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83 元の世界へ
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”緊急事態発生、緊急事態発生。全員速やかに退避して下さい”
「コクル、俺達で空間の穴を塞ぐから、そこのドアのロックを解除してくれ。ドアを解除したら直ぐに逃げろ」
「・・・・潔く諦めましょう、オーク。あははははは、良く考えたら、星雲規模での崩壊が起こるのに、警報なんて意味が無いわよね。うん、警報解除」
”プチ”
コクルが操作卓のスイッチを押すと、室内が静まり返った。
逃げる準備を始めていた者達は、立ち上がったまま、まだ赤い点滅を続けている警告のランプを睨んで考え込んでいる。
コクルが操作卓のマイクのスイッチを入れた。
「あー、テス、テス、テス、隊長のコクルです。今の警報は本物です」
『うわっ』
「えー、でも慌てないで下さい。私の計算では、爆発が発生するまで半日程の猶予がある筈です」
『ほっ』
「爆発の規模は、この星の近辺の星雲が四~五個が一瞬で消滅してしまう規模です。ですから皆さん、心置き無い半日を過ごして下さい。以上です」
『うわー!』
僕とコクルとテオとファーレ以外全員が部屋から逃げ出した。
部屋の出口、廊下などがパニック状態になっている。
「皆諦めが悪いわね。オーク、私は空間崩壊のシュミレーションとの差を計測するから、邪魔しないでね」
「ねえオーク、僕達はどうするの」
「何とかしなさいよね、オーク」
「ああ、コクル、穴を塞ぐからドアを開けてくれ」
「無理、無理、無理。爆発を防ぐ方法なんて無いわ。それに私にはそのドアの解除権限は無いわよ。あっ、その子達は治療師でしょ、治療師は危機対応として、全ての区域の立ち入り権限を持ている筈よ。中に入って、神様に祈ってみたら」
「ああ、その積もりだ。テオ、ファーレ、あの黒い箱の中には例の化物が出て来る穴が開き始めている。まだ小さいから三人で塞げる筈だ。さあ、行こう」
『うん』
「頑張ってね、オーク」
黒い箱が置かれた部屋のドアのロックは、テオを認識して解除された。
用意して来た呪札を床に敷いて、三人で黒い箱を囲む。
「迷いし狭間よ正しきを知れ。迷いし狭間よ正しきに戻れ。歪みを伸ばし、正しき間を知れ、歪みを縮めて正しき間に戻れ。邪の力よ消えよ、聖なる力よ宿れ。メシラクルスル、カーサカンテ。ケレスルク、メサ!」
ーーーーー
「ご苦労じゃったな、山田肇。これで最後の穴が塞がった。お前の仕事はお終いじゃ。礼を言うぞ、世界が裏返って、空間が四つ程消滅するところじゃったわい」
穴が消滅したので一息吐いたら、突然空間が揺らぎ、雲の中に立っていた。
目の前には、白い髪と髭を伸ばした、白い服の老人が立っていた。
「元の世界に戻してやるぞ」
「えっ、遠慮します」
「駄目じゃ、お前を呼び寄せる前まで、時間を一旦巻き戻さないと、時間軸に歪みが生じてしまう」
「あの子達は」
「安心しろ、親も死なんし、奴隷にもならん。親と一緒に幸せに暮らせる。神官共も貴族の良い伴侶を見付けて、最初から用意されていた幸せな人生を送るだけじゃ。今までは、お前に穴を塞がせるための、歪んだ人生を歩んでいただけじゃからな」
「皆幸せになるんですね」
「ああ、人生に儂の加護が加わるからな。これは褒美じゃ」
「・・・なら安心して戻れますね」
「望みは」
「うーん、向うの世界でやりたかった事は、ここで全部出来ましたからね」
「うむ、お前の世界じゃ犯罪じゃからな」
「放って置いて下さい。それじゃ一生引き籠れる財産と、皆の裸の映像を下さい。彼女達の生活が覗ける能力でも良いですけれど」
「・・・・・うーむ。一応希望として聞いておこう。まあ、悪い様にはせん。楽しみにしておれ」
そして再び空間が揺れ、僕の意識が薄れて行った。
ーーーーー
「ねえ肇君、この数学の問題が解らないの、教えて貰える」
「それじゃ先にパンツを」
”パシ”
「エッチ、セクハラよ」
「ごめん、ごめん、冗談だよ。ええとね、この問題は」
引き籠れる財産も覗く能力も貰えなかった。
でもその代わり、今までの記憶を持ったまま、中学二年生時代に戻して貰えた。
記憶の話をしても、中二病と思われるだけなので隠している。
大人の知識があるので、成績は学年で一番だし、身体の鍛え方も対人戦闘も解っているので、喧嘩も強い。
何よりも大きな事は、心に余裕を持って人と会話ができる。
異世界のチートではなく、現世でのチートを貰えたようだ。
僕の新しい人生がこれから始まる。
「コクル、俺達で空間の穴を塞ぐから、そこのドアのロックを解除してくれ。ドアを解除したら直ぐに逃げろ」
「・・・・潔く諦めましょう、オーク。あははははは、良く考えたら、星雲規模での崩壊が起こるのに、警報なんて意味が無いわよね。うん、警報解除」
”プチ”
コクルが操作卓のスイッチを押すと、室内が静まり返った。
逃げる準備を始めていた者達は、立ち上がったまま、まだ赤い点滅を続けている警告のランプを睨んで考え込んでいる。
コクルが操作卓のマイクのスイッチを入れた。
「あー、テス、テス、テス、隊長のコクルです。今の警報は本物です」
『うわっ』
「えー、でも慌てないで下さい。私の計算では、爆発が発生するまで半日程の猶予がある筈です」
『ほっ』
「爆発の規模は、この星の近辺の星雲が四~五個が一瞬で消滅してしまう規模です。ですから皆さん、心置き無い半日を過ごして下さい。以上です」
『うわー!』
僕とコクルとテオとファーレ以外全員が部屋から逃げ出した。
部屋の出口、廊下などがパニック状態になっている。
「皆諦めが悪いわね。オーク、私は空間崩壊のシュミレーションとの差を計測するから、邪魔しないでね」
「ねえオーク、僕達はどうするの」
「何とかしなさいよね、オーク」
「ああ、コクル、穴を塞ぐからドアを開けてくれ」
「無理、無理、無理。爆発を防ぐ方法なんて無いわ。それに私にはそのドアの解除権限は無いわよ。あっ、その子達は治療師でしょ、治療師は危機対応として、全ての区域の立ち入り権限を持ている筈よ。中に入って、神様に祈ってみたら」
「ああ、その積もりだ。テオ、ファーレ、あの黒い箱の中には例の化物が出て来る穴が開き始めている。まだ小さいから三人で塞げる筈だ。さあ、行こう」
『うん』
「頑張ってね、オーク」
黒い箱が置かれた部屋のドアのロックは、テオを認識して解除された。
用意して来た呪札を床に敷いて、三人で黒い箱を囲む。
「迷いし狭間よ正しきを知れ。迷いし狭間よ正しきに戻れ。歪みを伸ばし、正しき間を知れ、歪みを縮めて正しき間に戻れ。邪の力よ消えよ、聖なる力よ宿れ。メシラクルスル、カーサカンテ。ケレスルク、メサ!」
ーーーーー
「ご苦労じゃったな、山田肇。これで最後の穴が塞がった。お前の仕事はお終いじゃ。礼を言うぞ、世界が裏返って、空間が四つ程消滅するところじゃったわい」
穴が消滅したので一息吐いたら、突然空間が揺らぎ、雲の中に立っていた。
目の前には、白い髪と髭を伸ばした、白い服の老人が立っていた。
「元の世界に戻してやるぞ」
「えっ、遠慮します」
「駄目じゃ、お前を呼び寄せる前まで、時間を一旦巻き戻さないと、時間軸に歪みが生じてしまう」
「あの子達は」
「安心しろ、親も死なんし、奴隷にもならん。親と一緒に幸せに暮らせる。神官共も貴族の良い伴侶を見付けて、最初から用意されていた幸せな人生を送るだけじゃ。今までは、お前に穴を塞がせるための、歪んだ人生を歩んでいただけじゃからな」
「皆幸せになるんですね」
「ああ、人生に儂の加護が加わるからな。これは褒美じゃ」
「・・・なら安心して戻れますね」
「望みは」
「うーん、向うの世界でやりたかった事は、ここで全部出来ましたからね」
「うむ、お前の世界じゃ犯罪じゃからな」
「放って置いて下さい。それじゃ一生引き籠れる財産と、皆の裸の映像を下さい。彼女達の生活が覗ける能力でも良いですけれど」
「・・・・・うーむ。一応希望として聞いておこう。まあ、悪い様にはせん。楽しみにしておれ」
そして再び空間が揺れ、僕の意識が薄れて行った。
ーーーーー
「ねえ肇君、この数学の問題が解らないの、教えて貰える」
「それじゃ先にパンツを」
”パシ”
「エッチ、セクハラよ」
「ごめん、ごめん、冗談だよ。ええとね、この問題は」
引き籠れる財産も覗く能力も貰えなかった。
でもその代わり、今までの記憶を持ったまま、中学二年生時代に戻して貰えた。
記憶の話をしても、中二病と思われるだけなので隠している。
大人の知識があるので、成績は学年で一番だし、身体の鍛え方も対人戦闘も解っているので、喧嘩も強い。
何よりも大きな事は、心に余裕を持って人と会話ができる。
異世界のチートではなく、現世でのチートを貰えたようだ。
僕の新しい人生がこれから始まる。
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