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高年期[二学期・後編]
リセットの影響はこんな所に
しおりを挟むやはり風間くんが話す内容はまさしく「青天の霹靂」だった・・・
入学式早々、僕は2年生の男性に絡まれて、ひんむかれそうな所で風間くんが鉢合わせ。そして僕は風間くんに助けてもらったらしい。
それから僕が一方的に懐いたらしく銀徹さんを通して風間くんのスケジュールを把握しては弁当を渡したりお菓子を渡したりして猛烈アピールをしていたらしい。・・・おぅ、なんとも恥ずかしい事をしてるんだ僕は・・・いや、風間くんの記憶にある僕だね。
それから風間くんが鬱陶しいと思い始めた時に、僕から契約書を持ちかけてきたらしい。
『か、風間さん!僕と契約を組んでくれませんか!』
『はい?君は何を言い出すんだい?』
『互いにこ、恋人ができるまでで良いんです。・・・お願いします。風間さんが提示する条件、要求する事は全て飲みます!・・・五十嵐さんから、お見合いが鬱陶しいと嘆いていたと聞きました。ですので、形だけの恋人契約してくれませんかっ。』
『五十嵐・・・はぁ、まだ困ってたのは事実だけど・・・うん、わかった。じゃあ契約書をつくろうか?』
『え・・・?』
『ん?契約書持ってないのかい?仕方ない・・・じゃあこちらで用意しようか。薫風の要求はなんだい?』
『は、はい!あの────』
・・・と、こんな会話をしたらしい。・・・なにこの乙女チックな自分はっ!・・・あ、執事さんもなんか眉間にメッチャ皺を寄せて険しい顔をしてるよ。・・・うん、僕とも幼い頃から付き合いがあるからね、風間くんの今語ってる僕と今の僕と全然違うから疑問に思っちゃうよね。
「・・・和彦さん、僕は本当にそんな事を?」
「そうだよ。まぁあの時は少しでも癇に障るような事があればすぐに破棄しようと思って軽く引き受けたんだけどね・・・薫風の身体は思っていたより相性が良かったようでね。一夜限りの相手を探すより薫風がいた方が楽だなと思ってね・・・あっという間に半年経ったよ。」
「・・・最低、ですね。」
「信じられない・・・僕がそんな事を言うなんて・・・」
「そうですよね。・・・なんせ、薫風様は一番近い言い方で言えば男性恐怖症なんですから。」
「は?」
うん、やはりその反応をするんだね。男性恐怖症とはまた違うんだけどね。まぁ近い言い回しはそうだね。嫌悪感を感じて苛立ちます。今でも学校関係の男性以外は背筋がピリッとします。
だからね、風間くんが言ってる内容はあり得ないんだよね。・・・あれ?もしかして・・・
「足利さん、男性恐怖症とは少し違います。男性に嫌悪感を抱くんです。・・・まぁ近い言い方だとそうなりますね。」
「薫風様が幼い頃は私の所に近付きもしませんでしたから。・・・少しずつ少しずつ慣れてきてくれました。今ではこうして近付いても怯える事がなくなったので嬉しいです。」
「あ、あの時はすみませんでした・・・どうしても初対面の人とは・・・」
「いえいえ。不快に思った事は一度もありません。むしろ落ち着いてて大人しく、第一印象は手の掛からない淑やかな男の子って印象でしたね。」
「そ、そうなんですか・・・」
「・・・二人で私の知らない話をしないでくれる?そもそも、何故足利は薫風とそんなに仲良くなったわけ?確かに後始末は足利に任せていたが接触なんかあまりないだろう?」
「「え?」」
「は?」
「・・・まさか、幼少期の頃も記憶が・・・?」
「・・・話から、そのようですね。和彦さん、僕と和彦さんは小学校の頃に出合ってますよね?」
「・・・小学校の頃?」
「「・・・」」
やっぱり・・・もうどーしよーもないな。まさか小学校の頃の事もなかった事に?いや、そもそも同じ学校に通っていたが接点がなかったとか?・・・ん~どうしたものか
「な、なんの話だ?足利、薫風、なんの話をしている?」
「・・・薫風様」
「う~ん・・・今の状況では僕が話しても和彦さんは理解できないのではないでしょうか・・・」
「・・・話してくれる?なんだか2人と全く話が噛み合ってなくて歯痒い・・・」
「わかりました。でしたら、足利さんの話も聞くべきですね。」
「はい、そうですね。和彦様、薫風様と小学生の頃の話を聞いた後、私の話も聞いてくださいませ。」
「・・・」
・・・それから小学校の入学式の頃から夏休みの事と運動会の事を話た。まぁ風間くんの顔と言ったら・・・面白い程の百面相・・・にはならず終始険しい顔。あれぇ~?少し面白おかしく話したんだけどなぁ?伝わらなかったらしい。
「・・・私の小学生の頃の記憶と少しだけ重なる程度で・・・うぅ、夏休みの話は特に記憶に、ない・・・」
「そうですか・・・でもまぁ、仕方ないですね。」
「では引き続き和彦様が学校を辞めざるを得なくなった経路をお話し致します。」
「・・・」
それから前に寝室で話してくれた内容を事細かく話し出した。・・・あ、これ聞いて良い内容なの?
「薫風様、これはもう過去の話になり今現在は状況が変わってるようですので構いませんよ。」
との事だ。おう、心を読まれてしまった・・・いや、顔にでていたのかな?う~ん・・・
________
「・・・」
「あの、大丈夫ですか?和彦さん・・・」
あーあ・・・
執事さんの話を全て聞いて撃沈しちゃった。なんか考える人の様なポーズをして無言になっちゃったのですが・・・
しっかしなぁ~・・・まさか風間くんが領主になってからの話を僕がいるにも関わらず全て話すとは思わなかった。本当にこんな事聞いて良かったのかな?
「・・・それは本当の事なのか?足利・・・」
「私の覚えている事は、今話した通りでございます。・・・ですが、ここ4~5日前に状況が変わっております。・・・もうじき、別宅へと追いやった、私からしたら元領主が帰ってくる事にはとても不満を抱きますが・・・」
「・・・は、はは」
あ、ついに風間くんが声をだした。そして壊れた(笑)肩が揺れて笑っております。
「そうかそうか・・・はは、だからか。幼い頃、貯めてた金がいつの間にか無くなったのは。・・・きっと別宅へと行った時に私の貯金を持って行かれたのだろう・・・はぁ。これで少し、今まで気にしていた凝りがなくなったよ。」
「そうですか。・・・その、私はむしろ、今の和彦様の記憶の方が気になるのですが・・・あの、いつ頃旦那様はお戻りに?」
「ああ、そうだな・・・薫風も聞いてくれ。別に他所に話しても困るような話ではないからね。」
・・・え、いいの?ま、まぁ将来の為に?聞いてみようかな。興味あるし。
・・・
・・・うん、なんか、口には絶対出せないけど、風間くんのお父さん、クズですね。まだ幼い子供に尻拭いさせて最低じゃないですか。しかも執事さんにコッソリ状況を流してもらって?安定した頃にバトンタッチ?はぁ?馬鹿じゃないの?
てか、没落寸前だったのを持ちこたえた風間くんの才能が凄いよ。ほぼ執事さんと二人三脚状態でさ。流石としか言えない、多分僕だったら無理。一緒に逃げる。だって平民生活バッチコーイなんだもん。未だにこの贅沢になれないんだよね。15年も生きてさ。女性だった25年分の生活は早々変われません。・・・まぁそれが他人からしたら「控えめ」や「慈悲深い」や「淑やか」的な捉え方をされるんだから微妙ですよ微妙。
「「「・・・」」」
え?何この沈黙?気まずいんですけど?
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