R18の乙女ゲーに男として転生したら攻略者たちに好かれてしまいました

やの有麻

文字の大きさ
283 / 313
高年期[二学期・後編]

何も変わらなかった?いや変わったのは・・・?

しおりを挟む


「薫風様は今日1日こちらでお休みして頂きます。そして体の調子をみて家へお帰し致します。」

「っ!駄目だ。この家からは出さない・・・」

「公爵家のご子息とも在ろう御方が、監禁ですか?・・・はぁ、なんとも情けない。薫風様の人生を狂わすおつもりですか?」

「なっ!?監禁など」

「家から出さないなんて監禁の他に何と言うのですか?・・・なんとも情けない。しかもなんですか薫風様の身体の痣は!動物ですか!?あんなに・・・あぁお痛わしい薫風様・・・」

「くっ・・・!」





あの~眠いので寝かせてほしいのですが・・・




もう小一時間程お二人が言い合いをしているんですが・・・うん、執事さん、余程鬱憤が溜まってたんだね。主従関係はどこへやら・・・そして風間くん、少しはまともに反撃しなよ。執事さんの正論ばかりで主の立場が危うくなってますよ?




「~~~っ!薫風は、私の、ものだっ!契約書は破棄せん!」

「もう契約書類は破かれております。貴方が何を言おうと契約は破棄されましたよ。・・・いい加減お認めください。それに、あの契約書はそもそも必要ないかと存じます。」

「・・・?」

「薫風様は何故あんな反吐がでそうな内容に署名したのか、お考えください。・・・写しがございます。もう一度よくお読みください。そして・・・薫風様の提示した内容もお読みください。」

「・・・」





あーうん、やっぱ風間くんの提示内容は酷いよね~・・・内容はこうだ。




風間の要求

・休みの日は用がない限り風間家で過ごす。
・週に1度体を差し出す。
・私情を挟まない。拒まない。
・情事中、否定はしてならない。
・すぐに行為ができるよう予め準備をする。
・寝泊まりはしない。



薫風の要求

・不利益になるような事を他言しない。
・何か問題が発生した場合、話を合わせるなりして助ける。
・週に2日、昼食を共にする。
・風間家に向かう時は迎えを寄越す。帰りはその時による。





共通の要求

・互いに恋人ができるまでの契約とする。
・契約の1つでも違反した場合、罰または破棄する。
・仮であれ外で顔を合わせたら恋人のふりをする。
・口付けは禁止。






さっそく昨日契約違反してるけどね。口付け。ノーカンにはならないだろう。それにしたいからしたわけじゃないしね。口煩く僕が言ったから口封じに口付けされたんだし・・・







「あ、し、かが、さっ・・・んんっ!」

「薫風様、如何致しましたか?」

「薫風、私を頼りなさい。足利は私の執事だ。頼っては駄目だ。」

「・・・和彦様、昨日私に全て任せましたよね?それは私に薫風様の言うとおりに動けと言ってるのではなかったのですか?」

「・・・す、全て任せるとは言ったが・・・い、家に寝泊まりは契約違反だぞっ!」

「ですから契約違反の為、契約書を破棄しても宜しいですよね?」

「なぁっ!?」





・・・うん、執事さんの方が優勢ですね。さて、どうすればいいのかな?喉痛いし眠いし疲れたし腰痛いし・・・うん、自分優先にしよう。





「あ、の・・・眠いです」

「「!」」

「帰れと・・・ケホンッ、い、言うなら」

「いや!薫風はこのまま・・・いや、私の寝室で眠りなさい!」

「和彦様・・・薫風様は今、身体に負担を掛けてはいけません。このままお休みにさせた方がよろしいでしょう。ほら!お仕事を致しましょう!執務室へ。」

「お、おいっ・・・!」





言葉攻めの即行動。・・・さすがスーパー執事様!・・・いなくなったところで、はいお休みなさーい。






__________





「ん・・・んんっ!?」




な、なんか腹部に重りが・・・?



と、とりあえず動く頭を上げて腹部の方を覗き見る。・・・するとそこにはっ、





「かずひこ、さん・・・?」

「ん・・・」

「・・・」





なんとも無防備な顔。重いと思ったら僕の腹の上にうつ伏せで眠っていたようだ。いつの間に来たのだろう?




「お目覚めですか薫風様・・・」

「あ、足利さん・・・いつからこの状態だったんですか?」

「約一時間前程からです。・・・記憶を失っても薫風様への執着は変わらないようですね。」

「っ!あ、あの・・・足利さんは」

「はい。薫風様が前世の記憶持ちや、薫風様が和彦様に告白して真の恋人となった事など・・・全て覚えております。」

「!そうですか・・・さぞ和彦さんの態度に疑問を抱きましたよね。」

「はい・・・週の始めは、それはそれは幸せそうで・・・うんざりする程ノロケ話を聞かされました。・・・ですが次の日には、あの幼き頃の、なんて言うのでしょう・・・いつもつまらなそうな、作り笑いしかできない無愛想な子供の頃に戻ってしまわれた感じが致します。」

「・・・そんなに、ですか?」





・・・それから執事さんが昔話を話始めた。




風間くんが小学6年生の頃、親の事業が失敗し公爵家が没落寸前にまで陥った所から始まり、一人で家を立て直し新たに人脈を作りただただ仕事に没頭していたらしい。まだ12歳、成人してないにも関わらカリスマ性のある才能で親が領主していた時よりも改善し良い方へと導いたらしい。




あー確かに風間くんのプロフィールには「一度没落した家を継いで元に戻すという英才児。」とは書いてあったが・・・実際に没落しそうな家を持ちこたえ、さらに繁栄させるのは凄まじいことだよね。うん、風間くん凄い!






・・・驚いた事に、それは僕との出会いがあってこその事だと執事さんは何故か胸を張って語っていた。・・・え、そうだったの?何故に?思い当たるようなエピソードなんてないんですが・・・



そして僕が高校生になる時を狙って、ただ僕に会いたいという一心で理事長へと就任したらしい。・・・それ、執念じゃね?僕への執念が物凄く重い!改めて思うわ、風間くんの想いが重いです。





「・・・私は和彦様が幸せになれればと、ずっと傍で支えていました。それに親からの愛情を知らずに育った和彦様が心配で・・・ですが、ちゃんと誰かを愛せる方で良かったと。」

「・・・和彦さんが夏頃に、まだ小学生なのに学校を辞める程の何かがあったんだなとは思ってましたが・・・というか、何故和彦さんはそんなにも僕に好意を抱いてるのでしょうか?」

「それは本人のみぞ知る事ですが・・・私が思うに、唯一、和彦様を「風間和彦」として接してくれたから、ではないでしょうか。」

「ん?」

「みなさんは家柄と和彦様の容姿しかみてませんでしたから。」

「あー・・・よく、わかりました。ですが、僕からしたら普通なんですがね。まぁでも初対面で「目をつけられたくない」と思いましたけどね。何て言うか、本能的に?」

「ふふっ・・・それです。和彦様の周りにいない、和彦様を和彦様と見てくれる人。そして和彦様を変えてくださいました。薫風様にはとても・・・感謝致してます。」

「・・・」




執事さんにとって僕はどう映ってるんだろう?でも、まぁ悪い気はしないなぁ。いつも助けてもらってるし?



「・・・和彦さん、ここにいるって事は心配してくれて来てくれたって思っても、いいんでしょうか。」

「はい。記憶はなくとも、きっと身体は覚えて御出なんでしょう。執務中ずっとソワソワしておりました。」

「そう、ですか。・・・僕は、まだ和彦さんの事、想っててもいいの、かな・・・?」

「むしろ、こちらからお願い致します。私は和彦様には薫風様が必要と、今でも思っております。それに・・・」

「?」




あれ?急に執事さんの顔が険しくなったよ?え、どーしたの?




「和彦様の様子が変わった頃、ここの家の事情も変わってしまったようなのです。・・・そして和彦様が、もしかしたら理事長を辞任するかもと・・・」

「・・・は?」

 「近々、和彦様の父上様が領主へとご帰還する予定なのです。それにより和彦様は入れ替わりに別宅へと行き休養したいとか・・・」





・・・・ん?

しおりを挟む
感想 263

あなたにおすすめの小説

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜

キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」 (いえ、ただの生存戦略です!!) 【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】 生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。 ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。 のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。 「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。 「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。 「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」 なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!? 勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。 捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!? 「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」 ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます! 元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。顔立ちは悪くないが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…? 2025/09/12 1000 Thank_You!!

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 毎日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

処理中です...