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「……~~ッ!!」
腹の奥がどっと弾けるように熱くなり、その余波が隅々までを侵していく。
前でイくときのような解放感とは違う、細胞を塗り替えていくような深すぎる快感に、意識がふっと遠のく。
「あれ、駈……もしかしてイっちゃった?」
覗き込んでくる英の顔。ムカつくほどに嬉しそうなその表情を、駈は閉じかかった目でぼんやりと見上げることしか出来なかった。
もう、これ以上ここにはいられない。
英が約束を反故にすることは無いとは分かっていたが……むしろ、自分の方が耐えられなくなりそうだった。
「な、なぁ……すぐる、もう……部屋――」
その言葉を最後まで言い切る前に、英の手が駈の前へと回る。
「でも、これじゃ歩けないだろ?」
英はその大きな手で、駈の膨らんだそこをそっと包み込む。
「やっ! やだ、はなせ……っ」
まだ高みから戻り切らない状態でそんなことをされ、駈は慌ててその手を外させようとする。だが、力のろくに入っていない駈の手ではそれをどかすことなどできるはずもない。
英はその手を根元の方まで下ろすと、そのまま輪を作った指で一息に先端までを擦り上げた。
「あ……ッ!!」
脳天を直撃するような快感に、目の前にチカチカと星が飛ぶ。
「気持ちいい?」
英はそんな当たり前のことを聞きながら、ぐちゅぐちゅとそこを扱いた。
「気持ちいいなら……言って? 俺といる時の方が、楽しいって」
駈は完全に容量を超えた快感に意識を混濁させながらも、情けない顔をしている英を困った顔で見上げた。
(こいつ、まだこんなこと……)
きっとこの拷問にも近いやり取りは、駈が彼の望む言葉を吐くまで延々と続くのだろう。
駈は震える声帯をどうにか落ち着けると、懇願するようにこちらを見つめる彼へと口を開こうとした――のだが。
ぞくりと、下半身にせり上がってくるものに、馬鹿になっていた頭が一気に冷える。
その感覚は、この行為の最後に駆け上がってくるアレとは似ているようで違っていた。
もっともっと、日常的で、生理的な――
駈は顔を青ざめさせると、そこを握りしめたままの英の手へと指先を伸ばした。
「すぐるっ、やめろ!」
焦った様子の駈に、英はいつものようにその唇を柔らかく食んでやった。
最初は少しだけいじめてやるつもりだったのに、あの男――たしかタクヤ、という名前だったはずだ――の話題を自分で出した途端、忘れていたはずの嫉妬心がぶり返してきて、本気で駈を詰めてしまった。
そして、指だけで極めてしまった駈を見て、少し気分は上昇したものの……今度はいつまでたっても自分の言葉を肯定してくれない駈に、ずっと奥底に潜んでいた不安が表層へと浮き上がってきてしまった。
駈と一緒にいた時間は、高校時代の一年半と、そして今年の春から今までの間だけ。だが、駈があの男と知り合ってからの時間は、もしかしたらそれを上回るかもしれないのだ。なにせ、あの駈があそこまで懐いているのだから。
自分より駈を知っているかもしれない人間というのは、英にとっての地雷そのものだった。
なぜなら……その人間を通して、あまりに臆病過ぎた、不甲斐ない自分をまざまざと見せつけられているような気分にさせられるからだった。
「ねぇ、駈……言ってよ」
英は駈の耳元でそう囁き続ける。
だが、駈はその言葉など気にしていられるかという様子で、その急所を包む手を外させようと躍起になっていた。
店を出る前の、あの男の目が蘇る。
それはまるで、自分の身内をかっさらおうとするものへの敵意に満ちているようだった。
「駈……っ」
英は一際熱く名前を呼ぶと、無理矢理その手の中のものを扱き上げる。
「……ッ!!」
駈は唇を噛み、ぎゅっと身体を丸め、寸前のところでその激情を耐えた。
が、掴んでいた英の手首に爪を立ててしまい、ついその手を離してしまう。
英はその自由になった手で性急にボタンを解いてジッパーを下ろす。引きずり出すまでもなく飛び出してきたそれに、駈はひゅっと息を吸い込んだ。
英は駈の目をじっと見つめると、自分の腰を駈へとぐっと近づける。
そして、その滾り切ったものと駈のものをまとめて握り込むと、そのまま一思いに扱き上げた。
「っ……~~ッ!!」
駈の口から声にならない悲鳴が上がる。同時に、手の中が僅かに濡れる。
英はそれを掬い互いの幹に塗り付けると、またその二つを大きな手で握りしめた。
と、ドン、と胸に感じる衝撃。
「だめ、だめだ、すぐる……!!」
ほとんど体当たりするように、駈が英の胸を押しやっていた。
「出る、出るから……っ」
駈は背中を丸めたまま英を見上げると、半ば叫ぶようにそう訴えた。
が、英は駈の額に浮かぶ汗を唇で舐めとると、「出せばいいでしょ」とまるで取り合わない。
駈はぶるぶると首を横に振った。
「違う……っ、そっち、じゃなくって……!!」
駈は湯気が出そうなほどその顔を真っ赤にして、身体を縮こまらせている。
英はそこでやっと、駈が言わんとしていることを理解した。
……といっても、理解することと、その言い分を聞くこととは全く別のことである。
英は、自分の胸へと添えるだけになっていた駈の手を掴むと、彼の頭の横へと縫い付ける。
そして、さっきのように軽く唇を食んだ後、またその手の動きを再開させた。
「すぐる……っ! ふざけるなっ……あっ、ン……ッ!」
英の下で、駈はじたばたともがきながら英を散々に罵っている。それは癇癪を起した子供のようでもあり、だがその顔は、とても子供だなんて言えないほどに色っぽく顰められていた。
腹の奥がどっと弾けるように熱くなり、その余波が隅々までを侵していく。
前でイくときのような解放感とは違う、細胞を塗り替えていくような深すぎる快感に、意識がふっと遠のく。
「あれ、駈……もしかしてイっちゃった?」
覗き込んでくる英の顔。ムカつくほどに嬉しそうなその表情を、駈は閉じかかった目でぼんやりと見上げることしか出来なかった。
もう、これ以上ここにはいられない。
英が約束を反故にすることは無いとは分かっていたが……むしろ、自分の方が耐えられなくなりそうだった。
「な、なぁ……すぐる、もう……部屋――」
その言葉を最後まで言い切る前に、英の手が駈の前へと回る。
「でも、これじゃ歩けないだろ?」
英はその大きな手で、駈の膨らんだそこをそっと包み込む。
「やっ! やだ、はなせ……っ」
まだ高みから戻り切らない状態でそんなことをされ、駈は慌ててその手を外させようとする。だが、力のろくに入っていない駈の手ではそれをどかすことなどできるはずもない。
英はその手を根元の方まで下ろすと、そのまま輪を作った指で一息に先端までを擦り上げた。
「あ……ッ!!」
脳天を直撃するような快感に、目の前にチカチカと星が飛ぶ。
「気持ちいい?」
英はそんな当たり前のことを聞きながら、ぐちゅぐちゅとそこを扱いた。
「気持ちいいなら……言って? 俺といる時の方が、楽しいって」
駈は完全に容量を超えた快感に意識を混濁させながらも、情けない顔をしている英を困った顔で見上げた。
(こいつ、まだこんなこと……)
きっとこの拷問にも近いやり取りは、駈が彼の望む言葉を吐くまで延々と続くのだろう。
駈は震える声帯をどうにか落ち着けると、懇願するようにこちらを見つめる彼へと口を開こうとした――のだが。
ぞくりと、下半身にせり上がってくるものに、馬鹿になっていた頭が一気に冷える。
その感覚は、この行為の最後に駆け上がってくるアレとは似ているようで違っていた。
もっともっと、日常的で、生理的な――
駈は顔を青ざめさせると、そこを握りしめたままの英の手へと指先を伸ばした。
「すぐるっ、やめろ!」
焦った様子の駈に、英はいつものようにその唇を柔らかく食んでやった。
最初は少しだけいじめてやるつもりだったのに、あの男――たしかタクヤ、という名前だったはずだ――の話題を自分で出した途端、忘れていたはずの嫉妬心がぶり返してきて、本気で駈を詰めてしまった。
そして、指だけで極めてしまった駈を見て、少し気分は上昇したものの……今度はいつまでたっても自分の言葉を肯定してくれない駈に、ずっと奥底に潜んでいた不安が表層へと浮き上がってきてしまった。
駈と一緒にいた時間は、高校時代の一年半と、そして今年の春から今までの間だけ。だが、駈があの男と知り合ってからの時間は、もしかしたらそれを上回るかもしれないのだ。なにせ、あの駈があそこまで懐いているのだから。
自分より駈を知っているかもしれない人間というのは、英にとっての地雷そのものだった。
なぜなら……その人間を通して、あまりに臆病過ぎた、不甲斐ない自分をまざまざと見せつけられているような気分にさせられるからだった。
「ねぇ、駈……言ってよ」
英は駈の耳元でそう囁き続ける。
だが、駈はその言葉など気にしていられるかという様子で、その急所を包む手を外させようと躍起になっていた。
店を出る前の、あの男の目が蘇る。
それはまるで、自分の身内をかっさらおうとするものへの敵意に満ちているようだった。
「駈……っ」
英は一際熱く名前を呼ぶと、無理矢理その手の中のものを扱き上げる。
「……ッ!!」
駈は唇を噛み、ぎゅっと身体を丸め、寸前のところでその激情を耐えた。
が、掴んでいた英の手首に爪を立ててしまい、ついその手を離してしまう。
英はその自由になった手で性急にボタンを解いてジッパーを下ろす。引きずり出すまでもなく飛び出してきたそれに、駈はひゅっと息を吸い込んだ。
英は駈の目をじっと見つめると、自分の腰を駈へとぐっと近づける。
そして、その滾り切ったものと駈のものをまとめて握り込むと、そのまま一思いに扱き上げた。
「っ……~~ッ!!」
駈の口から声にならない悲鳴が上がる。同時に、手の中が僅かに濡れる。
英はそれを掬い互いの幹に塗り付けると、またその二つを大きな手で握りしめた。
と、ドン、と胸に感じる衝撃。
「だめ、だめだ、すぐる……!!」
ほとんど体当たりするように、駈が英の胸を押しやっていた。
「出る、出るから……っ」
駈は背中を丸めたまま英を見上げると、半ば叫ぶようにそう訴えた。
が、英は駈の額に浮かぶ汗を唇で舐めとると、「出せばいいでしょ」とまるで取り合わない。
駈はぶるぶると首を横に振った。
「違う……っ、そっち、じゃなくって……!!」
駈は湯気が出そうなほどその顔を真っ赤にして、身体を縮こまらせている。
英はそこでやっと、駈が言わんとしていることを理解した。
……といっても、理解することと、その言い分を聞くこととは全く別のことである。
英は、自分の胸へと添えるだけになっていた駈の手を掴むと、彼の頭の横へと縫い付ける。
そして、さっきのように軽く唇を食んだ後、またその手の動きを再開させた。
「すぐる……っ! ふざけるなっ……あっ、ン……ッ!」
英の下で、駈はじたばたともがきながら英を散々に罵っている。それは癇癪を起した子供のようでもあり、だがその顔は、とても子供だなんて言えないほどに色っぽく顰められていた。
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