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高年期[二学期・後編]
まさかの修学旅行先。
しおりを挟む終礼・・・
「2週間後、2泊3日の修学旅行がある。その行き先は~・・・紅葉が綺麗な所だ。」
行き先は温泉地らしい。ここから大型バスに乗って行くそうです。山沿いの所で丁度紅葉の見所らしい。まぁ体育祭終わって衣替えしましたからね。そんな時期ですよねぇ~。
そして貴族様様でお泊まりする所は温泉が個室にあれば大浴場もある。あ、部屋は必ず4人部屋でした。これは令嬢様優先に区切りの良い部屋割りらしい。・・・まぁ良いんじゃない?たった2泊3日だけだし。・・・一応駄々こねる奴の為に個室は用意されてるらしいけどね、ただ印象悪くなる。
学校では礼儀や基礎知識、そして社交の場に慣れる為のコミュニケーションの場としても学んでいる。それで今回の修学旅行。集団行動をとらない自分勝手な奴には白い目で見られてしまうというわけです。「お前、そんな事もできないの?」的な感じです。
「万純くん、同じ部屋になってくれる?」
「もちろん!・・・あと二人はどうする?」
「ん~万純くん、誰か後2人呼べる人いない?任せるよ。」
「わかったー!じゃあ勝手に誘っとくねー!」
うん、頼んだよー。万純くんが選んだ奴なら問題ないだろう。
バーン!
「薫風ー一緒の部屋になろー!」
「・・・おい鳳。お前、違うクラスだろ?自由行動の時は良いが旅館ではクラスごとに場所は違うからな。」
「せんせーそこをなんとかー」
「克典・・・僕は万純くんと同じ部屋になるから無理だよ。」
「なんだよー薫風ーノリが悪いー・・・」
「ほら鳳、早く帰れ。まだ終礼は終ってないぞ。」
「・・・はぁ~」
気だるそうな顔して教室から出ていった。・・・台風のような野郎だな。はた迷惑。
「えー気を取り直して・・・後に建物回るグループや宿泊する部屋のグループなど2日後のホームルームで話をするからなー。詳しくは手紙を配るから各自目を通すようにー」
先生も適当だなぁ~。でも克典を追い出してくれたのは有り難いな。まぁ運動会、優勝したし僕も結構チームに貢献したからねぇ~?少しは僕を守ってくれてもいいよね。うん、先生、良い仕事をしてくれましたね!有難う!
「はぁ~・・・なんなんだよ克典は・・・」
「熱烈ですわね鳳様は。」
「紫音さん・・・あいつに様付けは良いよ。同じ侯爵家なんだからさ。」
「まぁ、同じだからこそ敬意を示さなくてはなりませんわ。薫風さんとは親戚の関係なんでしたわよね。」
「うちの姉と克典の兄が結婚したからね。義兄弟だね。」
「仲がよろしいようで。」
「あ、そうだ、紫音さんと麗華さん回るとき一緒に行動しない?」
「あ、いーねー!回るチームは必ず男女混合らしいからね、慣れてる人と回った方が楽しいよ!」
「そうですわね。麗華さん、どうします?」
「是非。私は紫音さんがよろしければ。」
「では決まりですわね。あと2人は・・・」
「じゃあまた僕が呼んで良い?それか僕たちと宿泊グループと一緒になる?」
「構いませんわ。」
「はい、私もです。」
「じゃ決まり~!僕たちとグループになっても良いよって奴見つけたら紹介するよ~!」
「紹介ってか、同じクラスだろ?」
「まぁ雰囲気?」
まぁ自己紹介は必要かもね。うん、万純くんにお任せ~。
・・・その後、帰り際に克典にしつこく誘われたが先生が言った事と同じ事を言って拒否した。
「じゃあさ~自由行動の時は、ね?」
「しつこいぞ克典。」
「だって~薫風がいなければ修学旅行行く気ないし。薫風がいかなかったら休んでたし。」
「・・・なにその動機。てか僕と一緒じゃなくても蔵本兄弟がいるだろう?」
「あいつらは下僕。一緒にいるようで空気のような感じだから。」
「それ酷い。・・・あーもうわかったよ。だからもうしつこく誘ってこないで!」
「絶対だよー?」
「はいはい。」
はぁ・・・結局こうなるのか。てか、あの王室合戦の褒美で選ばれた修学旅行の場所、どうやって決まったんだろう?
・・・あーそういえば体育祭の前に変なアンケートがあったな。
・2泊3日、泊まるなら海、山?
・古い、代々昔から建てられた建築を見るか、真新しい観光地を見るか、どちらがいい?
・泊まるならホテルのようなベッドか、和風な布団がいいか?
・海と川、泳ぐならどっち?
・夜、軽く運動する所がある方がいいか、ゲームができる個室がある所がいいか、どちらがいい?
・・・等。
たしかそんなアンケートを配られてたような・・・最後に何処に行きたいか明確な場所があったら書けと空欄があったな。確か僕は夏に海を満喫したから『山奥で紅葉を一望できる所でゆっくり温泉に浸かりたい』って書いたな。・・・まさかあれが採用されたのかな?
まぁ明日にでも万純くんたちに聞いてみるか。各クラスのアンケートを集め色々と場所を絞ったんだろうなぁ~・・・まさか先生、風間くんに全て押し付けてたりしてないよね?なんか体育祭の時、窶れてたような?あれ体育祭のクレームだけじゃなかったのかな?
・・・風間くん、労ってやろうかな。明日クッキーでも、いや簡単に食べれそうな菓子を作って持っていこうかな。
___________
「おはよう!・・・なんか甘い匂いがする~!何作ったの?」
「・・・おはよう万純くん。君は鼻がいいね。今朝作ったんだ。」
「・・・これ、何?」
「え?知らないの?生キャラメルだよ。」
「きゃらめる?」
・・・は?知らないのキャラメル?マジで?・・・あー確かに生まれてこの方キャラメル、ってか甘い菓子系にクッキーやケーキ以外見たことないかも。でもまさか庶民的なキャラメルを食べたことのない以前に知らないなんて驚きです。
「えっと・・・砂糖、牛乳、生クリーム、バターを使った手軽に食べれるお菓子だよ。・・・一応万純くん達にも作ってきたから後であげるよ。」
「!さっすが薫風くん!わかってるね~!」
「まぁ万純くんにはいつもお世話になってますから。お安いご用ですよ?」
「ありがと~!もう一生付いていくよ薫風くん!」
一生は無理じゃないかな?
まぁとりあえず理事長室へと行こうか。・・・恋人解約して初めて自分から風間くんの所に行くなぁ・・・拒否、とかされないよね?
コンコン。・・・ガチャ。
「朝早くからだれ・・・ああ、薫風か。どうした?」
「おはよう銀徹さん。風間理事長はいますか?」
「ああ・・・まぁ、丁度いいタイミングに来たな。」
「は?」
ガッチリと腕を捕まえられた。え、何故?何事!?てか銀徹さん、うっすらと隈が・・・何があった?
「・・・誰だった?」
「薫風だ。」
「そうか薫風か・・・え?薫風?どこ!?」
「ここに。」
「あ、おはようございます。」
「・・・」
「?」
なんか、やっぱり風間くん窶れたね。目の隈凄いし。
ってか!なんかゾンビ見たいに腕を前ならえしてヨロヨロと近寄ってきたんですが!?えっ怖!
「薫風・・・」
「え?は?え、どうしたんですか?」
「事後処理が手に終えなくてな・・・体育祭の件に領土の件、それと、お前たちの修学旅行の件で一杯一杯なんだ。」
「・・・こんな時に限って親は引きこもりやがって・・・勘が良いのか体育祭前に別宅から来ると行ってたのに来ないし・・・せめて領土の方を手伝ってほしいもんだ。」
「・・・」
「薫風~」
「うぐっ!」
ある意味恐怖状態で体が動かず抱き締められた。うん、なんか弱々しいね。でも抱き締めてきた腕の力は加減なしにぎゅうぎゅう絞められましたが・・・苦しいって・・・
「き、昨日、修学旅行の話が出てきたので、まさかと思って来たのですが・・・やはりあのアンケート、取ったら取ったで先生はみんな風間理事長にアンケート押し付けたんですね・・・」
「ああ・・・全生徒分だったからな。いや、一応担任になってる先生方にも手伝ってもらったが・・・決めるのに時間を費やした・・・」
「はぁ~・・・なんか薫風、いつもの良い匂いに、なんか甘い匂いがするね?」
「え、あ、そうだ。・・・これを。」
「ん?」
風間くんの腕の中で器用に体の向きを変えキャラメルを包んだ袋を取りだし2人に渡した。
「今朝作ったお菓子です。キャラメルと言います。」
「きゃらめる?」
「キャラメルか!あーでかした薫風。甘いものが欲しい所だったんだ。」
「前作ったのよりは甘さ控え目になったかもしれないけど、銀徹さんのもあるから食べてね。」
「助かる。有難う。」
「・・・ねぇ、きゃらめるって何?」
あーこの世界にはあまり菓子類のバリエーションがないらしい。・・・食べてくれるかな?
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