アポカリプスな時代はマイペースな俺に合っていたらしい

黒城白爵

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第一章

第十二話 取り敢えず平常運転だな

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 ◆◇◆◇◆◇


「ーーどうしたもんかな」


 自宅のマンションの瓦礫の山から発掘した冷凍庫内の食料を、その辺の家から調達してきたクーラーボックスに移しながら唸る。
 怪物トカゲを討伐した後に接触した集団は予想通り国家に属する政府直轄の超人部隊の者達だった。
 彼らは、俺が怪物トカゲが死んだことに気付かず拳を振り下ろし続けている間に、もう一つの集団を殲滅していたことから、地力は超人部隊の方が上だったようだ。
 この超人部隊と敵対していた集団も、予想通り軍を離反した元軍人達による集まりらしく、遠くから砲撃していた戦車も離反時に持ち出されたもので、超人部隊が能力を使って内部の搭乗者を殺して奪い返していた。

 そんな中々強い気配を放つ彼らから、自分達と同じ政府直轄の超人部隊へのスカウトを受けたわけだ。
 彼らは国家再興に向けて働いているらしく、国から最大限の支援が得られることと再興後の政府の重要ポストの席が報酬らしい。
 契約が履行されなかったら強化に強化を重ねた彼らが離反・反乱することになるため、ほぼ間違いなく報酬は得られるんだそうだ。

 まぁ、その理屈は分かるし報酬も魅力的なのだが、ネックなのは集団行動をとることだった。
 集団でモンスターを狩ると、まるでゲームキャラの経験値配分のように、人数が増えれば増えるほどモンスター討伐による強化の恩恵の質が減ってしまう。
 これまでもソロでモンスターを倒してきたからこそ今の俺の強さがあるのだ。
 また、話を聞く限り部隊に所属してしまうと自由時間が一気に減るようだった。
 この点もマイナス要素だ。

 いずれ再興するであろう国家の初期の段階に食い込めるのは大きな魅力だが、マイナス要素もまた大きい。
 なので取り敢えず保留にして、また後日会う約束だけしておいた。
 なお、戦闘に巻き込んで自宅を壊してしまった詫びに複数の銃火器と頑丈そうな軍用車を一台貰えたので、報復するのは止めて平和的に別れた次第だ。

 軍用車に物資を満載したクーラーボックスを積み終えると、怪物トカゲから引っこ抜いてきた細めの骨と骨カラスの爪の溶接を行う。
 指先からバーナーのように吹き出した炎で二つの素材の接着部分を熱する。
 何故か金属のように溶け合った接着部分を、熱いうちに金属腕で触れて少しずつ成形していく。
 それを何度も繰り返していき、一時間後には新生グレイヴが出来上がった。

 続けて、砲撃で着ていた革ジャンが吹き飛んだので、代わりに予備の革ジャンの方に死体から剥ぎ取ってきた怪物トカゲの小さな鱗を縫い付けていく。
 少し不恰好な出来だが無いよりはマシだろう。


「さて、会う約束の日まで何処に向かうか。まずは仮の拠点探しからかな」


 ボストンバッグに入れておいたスマホを取り出すと、何か参考になる情報はないかとネットで検索する。
 出来れば程よく快適で、程よく危険な場所が望ましい。


「オフィス街なら近くにマンションもあるし、危険度的に刺激がありそうだな」


 SNS情報によると、市内のオフィス街はゾンビなどの所謂アンデッド系のモンスターで溢れているらしい。
 基本的にアンデッド系モンスターを倒した場合、オークの生命力強化とは少し違った方向性で死に難くなる強化が得られるそうだ。
 非常に有効な強化性質だし一考の価値はある。
 銃火器もあるし、なんちゃって生物災害ごっこができるな。
 ゾンビに噛み付かれた生者がゾンビ化することはないようだが、アンデッド系モンスターに殺された場合は、もれなくゾンビ化するんだそうだ。


「走るゾンビとかもいないようだし、臭いを除けば狩場としては優秀そうだ」


 そう考えると、意外と生存者がいそうな気もする。
 狩場は実際に見ないと何とも言えないが、仮の拠点については大体の目安をつけておいたほうがスムーズに動けそうだ。
 スマホで某有名地図アプリを開くと、世界変革以前の街並みが表示された。
 今はどんな景色になっているのやら……。
 
 
 
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