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トゥロが目覚めた時、日は既に沈んだらしく辺りは暗くなり始めていた。霧がかかった様な思考の中で状況を把握しようとする。
「.....ここは...」
口から漏れるかすれた呟きは、誰にも聞こえずに消えていく。
「...ここは南の塔にございます、トゥロメシア様。」
誰も居なかった筈の部屋にいつのまにか現れたルイはトゥロの呟きが聞こえたらしく、静かな口調で教えてくれた。しかし驚く気力も返事をする余力も残っていない。トゥロはルイの言葉に応えるようにゆっくりとまばたきをする。
やがて、虚構を見つめていたトゥロは静かに目を閉じ、浅い息をしながら眠りに落ちた。
「...貴方は昔から誠実で、聡明でした。ただ、あまりにも環境に恵まれなかっただけです。ここで貴方に再び会ったときは驚きましたが、今はその巡り合わせに感謝しております。...殿下。どうか、また『昔のように』笑いかけてはくれませんか。」
哀しみを浮かべた表情で、ルイはトゥロを見つめる。もうあの頃のように純真無垢に笑いかけてくれるトゥロはいない。再会したとき、トゥロはどこか『ずれた』笑みを浮かべていたのだ。
いったい、何がトゥロを変えたのか。ルイは、ただ悲しかった。
「.....ここは...」
口から漏れるかすれた呟きは、誰にも聞こえずに消えていく。
「...ここは南の塔にございます、トゥロメシア様。」
誰も居なかった筈の部屋にいつのまにか現れたルイはトゥロの呟きが聞こえたらしく、静かな口調で教えてくれた。しかし驚く気力も返事をする余力も残っていない。トゥロはルイの言葉に応えるようにゆっくりとまばたきをする。
やがて、虚構を見つめていたトゥロは静かに目を閉じ、浅い息をしながら眠りに落ちた。
「...貴方は昔から誠実で、聡明でした。ただ、あまりにも環境に恵まれなかっただけです。ここで貴方に再び会ったときは驚きましたが、今はその巡り合わせに感謝しております。...殿下。どうか、また『昔のように』笑いかけてはくれませんか。」
哀しみを浮かべた表情で、ルイはトゥロを見つめる。もうあの頃のように純真無垢に笑いかけてくれるトゥロはいない。再会したとき、トゥロはどこか『ずれた』笑みを浮かべていたのだ。
いったい、何がトゥロを変えたのか。ルイは、ただ悲しかった。
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