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伝説の武器編 後編 ドキッ! 男だらけの試練の迷宮
誠意とは
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あらかじめ聞いていた通り、「試練の迷宮」は世界樹の根本にあった。
どういう構造になっているのかはわからないけど、幹の根本にちょうど扉がはまりそうな形の穴が空いていて、そこから地下に降りていく階段がある。
レイナルドを先頭にティナ、俺の順で階段を降りていく。
中は全て木で出来ていて、木の匂いに足元の硬いけど硬すぎないような感触がすごく不思議だ。
灯りは一切ないからレイナルドの持つ松明のそれだけが頼りになっている。
まあ、俺には「暗視」があるから本当は必要ないんだけど……。
レイナルドが階段を降りながらこちらを振り返って口を開く。
「足下にお気をつけくだされ」
「おう」「はい」
「ぬわああああぁぁぁぁっ」
言ったそばから本人が足を踏み外して転げ落ちていった。
「し、師匠っ!」
「何やってんだあいつ」
あっという間に闇の彼方へと消えていったおっさんを見送ってそうつぶやく。
松明に灯してあった火は咄嗟に魔法か何かで消したらしく、火事になったりはしていない。
俺はさっと松明を取り出すと火属性の初級魔法「ファイア」で火をつける。
初級魔法ならこれまでにもいくらかティナの前で使ってみせているので、疑問に思われることはない。
とはいっても、今のティナは落ちていったレイナルドが気がかりでそれどころじゃないだろうけどな。
ティナはその場で固まったままぽつりとつぶやいた。
「だ、大丈夫かな師匠……」
「大丈夫だろ。多分。とりあえず降りてみようぜ」
「うん」
ティナに松明を渡すと二人で階段を降りていく。
しばらくすると視界の先に階段の終わりっぽい場所があって、その後ろに広がっている空間から光が漏れていた。
先に不時着したレイナルドが松明に火を灯して待ってくれているらしい。
その空間に入っていくと、中は高さも奥行きも均等な長さの四角い部屋になっていた。
中央には台座があって、その上に水晶がはまっている。
水晶は幻想的ながらも強い光を放ち、レイナルドが手に持っている松明と一緒になってこの部屋を照らし出していた。
その台座の少し横であちこち擦りむいて痛そうなレイナルドが仁王立ちで待機している。
俺たちの姿を見ると、台座を手で示しながらレイナルドが口を開く。
「これが『試練の迷宮』の入り口です」
「それより師匠、大丈夫なんですか? その怪我ちょっと痛そうですけど」
心配そうな表情で声をかけるティナエル。
レイナルドはそれに沈痛な面持ちで答えた。
「このくらい何ともありません。今この瞬間にも魔王に苦しめられているであろう人々のことを思えば……」
「師匠……かっこいいです」
「かっこいいか?」
まあティナがそう言うならかっこいいのだろう。
俺もレイナルドを見習って魔王に苦しめられている人々を心配しなきゃな。
とはいえ、いつまでもこうしてるわけにもいかない。
俺は一つせき払いをしてから本題に入ろうと、台座を指差しながらレイナルドに話しかけた。
「で、その台座が入り口になるって?」
「はい。この水晶に手をかざせば『試練の迷宮』内にテレポートを使ったかのように飛びます」
「へえ~っすごいですね」
水晶にずいっと近づいてまじまじと眺めながら、ティナが感嘆の声をあげる。
俺は並んでその横顔を眺めながら言った。
「ま、それならさっさと行こうぜ」
「ねね、私一番にいってもいい?」
「お、おう」
「やったっ」
楽しさに膨れ上がる心を抑えきれないといった表情で迫られてしまうと、俺も承諾するしかない。
ティナは何を疑うでもない、楽しさ溢れる笑顔とまっすぐな瞳でしゅたっと水晶に手をかざした。
すると次の瞬間、ティナが円柱状の光に覆われたかと思うと、その円柱は下から上に向かって縦軸だけを短くしていく。
そして光の消えた部分から順番にティナの身体も消えていった。
人間の使う「テレポート」やダンサーズが使う転移魔法の一部と同じものか。ゼウスによって作られた転移装置ってところかな。
ティナが消えたのを確認して、レイナルドがぽつりとつぶやく。
「いつ見ても不思議なものですな。さあ、私たちも行きましょう」
「ああ」
レイナルドに続いて水晶に手をかざし、迷宮の中へと入った。
気が付くとさっきと似たような部屋の中にいた。
大きさや形、中央に水晶のはまった台座のあるところも一緒だ。ただ壁や天井、床など全ての面が石でできている。
振り返ると、唯一の出口らしき部分からはどこへ続くとも知れない通路が伸びていて、それらも視界の続く限り全ての面を石で覆われていた。
地下にある石造りの迷宮……ってところか?
とりあえずティナはどこだろうかと周囲を見渡すと、部屋の隅にいた。
壁を拳の裏でこんこんと叩いて何かを確かめているらしい。
近くに寄ってその横顔に問いかけた。
「何やってんだ?」
「あっ、ジン君。なんていうか、石でできてるなーって思って」
「おう、石だな」
「たしかにこの迷宮は全て石でできていますな」
俺のほっこりなひと時におっさんが割り込んできやがった。
いやいや待て、さすがにレイナルドは悪くないな。
まだ少し口を開けてはえーっと壁を見ているティナに声をかけた。
「よし、ぼちぼち行くか」
「うんっ」
こちらを振り向いて元気に返事をすると、ティナはさっさと通路に向かって歩き出した。
その背中を追いかけながら、レイナルドが言葉を投げる。
「お待ちください。道を間違うと大変ですから、私が先導いたします」
俺もおっさんに続いて部屋を後にした。
試練の迷宮は壁にところどころ松明が設置されていて、レイナルドがそれに次々と火を灯していくので光源に困ることはない。
レイナルドが先頭を歩き、横並びに俺とティナがその後に続く。
通路を進みながら前を向いたままレイナルドが口を開いた。
「戦わないと腕がなまりますからな。定期的にここを訪れて守護者と戦いながら松明を交換しに来ているのです」
「じゃあレイナルドの庭みたいなもんなんだな」
「さすが師匠!」
「恐縮です」
うぐぐ、なぜかティナのレイナルドに対する好感度が高い。
どちらともなく語りかけてみる。
「二人は随分と仲良くなったんだな」
「女の子にでれでれしてたジン君と違って修行の喜びを分かち合った仲だからね」
まだ根に持っていらっしゃった……。何で?
はっ、まさか俺のことが好きで嫉妬している? 迷宮攻略が終わったら俺たち結婚します的な?
いやいや待て待て、万が一にもそんなことを口走れば一生口をきいてもらえなくなるかもしれない。
そうだな。ティナの気持ちになってみよう。
レイナルドに誘われて強くなろうと一生懸命に訓練に励んでいると、街をぶらぶらしていたティナが男を連れてきた。
しかもそいつは男の俺から見てもかなりかっこいいとしよう。
もしそんなことがあったら?
ティナは悪くないな。なぜならこの世においてはティナが全ての始まりでありルールでもあるからだ。
つまり、その場合悪いのはティナをたぶらかした男ということになる。だから男をぶっ飛ばして終わりだ。
なるほどそういうことか……あれ、何でこんなことを考え始めたんだっけ?
よくわからなくなったので、とりあえずティナのご機嫌をとろうとクッキーの入った袋を取り出す。
レイナルド用とは別に自分で買いためておいた一品だ。それをティナの前に差し出した。
「まあまあ。そんなことよりこれでも食べるか?」
するとティナはそれをすっと慣れた手つきで受け取ってクッキーを取り出し、ぼりぼりとやり始めた。クックック……作戦成功だ。
だけどクッキーを食べ終わったところで俺の方を向きながら、どこかむっとした表情で口を開く。
「ジン君。最近私のこと、怒ったらとりあえずおやつを与えとけばいいやとか思ってない?」
うっ、たしかにちょっと思ってた。ていうかそれ食い終わってから言うのか。
何だかさっきより機嫌を悪くさせてしまったみたいなので、慌てて弁解しながらもうまいこと場を収める言葉を探していく。
「いやいや、そんなことないぜ? おやつはあくまで俺の気持ちっつーかね? 誠意を見せるための序章みたいな感じでさ」
「へえ、じゃあこれからもっとすごい誠意を見せてくれるんだ?」
「お、おう。楽しみにしといてくれよ」
「今までさんざんおやつはもらったから、もうすぐ第一章が始まるんだね?」
「今のところ第三章まで日程が組まれてるかな……」
「ふうん……」
半目でじとっと睨みつけてくるティナ。
こういうティナもいいなとか思いながらも冷や汗が止まらない。
どうしたもんかと思っていると、天が俺に味方をしてくれた。
前を歩くレイナルドが空いた手で俺たちを制し、声を張り上げて言った。
「守護者です! 二人ともお下がりください!」
見れば前方にある十字路の右側から「イベントモンスター」の一種、守護者が二体出てくるところだった。
ティナに松明を渡し、レイナルドは戦闘態勢に入る。
よっし、これはチャンスだな。
守護者は前に戦った炎竜とは違って生きていない。迷宮の意志のようなものに従って動く石造りの人形なのだ。
つまり俺が戦闘をしても本気を出さなければ何の問題もない。
ティナに視線をやり、背中の大剣に手をかけながら言った。
「よ~しティナ。しっかり見てろよ、これから俺の誠意第一章を」
「八双突き!」「ヴオオォォ……」
「薙ぎ払い!」「ヴオオォォ……」
その言葉で前に視線を戻すと、レイナルドが一瞬で守護者を駆逐してしまう瞬間を目撃してしまった。
嘘だろ……そう言えばあのおっさんめっちゃ強いんだったか。
もう一度ティナに向き直ると、半目でこちらを睨みつけていた。
「…………」
「い、いや~何でもない。ははは」
中々うまくいかねえなあ……。
どういう構造になっているのかはわからないけど、幹の根本にちょうど扉がはまりそうな形の穴が空いていて、そこから地下に降りていく階段がある。
レイナルドを先頭にティナ、俺の順で階段を降りていく。
中は全て木で出来ていて、木の匂いに足元の硬いけど硬すぎないような感触がすごく不思議だ。
灯りは一切ないからレイナルドの持つ松明のそれだけが頼りになっている。
まあ、俺には「暗視」があるから本当は必要ないんだけど……。
レイナルドが階段を降りながらこちらを振り返って口を開く。
「足下にお気をつけくだされ」
「おう」「はい」
「ぬわああああぁぁぁぁっ」
言ったそばから本人が足を踏み外して転げ落ちていった。
「し、師匠っ!」
「何やってんだあいつ」
あっという間に闇の彼方へと消えていったおっさんを見送ってそうつぶやく。
松明に灯してあった火は咄嗟に魔法か何かで消したらしく、火事になったりはしていない。
俺はさっと松明を取り出すと火属性の初級魔法「ファイア」で火をつける。
初級魔法ならこれまでにもいくらかティナの前で使ってみせているので、疑問に思われることはない。
とはいっても、今のティナは落ちていったレイナルドが気がかりでそれどころじゃないだろうけどな。
ティナはその場で固まったままぽつりとつぶやいた。
「だ、大丈夫かな師匠……」
「大丈夫だろ。多分。とりあえず降りてみようぜ」
「うん」
ティナに松明を渡すと二人で階段を降りていく。
しばらくすると視界の先に階段の終わりっぽい場所があって、その後ろに広がっている空間から光が漏れていた。
先に不時着したレイナルドが松明に火を灯して待ってくれているらしい。
その空間に入っていくと、中は高さも奥行きも均等な長さの四角い部屋になっていた。
中央には台座があって、その上に水晶がはまっている。
水晶は幻想的ながらも強い光を放ち、レイナルドが手に持っている松明と一緒になってこの部屋を照らし出していた。
その台座の少し横であちこち擦りむいて痛そうなレイナルドが仁王立ちで待機している。
俺たちの姿を見ると、台座を手で示しながらレイナルドが口を開く。
「これが『試練の迷宮』の入り口です」
「それより師匠、大丈夫なんですか? その怪我ちょっと痛そうですけど」
心配そうな表情で声をかけるティナエル。
レイナルドはそれに沈痛な面持ちで答えた。
「このくらい何ともありません。今この瞬間にも魔王に苦しめられているであろう人々のことを思えば……」
「師匠……かっこいいです」
「かっこいいか?」
まあティナがそう言うならかっこいいのだろう。
俺もレイナルドを見習って魔王に苦しめられている人々を心配しなきゃな。
とはいえ、いつまでもこうしてるわけにもいかない。
俺は一つせき払いをしてから本題に入ろうと、台座を指差しながらレイナルドに話しかけた。
「で、その台座が入り口になるって?」
「はい。この水晶に手をかざせば『試練の迷宮』内にテレポートを使ったかのように飛びます」
「へえ~っすごいですね」
水晶にずいっと近づいてまじまじと眺めながら、ティナが感嘆の声をあげる。
俺は並んでその横顔を眺めながら言った。
「ま、それならさっさと行こうぜ」
「ねね、私一番にいってもいい?」
「お、おう」
「やったっ」
楽しさに膨れ上がる心を抑えきれないといった表情で迫られてしまうと、俺も承諾するしかない。
ティナは何を疑うでもない、楽しさ溢れる笑顔とまっすぐな瞳でしゅたっと水晶に手をかざした。
すると次の瞬間、ティナが円柱状の光に覆われたかと思うと、その円柱は下から上に向かって縦軸だけを短くしていく。
そして光の消えた部分から順番にティナの身体も消えていった。
人間の使う「テレポート」やダンサーズが使う転移魔法の一部と同じものか。ゼウスによって作られた転移装置ってところかな。
ティナが消えたのを確認して、レイナルドがぽつりとつぶやく。
「いつ見ても不思議なものですな。さあ、私たちも行きましょう」
「ああ」
レイナルドに続いて水晶に手をかざし、迷宮の中へと入った。
気が付くとさっきと似たような部屋の中にいた。
大きさや形、中央に水晶のはまった台座のあるところも一緒だ。ただ壁や天井、床など全ての面が石でできている。
振り返ると、唯一の出口らしき部分からはどこへ続くとも知れない通路が伸びていて、それらも視界の続く限り全ての面を石で覆われていた。
地下にある石造りの迷宮……ってところか?
とりあえずティナはどこだろうかと周囲を見渡すと、部屋の隅にいた。
壁を拳の裏でこんこんと叩いて何かを確かめているらしい。
近くに寄ってその横顔に問いかけた。
「何やってんだ?」
「あっ、ジン君。なんていうか、石でできてるなーって思って」
「おう、石だな」
「たしかにこの迷宮は全て石でできていますな」
俺のほっこりなひと時におっさんが割り込んできやがった。
いやいや待て、さすがにレイナルドは悪くないな。
まだ少し口を開けてはえーっと壁を見ているティナに声をかけた。
「よし、ぼちぼち行くか」
「うんっ」
こちらを振り向いて元気に返事をすると、ティナはさっさと通路に向かって歩き出した。
その背中を追いかけながら、レイナルドが言葉を投げる。
「お待ちください。道を間違うと大変ですから、私が先導いたします」
俺もおっさんに続いて部屋を後にした。
試練の迷宮は壁にところどころ松明が設置されていて、レイナルドがそれに次々と火を灯していくので光源に困ることはない。
レイナルドが先頭を歩き、横並びに俺とティナがその後に続く。
通路を進みながら前を向いたままレイナルドが口を開いた。
「戦わないと腕がなまりますからな。定期的にここを訪れて守護者と戦いながら松明を交換しに来ているのです」
「じゃあレイナルドの庭みたいなもんなんだな」
「さすが師匠!」
「恐縮です」
うぐぐ、なぜかティナのレイナルドに対する好感度が高い。
どちらともなく語りかけてみる。
「二人は随分と仲良くなったんだな」
「女の子にでれでれしてたジン君と違って修行の喜びを分かち合った仲だからね」
まだ根に持っていらっしゃった……。何で?
はっ、まさか俺のことが好きで嫉妬している? 迷宮攻略が終わったら俺たち結婚します的な?
いやいや待て待て、万が一にもそんなことを口走れば一生口をきいてもらえなくなるかもしれない。
そうだな。ティナの気持ちになってみよう。
レイナルドに誘われて強くなろうと一生懸命に訓練に励んでいると、街をぶらぶらしていたティナが男を連れてきた。
しかもそいつは男の俺から見てもかなりかっこいいとしよう。
もしそんなことがあったら?
ティナは悪くないな。なぜならこの世においてはティナが全ての始まりでありルールでもあるからだ。
つまり、その場合悪いのはティナをたぶらかした男ということになる。だから男をぶっ飛ばして終わりだ。
なるほどそういうことか……あれ、何でこんなことを考え始めたんだっけ?
よくわからなくなったので、とりあえずティナのご機嫌をとろうとクッキーの入った袋を取り出す。
レイナルド用とは別に自分で買いためておいた一品だ。それをティナの前に差し出した。
「まあまあ。そんなことよりこれでも食べるか?」
するとティナはそれをすっと慣れた手つきで受け取ってクッキーを取り出し、ぼりぼりとやり始めた。クックック……作戦成功だ。
だけどクッキーを食べ終わったところで俺の方を向きながら、どこかむっとした表情で口を開く。
「ジン君。最近私のこと、怒ったらとりあえずおやつを与えとけばいいやとか思ってない?」
うっ、たしかにちょっと思ってた。ていうかそれ食い終わってから言うのか。
何だかさっきより機嫌を悪くさせてしまったみたいなので、慌てて弁解しながらもうまいこと場を収める言葉を探していく。
「いやいや、そんなことないぜ? おやつはあくまで俺の気持ちっつーかね? 誠意を見せるための序章みたいな感じでさ」
「へえ、じゃあこれからもっとすごい誠意を見せてくれるんだ?」
「お、おう。楽しみにしといてくれよ」
「今までさんざんおやつはもらったから、もうすぐ第一章が始まるんだね?」
「今のところ第三章まで日程が組まれてるかな……」
「ふうん……」
半目でじとっと睨みつけてくるティナ。
こういうティナもいいなとか思いながらも冷や汗が止まらない。
どうしたもんかと思っていると、天が俺に味方をしてくれた。
前を歩くレイナルドが空いた手で俺たちを制し、声を張り上げて言った。
「守護者です! 二人ともお下がりください!」
見れば前方にある十字路の右側から「イベントモンスター」の一種、守護者が二体出てくるところだった。
ティナに松明を渡し、レイナルドは戦闘態勢に入る。
よっし、これはチャンスだな。
守護者は前に戦った炎竜とは違って生きていない。迷宮の意志のようなものに従って動く石造りの人形なのだ。
つまり俺が戦闘をしても本気を出さなければ何の問題もない。
ティナに視線をやり、背中の大剣に手をかけながら言った。
「よ~しティナ。しっかり見てろよ、これから俺の誠意第一章を」
「八双突き!」「ヴオオォォ……」
「薙ぎ払い!」「ヴオオォォ……」
その言葉で前に視線を戻すと、レイナルドが一瞬で守護者を駆逐してしまう瞬間を目撃してしまった。
嘘だろ……そう言えばあのおっさんめっちゃ強いんだったか。
もう一度ティナに向き直ると、半目でこちらを睨みつけていた。
「…………」
「い、いや~何でもない。ははは」
中々うまくいかねえなあ……。
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