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伝説の武器編 後編 ドキッ! 男だらけの試練の迷宮
勇者とソフィアの邂逅
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気付けば周りを石に囲まれたダンジョンの通路にいた。さっきまでと全然変わらないようにも見えるけど、階段のようなものが目の前にある。
さっき聞いたマイアーからの情報によれば、この階段を上がって少し歩けば「試練の部屋」の前に出るそうだ。
ティナたちはその部屋の手前にある少し開けた空間でじっとしているらしい。俺を待ってくれているのだろうか。
とにかく急ごうと、階段の正面に回り込んでそれを上っていく。
階段を上りきると地下と全く変わらない光景が続いていた。
ここは通路の端で、特に変わったものは何もない一本道がずっと伸びている。壁に点在する松明に火を灯しながら歩くと、相も変わらずの硬質な足音が響く。
少し歩くと、俺の足音に釣られてか先にある十字路の左側から何かの生き物が半分ほど顔を出した。
でもすぐにただの生き物ではないことに気がつく。天使だ。
その身に纏う光はゼウスなんかよりもよほど神々しく、あどけなく輝く左眼はサキュバスよりも強力な「誘惑」を放ち、俺を「魅了」状態に陥れる。
大天使ティナエルが通路の先で俺を待ってくれていた。
いや、違うあれは下界での人間の姿か……少しの間離れ離れになっただけなのにオーラが凄すぎて見間違えてしまうな。
だけどティナは俺を見るなりさっと身体を引っ込めてしまった。
う~ん、やっぱりまだ怒ってるのかな。まあその為に贈り物を用意したんだ。
これで少しでも機嫌を直してくれればいいけど。
そう思いながら歩を進めて行き、やがてティナが顔を出していた辺りまでやってきた。
十字路に出て左側を見ると事前の情報通り部屋のような空間があり、その奥に大袈裟な装飾の施された扉がある。
その空間の中央にはレイナルドが一人で座っていた。
レイナルドは俺を見るなり立ち上がり、声をかけてくれる。
「おお、ジン殿。ご無事だったようで何よりです」
「いやちょっと落とし穴にはまっちまってな。悪い」
そう言いながらレイナルドに近寄ろうと部屋に足を踏み入れた。
そしてちょうど部屋に入った辺りで左側からいい匂いがしたので振り向く。するとそこにはティナがいた。
何だか元気がなさそうだ。腕を後ろで組み、少し陰りのある表情で俯いている。
心配だけどまずは待たせたことを謝らないと。
「ティナ。ごめんな、待たせちまって」
「別にいいけど。大丈夫だったの?」
「ああ。この通り、何ともないぜ」
ティナが心配してくれたことに喜びを感じつつガッツポーズを作る。
「そっ。ならいいけどっ」
ぷいっと勢いよくそっぽを向いてしまうティナ。
う~ん、元気なさそうに見えたけど、やっぱりまだ怒ってんのかな……。
わっかんね~。女の子の心理構造が複雑だってのは真実らしい。
「それでは入りましょうか、『試練の部屋』へ」
そう言ってレイナルドは扉に向かって歩き出す。すると同じくティナも扉に向かおうとしたので呼び止めた。
「ティナ、待ってくれ」
「なに?」
こちらを振り返ったティナの前まで行って世界樹の花を取り出す。
するとこれが何だか知っているみたいだ。ティナは開いた口を手で隠しながらつぶやく。
「世界樹の花だ……」
そのまますっと花を差し出すとティナはもう一度驚いた。今度は、胸の前まで腕を引く形で。
「えっ?」
「えっと。これさ、地下で見つけたんだ。宝箱に入ってて……。特別な効果はないみたいだからアクセサリーですらないんだけど、ティナに、に、似合いそうだし。よかったら貰ってくれないかなって」
「その、ジン君は必要ないの?」
「何が?」
「世界樹の花」
どういうことだ? 飾り以外に何か使い道があるんだろうか。
やっべえわかんねえな。キースも特別な効果はないって言ってたはずだけど。時間もないし、ここは素直にいこう。
「正直これの使い道とか知らなくてさ。だから俺が持っててもしょうがないし、どうだ? やっぱいらないか?」
「! い、いるっ!」
「お、おう」
突然ティナが声を張り上げたのでちょっとびびってしまった。何かこう、今から決戦にでもいくかのような表情だ。いや、実際に今から試練なんだけどそういうことじゃなくて……。
とまあ考えてもわからないのでとりあえず世界樹の花を渡した。
「ありがと……」
受け取ると、今度はうっとりとした表情で花を眺めるティナ。
どうやらもう怒ってはいないみたいだ。ホブゴブリンに感謝だな。
すると今度はおずおずとこちらを上目遣いでみながらティナが口を開く。
「あの、ジン君」
「どうした?」
「本当にこれの使い道、知らないの?」
そこ追究されると困るんだよなぁ。
ティナは何かを期待するような、でも聞くのは怖いといったような複雑な表情でこちらを見ている。
一瞬迷ったけど、結局はさっきみたいに素直に答えることにした。
「そうだけど……何かまずかったか? 呪いでもあるとか?」
「うっ、ううん! あの、ありがと」
「お、おう」
何がなんだかわからんけど悪くはない反応、だよな?
あれこれ思索を巡らせていると、俺たちがついてきていないことに気付いたレイナルドの声が飛んできた。
「いかが致しましたか?」
「あっ、ごめんなさい! すぐに行きます!」
ティナは花をしまうとレイナルドの声に応えて、すぐに扉に向かう。
俺はようやく許してもらえたっぽいことに一つ安堵のため息をついてから、それに続いた。
扉の前に俺とティナが並ぶと、レイナルドが扉を手で示しながら促す。
「さあ勇者殿。扉を」
その声に応じてティナが手を触れると、扉が瞬く間に光輝き、力を加えずとも勝手に開いた。
驚きの表情で俺の方を振り返ったティナに胸を張って言う。
「やっぱりティナは本当の勇者だったな」
「うん……」
両拳を胸の前で握ってガッツポーズを取るティナを尻目に、部屋に入った。
「試練の部屋」はかなりの広さがあった。端から端まで走っても一瞬ではたどり着けないほどだ。
俺たちと一緒になって部屋の中を見渡しながら、レイナルドが口を開く。
「私もこの中には初めて入りました。さて、ここからはどうすれば……」
とそこでレイナルドの言葉をティナが遮った。
「あれは?」
ティナが指さす先を見ると、俺たちがいる入り口からちょうど反対側に当たる部屋の端に何か台座のようなものがある。
特に急ぐでもなく、ゆっくりとそちらまで歩いていく。
台座は大きい台形の上に小さいそれが乗ったように隆起している地面の真ん中に立っていた。
ティナがその台座の前に立ち、俺とレイナルドが横から覗き込む。
台座には、剣の柄のようなものが刺さっていた。柄だけで刀身はない。それを眺めながらティナがつぶやく。
「これが『光輝く剣』……?」
何だか俺たちがそれに触れてはいけないような気がして、俺とレイナルドはティナがどうするかを静かに見守っている。
ティナはそんな俺たちの方に顔を向け、一つずつうなずいてから剣の柄へと手を伸ばした。するとどこからか声が聞こえてきた。
(お待ちなさい……)
「えっ!?」
ティナは伸ばした手を引っ込めて周囲をきょろきょろと見渡し始める。俺とレイナルドもそうしたところで声の主は見当たらなかった。
とはいってもまあ、この声には聞き覚えがある。ティナはあの時より落ち着いたトーンだから気づけてないみたいだけど。
(私は冒険者の行く先を示す者、ソフィア……)
「えっ、ソフィア様!?」
(そうです、私はソフィア……)
「すごいすごい! あの、私ソフィア様が好きで、ソフィア様の絵が描かれたこんぼうも持ってます!」
ティナは台座の前でぴょんぴょん飛び跳ねたりして、かなり興奮している。
仕事と言っていたのはきっとこれのことだったのだろう。ソフィア様は真面目な感じの落ち着いた声音で言葉を紡ぐ。
(ありがとうございます。そして勇者よ、この剣のことですが……)
「あの、私、ソフィア様に会いたいです! 出てきてもらえないんですか!?」
「ちょ、ちょっと落ち着けって」
慌てて止めに入るも、ティナの興奮は止まらない。頬は上気し、瞳は爛々と輝いている。そしてソフィア様も構わずに喋り続けた。
(いいのですよ。そんなティ……勇者も可愛いですからうふふじゅるり)
「今よだれ出た音しませんでした?」
「わ~ジン君聞いた!? ソフィア様に可愛いなんて言われちゃった!」
気分が高揚しすぎて収拾のつかないティナ……いいな。
とはいえ、これどうすりゃいいんだよ。
ティナとソフィア様のはちゃめちゃなやり取りは、それからしばらく続いた。
さっき聞いたマイアーからの情報によれば、この階段を上がって少し歩けば「試練の部屋」の前に出るそうだ。
ティナたちはその部屋の手前にある少し開けた空間でじっとしているらしい。俺を待ってくれているのだろうか。
とにかく急ごうと、階段の正面に回り込んでそれを上っていく。
階段を上りきると地下と全く変わらない光景が続いていた。
ここは通路の端で、特に変わったものは何もない一本道がずっと伸びている。壁に点在する松明に火を灯しながら歩くと、相も変わらずの硬質な足音が響く。
少し歩くと、俺の足音に釣られてか先にある十字路の左側から何かの生き物が半分ほど顔を出した。
でもすぐにただの生き物ではないことに気がつく。天使だ。
その身に纏う光はゼウスなんかよりもよほど神々しく、あどけなく輝く左眼はサキュバスよりも強力な「誘惑」を放ち、俺を「魅了」状態に陥れる。
大天使ティナエルが通路の先で俺を待ってくれていた。
いや、違うあれは下界での人間の姿か……少しの間離れ離れになっただけなのにオーラが凄すぎて見間違えてしまうな。
だけどティナは俺を見るなりさっと身体を引っ込めてしまった。
う~ん、やっぱりまだ怒ってるのかな。まあその為に贈り物を用意したんだ。
これで少しでも機嫌を直してくれればいいけど。
そう思いながら歩を進めて行き、やがてティナが顔を出していた辺りまでやってきた。
十字路に出て左側を見ると事前の情報通り部屋のような空間があり、その奥に大袈裟な装飾の施された扉がある。
その空間の中央にはレイナルドが一人で座っていた。
レイナルドは俺を見るなり立ち上がり、声をかけてくれる。
「おお、ジン殿。ご無事だったようで何よりです」
「いやちょっと落とし穴にはまっちまってな。悪い」
そう言いながらレイナルドに近寄ろうと部屋に足を踏み入れた。
そしてちょうど部屋に入った辺りで左側からいい匂いがしたので振り向く。するとそこにはティナがいた。
何だか元気がなさそうだ。腕を後ろで組み、少し陰りのある表情で俯いている。
心配だけどまずは待たせたことを謝らないと。
「ティナ。ごめんな、待たせちまって」
「別にいいけど。大丈夫だったの?」
「ああ。この通り、何ともないぜ」
ティナが心配してくれたことに喜びを感じつつガッツポーズを作る。
「そっ。ならいいけどっ」
ぷいっと勢いよくそっぽを向いてしまうティナ。
う~ん、元気なさそうに見えたけど、やっぱりまだ怒ってんのかな……。
わっかんね~。女の子の心理構造が複雑だってのは真実らしい。
「それでは入りましょうか、『試練の部屋』へ」
そう言ってレイナルドは扉に向かって歩き出す。すると同じくティナも扉に向かおうとしたので呼び止めた。
「ティナ、待ってくれ」
「なに?」
こちらを振り返ったティナの前まで行って世界樹の花を取り出す。
するとこれが何だか知っているみたいだ。ティナは開いた口を手で隠しながらつぶやく。
「世界樹の花だ……」
そのまますっと花を差し出すとティナはもう一度驚いた。今度は、胸の前まで腕を引く形で。
「えっ?」
「えっと。これさ、地下で見つけたんだ。宝箱に入ってて……。特別な効果はないみたいだからアクセサリーですらないんだけど、ティナに、に、似合いそうだし。よかったら貰ってくれないかなって」
「その、ジン君は必要ないの?」
「何が?」
「世界樹の花」
どういうことだ? 飾り以外に何か使い道があるんだろうか。
やっべえわかんねえな。キースも特別な効果はないって言ってたはずだけど。時間もないし、ここは素直にいこう。
「正直これの使い道とか知らなくてさ。だから俺が持っててもしょうがないし、どうだ? やっぱいらないか?」
「! い、いるっ!」
「お、おう」
突然ティナが声を張り上げたのでちょっとびびってしまった。何かこう、今から決戦にでもいくかのような表情だ。いや、実際に今から試練なんだけどそういうことじゃなくて……。
とまあ考えてもわからないのでとりあえず世界樹の花を渡した。
「ありがと……」
受け取ると、今度はうっとりとした表情で花を眺めるティナ。
どうやらもう怒ってはいないみたいだ。ホブゴブリンに感謝だな。
すると今度はおずおずとこちらを上目遣いでみながらティナが口を開く。
「あの、ジン君」
「どうした?」
「本当にこれの使い道、知らないの?」
そこ追究されると困るんだよなぁ。
ティナは何かを期待するような、でも聞くのは怖いといったような複雑な表情でこちらを見ている。
一瞬迷ったけど、結局はさっきみたいに素直に答えることにした。
「そうだけど……何かまずかったか? 呪いでもあるとか?」
「うっ、ううん! あの、ありがと」
「お、おう」
何がなんだかわからんけど悪くはない反応、だよな?
あれこれ思索を巡らせていると、俺たちがついてきていないことに気付いたレイナルドの声が飛んできた。
「いかが致しましたか?」
「あっ、ごめんなさい! すぐに行きます!」
ティナは花をしまうとレイナルドの声に応えて、すぐに扉に向かう。
俺はようやく許してもらえたっぽいことに一つ安堵のため息をついてから、それに続いた。
扉の前に俺とティナが並ぶと、レイナルドが扉を手で示しながら促す。
「さあ勇者殿。扉を」
その声に応じてティナが手を触れると、扉が瞬く間に光輝き、力を加えずとも勝手に開いた。
驚きの表情で俺の方を振り返ったティナに胸を張って言う。
「やっぱりティナは本当の勇者だったな」
「うん……」
両拳を胸の前で握ってガッツポーズを取るティナを尻目に、部屋に入った。
「試練の部屋」はかなりの広さがあった。端から端まで走っても一瞬ではたどり着けないほどだ。
俺たちと一緒になって部屋の中を見渡しながら、レイナルドが口を開く。
「私もこの中には初めて入りました。さて、ここからはどうすれば……」
とそこでレイナルドの言葉をティナが遮った。
「あれは?」
ティナが指さす先を見ると、俺たちがいる入り口からちょうど反対側に当たる部屋の端に何か台座のようなものがある。
特に急ぐでもなく、ゆっくりとそちらまで歩いていく。
台座は大きい台形の上に小さいそれが乗ったように隆起している地面の真ん中に立っていた。
ティナがその台座の前に立ち、俺とレイナルドが横から覗き込む。
台座には、剣の柄のようなものが刺さっていた。柄だけで刀身はない。それを眺めながらティナがつぶやく。
「これが『光輝く剣』……?」
何だか俺たちがそれに触れてはいけないような気がして、俺とレイナルドはティナがどうするかを静かに見守っている。
ティナはそんな俺たちの方に顔を向け、一つずつうなずいてから剣の柄へと手を伸ばした。するとどこからか声が聞こえてきた。
(お待ちなさい……)
「えっ!?」
ティナは伸ばした手を引っ込めて周囲をきょろきょろと見渡し始める。俺とレイナルドもそうしたところで声の主は見当たらなかった。
とはいってもまあ、この声には聞き覚えがある。ティナはあの時より落ち着いたトーンだから気づけてないみたいだけど。
(私は冒険者の行く先を示す者、ソフィア……)
「えっ、ソフィア様!?」
(そうです、私はソフィア……)
「すごいすごい! あの、私ソフィア様が好きで、ソフィア様の絵が描かれたこんぼうも持ってます!」
ティナは台座の前でぴょんぴょん飛び跳ねたりして、かなり興奮している。
仕事と言っていたのはきっとこれのことだったのだろう。ソフィア様は真面目な感じの落ち着いた声音で言葉を紡ぐ。
(ありがとうございます。そして勇者よ、この剣のことですが……)
「あの、私、ソフィア様に会いたいです! 出てきてもらえないんですか!?」
「ちょ、ちょっと落ち着けって」
慌てて止めに入るも、ティナの興奮は止まらない。頬は上気し、瞳は爛々と輝いている。そしてソフィア様も構わずに喋り続けた。
(いいのですよ。そんなティ……勇者も可愛いですからうふふじゅるり)
「今よだれ出た音しませんでした?」
「わ~ジン君聞いた!? ソフィア様に可愛いなんて言われちゃった!」
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