神楽坂学院高等部祓通科

切粉立方体

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Ⅰ 第一学年

24 邪類討伐中級認定資格試験1

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邪類討伐中級認定資格試験、受験資格である邪類の討伐ポイントの関係もあって、学生であれば、物凄く早い人でも高校三年生の二学期、普通の人ならば大学三年生で受験する。
叩き上げの社会人であれば、実務経験十五年くらいで受験する様な資格なのだ。
しかも九百人受験して合格者は僅か十八名、合格率が2%の狭き門なのだ。
僕は異例中の異例、最年少記録更新が掛かっているので注目度抜群だ、だから夢野先生から学園の面子が掛かっていると脅かされたのだ。

会場は東京ビックサイト、少々不便な場所なのだが、前回の武道館での試験が中止になったため、増加した受験者数に受け入れるため、東1ホールから東3ホールを借り切っての広めの会場を手配したらしい。

初日は一般教養筆記試験と対人戦闘、これに合格すれば次に日の専門試験を受験することができる。
専門試験は選択科目の筆記試験と各専門分野の鬼相手の戦闘だ。
筆記試験だけなら僕は自信がある、高卒程度の一般教養も大学生レベルの専門科目も一生懸命勉強した。
問題は実技だと思っている。

思ったとおり一時間程度の一般教養は楽勝だった、過去の問題を見ても同じような問題を使い回しているだけで、三年分くらいの問題と答えを覚えておけば簡単に答えられるのだ。
たぶん一般教養で落とす積りは無いのだと思う。

そして対人戦闘、試合形式で勝敗を決する、三試合やって二勝すれば合格だ。
一試合目は青い道着を着た武闘家だった、僕が最も得意とする相手だ。

「始め」

審判の合図と共に、僕は懐から呪符を一枚取り出してゆっくりと足元に置く、そして次に縄を懐から取り出してゆっくりと右手にぶら下げる。
相手は右手の縄を見て接近戦有利と判断して、素早く間合いを詰めて来る、僕はその足を絡め取ろうと右手に持った縄を飛ばす。
相手はジャンプしてその縄を避け、僕が右手を振ると縄尻が相手追いかける、相手は器用に空中で身体を反転させ避け着地した。
でもこの右手の縄はフェイントだ、左手を振ると、光術で床に偽装しておいた縄が足に絡みつく。

「あっ!」

相手がバランスを崩して倒れた、床に呪符を置いた時だ、相手の視線が呪符に向いている間に、光術で床に偽装した縄を投げておいたのだ。
ジャンプして襲い掛かる、すると相手が身構える、うん、これもフェイント、頭上に呪符を掲げ呪文を唱える。

「律」

”バチッ”

電撃入りの三角錐の結界が完成した、相手が痙攣している。
足元に呪符を置いた時、縄だけじゃなくて光術で偽装した呪符を二枚投げて置いたのだ、だから足元に呪符を置いた時には結界用の三角形は完成していたのだ。

結界から出て、頂点の呪符に祓いと雷の呪符を添える。

「滅」

”ドン、ガラガラガラ”

「勝負有り、勝者八番」

うん、楽勝だった、武闘家は騙され易いから大好きだ。

次の試合の相手は夢魔だった。
池袋で飲んだ後、僕は尻尾の有る女性、夢魔達の事を調べてみた、そしたら夢魔達は人間社会に自分達の住処をしっかり確保していたのだ。
得意技を生かして陰陽師をやっている人も居るし、カウンセラーをしてる人もいる。
その大多数は繁華街で接客業を営んでいるのだが、そもそも精液を吸われたり、淫夢を見せられて迷惑と思う男性はおらず、むしろ大歓迎の種族なのだ。

「姐さん、そいつ極悪非道の変態だから気を付けて」
「粘着質だから油断しちゃ駄目よ」
「変な所嘗められるから気を付けて」

ライムライトの女の子達が応援に来ている、その声援を聞いて、会場の女性達の僕を見る視線が冷たくなって行く。

「雷君、そんな悪魔に負けちゃだめよ」
「悪魔退散、雷君頑張って」

あっ、係員さんがすっ飛んで行った、二人が何か怒られている。
きっとヘイトスピーチと判断されたのだろう。

相手の夢魔の人が怒っている。

「上等じゃねーか、悪魔になってやろうじゃねーか」

「始め」

「さー、ひざまずけ、この豚野郎」

あっ、膝に力が入らない、何だか命令に逆らえない、跪いて足蹴にされた。
ガシガシ、ハイヒールの踵が背中に食い込む。
うげっ、思い切り蹴飛ばされた。

「おい、お礼はどうした、ほれ、”ありがとうございました”は」
「はい、ありがとうございました」

また蹴飛ばされた、つま先が腹に何度も食い込む。

「女王様が足りないだろ、豚野郎」
「はい、ありがとうございました、女王様」
「言えるじゃねーか、ご褒美だ。靴を嘗めさせてやる」
「ありがとうございます、女王様」

靴に唇を寄せる、チャーンス、頭の隅に退避させていた意思を引き戻して尻尾を掴む。

「きゃっ」
「へへへへ、良くも甚振ってくれたな。お返しだ」

引き倒して縛りあげて尻尾を攻め立てる、嘗めてしゃぶって擦って、夢魔は身悶えしている、そして叫び声を上げてから大きく仰け反った、ったようだ、身体を丸めて痙攣している。
懐から呪符を取り出す。

「八番反則負け、勝者五百三十二番。八番、公序良俗に反する攻撃は禁止です。警告」

会場の女性達から激しいブーイングが起きている。
なんか知らない間に負けて、警告まで貰ってしまった。
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