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2章
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「私が・・・聖女をどう思っているか・・・」
呆然とした表情のエヴァトリスから出た言葉はとても小さく、無意識で出た言葉の様だった。だが、その後に続く言葉はなく、エヴァトリスはただ呆然としている。
「エヴァ・・・」
カタリーナの縋るような視線も、囁かれた言葉も今のエヴァトリスには届かない。
どれぐらいの時間を過ごしたのだろう。5分なのか10分なのか、はたまた30分以上経っているのか・・・エヴァトリスが呆然としている間、カタリーナの時間の感覚はどんどん薄れていく。気づくと目尻から一粒の涙がこぼれていた。カタリーナは慌ててそれを拭い取りエヴァトリスに視線を向けるが、エヴァトリスはそれに気づく様子もない。カタリーナは大きく息を吐き、気持ちを整える。そして
バチン
両手を合わせて大きな音を出した。
ハッとしたようにカタリーナと視線を合わせたエヴァトリスに対して、カタリーナは微笑んだ。いや、微笑んだというのには語弊があるかもしれない。正しくは口元に孤を描いた、だ。それほど近しい存在でなくても、今のカタリーナが作り笑顔であることは一目瞭然だろう。エヴァトリスは一気に表情を青くした。
「いや、リーナ。今のはっ」
言い募ろうとするエヴァトリスに対してカタリーナは聞く耳を持つ気は無いように立ち上がる。
「話し込んでいつもより時間が押してしまったみたいですね。今日はこれぐらいにしないと・・・私、明日起きられそうにないですわ。おやすみなさい。」
エヴァトリスが口を挟む暇もなく言い切ると入り口のドアを開けて退室を促す。エヴァトリスは椅子から立ち上がった姿勢であるものの、そこから動く気配がない。今のカタリーナはいつもに比べて感情的であり、止めることはできなかった。
「そういえば、借りたい本があったのを思い出したので先に失礼しますね。鍵は護衛にお願いしてください。」
エヴァトリスが出ないならば、自身が出て行くというように、カタリーナは扉に手をかける。その間もエヴァトリスは動けずにいた。エヴァトリスはかろうじて、動かすことのできた口で一言だけ告げる。
「ごめん。」
それは何に対しての謝罪なのか。エヴァトリスに背を向けているカタリーナは屈辱から涙がこぼれ落ちるのを止めることはできなかった。部屋を出てすぐ、涙を拭うこともできず歩いていた先ですれ違ったのはエヴァトリスの側使えであり、彼は驚きの表情を隠せずにいた。
特に行くあてがなかったカタリーナは、予告通り王宮の図書室を訪れていた。就寝間近であり、図書室内に他に人は見られない。それでも、誰にも会いたくなかったカタリーナは奥へ奥へと進む。そして、個室に入るとそのままドアと鍵をかけた。鍵をかけかことで、気持ちが緩んだのだろう。ポロポロと涙をこぼし始める。
護衛も、付き添いの侍女も図書室の入り口に置いてきた。この空間にはカタリーナの他に誰もおらず、声を聞く者も居ない。
「エヴァは・・・、今まで聖女様のことを考えた事もなかったのね。」
エヴァトリスの驚き様からそれは間違えないだろう。だが、今まで考えたこともないのに、あそこまでの熱が生まれ、視線が集まるのは少し不思議だった。
「これは、私がきっかけを与えた事になるのかしら・・・」
思わず自嘲の笑みが漏れる。だが、遅かれ早かれやって来た未来なのかもしれない。誰にも聞かれることのない空間でカタリーナは1人話続ける。
「・・・まだ、婚姻の取りやめは間に合うかしら」
最後にそう呟くと、落ち着いたと思っていた涙が再び溢れ始めるのだった。
呆然とした表情のエヴァトリスから出た言葉はとても小さく、無意識で出た言葉の様だった。だが、その後に続く言葉はなく、エヴァトリスはただ呆然としている。
「エヴァ・・・」
カタリーナの縋るような視線も、囁かれた言葉も今のエヴァトリスには届かない。
どれぐらいの時間を過ごしたのだろう。5分なのか10分なのか、はたまた30分以上経っているのか・・・エヴァトリスが呆然としている間、カタリーナの時間の感覚はどんどん薄れていく。気づくと目尻から一粒の涙がこぼれていた。カタリーナは慌ててそれを拭い取りエヴァトリスに視線を向けるが、エヴァトリスはそれに気づく様子もない。カタリーナは大きく息を吐き、気持ちを整える。そして
バチン
両手を合わせて大きな音を出した。
ハッとしたようにカタリーナと視線を合わせたエヴァトリスに対して、カタリーナは微笑んだ。いや、微笑んだというのには語弊があるかもしれない。正しくは口元に孤を描いた、だ。それほど近しい存在でなくても、今のカタリーナが作り笑顔であることは一目瞭然だろう。エヴァトリスは一気に表情を青くした。
「いや、リーナ。今のはっ」
言い募ろうとするエヴァトリスに対してカタリーナは聞く耳を持つ気は無いように立ち上がる。
「話し込んでいつもより時間が押してしまったみたいですね。今日はこれぐらいにしないと・・・私、明日起きられそうにないですわ。おやすみなさい。」
エヴァトリスが口を挟む暇もなく言い切ると入り口のドアを開けて退室を促す。エヴァトリスは椅子から立ち上がった姿勢であるものの、そこから動く気配がない。今のカタリーナはいつもに比べて感情的であり、止めることはできなかった。
「そういえば、借りたい本があったのを思い出したので先に失礼しますね。鍵は護衛にお願いしてください。」
エヴァトリスが出ないならば、自身が出て行くというように、カタリーナは扉に手をかける。その間もエヴァトリスは動けずにいた。エヴァトリスはかろうじて、動かすことのできた口で一言だけ告げる。
「ごめん。」
それは何に対しての謝罪なのか。エヴァトリスに背を向けているカタリーナは屈辱から涙がこぼれ落ちるのを止めることはできなかった。部屋を出てすぐ、涙を拭うこともできず歩いていた先ですれ違ったのはエヴァトリスの側使えであり、彼は驚きの表情を隠せずにいた。
特に行くあてがなかったカタリーナは、予告通り王宮の図書室を訪れていた。就寝間近であり、図書室内に他に人は見られない。それでも、誰にも会いたくなかったカタリーナは奥へ奥へと進む。そして、個室に入るとそのままドアと鍵をかけた。鍵をかけかことで、気持ちが緩んだのだろう。ポロポロと涙をこぼし始める。
護衛も、付き添いの侍女も図書室の入り口に置いてきた。この空間にはカタリーナの他に誰もおらず、声を聞く者も居ない。
「エヴァは・・・、今まで聖女様のことを考えた事もなかったのね。」
エヴァトリスの驚き様からそれは間違えないだろう。だが、今まで考えたこともないのに、あそこまでの熱が生まれ、視線が集まるのは少し不思議だった。
「これは、私がきっかけを与えた事になるのかしら・・・」
思わず自嘲の笑みが漏れる。だが、遅かれ早かれやって来た未来なのかもしれない。誰にも聞かれることのない空間でカタリーナは1人話続ける。
「・・・まだ、婚姻の取りやめは間に合うかしら」
最後にそう呟くと、落ち着いたと思っていた涙が再び溢れ始めるのだった。
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