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13 子作り棟
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翌日の夕刻、二人はギルドで待ち合わせていた。
目的は貸家探しで贅沢は言わない、部屋があれば良しとすることにした。
ギルドで紹介してくれる貸家は2種類、住民が引っ越した家で空いた家の借家人を募集する場合。
もう一つはギルドがギルド員用に作った住宅が空き、一般の借家人を募集する場合。
前者は紹介料が上乗せされるので若干高め、ただし、町内の広い範囲に物件があり、正門脇の商店の2階から山手区の物置まで有る。
逆にギルドの住宅はギルドの建屋の裏手のみ。
構造は前者が石造りの丈夫な物からバラックまで、ギルドの住宅は丸太造りで丈夫で長持ちで、築百年の棟もある。
何処でも良かったが、たまたまギルドの住宅が空いていた、築2年で新しい。
子供の無い夫婦用で広さに比べて料金が安い。
林の中の大釜付きの一軒家というサラ好みの物件もあったが、如何にもアレなので諦める。
ギルドの住宅に決め早速申込み、鍵を受け取り確認する。
職員に案内されてギルドの建物の裏手から伸びる道を歩く。
最初に独身用の3階建ての丸太小屋が2棟が並んでいる、1棟が女性用で1棟が男性用、独身棟と説明された。
その奥にギルド職員も含めた家族用の2連の長屋が50棟、小さな庭が付いている。
家族棟と呼ぶらしい。
二人が借りたのはその更に奥、新しい5連の丸太の長屋が2棟。
新婚棟と説明された。
共同浴場にも近く、商業区の裏手にある住民向けの商店街も近い。
職員と分かれ、早速に商店街へと出向き、鍋、釜、包丁、食器、布団等々、必要なもの買い求めて運び込む。
家具は付いている。
大きな寝台一つとテーブルとベンチ、幅2リーグ(人の背の倍)の物入れ、煮炊きができるストーブが一つ。
部屋の横幅が2リーグ、奥行きは5リーグ、厠は有るが風呂は無い。
入った手前に流しと厠、中間にテーブルとベンチ、奥に寝台と物入れがあり、寝台の上に明り取りの窓が付けられている。
入口脇に石の流しがあり、天井から伸びる木簡から水が流れ落ちている。
水は厠の下を通り、外の石蓋の乗った水路に落ちる。
二人の部屋は東の隅で、テーブル横に窓が一つ余分に付いている。
棟は太い丸太で頑丈に作られており、保温性が高そうに見える。
その日のうちに宿を引き払い、移り住む。
急ぐ必要も無かったが、軍との関わりを減らす為に決断した。
荷物も少なく、蔦で編んだ手作りの背負い籠に全て収まる。
荷物を籠ごと物入れに突っ込み、急いでストーブに火を入れる。
部屋全体が直ぐに温まり、テーブル上の梁に油灯を下げると、明かりが部屋全体を暖かく照らす。
部屋が暖まってから、共同浴場へ出かける。
ギルドの住宅用に造られた共同浴場なので部屋からも近く、銅貨5枚と料金も安い。
銅貨1枚でコップ1杯の身体を洗う薬液を買い、脱衣場で服を脱いで、浴場へ向かう。
屋根の有る場所が脱衣場、あとは木柵で囲まれた池が真ん中で仕切られているだけ。
池の周りに散在する石に適当に腰を下ろし、皆身体を洗っている。
サラは身体を流してから池に浸かる。
池は大きく大人でも泳げそうな広さがある。
奥で家族棟の子供達が泳いでいる。
寒い中での湯の暖かさが心地よい。
目を瞑って呆けていると、横から野太い声が掛かる。
「大人しいね。見ない顔だけどどこの子だい」
肉のたっぷり付いた、たくましい大柄なおかみさんである。
「今日越して来たんです。サラと言います」
「へー、お行儀が良いね。私はナサ、西の4棟に住んでるんだ。あんたは何処」
「すぐそこの、新婚棟の近い方の東端です」
ナサが怪訝そうな顔をする。
「でもあそこは、子連れは入れないはずだよ」
「わたし、あ、勿論もう一人いますけど、が借家人なんです」
「へ、なんで」
教会で入信証のつもりで婚姻証を貰った話をする。
「それに、私達ギルドの紹介で働いてますから、正規の扱いだそうです」
「へー、偉いね。家の子達に爪の垢でも煎じて飲ませたいよ。じゃ、身体洗おうか、どっこらしょ」
適当な石に腰を下ろし、身体を洗う。
ナサの話はまだ続く。
「へー、確かに王都まで手続きが回ってればギルドも認めるよね・・。あんた避妊はちゃんとしてるの」
サラが驚愕して真っ赤になる。
「いえ、私達まだ子供ですから」
「甘い、甘い、大甘だよ。男なんて年に関係なく見境が無いんだから。身体が小さくても孕む時は孕むんだからね。苦労するのはいつも女。そんな小さな体で孕みたくないだろ」
サラが大きく首を縦に振る。
「良いかい、教えてあげるよ」
ナサの説明は、薬学の大家であるサラが知らない知識であった。
サラはもともとこの辺の知識が欠如している。
東に麦穂を置いて寝る等の怪しげな知識もあったが、理に適った薬草の使い方等参考になる話もあった。
サラが微に入り細に入る話を熱心に聞いていると横合いから咎める声がかかる。
「こら、こら、ナサ。なに子供にとんでもない事を聞かせてるんだい」
「あら、カミラ聞いてよ。この子そこの子作り棟に住んでるの」
「へ、なんでまた」
ナサがサラに聞いた話をカミラに教える。
「へー、そうなんだ。それじゃそれは大事よね。よし、私も教えてあげる」
妙に気合いが入り、カミラが加わる。
男性側の話が多くなる。
サラにとって新鮮な話が多かったが、とても痛そうな、男性に気の毒な話も多かった。
突然カミラが周囲を見回す。
気が付くとサラの周りの人口密度が高くなっている。
特に15歳前後の年頃の娘が。
「だめよまだ。あんたらまだ一人者なんだから。さっさと散る」
周囲から、さっと人が居なくなる。
湯池に移ってからも二人の話は続いた。
目的は貸家探しで贅沢は言わない、部屋があれば良しとすることにした。
ギルドで紹介してくれる貸家は2種類、住民が引っ越した家で空いた家の借家人を募集する場合。
もう一つはギルドがギルド員用に作った住宅が空き、一般の借家人を募集する場合。
前者は紹介料が上乗せされるので若干高め、ただし、町内の広い範囲に物件があり、正門脇の商店の2階から山手区の物置まで有る。
逆にギルドの住宅はギルドの建屋の裏手のみ。
構造は前者が石造りの丈夫な物からバラックまで、ギルドの住宅は丸太造りで丈夫で長持ちで、築百年の棟もある。
何処でも良かったが、たまたまギルドの住宅が空いていた、築2年で新しい。
子供の無い夫婦用で広さに比べて料金が安い。
林の中の大釜付きの一軒家というサラ好みの物件もあったが、如何にもアレなので諦める。
ギルドの住宅に決め早速申込み、鍵を受け取り確認する。
職員に案内されてギルドの建物の裏手から伸びる道を歩く。
最初に独身用の3階建ての丸太小屋が2棟が並んでいる、1棟が女性用で1棟が男性用、独身棟と説明された。
その奥にギルド職員も含めた家族用の2連の長屋が50棟、小さな庭が付いている。
家族棟と呼ぶらしい。
二人が借りたのはその更に奥、新しい5連の丸太の長屋が2棟。
新婚棟と説明された。
共同浴場にも近く、商業区の裏手にある住民向けの商店街も近い。
職員と分かれ、早速に商店街へと出向き、鍋、釜、包丁、食器、布団等々、必要なもの買い求めて運び込む。
家具は付いている。
大きな寝台一つとテーブルとベンチ、幅2リーグ(人の背の倍)の物入れ、煮炊きができるストーブが一つ。
部屋の横幅が2リーグ、奥行きは5リーグ、厠は有るが風呂は無い。
入った手前に流しと厠、中間にテーブルとベンチ、奥に寝台と物入れがあり、寝台の上に明り取りの窓が付けられている。
入口脇に石の流しがあり、天井から伸びる木簡から水が流れ落ちている。
水は厠の下を通り、外の石蓋の乗った水路に落ちる。
二人の部屋は東の隅で、テーブル横に窓が一つ余分に付いている。
棟は太い丸太で頑丈に作られており、保温性が高そうに見える。
その日のうちに宿を引き払い、移り住む。
急ぐ必要も無かったが、軍との関わりを減らす為に決断した。
荷物も少なく、蔦で編んだ手作りの背負い籠に全て収まる。
荷物を籠ごと物入れに突っ込み、急いでストーブに火を入れる。
部屋全体が直ぐに温まり、テーブル上の梁に油灯を下げると、明かりが部屋全体を暖かく照らす。
部屋が暖まってから、共同浴場へ出かける。
ギルドの住宅用に造られた共同浴場なので部屋からも近く、銅貨5枚と料金も安い。
銅貨1枚でコップ1杯の身体を洗う薬液を買い、脱衣場で服を脱いで、浴場へ向かう。
屋根の有る場所が脱衣場、あとは木柵で囲まれた池が真ん中で仕切られているだけ。
池の周りに散在する石に適当に腰を下ろし、皆身体を洗っている。
サラは身体を流してから池に浸かる。
池は大きく大人でも泳げそうな広さがある。
奥で家族棟の子供達が泳いでいる。
寒い中での湯の暖かさが心地よい。
目を瞑って呆けていると、横から野太い声が掛かる。
「大人しいね。見ない顔だけどどこの子だい」
肉のたっぷり付いた、たくましい大柄なおかみさんである。
「今日越して来たんです。サラと言います」
「へー、お行儀が良いね。私はナサ、西の4棟に住んでるんだ。あんたは何処」
「すぐそこの、新婚棟の近い方の東端です」
ナサが怪訝そうな顔をする。
「でもあそこは、子連れは入れないはずだよ」
「わたし、あ、勿論もう一人いますけど、が借家人なんです」
「へ、なんで」
教会で入信証のつもりで婚姻証を貰った話をする。
「それに、私達ギルドの紹介で働いてますから、正規の扱いだそうです」
「へー、偉いね。家の子達に爪の垢でも煎じて飲ませたいよ。じゃ、身体洗おうか、どっこらしょ」
適当な石に腰を下ろし、身体を洗う。
ナサの話はまだ続く。
「へー、確かに王都まで手続きが回ってればギルドも認めるよね・・。あんた避妊はちゃんとしてるの」
サラが驚愕して真っ赤になる。
「いえ、私達まだ子供ですから」
「甘い、甘い、大甘だよ。男なんて年に関係なく見境が無いんだから。身体が小さくても孕む時は孕むんだからね。苦労するのはいつも女。そんな小さな体で孕みたくないだろ」
サラが大きく首を縦に振る。
「良いかい、教えてあげるよ」
ナサの説明は、薬学の大家であるサラが知らない知識であった。
サラはもともとこの辺の知識が欠如している。
東に麦穂を置いて寝る等の怪しげな知識もあったが、理に適った薬草の使い方等参考になる話もあった。
サラが微に入り細に入る話を熱心に聞いていると横合いから咎める声がかかる。
「こら、こら、ナサ。なに子供にとんでもない事を聞かせてるんだい」
「あら、カミラ聞いてよ。この子そこの子作り棟に住んでるの」
「へ、なんでまた」
ナサがサラに聞いた話をカミラに教える。
「へー、そうなんだ。それじゃそれは大事よね。よし、私も教えてあげる」
妙に気合いが入り、カミラが加わる。
男性側の話が多くなる。
サラにとって新鮮な話が多かったが、とても痛そうな、男性に気の毒な話も多かった。
突然カミラが周囲を見回す。
気が付くとサラの周りの人口密度が高くなっている。
特に15歳前後の年頃の娘が。
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周囲から、さっと人が居なくなる。
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