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耐えに耐え続けた末の解放感は凄まじかった。
駈は下肢全体をわななかせながら、全力疾走した後のように胸をしきりに上下させた。
「ほら、やっぱりそうじゃん」
何とか重いまぶたを持ち上げると、英が得意げな顔で笑っている。
文句の一つも言いたいのに、息が全く整わない。
駈は辛うじて頭を少し起こすと、自分の下半身へと目をやった。
とはいえこの暗闇では正直何も見えなかったが……これが明るいところなら、いくら濃い色のジーンズだとしてもそこが色を変えていることぐらいは分かってしまうだろう。
それに、ほかの感覚が遮断されている分、その濡れた感触はより生々しく、悔しいが……英の言う通り、どれほど自分が発情しているのかを駈に突きつけてくるようだった。
それだけでも羞恥で気が触れてしまいそうなのに、そんな駈へさらに追い打ちをかけるように、英は駈のその湿った股間の上を爪先でつつ、となぞる。
そして、彼の小さな頭を抱えるようにしてその耳へと唇を寄せると。
「ほんと、駈って見た目に似合わずスケベだよなぁ」
白い歯をちらつかせながら、もう楽しくてたまらないといった風情で駈を覗き込んだ。
その瞬間――駈の中の何かがブツリと切れた。
駈は顔の横の頭をぐいっと自分の方へと向ける。
「うわっ、何すんだよ駈……んっ」
さっきまでの英のような乱暴さに文句を言いかけたその唇を、駈はむしゃぶりつくようにして塞いでやる。
そして、当然のようにそこを割り開きながら、執拗に駈を弄んでいた彼の舌に、今度は自分のそれをぬるぬるとまとわりつかせた。
英はいつもキスだけで自分を良いようにしてしまうが、駈だって経験が無いわけではないのだ。いつかは英を……という気持ちはずっとどこかにあった。
技術の粋――なんてものはないが、持てるもの全てをぶつけるように、彼の舌とその口の中を丹念に愛撫する。
「……ぁ、駈……っ!」
駈が上手かったのか、それとも英もそれなりに興奮していたのか、咎める声はすでに上ずっている。
想像以上の反応に駈のテンションはますます上がっていく。駈は唇を完全に解くと、さっきの仕返しとばかりに英の下半身へと手を伸ばす。
そして、既にパンツの布地を限界まで押し上げているそこに指を食いこませた。
「駈っ! やめろって、それ……っ!」
英の焦った声がさらに駈に火をつける。より硬度を増したそこの形を指先で確かめると、駈はそこをきゅっと握る。そして、そのままその布地の上を滑らせるようにしながら、その幹を下から扱き上げた。
「う……っ、くそっ」
英はいまいましげにそう吐き捨てると、駈の手首を掴み上げる。加減を忘れたその力に、駈は痛みよりも、英に一泡吹かせてやれた嬉しさについつい口元を緩めた。
「駈、お前な……っ!」
英がこの暗闇でも分かるくらいの赤い顔で駈を睨んでいる。
駈はやった、と心の中でガッツポーズをしながら、目の前の男以上に熱くなってしまった息を吐きだした。
英は肩で息をしながら、いつもの駈のように眉を吊り上げて声を荒げた。
「それは、卑怯だろ……っ」
自分のことを棚に上げて非難してくる英に、駈も負けじと、はぁはぁと浅くなる息を押さえ込みながら反論する。
「それはお前が、あんなこと言うからだろ!」
「あんなこと……? ああ、あの『駈はスケベだよな』ってやつ?」
「……っ」
またその台詞を繰り返され、駈の顔にカッと血が上る。
だが、英はけろりと「事実でしょ?」と返すと、その手を素早く駈の股座へと滑らせてきた。
「わっ、なに……!?」
駈の声を無視して、その長い指は、また芯を持ち始めた前の部分をかすめていく。
だが、その指は以上そこに留まることはなく、わざわざ大きく迂回するように太腿を撫でさすった後、その尻の間へと潜り込んできた。
「だって……ここがさ、熱くてたまらないって顔してる」
「……ッ」
分厚い布地の上からだというのに、駈の身体は分かりやすくぶるりと震える。さらにぐっと捻じ込むようにすると、喉の奥から子犬の鳴き声のような呻きが零れた。
「もう、すぐにでも欲しい、って顔」
英はそう言ってその目をいやらしく細めると、英の視線から逃れようと逸らされた赤い顔を追いかける。
そして、甘い吐息を漏らす濡れた唇をひと舐めすると、自分の唇で軽く食んでやった。
「やめろ、すぐる……っ、あ、やだ、やだっ、ぁ……あっ!」
再び形勢が逆転し、もはや抗っているのか喘いでいるのか分からない声を上げながら、駈は英の下で身悶えていた。
英はいつも駈の奥を突き上げるのと同じリズムで指をトントンと差し込んでくる。その疑似的な動きに、駈の内壁はそこにないものを何度も虚しく絞り上げた。
またここでイってしまったら今度こそ言い逃れはできない。不名誉な烙印を押されてなるものか、と何とか堪えようとするのに、そのもどかしい刺激は駈の身体をじりじりと追い込んでいった。
一方で、英の方も焦っていた。
目の前で快感に咽ぶ駈をこれでもかと見せつけられ、しかも、駈の大胆な反撃により、自分の愚息もまた昂りに昂っていた。
このままでは持たない――そんな危機感を覚えた英は、この無益な我慢比べを終わらせようと、駈の尻を弄っていた指を引き戻す。
「……?」
顔を背けたまま、眉を寄せた駈が視線だけを英へと向ける。
……解放されたはずなのに、若干名残惜しそうな顔をするのはわざとなのだろうか。
汗に濡れ始めた前髪をかき上げ、その額にひとつキスを落とすと、駈の唇から「んっ……」と鼻にかかった喘ぎが零れ落ちる。
英はぐっと腹に力を入れてその煽情的な姿をやりすごすと、駈の上から身体を起こした。
駈は下肢全体をわななかせながら、全力疾走した後のように胸をしきりに上下させた。
「ほら、やっぱりそうじゃん」
何とか重いまぶたを持ち上げると、英が得意げな顔で笑っている。
文句の一つも言いたいのに、息が全く整わない。
駈は辛うじて頭を少し起こすと、自分の下半身へと目をやった。
とはいえこの暗闇では正直何も見えなかったが……これが明るいところなら、いくら濃い色のジーンズだとしてもそこが色を変えていることぐらいは分かってしまうだろう。
それに、ほかの感覚が遮断されている分、その濡れた感触はより生々しく、悔しいが……英の言う通り、どれほど自分が発情しているのかを駈に突きつけてくるようだった。
それだけでも羞恥で気が触れてしまいそうなのに、そんな駈へさらに追い打ちをかけるように、英は駈のその湿った股間の上を爪先でつつ、となぞる。
そして、彼の小さな頭を抱えるようにしてその耳へと唇を寄せると。
「ほんと、駈って見た目に似合わずスケベだよなぁ」
白い歯をちらつかせながら、もう楽しくてたまらないといった風情で駈を覗き込んだ。
その瞬間――駈の中の何かがブツリと切れた。
駈は顔の横の頭をぐいっと自分の方へと向ける。
「うわっ、何すんだよ駈……んっ」
さっきまでの英のような乱暴さに文句を言いかけたその唇を、駈はむしゃぶりつくようにして塞いでやる。
そして、当然のようにそこを割り開きながら、執拗に駈を弄んでいた彼の舌に、今度は自分のそれをぬるぬるとまとわりつかせた。
英はいつもキスだけで自分を良いようにしてしまうが、駈だって経験が無いわけではないのだ。いつかは英を……という気持ちはずっとどこかにあった。
技術の粋――なんてものはないが、持てるもの全てをぶつけるように、彼の舌とその口の中を丹念に愛撫する。
「……ぁ、駈……っ!」
駈が上手かったのか、それとも英もそれなりに興奮していたのか、咎める声はすでに上ずっている。
想像以上の反応に駈のテンションはますます上がっていく。駈は唇を完全に解くと、さっきの仕返しとばかりに英の下半身へと手を伸ばす。
そして、既にパンツの布地を限界まで押し上げているそこに指を食いこませた。
「駈っ! やめろって、それ……っ!」
英の焦った声がさらに駈に火をつける。より硬度を増したそこの形を指先で確かめると、駈はそこをきゅっと握る。そして、そのままその布地の上を滑らせるようにしながら、その幹を下から扱き上げた。
「う……っ、くそっ」
英はいまいましげにそう吐き捨てると、駈の手首を掴み上げる。加減を忘れたその力に、駈は痛みよりも、英に一泡吹かせてやれた嬉しさについつい口元を緩めた。
「駈、お前な……っ!」
英がこの暗闇でも分かるくらいの赤い顔で駈を睨んでいる。
駈はやった、と心の中でガッツポーズをしながら、目の前の男以上に熱くなってしまった息を吐きだした。
英は肩で息をしながら、いつもの駈のように眉を吊り上げて声を荒げた。
「それは、卑怯だろ……っ」
自分のことを棚に上げて非難してくる英に、駈も負けじと、はぁはぁと浅くなる息を押さえ込みながら反論する。
「それはお前が、あんなこと言うからだろ!」
「あんなこと……? ああ、あの『駈はスケベだよな』ってやつ?」
「……っ」
またその台詞を繰り返され、駈の顔にカッと血が上る。
だが、英はけろりと「事実でしょ?」と返すと、その手を素早く駈の股座へと滑らせてきた。
「わっ、なに……!?」
駈の声を無視して、その長い指は、また芯を持ち始めた前の部分をかすめていく。
だが、その指は以上そこに留まることはなく、わざわざ大きく迂回するように太腿を撫でさすった後、その尻の間へと潜り込んできた。
「だって……ここがさ、熱くてたまらないって顔してる」
「……ッ」
分厚い布地の上からだというのに、駈の身体は分かりやすくぶるりと震える。さらにぐっと捻じ込むようにすると、喉の奥から子犬の鳴き声のような呻きが零れた。
「もう、すぐにでも欲しい、って顔」
英はそう言ってその目をいやらしく細めると、英の視線から逃れようと逸らされた赤い顔を追いかける。
そして、甘い吐息を漏らす濡れた唇をひと舐めすると、自分の唇で軽く食んでやった。
「やめろ、すぐる……っ、あ、やだ、やだっ、ぁ……あっ!」
再び形勢が逆転し、もはや抗っているのか喘いでいるのか分からない声を上げながら、駈は英の下で身悶えていた。
英はいつも駈の奥を突き上げるのと同じリズムで指をトントンと差し込んでくる。その疑似的な動きに、駈の内壁はそこにないものを何度も虚しく絞り上げた。
またここでイってしまったら今度こそ言い逃れはできない。不名誉な烙印を押されてなるものか、と何とか堪えようとするのに、そのもどかしい刺激は駈の身体をじりじりと追い込んでいった。
一方で、英の方も焦っていた。
目の前で快感に咽ぶ駈をこれでもかと見せつけられ、しかも、駈の大胆な反撃により、自分の愚息もまた昂りに昂っていた。
このままでは持たない――そんな危機感を覚えた英は、この無益な我慢比べを終わらせようと、駈の尻を弄っていた指を引き戻す。
「……?」
顔を背けたまま、眉を寄せた駈が視線だけを英へと向ける。
……解放されたはずなのに、若干名残惜しそうな顔をするのはわざとなのだろうか。
汗に濡れ始めた前髪をかき上げ、その額にひとつキスを落とすと、駈の唇から「んっ……」と鼻にかかった喘ぎが零れ落ちる。
英はぐっと腹に力を入れてその煽情的な姿をやりすごすと、駈の上から身体を起こした。
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