28 / 40
噛み跡
知りたい
しおりを挟む
絢斗は焼肉を焼いていると先に焼きあがった牛肉を遥が取ってタレが入っている小鉢に入れた。それに文句を言う絢斗に適当に謝って彼女は美味しそうに頬張った。
「俺が焼いた肉なのに!」
「じゃあ、次は食べませ~ん」
「当たり前だろ!・・・箕輪食べてるか?」
「えっはい、いただいています。」
「それなら、いいけど食わなきゃ、こいつが全部食うぞ?」
「箕輪君のは残すわよ!」
2人の言い合いを眺めながら要はタン塩を噛みながらあの事を絢斗に話すか考えていた。
『裕君の件は解決した事をただ仲の良いだけの人に話していいのかな?』
絢斗は眉間に皺を寄せ困った顔をしている要に気づき優しく話しかけた。
「どうした?しんどいのか?」
絢斗に心配されて要は慌てて作り笑いを浮かべて成る可く明るい声を出して言った。
「大丈夫です。心配させてすみません、お肉が美味しくてつい・・・。」
要は牛肉を口に入れようとしたが自分の手が震えてしまい牛肉がテーブルに落ちて思いっきり割り箸を噛んでしまった。
「!?」
割り箸の痛みによって口元を押えて蹲っていると2人が心配して要の肩を叩いて絢斗が聞いてきた。
「おい、大丈夫か?」
「割り箸を噛むのは痛いよね・・・・。」
「っ・・・・・・・!?」
数秒後、痛みがマシになってきた要は涙目になりながら2人に小さい声で口を開いた。
「・・・大丈夫です。心配かけてすみません・・・・。」
「それならいいが珍しいな、お前がこんなドジな事するなんて。」
「・・・はい、考え事をしてたらつい・・・・。」
「・・・考え事って悩み事なら相談に乗るけど、言えない事か?」
絢斗の心配した表情を見ている内に変に心配かけるなら話した方が良いと思い要は裕一郎の事を話した。
「・・・先週に前の番に会って話しました。」
要の言葉に絢斗は眉間の皺が深くなり静かな声だが怒りが含んでいる声で呟いた。
「・・・・今更、箕輪の前にのうのうと現れたな。」
「いえ、裕君にも理由がありました。」
要は裕一郎が他の人に噛み跡を付けた理由を話した。 裕一郎は結衣の幼稚園の先生の事、裕一郎はΩ女性を護る為に噛み付いた事、何年も会ってないのが有り得ないほど昔のように話した事を説明したが絢斗は納得いってなさそうだった。
「でも、会わなかったら箕輪は捨てられて・・・その、悲しくて自殺する可能性もあったかもしれないじゃないか!俺は幼稚園で会わなければ箕輪の噛み跡を忘れるつもりだったかもしれないと思うと納得いかない!!」
「・・・氷室さん」
怒りを隠しきれてない絢斗に要は困惑していると遥が真剣な表情で絢斗の肩を優しく叩いた。
「絢斗は賢いから分かってるとは思うけどこの件は部外者でしょ?それに箕輪君と裕君だっけ?その件は解決したしアンタが怒っても意味無いでしょ?・・・あの事と少し似てるけど箕輪君と重ねないの。」
遥の言葉に絢斗は黙っていたが要は彼女の言ってた事が少し気になった。
「・・・あの事って?」
要が聞くと遥は「しまった」と慌てた表情をして絢斗は遥を横目で睨みつけた。
「・・・・・・・氷室さん、教えてください。」
「えっ?」
「・・・・・あの事って僕と重ねてるって何をですか?」
『我儘なのは分かっているけど氷室さんの知らない事を僕は知りたい』
要の強い眼差しに絢斗はたじろいたが遥は要を宥めるように焼いていた肉を要の小鉢に沢山ぶち込んだ。
「えっえ・・・・お姉さん!?」
「おい、何してんだよ!!」
「教えてあげなよ・・・でも、あの話は食べながらじゃ胃もたれするからお肉を全部食べてから絢斗ん家で話そうよ。」
「・・・・・本当に自分勝手な奴だな。」
「・・・・・・・・・絢斗のは奢らなーい!」
「なっ人がせっかく泊まらせたのに!!」
2人の言い合いは周りの客の声に紛れてあまり目立つ事は無く、その後3人は黙々とお肉を咀嚼した。
***
焼肉屋を出て遥がコンビニでお酒を買った後に絢斗が住んでいる創立1年の新しい立派なアパートのドアを開けて手を洗い3人はリビングに進んだ。テレビとテーブルにソファと殺風景な空間だが綺麗に整っていて居心地が良かった。
「結構、いい部屋に住んでますね。」
「でしょ~だから二人暮しも簡単に出来るのよ!」
「いや、遥の家じゃねーのに語るな。」
「ビールあげないよ!!」
また言い合いが始まったので要は苦笑いをしていると絢斗は気づいて「ごめん」と謝り1回咳払いをしてから真剣な表情をした。その時、遥は笑顔が無かった。
「・・・・少し暗い話になるが大丈夫か?」
「・・・はい、教えてください。」
「・・・・わかった、あれは俺が高校の話だけど結構大きな事件だったしニュースで話題になった話なんだ・・・・。」
***
私立の高校の3階の教室で絢斗は面倒くさそうに黒板を綺麗に消していた。そして深い溜息を洩らし椅子に座って日誌を書いている男子生徒に声をかけた。
「・・・日直って要らないと思うんだよな・・・。」
するとストレートの黒髪の気弱そうな男子生徒が明るい声で絢斗に言った。
「そうかな、僕は大切な事だと思うけど?」
その子は笑顔で答えると絢斗はまた溜息を吐いた。
「氷室君、そんなにため息吐くと幸せがどっかに行っちゃうよ?」
木島 秀悟は爽やかな笑みを零して絢斗に囁いた。その言葉を絢斗は消すように言った。
「そんなもん、何処にも行かねーよ!」
「もう、またそんな事を言って!」
彼は日誌を書き終えて教師の机に置くと安堵の息を吐いた。
「ふぅー終わった。」
その時、秀悟の項から赤いのが絢斗から嫌でも見えてしまった。
「・・・本当に番になったんだな。」
絢斗の言葉に秀悟は頬を赤く染めて自分の項にある真っ赤なチョーカーを右手で愛おしそうに撫でた。
「・・・とても嬉しいんだ・・・幼なじみで尊敬してたから・・・・。」
するとガララと教室のドアが開く音がして振り向くと紺色の縁無し眼鏡をかけた真面目そうな黒髪マッシュの男子生徒が無愛想に秀悟を呼んだ。
「おい、行くぞ」
「あっうん待ってね。」
秀悟は慌てながらカバンを持つと男子生徒に謝って2人は出て行った。
『確か、あれが木島の番の戸塚 博か・・・。』
博と秀悟は同じ剣道部で秀悟は日本大会で10位と良い結果を残した。だが秀悟はΩで大会でも活躍したせいで先輩から妬まれていて度々虐められていたが博が全部助けてくれた。そしてある日、博が秀悟にチョーカーを噛まれないように渡してくれた。
「・・・・何か無愛想な奴だったな・・・・・。」
小さく呟いた絢斗はカバンを持って教室を出て真っ直ぐ家に帰った。
それから1ヶ月後、秀悟がマンションの6階のベランダから飛び降りて自殺した。
「俺が焼いた肉なのに!」
「じゃあ、次は食べませ~ん」
「当たり前だろ!・・・箕輪食べてるか?」
「えっはい、いただいています。」
「それなら、いいけど食わなきゃ、こいつが全部食うぞ?」
「箕輪君のは残すわよ!」
2人の言い合いを眺めながら要はタン塩を噛みながらあの事を絢斗に話すか考えていた。
『裕君の件は解決した事をただ仲の良いだけの人に話していいのかな?』
絢斗は眉間に皺を寄せ困った顔をしている要に気づき優しく話しかけた。
「どうした?しんどいのか?」
絢斗に心配されて要は慌てて作り笑いを浮かべて成る可く明るい声を出して言った。
「大丈夫です。心配させてすみません、お肉が美味しくてつい・・・。」
要は牛肉を口に入れようとしたが自分の手が震えてしまい牛肉がテーブルに落ちて思いっきり割り箸を噛んでしまった。
「!?」
割り箸の痛みによって口元を押えて蹲っていると2人が心配して要の肩を叩いて絢斗が聞いてきた。
「おい、大丈夫か?」
「割り箸を噛むのは痛いよね・・・・。」
「っ・・・・・・・!?」
数秒後、痛みがマシになってきた要は涙目になりながら2人に小さい声で口を開いた。
「・・・大丈夫です。心配かけてすみません・・・・。」
「それならいいが珍しいな、お前がこんなドジな事するなんて。」
「・・・はい、考え事をしてたらつい・・・・。」
「・・・考え事って悩み事なら相談に乗るけど、言えない事か?」
絢斗の心配した表情を見ている内に変に心配かけるなら話した方が良いと思い要は裕一郎の事を話した。
「・・・先週に前の番に会って話しました。」
要の言葉に絢斗は眉間の皺が深くなり静かな声だが怒りが含んでいる声で呟いた。
「・・・・今更、箕輪の前にのうのうと現れたな。」
「いえ、裕君にも理由がありました。」
要は裕一郎が他の人に噛み跡を付けた理由を話した。 裕一郎は結衣の幼稚園の先生の事、裕一郎はΩ女性を護る為に噛み付いた事、何年も会ってないのが有り得ないほど昔のように話した事を説明したが絢斗は納得いってなさそうだった。
「でも、会わなかったら箕輪は捨てられて・・・その、悲しくて自殺する可能性もあったかもしれないじゃないか!俺は幼稚園で会わなければ箕輪の噛み跡を忘れるつもりだったかもしれないと思うと納得いかない!!」
「・・・氷室さん」
怒りを隠しきれてない絢斗に要は困惑していると遥が真剣な表情で絢斗の肩を優しく叩いた。
「絢斗は賢いから分かってるとは思うけどこの件は部外者でしょ?それに箕輪君と裕君だっけ?その件は解決したしアンタが怒っても意味無いでしょ?・・・あの事と少し似てるけど箕輪君と重ねないの。」
遥の言葉に絢斗は黙っていたが要は彼女の言ってた事が少し気になった。
「・・・あの事って?」
要が聞くと遥は「しまった」と慌てた表情をして絢斗は遥を横目で睨みつけた。
「・・・・・・・氷室さん、教えてください。」
「えっ?」
「・・・・・あの事って僕と重ねてるって何をですか?」
『我儘なのは分かっているけど氷室さんの知らない事を僕は知りたい』
要の強い眼差しに絢斗はたじろいたが遥は要を宥めるように焼いていた肉を要の小鉢に沢山ぶち込んだ。
「えっえ・・・・お姉さん!?」
「おい、何してんだよ!!」
「教えてあげなよ・・・でも、あの話は食べながらじゃ胃もたれするからお肉を全部食べてから絢斗ん家で話そうよ。」
「・・・・・本当に自分勝手な奴だな。」
「・・・・・・・・・絢斗のは奢らなーい!」
「なっ人がせっかく泊まらせたのに!!」
2人の言い合いは周りの客の声に紛れてあまり目立つ事は無く、その後3人は黙々とお肉を咀嚼した。
***
焼肉屋を出て遥がコンビニでお酒を買った後に絢斗が住んでいる創立1年の新しい立派なアパートのドアを開けて手を洗い3人はリビングに進んだ。テレビとテーブルにソファと殺風景な空間だが綺麗に整っていて居心地が良かった。
「結構、いい部屋に住んでますね。」
「でしょ~だから二人暮しも簡単に出来るのよ!」
「いや、遥の家じゃねーのに語るな。」
「ビールあげないよ!!」
また言い合いが始まったので要は苦笑いをしていると絢斗は気づいて「ごめん」と謝り1回咳払いをしてから真剣な表情をした。その時、遥は笑顔が無かった。
「・・・・少し暗い話になるが大丈夫か?」
「・・・はい、教えてください。」
「・・・・わかった、あれは俺が高校の話だけど結構大きな事件だったしニュースで話題になった話なんだ・・・・。」
***
私立の高校の3階の教室で絢斗は面倒くさそうに黒板を綺麗に消していた。そして深い溜息を洩らし椅子に座って日誌を書いている男子生徒に声をかけた。
「・・・日直って要らないと思うんだよな・・・。」
するとストレートの黒髪の気弱そうな男子生徒が明るい声で絢斗に言った。
「そうかな、僕は大切な事だと思うけど?」
その子は笑顔で答えると絢斗はまた溜息を吐いた。
「氷室君、そんなにため息吐くと幸せがどっかに行っちゃうよ?」
木島 秀悟は爽やかな笑みを零して絢斗に囁いた。その言葉を絢斗は消すように言った。
「そんなもん、何処にも行かねーよ!」
「もう、またそんな事を言って!」
彼は日誌を書き終えて教師の机に置くと安堵の息を吐いた。
「ふぅー終わった。」
その時、秀悟の項から赤いのが絢斗から嫌でも見えてしまった。
「・・・本当に番になったんだな。」
絢斗の言葉に秀悟は頬を赤く染めて自分の項にある真っ赤なチョーカーを右手で愛おしそうに撫でた。
「・・・とても嬉しいんだ・・・幼なじみで尊敬してたから・・・・。」
するとガララと教室のドアが開く音がして振り向くと紺色の縁無し眼鏡をかけた真面目そうな黒髪マッシュの男子生徒が無愛想に秀悟を呼んだ。
「おい、行くぞ」
「あっうん待ってね。」
秀悟は慌てながらカバンを持つと男子生徒に謝って2人は出て行った。
『確か、あれが木島の番の戸塚 博か・・・。』
博と秀悟は同じ剣道部で秀悟は日本大会で10位と良い結果を残した。だが秀悟はΩで大会でも活躍したせいで先輩から妬まれていて度々虐められていたが博が全部助けてくれた。そしてある日、博が秀悟にチョーカーを噛まれないように渡してくれた。
「・・・・何か無愛想な奴だったな・・・・・。」
小さく呟いた絢斗はカバンを持って教室を出て真っ直ぐ家に帰った。
それから1ヶ月後、秀悟がマンションの6階のベランダから飛び降りて自殺した。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました
あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」
穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン
攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?
攻め:深海霧矢
受け:清水奏
前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。
ハピエンです。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
自己判断で消しますので、悪しからず。
【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話
降魔 鬼灯
BL
ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。
両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。
しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。
コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。
断られるのが確定してるのに、ずっと好きだった相手と見合いすることになったΩの話。
叶崎みお
BL
ΩらしくないΩは、Ωが苦手なハイスペックαに恋をした。初めて恋をした相手と見合いをすることになり浮かれるΩだったが、αは見合いを断りたい様子で──。
オメガバース設定の話ですが、作中ではヒートしてません。両片想いのハピエンです。
他サイト様にも投稿しております。
悪役令息(Ω)に転生したので、破滅を避けてスローライフを目指します。だけどなぜか最強騎士団長(α)の運命の番に認定され、溺愛ルートに突入!
水凪しおん
BL
貧乏男爵家の三男リヒトには秘密があった。
それは、自分が乙女ゲームの「悪役令息」であり、現代日本から転生してきたという記憶だ。
家は没落寸前、自身の立場は断罪エンドへまっしぐら。
そんな破滅フラグを回避するため、前世の知識を活かして領地改革に奮闘するリヒトだったが、彼が生まれ持った「Ω」という性は、否応なく運命の渦へと彼を巻き込んでいく。
ある夜会で出会ったのは、氷のように冷徹で、王国最強と謳われる騎士団長のカイ。
誰もが恐れるαの彼に、なぜかリヒトは興味を持たれてしまう。
「関わってはいけない」――そう思えば思うほど、抗いがたいフェロモンと、カイの不器用な優しさがリヒトの心を揺さぶる。
これは、運命に翻弄される悪役令息が、最強騎士団長の激重な愛に包まれ、やがて国をも動かす存在へと成り上がっていく、甘くて刺激的な溺愛ラブストーリー。
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学で逃げ出して後悔したのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる