両手で抑えてみるのが限界だ。エヴァトリスの顔をしっかりみることもできずに視線をせわしなく左右に動かす。どう言葉を返していか悩んでいると
「カタリーナの顔真っ赤だ。これは少しは期待してもいいのかな?」
クスクスと笑っているエヴァトリスに視線を向けられずにいると、そのままエヴァトリスは席をたった。カタリーナも部屋を辞すためにら立ち上がろうとするがすぐに遮られる。流れるような動きで、カタリーナの前までやって来ると片膝をつき見上げてくる。カタリーナが火照った頬を抑えている右手をとり、エヴァトリスはそのまま手の甲への口付けをされた。
「カタリーナ、愛している」
カタリーナはもう限界だった。顔に熱がこもり、鏡を見なくても顔が赤くなっていることが予想できた
「すみません、用事があったのを今思い出しましたので今日はこれで失礼したします」
口付けられた手を無理やり外し立ち上がる。入り口で淑女の礼を行い部屋をでると、先ほど部屋から追い出された文官たちが入り口から少し離れたところで立っていた。その中にはなぜかルルーシュの姿がありカタリーナの姿を見ると驚いたように目を見開いた。
「なんだか面白そうな事になってるみたいだね。殿下と話があったんだけど、姉上の話の方が面白そうだから一緒に帰る事にするよ」
ニヤニヤしているルルーシュを睨みつけるがどこ吹く風で気にする様子はない
「急ぎの用じゃないから、大丈夫だよ。カタリーナも、そんなに真っ赤な顔で睨んだって可愛いだけなんだから諦めな」
後から近づいてきたエヴァトリスに抱きしめられる。両手はお腹のところで組まれており、顔を真っ赤にしたまま固まってしまった。フリーズしているカタリーナを他所にエヴァトリスはで非常にご機嫌だ。
(誰だ、これ。口から砂吐きそうだんだけど・・・)
そう思った瞬間、限界を迎えたらしいカタリーナはそのままの姿勢でブラックアウトしてしまった。
「皆一度外に出ろ」
とエヴァトリスは有無を言わさず告げた。急に連れてこられ、執務室に二人っきりの状況になんとも言えない空気が生まれる。あれだけ故意に避けられていれば仕方のない事だろう。エヴァトリスに促されソファーに座ると正面から顔をあわせることになった。顔を合わせたエヴァトリスは困ったような笑顔を見せた後にすっと目を逸らす。最近会ってなかったから気まずいのだろう。少し前まで眩しいくらい一生懸命にカタリーナの目を見て話してくれたエヴァトリスを酷く懐かしく感じた。
無言の時間が流れる。部屋に入り早々に人払いがされたためお茶すら出ていない状態だ。カタリーナがやるべきとは思いながらも今世での経験はない。前世の経験を元に試してみようかとも思ったが、それ以前に物の場所がわからない。エヴァトリスは・・・知るはずがないだろう。何の目的でここに連れてこられたかはわかないけれど、先程令嬢に絡まれた事が関係しているのは間違いない。無言の時間にも飽きたためカタリーナから話をふってみることにした。
「先程はお見苦しいところを見せてしまい申し訳ありませんでした。それに、殿下が来てくださって、とても心強く思いました。」
まだ、エヴァトリスは視線の合わないまま答える。
「こっちこそ、嫌な思いをさせてすまなかった。出来るだけカタリーナがの迷惑にならない者と関わるようにはしていたんだが・・・」
「私の迷惑にならない方?」
意味が分からずに言葉を繰り返す。その言葉にはっとしたように視線をこちらに向けた。少しバツの悪そうな表情だ。今日は色々なエヴァトリスの表情が見える日だと思い思わず笑みがこぼれる。すると、それが目に入ったエヴァトリスの顔が少し赤くなるのがわかり、私はさらに笑みを深めてしまった。
「いや。周りの貴族を納得させるためにも令嬢達との対話が必要なのはわかっているので、出来るだけ自分の立場を分かって行動出来るものを選んでいたつもりだったのだが・・・」
少し恥ずかしそうに答えるエヴァトリスが居たが、その言葉でカタリーナは気づいてしまった。エヴァトリスは、王族の義務として令嬢たちの時間を過ごしていたという事だ。エヴァトリスが、望んで、楽しんで令嬢達と過ごして居たのでなければ、今までの時間は何のためのものだったのか。王族としではなく、一人の人として幸せを感じられる時間がエヴァトリスにはあるのか心配になる。
「王族としての生まれを苦痛と思う事はありませんか?」
思わず出た言葉にすぐに失言だと気づき口元を手で覆ってしまったが後の祭りだった。しっかりと聞こえてたであろうエヴァトリスは優しく笑っている。
「ありがとう。確かにタヌキやキツネと化かし合いするのは楽しくないし、香水臭い令嬢たちもごめん被りたいね。でも、この立場で無条件に得られるものがあるんだ。それが何にも代えがたくて、他に奪われるような事があればきっと私は生きていけないと思うよ。」
蕩けるような笑みとはこういう事を言うのだと初めて知り、思わず見惚れてしまう。エヴァトリスがそれほど求めるものはなんだろうと思わずにはいられない。それほど権力に固執する様子も、強い物欲も今まで側にいて感じることはなかった。
「殿下が求めているものは王位ですか?」
「こんなことを言ってはいけないんだろうけど、僕にとっては王位はそれを得るためのおまけみたいなものかな」
「それは一体なんですか?」
問わずにはいられなかった。生まれてからずっと成長を見守ってきたエヴァトリスがそこまで執着している物に気づけなかった悔しさもあるのかもしれない。カタリーナのその質問に対してエヴァトリスは嬉しいのか悲しいのか困っているのか愛しいのか憎いのか分からない、色々な思いが込められた笑みはいつもの穏やかな笑みの何倍も美しかった。
優しい顔と声で殿下は話し始める。
「貴女だよ、カタリーナ。いつか気づいてもらえればと思っていたんだけど、全くその気配がないんだから困ったよ。私はずっと貴女のことを愛しているよ。いつからかなんてわからない。でも貴女のいない人生なんて考えられないんだ。意識するよりも婚約の発表が早かったのは事実だけど、それでも思ったよ。私が王族で、貴女が聖女でよかったと。弟としか思われていないこともわかっているつもりだ。だけど少しずつでいいから私のことをそういう目で見てくれないかな?カタリーナと本当の夫婦になりたいんだ」
話を聞いているうちに少しずつ顔が火照ってきたのがわかる。何を言われているのか分からない、いや分かるんだけどわからない。どう反応してよいかわからず、火照る頬を両手で抑えてみるのが限界だ。エヴァトリスの顔をしっかりみることもできずに視線をせわしなく左右に動かす。どう言葉を返していか悩んでいると
「カタリーナの顔真っ赤だ。これは少しは期待してもいいのかな?」
クスクスと笑っているエヴァトリスに視線を向けられずにいると、そのままエヴァトリスは席をたった。カタリーナも部屋を辞すためにら立ち上がろうとするがすぐに遮られる。流れるような動きで、カタリーナの前までやって来ると片膝をつき見上げてくる。カタリーナが火照った頬を抑えている右手をとり、エヴァトリスはそのまま手の甲への口付けをされた。
「カタリーナ、愛している」
カタリーナはもう限界だった。顔に熱がこもり、鏡を見なくても顔が赤くなっていることが予想できた
「すみません、用事があったのを今思い出しましたので今日はこれで失礼したします」
口付けられた手を無理やり外し立ち上がる。入り口で淑女の礼を行い部屋をでると、先ほど部屋から追い出された文官たちが入り口から少し離れたところで立っていた。その中にはなぜかルルーシュの姿がありカタリーナの姿を見ると驚いたように目を見開いた。
「なんだか面白そうな事になってるみたいだね。殿下と話があったんだけど、姉上の話の方が面白そうだから一緒に帰る事にするよ」
ニヤニヤしているルルーシュを睨みつけるがどこ吹く風で気にする様子はない
「急ぎの用じゃないから、大丈夫だよ。カタリーナも、そんなに真っ赤な顔で睨んだって可愛いだけなんだから諦めな」
後から近づいてきたエヴァトリスに抱きしめられる。両手はお腹のところで組まれており、顔を真っ赤にしたまま固まってしまった。フリーズしているカタリーナを他所にエヴァトリスはで非常にご機嫌だ。
(誰だ、これ。口から砂吐きそうだんだけど・・・)
そう思った瞬間、限界を迎えたらしいカタリーナはそのままの姿勢でブラックアウトしてしまった。
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