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2章
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婚姻の準備が進められる中、聖女と正式に顔合わせをする日も近づいてくる。聖女との顔合わせに、重い気持ちを抱えるカタリーナとは別に、聖魔法の調子は少しずつ良くなっている。
そんな中、聖女の教育のため王宮を訪れていたリシャールにたまたま会った。
「あっ・・・。」
すっかりと気が抜けていたカタリーナは、予想外にみかけた見知った顔に思わず声を出し、慌てて口を手で押さえた。一瞬リシャールが口元に笑みを浮かべるが、すぐにいつもの無表情に戻る。
「お久しぶりです聖女様。」
リシャールの言葉にカタリーナもすぐに表情を戻す。
「リシャール様もお久しぶりです。今日は聖女様の所に行かれていたのですか?」
「はい。今日のカナ様とのお話しを終えて、その内容を国王様にご報告してきたところでした。」
リシャールはカタリーナの事を相変わらず『聖女』と呼ぶが異世界からの聖女の事は『カナ様』と名前で呼んでいるようだった。
「少しお伺いしたかったのですが、最近の魔法の調子はどうですか?」
当然のリシャールの問いかけにカタリーナは思わず驚きを隠せなかった。日増しに調子の上がる魔法に疑問を感じていたからだ。
「お時間がある時に、魔法について相談させてもらってもいいですか?」
カタリーナの問いかけにリシャールは快諾する。
「もちろんです。これから私は帰るだけですし、聖女様のご都合が良ければ今日でも構いませんよ。」
カタリーナはその言葉に食いついた。
「では、よろしくお願いします。」
側にいた侍女に部屋の準備を頼み護衛の1人にはエヴァトリスに伝言を頼んだ。以前リシャールと会う時には一声かけるように言われていたからだ。エヴァトリスからの返事はすぐに届いた。
「殿下はこれから外せない用事がございますので、僭越ながら私がご一緒させていただければと思います」
そう、伝言と一緒にやってきたのは、いつもの側使えだった。
「急なところでごめんなさい。ブラット様も何か予定があれば、そちら優先させてくださっても大丈夫ですよ。」
カタリーナは側仕えの名前を呼びながら問いかけるがその老人は
「大丈夫ですよ。」
と優しげな笑みを浮かべる。
「それに私がこちらの様子を確認している方が殿下もお仕事に集中できるかと思います。」
少し#戯_おど__#けたように話した事で、場の空間が穏やかになる。
侍女がお茶の準備を終えるとカタリーナはすぐに本題を話し始めた。
「以前バラと聖魔法についての話を伺ったのですが、その時よりも魔法の調子がようなっている様な気がして・・・」
どう表現して良いのか分からずカタリーナは言い淀むが、リシャールはその意を汲み続きを促す事なく話し始めた。
「見たほうが分かりやすいので、試しに魔法を使ってもらっても良いですか?」
そうは言っても、都合よく怪我した人などは居ない。何を対象に治癒魔法を施すかカタリーナが思案していると、リシャールは胸元から護身用の小さなナイフを取り出しそのまま自身の指を傷つけた。
「何をなさっているのですか!」
カタリーナは慌てて立ち上がり、大声を出した。
「この指を治してもらっても良いですか?」
リシャールは何かを気にした様子もなく淡々と話し続ける。
「対象を不明瞭なまま、魔法を発動させるよりも、この方がわかりや・・・」
カタリーナはリシャールの言葉を最後まで聞く事なく魔法を発動させる。
魔法の発動と共にカタリーナ自身が白く淡く光り始め、周りに治癒の光が浮かぶ。それはリシャールの指先に集まるものもあれば、そのまま空中を彷徨うものもある。
今まで魔法の練習に付き合ってきたリシャールだが,この様な光景を見た事はなかった。治癒を終えたカタリーナは驚きを隠せないリシャールを見ると少し困った様に微笑み周りに浮かび続けている光に視線を向ける。
「少しずつこの光が増えて来ているのです。魔法の効率もなんとなくですが上がっている気がします。といっても、ここでは治療する方がいらっしゃらないので正確なところはわかりませんが。」
カタリーナの言葉をうけリシャールはハッとしたように我に帰った。
「なんとなく予想はしていましたが・・・、これは予想以上ですね。カナ様がいらしてからですが、王宮内に留まっている聖魔法が少しずつ増えているように感じられます。特に多いのはカナ様の体の周りですね。そして、王宮内に留まっている聖魔法ですが、カタリーナ様が魔法を使うことに共鳴し補助をしてくれているようです。」
そう言いながら、リシャールは先ほどつけたはずの傷があった場所に視線を戻し
「本当に見事なものです」
と呟いた。その様子を見てカタリーナも思い出す。
「そうでした!いくら魔法の状態を確認するためとはいえ自身を傷つけるなど、そのような行為をしてはなりません。」
年上であるリシャールに対してカタリーナははっきりと物申したが、それがリシャールに響く様子はない。
「すぐに治してもらう当てがあるのですから問題はないでしょう。」
「それでも痛みはあります。ご自身の体を大切にしてください。」
リシャールの言葉にカタリーナもすぐに返事をするがやはり意味は通じない。
「痛みに関しても私が気にしないのでしたら、他の誰に迷惑もかけるわけでもないのですから問題ないでしょう。」
それを言われてしまえばそれ以上カタリーナに話すことはない。結果、カタリーナはリシャールから視線をそらし
「それでも、見ている方も痛い気持ちになるのでやめて欲しいのです」
と悔し紛れに呟いた。
それを見たリシャールは笑みを浮かべカタリーナを見つめていたが、視線をそらしていたカタリーナ本人は気づくことはなかった。ただ、同席していたエヴァトリスの侍従はその様子を見ながら「どうしたものか」と心の中で呟くのだった。
そんな中、聖女の教育のため王宮を訪れていたリシャールにたまたま会った。
「あっ・・・。」
すっかりと気が抜けていたカタリーナは、予想外にみかけた見知った顔に思わず声を出し、慌てて口を手で押さえた。一瞬リシャールが口元に笑みを浮かべるが、すぐにいつもの無表情に戻る。
「お久しぶりです聖女様。」
リシャールの言葉にカタリーナもすぐに表情を戻す。
「リシャール様もお久しぶりです。今日は聖女様の所に行かれていたのですか?」
「はい。今日のカナ様とのお話しを終えて、その内容を国王様にご報告してきたところでした。」
リシャールはカタリーナの事を相変わらず『聖女』と呼ぶが異世界からの聖女の事は『カナ様』と名前で呼んでいるようだった。
「少しお伺いしたかったのですが、最近の魔法の調子はどうですか?」
当然のリシャールの問いかけにカタリーナは思わず驚きを隠せなかった。日増しに調子の上がる魔法に疑問を感じていたからだ。
「お時間がある時に、魔法について相談させてもらってもいいですか?」
カタリーナの問いかけにリシャールは快諾する。
「もちろんです。これから私は帰るだけですし、聖女様のご都合が良ければ今日でも構いませんよ。」
カタリーナはその言葉に食いついた。
「では、よろしくお願いします。」
側にいた侍女に部屋の準備を頼み護衛の1人にはエヴァトリスに伝言を頼んだ。以前リシャールと会う時には一声かけるように言われていたからだ。エヴァトリスからの返事はすぐに届いた。
「殿下はこれから外せない用事がございますので、僭越ながら私がご一緒させていただければと思います」
そう、伝言と一緒にやってきたのは、いつもの側使えだった。
「急なところでごめんなさい。ブラット様も何か予定があれば、そちら優先させてくださっても大丈夫ですよ。」
カタリーナは側仕えの名前を呼びながら問いかけるがその老人は
「大丈夫ですよ。」
と優しげな笑みを浮かべる。
「それに私がこちらの様子を確認している方が殿下もお仕事に集中できるかと思います。」
少し#戯_おど__#けたように話した事で、場の空間が穏やかになる。
侍女がお茶の準備を終えるとカタリーナはすぐに本題を話し始めた。
「以前バラと聖魔法についての話を伺ったのですが、その時よりも魔法の調子がようなっている様な気がして・・・」
どう表現して良いのか分からずカタリーナは言い淀むが、リシャールはその意を汲み続きを促す事なく話し始めた。
「見たほうが分かりやすいので、試しに魔法を使ってもらっても良いですか?」
そうは言っても、都合よく怪我した人などは居ない。何を対象に治癒魔法を施すかカタリーナが思案していると、リシャールは胸元から護身用の小さなナイフを取り出しそのまま自身の指を傷つけた。
「何をなさっているのですか!」
カタリーナは慌てて立ち上がり、大声を出した。
「この指を治してもらっても良いですか?」
リシャールは何かを気にした様子もなく淡々と話し続ける。
「対象を不明瞭なまま、魔法を発動させるよりも、この方がわかりや・・・」
カタリーナはリシャールの言葉を最後まで聞く事なく魔法を発動させる。
魔法の発動と共にカタリーナ自身が白く淡く光り始め、周りに治癒の光が浮かぶ。それはリシャールの指先に集まるものもあれば、そのまま空中を彷徨うものもある。
今まで魔法の練習に付き合ってきたリシャールだが,この様な光景を見た事はなかった。治癒を終えたカタリーナは驚きを隠せないリシャールを見ると少し困った様に微笑み周りに浮かび続けている光に視線を向ける。
「少しずつこの光が増えて来ているのです。魔法の効率もなんとなくですが上がっている気がします。といっても、ここでは治療する方がいらっしゃらないので正確なところはわかりませんが。」
カタリーナの言葉をうけリシャールはハッとしたように我に帰った。
「なんとなく予想はしていましたが・・・、これは予想以上ですね。カナ様がいらしてからですが、王宮内に留まっている聖魔法が少しずつ増えているように感じられます。特に多いのはカナ様の体の周りですね。そして、王宮内に留まっている聖魔法ですが、カタリーナ様が魔法を使うことに共鳴し補助をしてくれているようです。」
そう言いながら、リシャールは先ほどつけたはずの傷があった場所に視線を戻し
「本当に見事なものです」
と呟いた。その様子を見てカタリーナも思い出す。
「そうでした!いくら魔法の状態を確認するためとはいえ自身を傷つけるなど、そのような行為をしてはなりません。」
年上であるリシャールに対してカタリーナははっきりと物申したが、それがリシャールに響く様子はない。
「すぐに治してもらう当てがあるのですから問題はないでしょう。」
「それでも痛みはあります。ご自身の体を大切にしてください。」
リシャールの言葉にカタリーナもすぐに返事をするがやはり意味は通じない。
「痛みに関しても私が気にしないのでしたら、他の誰に迷惑もかけるわけでもないのですから問題ないでしょう。」
それを言われてしまえばそれ以上カタリーナに話すことはない。結果、カタリーナはリシャールから視線をそらし
「それでも、見ている方も痛い気持ちになるのでやめて欲しいのです」
と悔し紛れに呟いた。
それを見たリシャールは笑みを浮かべカタリーナを見つめていたが、視線をそらしていたカタリーナ本人は気づくことはなかった。ただ、同席していたエヴァトリスの侍従はその様子を見ながら「どうしたものか」と心の中で呟くのだった。
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