13 / 19
その心の声は。第二章
ディザート・ローズ
しおりを挟む
「ディザート・ローズへの報告は済んだか?」
大阪のアジトのアパートで不機嫌そうに訊ねる伊村に劉は「ああ」と、一言だけ答えた。
「こちらの計画がダダ漏れだったのは明白だ。ジャミング装置も携帯していたのに心を読まれたとなると、新型はジャミング機能を無効に出来るようだな。厄介なことになった。これでは心を読まれずに神谷に近づくのは困難だな。」
そう言いイライラ短気な伊村は爪を噛みながら魔改造されたオリジナルのパソコンの前で今後の読心スマホ奪還の計画を考えていた。
「そうだな。ディザート・ローズもその事については危惧していた。」
劉も中国製のオリジナルパソコンでカタカタとキーボードを叩きながらディザート・ローズとチャットで連絡をとっていた。
ここでディザート・ローズについて少し触れておきたい。ディザート・ローズは俗称で国籍はアメリカ合衆国。性別は男性で40歳代後半。パソコンに精通しており、スカイハックのナンバー2と目されている人物で、レイヴンと唯一連絡が取れるとも言われている。
「こういうのはどうだ。」
伊村はディザート・ローズとチャットする劉に提案した。
「ちょい強引だが、神谷の持つ読心スマホの思念受信範囲の外から一気に間合いを詰め、読心スマホを持つ神谷ごと拉致るのはどうだ?」
自信ありげにそう計画する伊村に劉は、
「いや、それは危険だな。もうすでに神谷には日本の公安当局が張り付いていると考えた方がいい。拉致るとなれば公安も相手しなければならない。神谷一人を相手するわけじゃない。ヤバすぎるだろ。」
「じゃあ、どうしろっていうんだ!」
声を荒げる伊村に劉は冷静に答えた。
「とにかく、神谷の生態を徹底的に調べるのだ。その中で、スマホを肌身から離す時を狙う。例えば、神谷が銭湯に行った時ロッカーをこじ開けてスマホを抜き取るとか、神谷の留守をねらって、自宅部屋に盗聴器、盗撮カメラを仕込んで監視、その中で読心スマホを手離す瞬間を調べ上げ、その時に部屋に侵入してスマホを奪取する、とかな。」
「くっ!相変わらず頭のキレる奴だな。悔しいがその案に乗ろう。ディザート・ローズに今の提案を聞いてみてくれ。」
「いや、もう聞いてディザート・ローズからOKも貰ってある。今人員の調達について聞いているところだ。」
「クソッ!いちいち癪に触るヤローだな!じゃあ俺に聞くなって話だ!」
短気な伊村だが、今日は一段とキレキレ(別な意味で)であった。
「誰もお前さんには聞いていない。お前さんが勝手に話出した事ではないか。」
「うるせぇー!」
劉も黙っていればいいものを火に油を注ぐタイプなのだろう。伊村を挑発する事を少し楽しんでいる様でもあった。そして劉は人員の手配をディザート・ローズへ依頼した。その内容は尾行等、神谷の生態を調べる調査班にこの件についての内容を知らない知らせない闇サイトで雇うバイトを2名。これは公安調査庁の剣崎らがとった手法と一緒である。それと神谷の自宅への侵入、盗撮、盗聴等の機材の設置をする実行班に伊村ともう一人のスカイハックメンバー、牧野直哉という男を呼び寄せる。そして、カメラ、盗聴器設置等が済んだ後の監視班に劉の計5名による読心スマホ奪還ミッションが計画された。
「実行は準備が整い次第随時行う様に、だとよ。」
劉がディザート・ローズからのメッセージを読み上げると、伊村は面倒くさそうな顔をして、「はい、はい」と、二つ返事をした。
三日後、大阪の前川から東京の剣崎へ連絡がはいった。
「はい、そうです。伊村と劉は大阪のアジトを引き払い東京へと向かいました。おそらく神谷が所持している読心スマホの奪還を狙っての事でしょう。しかし、心を読めるスマホ。一度お目にかかりたかったです。読心スマホなる物があれば、私達の仕事も格段に捗るのですがね。」
「その節は永野がお世話になり、ご協力ありがとうございました。そうですね。ただ私共、ゴーグル社から一台読心スマホを借りているのですがコンプライアンスやモラル等に問題があるため、使っていないのですよ。使用にあたっては法的、倫理的にも問題がないか上に伺いをたてているところです。諜報機関だから法的に問題があるものを使ってもいいという根拠は私らにもないですからね。」
「確かにそうですね。読心スマホの新たな法律も必要な世の中になりそうだ。」
「日本の政治家は後手後手になるのが常です。あまり期待しない方がいいでしょうな。」
そう言うと剣崎と前川は電話口で笑いあった。そして剣崎は東京駅に伊村達スカイハックのメンバーの尾行の引き継ぎ要員を向かわせた旨を伝えた。
「伊村と劉の大阪で活動した情報は後で送信しておきます。剣崎さんのご健闘を祈ります。それでは。」
「ありがとうございます。それでは。」
剣崎はそう言うと電話の受話器を戻しデスクの椅子で大きく背伸びした。
(スカイハックめ、今度は何を企んでいるのか。読心スマホを狙ってどう動いてくるかな。)
デスクの上にあるコーヒーを飲み干し、前川から貰ったスカイハック5名の顔写真付きの資料をデスクの上に放り投げた。
大阪のアジトのアパートで不機嫌そうに訊ねる伊村に劉は「ああ」と、一言だけ答えた。
「こちらの計画がダダ漏れだったのは明白だ。ジャミング装置も携帯していたのに心を読まれたとなると、新型はジャミング機能を無効に出来るようだな。厄介なことになった。これでは心を読まれずに神谷に近づくのは困難だな。」
そう言いイライラ短気な伊村は爪を噛みながら魔改造されたオリジナルのパソコンの前で今後の読心スマホ奪還の計画を考えていた。
「そうだな。ディザート・ローズもその事については危惧していた。」
劉も中国製のオリジナルパソコンでカタカタとキーボードを叩きながらディザート・ローズとチャットで連絡をとっていた。
ここでディザート・ローズについて少し触れておきたい。ディザート・ローズは俗称で国籍はアメリカ合衆国。性別は男性で40歳代後半。パソコンに精通しており、スカイハックのナンバー2と目されている人物で、レイヴンと唯一連絡が取れるとも言われている。
「こういうのはどうだ。」
伊村はディザート・ローズとチャットする劉に提案した。
「ちょい強引だが、神谷の持つ読心スマホの思念受信範囲の外から一気に間合いを詰め、読心スマホを持つ神谷ごと拉致るのはどうだ?」
自信ありげにそう計画する伊村に劉は、
「いや、それは危険だな。もうすでに神谷には日本の公安当局が張り付いていると考えた方がいい。拉致るとなれば公安も相手しなければならない。神谷一人を相手するわけじゃない。ヤバすぎるだろ。」
「じゃあ、どうしろっていうんだ!」
声を荒げる伊村に劉は冷静に答えた。
「とにかく、神谷の生態を徹底的に調べるのだ。その中で、スマホを肌身から離す時を狙う。例えば、神谷が銭湯に行った時ロッカーをこじ開けてスマホを抜き取るとか、神谷の留守をねらって、自宅部屋に盗聴器、盗撮カメラを仕込んで監視、その中で読心スマホを手離す瞬間を調べ上げ、その時に部屋に侵入してスマホを奪取する、とかな。」
「くっ!相変わらず頭のキレる奴だな。悔しいがその案に乗ろう。ディザート・ローズに今の提案を聞いてみてくれ。」
「いや、もう聞いてディザート・ローズからOKも貰ってある。今人員の調達について聞いているところだ。」
「クソッ!いちいち癪に触るヤローだな!じゃあ俺に聞くなって話だ!」
短気な伊村だが、今日は一段とキレキレ(別な意味で)であった。
「誰もお前さんには聞いていない。お前さんが勝手に話出した事ではないか。」
「うるせぇー!」
劉も黙っていればいいものを火に油を注ぐタイプなのだろう。伊村を挑発する事を少し楽しんでいる様でもあった。そして劉は人員の手配をディザート・ローズへ依頼した。その内容は尾行等、神谷の生態を調べる調査班にこの件についての内容を知らない知らせない闇サイトで雇うバイトを2名。これは公安調査庁の剣崎らがとった手法と一緒である。それと神谷の自宅への侵入、盗撮、盗聴等の機材の設置をする実行班に伊村ともう一人のスカイハックメンバー、牧野直哉という男を呼び寄せる。そして、カメラ、盗聴器設置等が済んだ後の監視班に劉の計5名による読心スマホ奪還ミッションが計画された。
「実行は準備が整い次第随時行う様に、だとよ。」
劉がディザート・ローズからのメッセージを読み上げると、伊村は面倒くさそうな顔をして、「はい、はい」と、二つ返事をした。
三日後、大阪の前川から東京の剣崎へ連絡がはいった。
「はい、そうです。伊村と劉は大阪のアジトを引き払い東京へと向かいました。おそらく神谷が所持している読心スマホの奪還を狙っての事でしょう。しかし、心を読めるスマホ。一度お目にかかりたかったです。読心スマホなる物があれば、私達の仕事も格段に捗るのですがね。」
「その節は永野がお世話になり、ご協力ありがとうございました。そうですね。ただ私共、ゴーグル社から一台読心スマホを借りているのですがコンプライアンスやモラル等に問題があるため、使っていないのですよ。使用にあたっては法的、倫理的にも問題がないか上に伺いをたてているところです。諜報機関だから法的に問題があるものを使ってもいいという根拠は私らにもないですからね。」
「確かにそうですね。読心スマホの新たな法律も必要な世の中になりそうだ。」
「日本の政治家は後手後手になるのが常です。あまり期待しない方がいいでしょうな。」
そう言うと剣崎と前川は電話口で笑いあった。そして剣崎は東京駅に伊村達スカイハックのメンバーの尾行の引き継ぎ要員を向かわせた旨を伝えた。
「伊村と劉の大阪で活動した情報は後で送信しておきます。剣崎さんのご健闘を祈ります。それでは。」
「ありがとうございます。それでは。」
剣崎はそう言うと電話の受話器を戻しデスクの椅子で大きく背伸びした。
(スカイハックめ、今度は何を企んでいるのか。読心スマホを狙ってどう動いてくるかな。)
デスクの上にあるコーヒーを飲み干し、前川から貰ったスカイハック5名の顔写真付きの資料をデスクの上に放り投げた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
優しい雨が降る夜は
葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン
無自覚にモテる地味子に
余裕もなく翻弄されるイケメン
二人の恋は一筋縄ではいかなくて……
雨降る夜に心に届いた
優しい恋の物語
⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡
風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格
雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる