赤の魔術師は困っている

モイモイ

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魔術師の憂鬱

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 「赤の称号か~・・・・称号っていいよなぁ~」
 「うらやましいなぁ~」
 「大討伐戦って俺が倒した10万匹の魔物の残りカスとの戦いのことなんだよな?」
 「一番がんばった俺には何も無いんだよなぁ~」

 レイは思っていた・・・・
 師匠がウザイ。
 こんなことなら大討伐戦で戦わなければ良かった。
 師匠の魔法から逃げた臆病者の魔物の5000匹程度なら、人類にもかなりの被害は出ただろうが魔物は倒せたはずだ。
 白の称号を持つルイン辺りならともかく、俺は根っからの善人ではないのだから。
 その点ではジェットはうまくやったと言えるだろう。
 「苦戦するなら手伝ってやるよ」
 結果、苦戦しなかったのでジェットは何もせずに大討伐戦は終わった。
 しかし、称号だけは羨ましかったのか闇を自分で名乗っている。

 「がんばった俺にふさわしい称号ってないのかなぁ~?」
 師匠はまだブツブツと文句を繰り返す。
 できれば修行をつけてほしいのだが師匠の機嫌はまだ直らない。
 世間で俺は赤の称号をもらい最強の攻撃魔術使いなどともてはやされている。
 だが、俺の使う炎の魔術は師匠に言わせるとまだ子供の遊戯レベルらしい。
 火魔術→炎魔術→(人類の限界)→火魔法→炎魔法となる。
 魔法とは魔術と違い、術式が不要な奇跡と呼ばれる現実離れした力だ。
 例えばこの世界に居る火の神は火の魔法をそれなりに使えるらしい。
 そして師匠は炎の魔法を完璧に使える。

 俺が独学で炎の魔術を極めるのは無理だ。
 師匠にもっと教えを請いたいのだが・・・・
 「この大陸作ったの俺なのになぁ~」
 これは今日中に機嫌は直らないか? 
 「よし決めたぞ。この大陸の人々が俺に敬意を祓わないならこんな大陸消してしちゃえば良いんだ!」
 今まで面倒なので無視していたが流石にこれは放置できない。
 「」常人が言えば馬鹿にされてしまう発言も、師匠が言えば現実になりかねないのだ。
 
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