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第一章 希望と欲望の街、シャングリラ 前編
第18話07 戦うという選択肢
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「いけません!
サイモンさんは回復師になるべきですっ!
大体調教師とか、
なんのギャグなんです?!
あれは確かに
魔法の素養がなくても出来ますが、
最悪の時のデメリットが
半端ないです!
素人が手を出すべきではありません!」
「じゃあやっぱ道具師でしょ。
サイモン君お金あるし、
なんなら特注とかもいけるし、
バフ盛りたいなら
ビッグケットちゃんに
特注の武器と鎧あげるとか
どうかな~。
鉤爪系なら
今すぐ使いこなせるんじゃない?」
「マジック装備買うくらいなら
やっぱ魔術加護すればいいじゃーん、
武器鎧は別個で特注して、
そこにバフどーん!で
無敵の猫ちゃんが出来る!」
「待って待って、
議論堂々巡りしてない??
やるのはサイモン君なんだから、
本人に選ばせるべきだよ!」
「そうですね、
ここまで聞いたら
ある程度絞れるでしょう!
サイモンさん、何やりたいですか!?
回復師か加護師か
道具師か調教師か!!」
ずずい、とジュリアナ。
そしてエリックとジルベールが迫ってくる。
えーと何やりたい、と聞かれたところで…………
「ごめん、今日初めて聞いたことばっかりだから…………
よく、わからない…………」
「「「えーーーっ!!!!」」」
率直な感想を述べたら
大ブーイングを食らってしまった。
そ、そんな事言われても困る。
知らない単語が多すぎるんだけど。
「そもそもクラフターって何?」
「道具師って書くよ。
武器や魔法じゃなくて
道具、マジックアイテムとかを使って戦う
前衛の事」
「テイマーは?」
「調教師。
人外の獣、魔獣神獣、幽霊精霊などを
使役して戦う
前衛です」
「じゃあダンジョンアタッカーは?
前衛って入ってるけど
攻撃するの?」
「いや、正しくは迷宮踏破者って書いて、
通称がダンジョンアタッカー。
昔は盗賊って言われてた
職だな。
マッピング、罠解除、謎解き、
その他ダンジョン攻略に必要な
知識や技術を
宝の略奪じゃなく、
純粋にダンジョン攻略のために
役立てる人のこと。
今は特に
パーティー全体のことを把握して
戦闘の指示出したり、
作戦立案したりってのもやるから、
すごくサイモンさんに向いてると思う」
「へぇ~。
じゃあカードソーサラーって?」
「符術師って書くんだけど、
ほら、君も見たでしょ。
火をつける術符。
あれのすごいのを使って
攻撃したり回復したり補助したり。
これは
魔法陣が開発解明されてる範囲なら
全属性だし、
最近画期的な攻撃札が多数作られてるから、
注目が集まってる職業なんだよ!
元は道具師の1分野だったけど、
最近独立する勢いで熱い!」
「へえええ。
で、ヒーラーは回復魔法使う人だろ」
「はい、
でも薬草薬学系なら
全くの素人からでも
今すぐ目指せて
実践出来ます。
お二人には火急必要な
知識、技術だと思います」
「確かに…………」
怒涛の勢いで情報を叩き込まれた。
世の中ホントにたくさんの職業があるんだな。
一個一個説明されて理解してしまうと、
これはなかなか悩ましい。
どれも魅力的だな…………
ビッグケットを支援する後衛か。
隣に並んで共に戦う
前衛か。
(…………一緒に戦うなんて未来、
全く予想してなかったな…………)
でも、目下武器も魔法も使えなくても
出来る事がたくさんある。
道具なり、精霊なりで…………
共に戦う…………。
ほわんほわん、と
妄想が頭に膨らんでいく。
「大丈夫か!?
ここは俺に任せろ!」
どこかの何かとの戦闘中。
傷つくビッグケットを背に、
敵の眼前に立つ俺。
「ああ、頼んだぞ……!
私はもう駄目だ、
お前しか頼れない……!!」
「よし、俺の後ろにいろ!
必ず守ってやるからな……!」
苦しそうに血を流すビッグケットを守り、
かっこよく戦う俺……!
(イイ、な???)
正直長らくモヤシのガリ勉だったため、
戦いというと苦しく悲しい印象しかなくて、
見たくも触れたくもなかったけど。
ビッグケットと共に大願を成就しようと言うなら、
避ける理由などない。
それにまさにさっき、
生まれ変わろうと決めたところだ。
守るべき者を間違えちゃ駄目だ。
目の前の人間に同情して、
大事な相棒を傷つけるなんて失態、
二度と犯さない。
そのためには力が。
あの子を守る力がいるんだ。
誰かを泣かせ、
力任せに傷つけるための力じゃなくて。
誰かを助け、
守るための力が欲しい。
そのための前衛になるなら……!
(うん?
でも、どのみち回復やバフはいるよな??
……じゃあ、)
「符術師。
面白そうだな」
ぽつりと漏れた一言。
ジルベール、ジュリアナ、エリックは
ぱあっと明るい顔でサイモンを見た。
「うんっ、そのチョイスイケてると思う!!
魔法使えないの~~、ダサーい!
って目さえ気にならなければ、
全人類悲願の
完璧オールラウンダー目指せるよ!」
「そうそう、みんな
魔法使えないんだ!
って言われたくなくて
そこを避けるんですよね~、
大体の初心者が安易に
戦士か魔法使いを
目指すので…………
本当はすごいポテンシャルですよねあれ!!」
「いーじゃん、符術師:サイモン・オルコット!
まぁ民間から強い魔法使いになる人だっているから、
最低限そっちの練習や勉強もしておきつつ、
これも視野に入れて…………
うんうん、いいと思う!!!」
きゃっきゃ!!
散々盛り上がったところで、
エリックがビッグケットを振り返る。
「な、猫ちゃんもそう思うだろ!!
ほらジルベールさん、通訳して!」
「あっ………………
ビッグケットちゃんに
何一つ通訳してなかった………………」
「「「………………………………」」」
今更だけど、
ビッグケットに視線を送る。
もしかしても糞もなく、
ジョブの話全部
彼女だけ置いてきぼりだった。
やっちまった。
見れば、黒猫は壁に寄りかかり腕を組み、
バンバン高速でしっぽをぶつけていた。
……うん、めちゃくちゃ怒ってる。
『…………で?今の、何の話????』
『『ごめん…………』』
さすがにケットシー語使える男二人で
深々と頭を下げた。
サイモンさんは回復師になるべきですっ!
大体調教師とか、
なんのギャグなんです?!
あれは確かに
魔法の素養がなくても出来ますが、
最悪の時のデメリットが
半端ないです!
素人が手を出すべきではありません!」
「じゃあやっぱ道具師でしょ。
サイモン君お金あるし、
なんなら特注とかもいけるし、
バフ盛りたいなら
ビッグケットちゃんに
特注の武器と鎧あげるとか
どうかな~。
鉤爪系なら
今すぐ使いこなせるんじゃない?」
「マジック装備買うくらいなら
やっぱ魔術加護すればいいじゃーん、
武器鎧は別個で特注して、
そこにバフどーん!で
無敵の猫ちゃんが出来る!」
「待って待って、
議論堂々巡りしてない??
やるのはサイモン君なんだから、
本人に選ばせるべきだよ!」
「そうですね、
ここまで聞いたら
ある程度絞れるでしょう!
サイモンさん、何やりたいですか!?
回復師か加護師か
道具師か調教師か!!」
ずずい、とジュリアナ。
そしてエリックとジルベールが迫ってくる。
えーと何やりたい、と聞かれたところで…………
「ごめん、今日初めて聞いたことばっかりだから…………
よく、わからない…………」
「「「えーーーっ!!!!」」」
率直な感想を述べたら
大ブーイングを食らってしまった。
そ、そんな事言われても困る。
知らない単語が多すぎるんだけど。
「そもそもクラフターって何?」
「道具師って書くよ。
武器や魔法じゃなくて
道具、マジックアイテムとかを使って戦う
前衛の事」
「テイマーは?」
「調教師。
人外の獣、魔獣神獣、幽霊精霊などを
使役して戦う
前衛です」
「じゃあダンジョンアタッカーは?
前衛って入ってるけど
攻撃するの?」
「いや、正しくは迷宮踏破者って書いて、
通称がダンジョンアタッカー。
昔は盗賊って言われてた
職だな。
マッピング、罠解除、謎解き、
その他ダンジョン攻略に必要な
知識や技術を
宝の略奪じゃなく、
純粋にダンジョン攻略のために
役立てる人のこと。
今は特に
パーティー全体のことを把握して
戦闘の指示出したり、
作戦立案したりってのもやるから、
すごくサイモンさんに向いてると思う」
「へぇ~。
じゃあカードソーサラーって?」
「符術師って書くんだけど、
ほら、君も見たでしょ。
火をつける術符。
あれのすごいのを使って
攻撃したり回復したり補助したり。
これは
魔法陣が開発解明されてる範囲なら
全属性だし、
最近画期的な攻撃札が多数作られてるから、
注目が集まってる職業なんだよ!
元は道具師の1分野だったけど、
最近独立する勢いで熱い!」
「へえええ。
で、ヒーラーは回復魔法使う人だろ」
「はい、
でも薬草薬学系なら
全くの素人からでも
今すぐ目指せて
実践出来ます。
お二人には火急必要な
知識、技術だと思います」
「確かに…………」
怒涛の勢いで情報を叩き込まれた。
世の中ホントにたくさんの職業があるんだな。
一個一個説明されて理解してしまうと、
これはなかなか悩ましい。
どれも魅力的だな…………
ビッグケットを支援する後衛か。
隣に並んで共に戦う
前衛か。
(…………一緒に戦うなんて未来、
全く予想してなかったな…………)
でも、目下武器も魔法も使えなくても
出来る事がたくさんある。
道具なり、精霊なりで…………
共に戦う…………。
ほわんほわん、と
妄想が頭に膨らんでいく。
「大丈夫か!?
ここは俺に任せろ!」
どこかの何かとの戦闘中。
傷つくビッグケットを背に、
敵の眼前に立つ俺。
「ああ、頼んだぞ……!
私はもう駄目だ、
お前しか頼れない……!!」
「よし、俺の後ろにいろ!
必ず守ってやるからな……!」
苦しそうに血を流すビッグケットを守り、
かっこよく戦う俺……!
(イイ、な???)
正直長らくモヤシのガリ勉だったため、
戦いというと苦しく悲しい印象しかなくて、
見たくも触れたくもなかったけど。
ビッグケットと共に大願を成就しようと言うなら、
避ける理由などない。
それにまさにさっき、
生まれ変わろうと決めたところだ。
守るべき者を間違えちゃ駄目だ。
目の前の人間に同情して、
大事な相棒を傷つけるなんて失態、
二度と犯さない。
そのためには力が。
あの子を守る力がいるんだ。
誰かを泣かせ、
力任せに傷つけるための力じゃなくて。
誰かを助け、
守るための力が欲しい。
そのための前衛になるなら……!
(うん?
でも、どのみち回復やバフはいるよな??
……じゃあ、)
「符術師。
面白そうだな」
ぽつりと漏れた一言。
ジルベール、ジュリアナ、エリックは
ぱあっと明るい顔でサイモンを見た。
「うんっ、そのチョイスイケてると思う!!
魔法使えないの~~、ダサーい!
って目さえ気にならなければ、
全人類悲願の
完璧オールラウンダー目指せるよ!」
「そうそう、みんな
魔法使えないんだ!
って言われたくなくて
そこを避けるんですよね~、
大体の初心者が安易に
戦士か魔法使いを
目指すので…………
本当はすごいポテンシャルですよねあれ!!」
「いーじゃん、符術師:サイモン・オルコット!
まぁ民間から強い魔法使いになる人だっているから、
最低限そっちの練習や勉強もしておきつつ、
これも視野に入れて…………
うんうん、いいと思う!!!」
きゃっきゃ!!
散々盛り上がったところで、
エリックがビッグケットを振り返る。
「な、猫ちゃんもそう思うだろ!!
ほらジルベールさん、通訳して!」
「あっ………………
ビッグケットちゃんに
何一つ通訳してなかった………………」
「「「………………………………」」」
今更だけど、
ビッグケットに視線を送る。
もしかしても糞もなく、
ジョブの話全部
彼女だけ置いてきぼりだった。
やっちまった。
見れば、黒猫は壁に寄りかかり腕を組み、
バンバン高速でしっぽをぶつけていた。
……うん、めちゃくちゃ怒ってる。
『…………で?今の、何の話????』
『『ごめん…………』』
さすがにケットシー語使える男二人で
深々と頭を下げた。
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