145 / 207
世界の真実編 前編 世界の真実とそれぞれの「これから」
ラッドとロザリアの未来(これから)
しおりを挟む
半ばパーティーの二次会のような雰囲気となった歓談も終わり、全員がそれぞれの部屋で寝静まった頃、ロザリアもあれこれと就寝の準備を進めていた。今は化粧台の前に座り、鏡を見ながら髪を梳かしているところだ。
艶のある黒髪が櫛に絡まってはまた静かに解きほぐされていく。その営みを繰り返しながらロザリアは何か物思いにふけっている様子で目は伏せられ、長いまつ毛の下からはどこか物憂げな瞳が覗いている。
そんな時、部屋の扉を小さく二回叩く音が聞こえてきた。周囲に些細な物音でもあれば埋もれてしまいそうな音量だ。
こんな時間に誰が……など、考えるべくもない。
すぐに顔をあげて扉の方に視線を向けたロザリアの頬はほんのりと赤く染まり、瞳は月明かりをその中に集めたかのように輝き始めた。
「ロザリア、僕だよ」
部屋の中にいる相手を安心させるかのように優しく囁かれたその言葉に、ロザリアは立ち上がって扉の方へと駆け出した。そしてそれが開くと同時にその先にいた人物の胸に勢いよく飛び込んでいく。
「お待ちしておりましたわ、ラッド様」
「う、うむ。僕がいなくて寂しかったかい?」
「ええ、とっても。今、正にラッド様のことを考えておりました」
思わぬ歓迎のうえ、べたべたに甘えてくるロザリアにたじたじなラッドである。紡がれる言葉も、照れと動揺で震えてしまっていた。
「ととととりあえず中にはひ、入ろうじゃないか」
「はい」
とても幸せそうな笑顔で返事をしたロザリアは、ラッドから身体を離して部屋の中に入りベッドに腰かける。
ラッドもロザリアの隣に座ると、目線を合わせてから口を開いた。
「そそそっ、それでぼぼぼぼびのこここ」
「ラッド様、落ち着いてくださいな。何を言っているのかまるでわかりませんわ」
くすくすと上品に笑うロザリアに、ラッドは顔を赤くしながらも深呼吸を繰り返す。やがてそれが落ち着くと、気取った仕草で前髪をかきあげながら言った。
「僕のことを考えてくれていたなんて嬉しいよ、ロザリア。僕もずっと君のことを考えていて、いてもたっても居られなくなってここへ来たのさ」
「まあ、ありがとうございます」
頬に手を当てて喜ぶロザリア。しかしそこで不意に頬を赤らめて、もじもじとしながら続けた。
「それは、その……私たちのこれからのことも、考えてくださっていたということでしょうか」
「うむ」
「…………!」
ロザリアは勢いよくラッドの方へと振り向き、うっとりとした表情を見せる。月明かりや外の街灯に反射して照らし出される瞳が、期待と喜びに揺れていた。
二人はジンの行動に触発を受けたのである。
もちろん、これまでも旅が終わった後のことを考えていなかったわけではないのだが、改めて気持ちを伝えたり、正式に恋人同士になって結婚を……というのは、今すぐに行動に移す必要はないのではないか、と心のどこかで思っていた。
つまり、勇気のいる行動を先送りにしていたのである。
しかしこれまで勇気がなくて行動を起こせない者たちの代表格とも言えたジンがまさかの告白を敢行したことで、周囲の者たちは多大なる衝撃を受けた。
ラッドも、ロザリアも。部屋で一人きりになった際に自然と将来のことを考え、自分も行動を起こさねばと思わされたのであった。
ラッドもロザリアの方に身体を向けると、その両肩をそっと掴む。細く柔らかい感触に鼓動が跳ねるも、ラッドは気をしっかりと保った。
それからしっかりとロザリアの潤んだ瞳を見据え、言葉がうわずったりしないように深く、深く呼吸をしてから口を開く。
「ロザリア」
「はい」
「魔王との戦いから無事に帰ってくることが出来たら、僕と……」
ラッドはそこで右手をロザリアの肩から外して、懐から手のひらに収まる大きさの箱を取り出した。そして左手も肩から外して箱を開けると、中には宝石の付いた指輪が入っていた。
「まあ」と両手で口を覆う仕草をしたロザリアに、ラッドは続ける。
「結婚してくれないか」
その時ロザリアの心の中で教会の鐘の音が盛大に鳴り響いた。視界の隅には花が咲き、白い鳩たちが大空へと羽ばたいていく。
鐘の音が落ち着くと次にオーケストラの演奏が開始される。曲目は、結婚式と言えば誰しもがそれを思い浮かべるような定番のものだ。とはいえ、これらは身も蓋もない言い方をしてしまえばただの妄想だった。
うっとりと自分を見つめたまま固まったロザリアを不思議に思うものの、返事を急かすわけにもいかない。恥ずかしさを覚えながらも、ラッドはその時をじっくりと待ち続ける。
やがて脳内交響楽団による演奏が終わったらしく、現実に帰還したロザリアが気品のある笑みを浮かべ、その場で一礼をしながら返事を口にした。
「不束者ですが……よろしくお願いします」
ラッドは立ち上がってガッツポーズを取りながら叫びたい衝動に駆られた。だがここでそれをやってしまっては雰囲気をぶち壊しにしてしまうだろうという判断を冷静に下した彼は、ふと一つの疑問に突き当たる。
あれ、この後ってどうすればいいんだい? と。
人によっては「いや~よかったよかった本当に緊張したよ~」と、後日談あるいは感想戦的な会話に移行するのかもしれない。だが、ラッドにそのような選択肢はない。あくまで彼基準でかっこよく告白の場面を終えたいのである。
そうして必死に思考を巡らせた末、ラッドはある結論に達した。
キスしかない……と。
すでに実家でロザリアと経験済みではあるもののまだ一度しかなくやはり緊張はするが、四の五の言わずやるしかない。それに気のせいかもしれないが、返事を終えたロザリアも、何かを期待するような眼差しをこちらに向けている。
ラッドは指輪の入った箱を閉じてそっと片隅にやると、もう一度ロザリアの両肩に手を置いた。
ロザリアが目を閉じる。ラッドは生唾を飲み込み、脈が急激に速まる音が身体の内から響いてくるのを聞きながら顔を相手の方へ近付けていく。
二人の唇がゆっくりと重なった。
ラッドとロザリア、人生二度目となる真正面キスの慣行である。
だがラッドはそこから先へ……大人のそれへと移行する勇気がなく、あくまで唇が触れ合うだけのものとなった。
やがて顔を離すと、ロザリアは少しだけ残念そうな顔をする。しかし、そんなラッドの意気地のない行動にすっかり慣れてしまっている彼女はすぐに、男性なら誰もが心臓を射抜かれてしまうような魅惑的な笑みを浮かべて言った。
「『この先』も……ずっとお待ちしておりますわ、ラッド様」
翌日。魔王城の地図を手に入れた一行は一旦ミツメへ帰還すべくフェニックスに乗って空を飛んでいた。フェニックスの頭付近にティナ、ロザリア、エリスの女性陣が固まり、背中の中心辺りにジンとラッドが座っている。
高いところが苦手なラッドだが、どうやら背中の中心辺りなら下の風景も見えにくく、何とか乗れるらしい。そんなお調子者は早速、昨日の話を青ざめた顔でジンに話しているところだった。
「そんなわけで、遂に僕はロザリアとの婚約を果たしたのさ」
「え、恋人になってないのにいきなり婚約したのか?」
「いやもう僕とロザリアは恋人も同然だからね……細かいことはいいのさ」
「まあお前らがそれでいいならいいけどよ」
ジンたちの声は風切り音に紛れて、女性陣の元にたどり着くことはない。割と堂々と内緒話が出来るのである。そこでジンはそっとラッドの顔を覗き込みながら、恐る恐るといった感じで尋ねた。
「そっ、それで……その後はどうしたんだ?」
「君ぃ、決まってるだろう?」
ちっち、と人差し指を左右に振って、ラッドは続ける。
「キスをしたのさ。二度目のね」
「あああああ!!!! ばかやろぉ! 本当にお前ばかやろぉ!」
顔を両手で覆ったまま、フェニックスの背中の上を転げ回るジン。そこにフェニックスから声がかかる。
『おい、ジンか? 私の背中のうえであまり暴れ回るな』
「悪い悪い」
ちなみに基本的にフェニックスは心の声で会話をしている。これは恐らく神聖魔法によるもので「テレパシー」や「コンタクト」とはまた性質が異なるようだ。特定の人物にしか聞こえないようにしたり、逆に周囲にいる全員に聞こえるようにも出来るらしく、今のは後者だったらしい。
前方にいる女性陣の注目を集めながらジンが起き上がると、ラッドはもう全て言い終えたといわんばかりに寝転んでいた。
「ふっ、とにかくだ。ジンも頑張りたまえ……」
「お、おう」
昨日のことは誰にも話してないけど、この様子だと察してそうだな……と、ジンは芋虫のようになったラッドを眺めながら独り言ちる。
結局、昨日はあれから二人きりで会話をする機会はなかった。とはいえみんながいてくれてティナも楽しそうだったから、それでいいか、とジンそう思いながら前方にいる彼女に視線をやる。
するとちょうどティナもジンの方を振り返り、目が合ってしまう。
互いに一瞬固まったものの、すぐにティナが恥ずかしそうに微笑みながら胸の前で手を小さく振った。ジンも手を振り返すが、顔がどんどん熱くなっていくのを感じたので身体ごと逆に向ける。
そこにフェニックスの声が鋭く響き渡ってきた。
『今イチャイチャの気配がした気がするのだが……。ちゃんと後で詳しく報告するのだぞ』
「何でだよ! ていうかうるせえよ!」
ティナは前を向いたまま俯いて顔を赤らめ、ロザリアは苦笑しながらその横顔を見つめている。エリスは余計なこと言わずにそっとしておきなさいよ……と、フェニックスの後頭部を睨みつけていたのであった。
艶のある黒髪が櫛に絡まってはまた静かに解きほぐされていく。その営みを繰り返しながらロザリアは何か物思いにふけっている様子で目は伏せられ、長いまつ毛の下からはどこか物憂げな瞳が覗いている。
そんな時、部屋の扉を小さく二回叩く音が聞こえてきた。周囲に些細な物音でもあれば埋もれてしまいそうな音量だ。
こんな時間に誰が……など、考えるべくもない。
すぐに顔をあげて扉の方に視線を向けたロザリアの頬はほんのりと赤く染まり、瞳は月明かりをその中に集めたかのように輝き始めた。
「ロザリア、僕だよ」
部屋の中にいる相手を安心させるかのように優しく囁かれたその言葉に、ロザリアは立ち上がって扉の方へと駆け出した。そしてそれが開くと同時にその先にいた人物の胸に勢いよく飛び込んでいく。
「お待ちしておりましたわ、ラッド様」
「う、うむ。僕がいなくて寂しかったかい?」
「ええ、とっても。今、正にラッド様のことを考えておりました」
思わぬ歓迎のうえ、べたべたに甘えてくるロザリアにたじたじなラッドである。紡がれる言葉も、照れと動揺で震えてしまっていた。
「ととととりあえず中にはひ、入ろうじゃないか」
「はい」
とても幸せそうな笑顔で返事をしたロザリアは、ラッドから身体を離して部屋の中に入りベッドに腰かける。
ラッドもロザリアの隣に座ると、目線を合わせてから口を開いた。
「そそそっ、それでぼぼぼぼびのこここ」
「ラッド様、落ち着いてくださいな。何を言っているのかまるでわかりませんわ」
くすくすと上品に笑うロザリアに、ラッドは顔を赤くしながらも深呼吸を繰り返す。やがてそれが落ち着くと、気取った仕草で前髪をかきあげながら言った。
「僕のことを考えてくれていたなんて嬉しいよ、ロザリア。僕もずっと君のことを考えていて、いてもたっても居られなくなってここへ来たのさ」
「まあ、ありがとうございます」
頬に手を当てて喜ぶロザリア。しかしそこで不意に頬を赤らめて、もじもじとしながら続けた。
「それは、その……私たちのこれからのことも、考えてくださっていたということでしょうか」
「うむ」
「…………!」
ロザリアは勢いよくラッドの方へと振り向き、うっとりとした表情を見せる。月明かりや外の街灯に反射して照らし出される瞳が、期待と喜びに揺れていた。
二人はジンの行動に触発を受けたのである。
もちろん、これまでも旅が終わった後のことを考えていなかったわけではないのだが、改めて気持ちを伝えたり、正式に恋人同士になって結婚を……というのは、今すぐに行動に移す必要はないのではないか、と心のどこかで思っていた。
つまり、勇気のいる行動を先送りにしていたのである。
しかしこれまで勇気がなくて行動を起こせない者たちの代表格とも言えたジンがまさかの告白を敢行したことで、周囲の者たちは多大なる衝撃を受けた。
ラッドも、ロザリアも。部屋で一人きりになった際に自然と将来のことを考え、自分も行動を起こさねばと思わされたのであった。
ラッドもロザリアの方に身体を向けると、その両肩をそっと掴む。細く柔らかい感触に鼓動が跳ねるも、ラッドは気をしっかりと保った。
それからしっかりとロザリアの潤んだ瞳を見据え、言葉がうわずったりしないように深く、深く呼吸をしてから口を開く。
「ロザリア」
「はい」
「魔王との戦いから無事に帰ってくることが出来たら、僕と……」
ラッドはそこで右手をロザリアの肩から外して、懐から手のひらに収まる大きさの箱を取り出した。そして左手も肩から外して箱を開けると、中には宝石の付いた指輪が入っていた。
「まあ」と両手で口を覆う仕草をしたロザリアに、ラッドは続ける。
「結婚してくれないか」
その時ロザリアの心の中で教会の鐘の音が盛大に鳴り響いた。視界の隅には花が咲き、白い鳩たちが大空へと羽ばたいていく。
鐘の音が落ち着くと次にオーケストラの演奏が開始される。曲目は、結婚式と言えば誰しもがそれを思い浮かべるような定番のものだ。とはいえ、これらは身も蓋もない言い方をしてしまえばただの妄想だった。
うっとりと自分を見つめたまま固まったロザリアを不思議に思うものの、返事を急かすわけにもいかない。恥ずかしさを覚えながらも、ラッドはその時をじっくりと待ち続ける。
やがて脳内交響楽団による演奏が終わったらしく、現実に帰還したロザリアが気品のある笑みを浮かべ、その場で一礼をしながら返事を口にした。
「不束者ですが……よろしくお願いします」
ラッドは立ち上がってガッツポーズを取りながら叫びたい衝動に駆られた。だがここでそれをやってしまっては雰囲気をぶち壊しにしてしまうだろうという判断を冷静に下した彼は、ふと一つの疑問に突き当たる。
あれ、この後ってどうすればいいんだい? と。
人によっては「いや~よかったよかった本当に緊張したよ~」と、後日談あるいは感想戦的な会話に移行するのかもしれない。だが、ラッドにそのような選択肢はない。あくまで彼基準でかっこよく告白の場面を終えたいのである。
そうして必死に思考を巡らせた末、ラッドはある結論に達した。
キスしかない……と。
すでに実家でロザリアと経験済みではあるもののまだ一度しかなくやはり緊張はするが、四の五の言わずやるしかない。それに気のせいかもしれないが、返事を終えたロザリアも、何かを期待するような眼差しをこちらに向けている。
ラッドは指輪の入った箱を閉じてそっと片隅にやると、もう一度ロザリアの両肩に手を置いた。
ロザリアが目を閉じる。ラッドは生唾を飲み込み、脈が急激に速まる音が身体の内から響いてくるのを聞きながら顔を相手の方へ近付けていく。
二人の唇がゆっくりと重なった。
ラッドとロザリア、人生二度目となる真正面キスの慣行である。
だがラッドはそこから先へ……大人のそれへと移行する勇気がなく、あくまで唇が触れ合うだけのものとなった。
やがて顔を離すと、ロザリアは少しだけ残念そうな顔をする。しかし、そんなラッドの意気地のない行動にすっかり慣れてしまっている彼女はすぐに、男性なら誰もが心臓を射抜かれてしまうような魅惑的な笑みを浮かべて言った。
「『この先』も……ずっとお待ちしておりますわ、ラッド様」
翌日。魔王城の地図を手に入れた一行は一旦ミツメへ帰還すべくフェニックスに乗って空を飛んでいた。フェニックスの頭付近にティナ、ロザリア、エリスの女性陣が固まり、背中の中心辺りにジンとラッドが座っている。
高いところが苦手なラッドだが、どうやら背中の中心辺りなら下の風景も見えにくく、何とか乗れるらしい。そんなお調子者は早速、昨日の話を青ざめた顔でジンに話しているところだった。
「そんなわけで、遂に僕はロザリアとの婚約を果たしたのさ」
「え、恋人になってないのにいきなり婚約したのか?」
「いやもう僕とロザリアは恋人も同然だからね……細かいことはいいのさ」
「まあお前らがそれでいいならいいけどよ」
ジンたちの声は風切り音に紛れて、女性陣の元にたどり着くことはない。割と堂々と内緒話が出来るのである。そこでジンはそっとラッドの顔を覗き込みながら、恐る恐るといった感じで尋ねた。
「そっ、それで……その後はどうしたんだ?」
「君ぃ、決まってるだろう?」
ちっち、と人差し指を左右に振って、ラッドは続ける。
「キスをしたのさ。二度目のね」
「あああああ!!!! ばかやろぉ! 本当にお前ばかやろぉ!」
顔を両手で覆ったまま、フェニックスの背中の上を転げ回るジン。そこにフェニックスから声がかかる。
『おい、ジンか? 私の背中のうえであまり暴れ回るな』
「悪い悪い」
ちなみに基本的にフェニックスは心の声で会話をしている。これは恐らく神聖魔法によるもので「テレパシー」や「コンタクト」とはまた性質が異なるようだ。特定の人物にしか聞こえないようにしたり、逆に周囲にいる全員に聞こえるようにも出来るらしく、今のは後者だったらしい。
前方にいる女性陣の注目を集めながらジンが起き上がると、ラッドはもう全て言い終えたといわんばかりに寝転んでいた。
「ふっ、とにかくだ。ジンも頑張りたまえ……」
「お、おう」
昨日のことは誰にも話してないけど、この様子だと察してそうだな……と、ジンは芋虫のようになったラッドを眺めながら独り言ちる。
結局、昨日はあれから二人きりで会話をする機会はなかった。とはいえみんながいてくれてティナも楽しそうだったから、それでいいか、とジンそう思いながら前方にいる彼女に視線をやる。
するとちょうどティナもジンの方を振り返り、目が合ってしまう。
互いに一瞬固まったものの、すぐにティナが恥ずかしそうに微笑みながら胸の前で手を小さく振った。ジンも手を振り返すが、顔がどんどん熱くなっていくのを感じたので身体ごと逆に向ける。
そこにフェニックスの声が鋭く響き渡ってきた。
『今イチャイチャの気配がした気がするのだが……。ちゃんと後で詳しく報告するのだぞ』
「何でだよ! ていうかうるせえよ!」
ティナは前を向いたまま俯いて顔を赤らめ、ロザリアは苦笑しながらその横顔を見つめている。エリスは余計なこと言わずにそっとしておきなさいよ……と、フェニックスの後頭部を睨みつけていたのであった。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。
『辺境伯一家の領地繁栄記』スキル育成記~最強双子、成長中~
鈴白理人
ファンタジー
ラザナキア王国の国民は【スキルツリー】という女神の加護を持つ。
そんな国の北に住むアクアオッジ辺境伯一家も例外ではなく、父は【掴みスキル】母は【育成スキル】の持ち主。
母のスキルのせいか、一家の子供たちは生まれたころから、派生スキルがポコポコ枝分かれし、スキルレベルもぐんぐん上がっていった。
双子で生まれた末っ子、兄のウィルフレッドの【精霊スキル】、妹のメリルの【魔法スキル】も例外なくレベルアップし、十五歳となった今、学園入学の秒読み段階を迎えていた──
前作→『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
大国に囲まれた小国の「魔素無し第四王子」戦記(最強部隊を率いて新王国樹立へ)
たぬころまんじゅう
ファンタジー
小国の第四王子アルス。魔素による身体強化が当たり前の時代に、王族で唯一魔素が無い王子として生まれた彼は、蔑まれる毎日だった。
しかしある日、ひょんなことから無限に湧き出る魔素を身体に取り込んでしまった。その日を境に彼の人生は劇的に変わっていく。
士官学校に入り「戦略」「戦術」「武術」を学び、仲間を集めたアルスは隊を結成。アルス隊が功績を挙げ、軍の中で大きな存在になっていくと様々なことに巻き込まれていく。
領地経営、隣国との戦争、反乱、策略、ガーネット教や3大ギルドによる陰謀にちらつく大国の影。様々な経験を経て「最強部隊」と呼ばれたアルス隊は遂に新王国樹立へ。
異能バトル×神算鬼謀の戦略・戦術バトル!
圧倒的不利な状況を武と知略で切り抜ける!
☆史実に基づいた戦史、宗教史、過去から現代の政治や思想、経済を取り入れて書いた大河ドラマをお楽しみください☆
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
たまご
ファンタジー
アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。
最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。
猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!!
「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。
家の庭にダンジョンができたので、会社辞めました。
希羽
ファンタジー
都内のブラックIT企業で働く社畜・佐藤健太(27歳)。
手取り18万、残業100時間。唯一の資産は、亡き祖母から相続した郊外のボロ戸建てだけ。
「このまま死ぬのかな……」
そう絶望していたある夜、庭の物置の裏に謎の穴が出現する。
そこは、なぜか最弱モンスターしか出ないのに、ドロップアイテムだけは最高ランクという、奇跡のボーナスダンジョンだった。
試しにスライムを叩いたら、出てきた宝石の査定額はなんと――【1,000,000円】。
「……え、これ一個で、俺の年収の3分の1?」
スマホアプリで即換金、ドローン配送で手間いらず。
たった10分の庭仕事で5000万円を稼ぎ出した健太は、翌朝、上司に辞表を叩きつけることを決意する。
※本作は小説家になろうでも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる