癒し手は異世界の救世主

やの有麻

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第1章 いざ異世界へ

1ー17 ラーヤ村復興のお手伝い⑨

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建築ラッシュになり木材が不足になったのでまた森へ。


『ヨツバ殿~あの始めに会った聖樹がそなたに会いたがってるぞ。今日は其方も一緒に来るが良い。』
「・・・行くのは構いませんが急降下しないと約束できますか?」
『・・・なるべく善処しよう。』


他愛ない話をして四葉は応龍の背中に股がろうとした時、クロウが四葉の前にきて四葉の手を握ってきた。


「では俺も行きます」
『いや、クロウまで来ると多くの木材を持って来れぬ。だから留守番だ。』
「いえ、ヨツバ殿の負担が少しでも減らしたいので付いていくんです。」
『・・・おい、クロウよーーー』

応龍は明らかに嫌そうな顔をした。急かさず四葉が割って入る。


「良いじゃないですか応龍さん。私の場合、まだ『風刃ウインドカッター』の力加減ができないのでクロウくんがついてきた方が早く収集できますよ。」
『むむ・・・しかしヨツバ殿・・・』
「魔力のコントロールもだいぶ上手くなったので魔力分けて差し上げますから。」
『ん!そうか。それなら問題ない。2往復くらいできるぞ!』
「では決まりですね。ではクロウくん、申し訳ないんですが前に乗ってもらえますか。」
「はい、勿論です!」


応龍は不満げな顔をしたが、クロウの腕を認めていた為、渋々承諾した。何が気に入らないんだろうと四葉は疑問に思えたが気になっても仕方がないと気持ちを切り替える。
クロウの方は嬉しそうに尻尾を左右に揺らして準備をし始めていた。


ロンが来て何日目かの昼食時に、皆に自分の思ってる事を話し、それから四葉の事を「様」でなく「さん」付けで呼ぶようになった。クロウは騎士団にいた頃の名残で自分より上の立場の人には「殿」を付けで呼んでいたので今は応龍とクロウが四葉殿と呼んでいる。

ちなみに四葉がクロウを呼ぶ時に君付けなのは・・・


「ごめんクロウさん」
「どうしたんです?」


皆に自分の事は様付けで呼ばないでほしいと話したあと、クロウを呼び出す。


「年の事を気にしてクロウさんと呼んでいるんだけど、どうしてもしっくりこないんです。その・・・年齢とその容姿が合わなくて、その~・・・」
「・・・では俺の事なんて呼びたいんです?」


なんだかクロウはソワソワして尻尾を左右に揺らし出した。


「・・・・・クロウ、くん。」


一瞬、クロウの耳と尻尾の毛がブワッと逆立ったが、すぐに元に戻る。


「構いませんよ。好きに呼んでくれれば。それに俺もあまり敬語は好きではないのでラフな喋り方をしたいですしね。」
「それは良いと思いますよ。では・・・改めて、クロウくん。」
「はい!」
「ふふふ~有難う!モヤモヤしていたのでスッキリしました!」


四葉に笑顔を向けられ、耳がピピッと動き、また尻尾を左右に揺らし出した。


獣族はどうしても感情を耳と尻尾に現れてしまうので人族からしたら可愛らしくて分かりやすいと思ってしまう。

だから獣族は何か機密情報を持ったりすると、耳を布等で隠し尻尾はマントで隠すか腰に巻き付けるかして感情を読まれないよう隠すらしい。それはそれで格好でバレバレなので命を狙われたり拉致されたりしてしまうので、大抵は身体能力の高い獣族がそういう仕事をするらしい。




それからクロウくんと呼び始めてからというもの、何か作業をする度にクロウが側へきて手伝ったり後ろを着いてきたりして傍から離れなくなった。

四葉はお構いなしにクロウが付いてきても何も言わず、迷惑になる事をしなければ良いと考え好きにさせている。

それが応龍にとって気に入らないらしい。私は応龍さんの所有物ではないと言い返した事がある程、態度に出した時もある。なんなんだろうねぇ・・・









とまぁ、色々と出来事がありましたが。五つ家を完成させたのち、柵を作り村が元通り・・・とまでは行かないが綺麗に改装された。


テントを片付け、ルコータはロンが抱き抱え一軒家の中にあるベットへ寝かせた。その家にロン、アヤン、ユウリーン、アイリーンの5人で暮らす事になった。

その他は獣族の男性陣が二軒、獣族の女性陣と村人の大人2人が一軒、子供達が一軒を使う事になった。


今はルコータのベット以外、家具等は作っておらず、まだ家には寝る時にしか使っておらず、ベットがないので毛布にくるまり雑魚寝をする。

昼間はいつもやる事が大詰めであった。


まず、木材の調達。
いつも応龍とクロウが調達してるので、いつまでいるかわからない応龍にばかり任せては今後の対応に困ってしまうので、獣族たちがクロウと一緒に森へ入り伐採して木材の調達を積極的にするようにした。


次に食料。
ピスパロウたちは木の実しか食べないのでラズベリンやサークボなどの消費が激しかった。そして料理も、主に四葉が担当していたので応龍と同様?いついなくなるかわからないので、その辺も何とかしなければならなかった。


「では、新しく畑を作りましょうか!」
「「「「えっ・・・?」」」」
「?ですから畑を新たにー」
「「「「畑を作る事ができるのですか!?!?」」」」
「ぅえ!?!?」



間抜けな声がでてしまった。


生き残った村人たちは畑を耕す農業のスキルが無く今ある畑をこれ以上増やすことができないとのこと。前は『農民ファーマー』がいたらしいが・・・今はいない。種を撒いたり水やり等は無技術ノットスキルでも育てる事ができるらしい。
畑は肥料の分配や耕し方があるらしく農民ファーマーでなくてはならない。もし素人が作ると、見た目は畑でも種を撒いても芽が出ないらしい。食べ物なら尚更・・・。



「大丈夫です!何故なら応龍様がいますから。応龍様でもお手上げ状態だったら私がなんとかします。」
『何を言っておるのだヨツバよ。我に出来ぬ事は~~~んない!』


鼻息荒く威張りましたよ応龍さん。四葉の首回りに巻き付きながら威張られても威厳が半減しますよ。せめて元の大きさに戻ってから威張ってください。


「ですよね!天候を自由自在に操る事が出来ますから!あっでも肥料になる落ち葉は必要になりますし、まず耕さなければ話になりません。」


そうして新しい畑を作る作業にとりかかる。
ラーヤ村復興まであと少し・・・


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次回で復興お手伝い終了します。外伝と本編と話を続けられたらと思います。
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