君に噛み跡を遺したい。

卵丸

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噛み跡

嫉妬

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隆志は小説の原稿を書いていた。今日は絶好調らしく、カリカリと万年筆で書いている音が部屋中に響いた。

「ふぅー・・・終わった・・・・・内容は怒られそうだけど結構、楽しく書けたな~。」

隆志は原稿を机の引き出しに大切にしまうタイミングで要が恐る恐る入ってきた。

「どうしたの?」

隆志は聞いたが要は俯いて黙っていたが決心したような顔になり、小声だが凛とした声で呟いた。

「同僚のプレゼントって何が良いかな?」

隆志は誰かは言わずともわかったが気づかないふりをしながら笑顔で明るい声で聞いた。

「どうしてプレゼントを渡したいの?」

隆志の問いに要はパジャマのズボンのポケットから絢斗から貰った黒いチョーカーを取り出した。

「・・・氷室さんから貰ったんだ。事故で僕の項に噛みつかれないようにって。」

「本当に彼は良い人だね。」

「うん」

絢斗を褒められて要は気づいてなかったが顔を赤く染めて微笑んでいた。

「それでかなちゃんは氷室さんにお礼をあげたいんだね。」

「そうなんだけど、氷室さん自身は何が欲しいのかわからなくて・・・。」

「あー・・・確かに、まぁシンプルに今、何が欲しいか本人に聞くのが一番じゃないかな?」

「・・・やっぱり、そうだよね。」

要は隆志にお礼を言った後、部屋を出ると隆志はボソリと独り言を呟いた。

「氷室さん、俺の弟を離す気無いじゃん」

***


要はタイムカードを押して会社から出て行くと、丁度向こう側に絢斗が先に歩いていた。

『本当は「Talk」の方が良かったけど、女々しい事はしたくなかったし今、話そう。』

要は絢斗に追いつこうとして早歩きで歩いていると絢斗が急に立ち止まると彼の前に銀髪で髪の長い綺麗系な女性が絢斗に微笑みかけていた。

「えっ・・・・・。」

要はいきなりの事に戸惑いながらゆっくり歩くと段々、声が聞こえてきて絢斗の声は嫌がること無く明るかった。その声に要は頭が真っ白になり、徐々に絢斗達に近づいて大きな声で話しかけた。

「氷室さん、お疲れ様です。」

要の声に絢斗は振り向き驚いた表情していて女性の方もいきなり現れて唖然としていた。

「みっ箕輪!?・・・お疲れ様・・・・・。」

『そんなに驚くことないでしょ!!』

絢斗の驚きぶりに要は確信してついにトゲのある言葉を言ってしまった。

「僕に告白したくせに彼女いたんですね。」

「・・・・・・・。」

絢斗は俯いて黙ったので要は泣きそうになるのを耐えて文句を言おうとしたが綺麗な彼女から有り得ない声で笑いだした。

「あははははははははは」

「・・・・・え?」

「うるせぇよ!」

絢斗の注意も完全無視をして綺麗な彼女は大きな口を開けてお腹を抱えながら大爆笑した後に目元を拭いて要の前に立ち深くお辞儀をした。

「私の弟がお世話になっております。」

「・・・・・・お姉さん?」

「はい、まあ双子なんだけどね。」

彼女が言った後、要は自分の勘違いに恥ずかしくなり彼らの事が見れなくなってそっぽ向いて謝った。

「・・・・・勘違いして申し訳ございません。」

「いいの、いいの!私は絢斗の姉の氷室 はるかです。」

「・・・・箕輪 要です。」

「ふふ、知ってる知ってる、絢斗の初恋の人でしょ?」

「おっおい、あんまり箕輪をからかうな!・・・で、どうして遥がここにいるんだよ。」

「今日の昼に私の彼氏が謝ってくれたから明日には帰ろうと思ったからお礼にお姉ちゃんが奢ってあげようと思ってさ」

「あー・・・やっと帰るのか」

「えっどうゆう意味ですか?」

要は頭を混乱させていると遥から説明してくれた。

「私の彼氏がね、記念日を忘れてて、すっごく腹が立ったの!だから絢斗ん家に彼が謝るまで泊まったの!!」

「本当に迷惑だったよ」

「だから奢ろうとしてんじゃない!!」

遥にグイグイ追い詰められて絢は完全に面倒くさそうな顔をしていたので要は少し笑ってしまった。

「何、笑ってんだよ!」

「すみません、氷室さんって追い詰められたり気が強い人には弱いのが面白くて」

更に要は笑っていると絢斗はつまらなそうな顔をしていたが遥は要を見て微笑んでいた。

「ねぇ、箕輪君、宜しかったら一緒に晩御飯どうかな?絢斗の相手してもらってる代わりに私、奢っちゃうよ!しかも、会社の近くの焼肉屋さん!!」

「近くってとてつもなく美味しいで有名な「焼肉天国」ですか!?」

「そうそう!!」

遥の提案に要は躊躇したが彼女が奢る焼肉に惹かれて頷いていた。そして3人は焼肉屋まで喋って歩いいたが要は自分が勘違いで嫉妬した事が恥ずかしくて2人の話に対して頷くだけだった。
その時、絢斗は小さくくしゃみをした。

「くしゅ!」

「大丈夫?風邪にならないでね?」

「わかってるよ。」

2人が言い合いになってる時、要は絢斗が首が寂しそうなのに気づいて俯き加減だが絢斗に聞こえるように話した。

「・・・氷室さん、宜しければマフラーどうですか?」

「えっマフラーがどうした?」

「・・・チョーカーのお礼にプレゼントを渡します。」

「あーあれか、別に良いよ、俺があげたくてあげたんだし」

「僕は氷室さんにあげたいんです!!」

遠慮する絢斗に苛立ち要は街中なのを忘れて叫んでしまいチラホラと通行人に見られてしまった。

「・・・・すみません。」

「あはは、そんなにあげたいなら期待していいか?」

「・・・はい、期待しといてください!!」

2人のの会話を遥は微笑ましそうに見つめて明るい声で呟いた。

「確かに、絢斗が可愛いと言うわ。」

「可愛い」と言う言葉に要は頬を赤く染めて絢斗を睨みつけたが絢斗はそっぽを向いて下手な口笛を吹いて誤魔化し、遥はケラケラと笑って3人仲良く焼肉屋へと向かった。
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