私が聖女になった時(旧:聖女の国)

海栗

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2章

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聖女の部屋へ入るとそこにはルシエールも待機していた。
「カタリーナ嬢、久しぶりじゃな。少し痩せた様だが、相変わらずの別嬪さんじゃ。だが、無理はいかんな」
ルシエールは白いひげを蓄え、それを撫でながら穏やかに話をする。笑顔を絶やすことのないその姿に、カタリーナもつられて笑顔になる。
「お久しぶりです。大神官様。お元気そうで何よりです。」
微笑みながらルシエールに返事をするカタリーナだが、それを気にする様子もなくリシャールは席に着く。ルシエールはルシエールでリシャールに視線を移すことなくカタリーナを見ている。
「もう私も歳だから、そんなに元気じゃないんだよ。はやくこんな仕事誰かに引き継いでしまいたいが、中々うまくいかなくてのう。」
その際にちらりとリシャールの方を見るが、リヤールは目も合わせようとせず、お茶の準備をしひとり先に飲み始める。
「カタリーナ嬢からも言ってはくれんかのう。こいつと、国王をどうにかできれば大丈夫だと思うんだがな」
ルシエールのその言葉にカタリーナは苦笑いを浮かべるしかない。
いつの間にか一杯目のお茶を飲み終えたリシャールは自身の2杯目のお茶を準備していた。その準備が終わると口を開く。
「そんな話のために聖女様を呼んだのではないでしょう。」
呆れ顔のリシャールはため息混じりに話す。
「そうじゃった、そうじゃった。聖女様が現れた時のことを聞きたかったんじゃ。」

その言葉を皮切りに、ルシエールもリシャールも真剣な口調になる。
「聖女様お願い致します」


大神官であるルシエールと教育担当のリシャールが聖女の存在を国王と共有していることは事前に確認済みであったカタリーナは異世界からの聖女が現れた時のことを話し始める。
エヴァトリスと聖女の泉が見える場所でお茶をしていたこと。その際に銀色のバラを見つけ、それを採った際にエヴァトリスが小さな傷を負い聖魔法を使い治癒した事。魔法発動の際に魔力を過剰に奪われる様な感覚に陥り、そこいら中が治癒を光が浮遊し始めた事、エヴァトリスが採ってくれたバラも光始めると、魔力を奪われる感覚がなくなり、浮遊している光が集まりその中から聖女様が現れたこと。そこまで話しカタリーナは一息つく。
「聖女のバラが咲いたか・・・」
ルシエールの聞き慣れない言葉にカタリーナは首を傾ける。
「聖女様が手にした、銀色のバラのことですよ。あの花が咲くと異世界からの聖女が現れると言われているんです。」
「花と聖女にどんな関係があるのですか?」
リシャールはゆっくりと首を左右に振り、ルシエールに視線を向ける。
「そんなことも知らんのか。まだまだじゃのう。あの花はな、養分がちょっと普通のものとは違うんじゃ。だから、あのバラは泉か神殿にしかさかん。」
「養分?」
カタリーナには分からないことだらけで、疑問をそのまま口にする。
「あのバラはな、聖魔法を養分にするんじゃよ。」
カタリーナは、魔力を強制的に奪われる独特の感覚を思い出し背中を震わせる。
「だから、カタリーナ様は練りあげた魔力が王宮の方向へ消えていったんですね。」
なるほどとでも言うように、リシャールは納得しているが、やはりカタリーナには疑問だらけだ。
「お前がいつだったか言っておったなぁ、確か練った魔力がいつも同じ方向へ消えていくんじゃったか。今までこの国に生まれた者で聖魔法を使えたのがいなかったからのう。いつバラが咲くかは気にしていたんじゃが、予想外だったのう。」
カタリーナには話が見えてこない。疑問が表情に出ていたのだろう、そこから聖女とバラについての関係を説明してもらうことになった。
大司教であるルシエールの話によるとこうだ。数百年に一度聖女の泉にバラの蕾がつく。聖女のバラは他の植物とは全くの別物であり、蕾から1年ほどかけて花を咲かせるらしい。そして花が咲くと共に異世界からの聖女が現れるそうだ。異世界からの聖女が聖魔法を使うとその余波で余分にバラが生まれることもあるそうだ。異世界からの聖女のいる場所、魔力を使う場所の近くで咲くため、神殿や王宮で見られたそうだ。異世界からの聖女が現れる前にバラが咲くのは、泉を経由して聖女の魔力が流れ込んでいるという仮説があるしい。だが、今回に限ってはカタリーナの魔力が原因でバラが咲いたと予想されているようだ。カタリーナが癒しの魔法を使う際に魔力の一部がバラに奪われていたのだ。そのため十分に魔法が使えなかったらしい。カタリーナはエヴァトリスがバラをつんでくれた時の言葉を思い出す。あの時にエヴァトリスは『リーナのバラ』と言ったのだ。今更ながらその言葉を意味を知ることになった。
「だが、よくわからない事もあるんじゃよ。バラの花はいつもなら1年ほどで咲くのが、今回は20年近くかかっておる」
「それは、私の魔力が弱かったからではないのですか?」
「その可能性もあるが、儂は予定外にバラの蕾をつけてしまったのではないかと思っておるんじゃ。蕾をつけたのは19年前になるんじゃが、カタリーナ嬢何か心当たりがないか?」
カタリーナはハッとする。
「・・・私が5歳の時。」
小さく呟いた声だったが。近くに座っているルシエールとリシャールにはしっかりと聞こえていたのだろう。
「そうじゃ、もっと細かく言うのであれば、カタリーナ嬢が熱病にかかってから、となるのかのう。」
リシャールはいつもの無表情であったが、ルシエールは口元に笑みを浮かべてはいるものの目が笑っていなかった。だが、答える答えを持っていないカタリーナに明確な返答はできない。無言の時間が続くと、口を割らない事をみこしたリシャールが声をかける
「ルシエール様、聖女様が来た時の話だけって約束でしたよ。」
リシャールの言葉で空気がほどけていくような気持ちになる。
「そうじゃったなぁ、ちともったいない気もするが仕方なかろう」

そうしてルシエールとの話しを終え、リシャールと魔力の練習を行う。確かに以前と比べると魔力と治癒の効果が安定しているのを時間することを実感できた。
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