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忠珍鱈

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英のマンションに初めて連れてこられたときはその巨大さに面食らったものだったが、それも何度か来るうちに慣れてしまった。

この立体駐車場もマンションのサイズ感そのままの大きさで、英はスロープを滑らかに上っていく。

眩しいライトに照らされて、広く確保されたスペースに鎮座した車たちが浮かび上がる。来るたびに艶やかに光を跳ね返すそれらが英のと同様になかなかの高級車であることは、車に明るくない駈にでさえすぐに分かるほどだった。

英はいつものように無駄のない動きで所定の位置へと車を収めていく。
バックモニターがあるせいで英はわざわざ身体を捻って後ろを確認したりはしないが、その巧みなハンドル捌きと余裕のある横顔に駈は毎回どきりと心拍数を跳ね上げさせては、そんな自分に呆れてしまうのだった。

深夜帯ということもあり、エンジン音が消えると同時にそこは一気に静けさに包まれる。
駐車場の電灯による僅かばかりの明かりの中、駈は慎重にシートベルトを外すとドアへと手を掛けた。

と、その瞬間、目の前を覆う影。

「え、英……? うわっ!」

がくん、と座席が倒れる。

「なっ! おい、何する……んんっ」

驚いている暇もなく、上から圧し掛かってきた英にいきなり唇を奪われる。
いったんは顔を逸らしてそこから逃れたものの、
「やめろって、バカ……あっ!」
抗議の合間に大きな声が出てしまい、駈は慌てて口を手で覆った。

英の膝が、駈の足の間に器用に差し込まれていた。そしてそれが、まだ柔らかいそこを絶妙な力加減で擦り上げていく。

駈は冗談じゃない、と男を睨んだ。
だが、英はそんな視線など興奮材料にしかならないとばかりに、さっき逃げられた唇へとまたその顔を近づける。
駈はいよいよ本気で抵抗しようとしたが、そんな駈を食い止めようと、英の膝がさらにぐっと強くそこに入り込んできた。

「ひ……ッ」
上がりかけた悲鳴を、駈は何とか奥歯を噛んで堪えた。
急所を完全に相手に掴まれてしまったのだという恐怖に、頭は途端にザっと冷たくなる。だが身体の方はといえば、その多少強引な動きの中にさえ、快感を拾い始めてしまっていた。
……そして、そんな駈をやすやすと見逃してくれる英ではもちろんなく。

味をしめた彼は一層その膝の動きを凝ったものにしてきて、駈は身を捩り、必死にその狼藉に耐えようとした。
だが、一度それを『気持ち良い』と判断してしまった身体では何をやってもそうとしか受け取れず、駈はその食いしばった歯の間から鼻にかかった呻きを漏らす。ジーンズの固い布地は、もうかなり張り詰めてしまっていた。

「あっ……」

そんな甘い責め苦に耐え切れなくなった駈の口から、とうとう小さな嬌声が飛び出る。
それを見計らったかのように、英はその舌を熱い咥内へと侵入させた。


溢れんばかりに潤うそこをかき混ぜるように、英は荒々しさと繊細さを使い分けながら舌を絡ませる。はしたない音を立てれば立てるだけ、駈の下肢は大げさなほどびくびくと震えた。

駈は何とかその舌に翻弄されまいとするのだが、その先が駈の感じる場所をじっくりと味わい、それと同時に、膝で膨らんだ股間をやわやわと押しつぶされてしまうたび、真っ当な思考はじょじょに遠くへと流されていってしまう。

いよいよ腹の奥――いつも英を受け入れているその場所までもがひどく疼いてきて、駈はもうこれ以上耐えられないと、顔の横に置かれた彼の腕を握りしめた。

「なあ……っ」
「ん、なに?」

英は相変わらず腹の立つ笑みを浮かべている。
駈は顔をしかめ勝手に零れようとする喘ぎを飲み込むと、切羽詰まった声で訴えた。

「なにも、ここで、しなくたって……」

威勢よく見上げたはずの目が次第に泳ぎ、横へと逸れていく。
赤い目元と尻すぼみになっていくその言葉に、英は待ってましたとばかりにニヤリと口角を吊り上げた。

「ああ……それもそうだよな」

英はそう言うと、ぴたりとその不埒な動きをやめる。
――普段の駈であれば、それに何らかの意図があることは当然察せられたのだが……あいにく今の彼にそれだけの判断力は残っていなかった。

珍しく素直に自分の言うことを聞き入れてくれたのだと思った駈は、身体中に張り巡らせていた力を解く。

だが、その直後。
英は駈の耳の後ろから指を差し入れると、その髪の間からうなじまでを擽るように撫でさすった。

「ああ……っ!」

ぞぞぞ、と背骨を舐めるような電流が幾重にも駆け上っていく。気を抜いていた分、その痺れは瞬く間に全身に広がり、駈は慌てて身体をぎゅっと縮めてその波を耐え忍んだ。

英は必死に顔を背ける駈の、その真っ赤な耳に唇を近寄せる。

「このシチュエーションもなかなかクるけど……ここじゃ、いつもみたいに激しくできないもんな?」
駈、そういう方が好きだもんね、とさらに耳たぶを食みながら吹き込まれ、駈の身体がびくりと跳ねる。

「……っ、違う! べつに、そんなの、好きじゃ、なっ、あ……ッ!」

反論しようとするたびに膝を揺すぶられ、駈はまともに言葉が継げず、悔しさと気持ち良さの混じった目で英を弱々しく睨んだ。

そんな様子を愉しげに見つめながら、英はさらにダメ押しの一言を囁いた。

「それにさ……駈、すごく楽しみにしてたでしょ? 走っているときからずっと」

「……?」

英は目じりに浮かんだ熱い雫をぺろりと舐めると。

「だから……、するのをさ」

その台詞を言い終える前に、英は駈の首筋に顔を埋める。
そして、その生え際近くにきつく吸いつきながら、限界まで腫れあがった前の部分を膝で容赦なく擦り上げた。

表面張力でギリギリ持ちこたえていたそこに、一滴どころか溢れるほどに注がれてしまった快感に、駈のまぶたの裏にバチバチと閃光が走る。

「やっ、あッ……あああっ!」

駈は英に押さえつけられた身体を激しく波打たせると、外にまで聞こえそうなほどの高い喘ぎと共に、その熱い奔流をどっと下着の中にぶちまけた。
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