万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵

文字の大きさ
140 / 165
第三章

第百三十九話 双風剣



 ◆◇◆◇◆◇


 隠れ潜んでいたリリア達と合流すると、早速ボスモンスターと戦うために動き出した。
 今回のボス戦に際して、幾つか気を付けなければならない点がある。
 先にエリアボス〈紅殻守羅魔蜂将クリムゾンホーネット・アスラジェネル〉とその配下である人型の蜂系モンスター〈紅殻魔蜂兵クリムゾンホーネットソルジャー〉と戦っていたのは金峰ホールディングス傘下の裏部隊であり、この部隊の者達はアスラジェネル達と戦って死んだことになっている。
 他の探索者の干渉無しで死んだという前提を遵守するためには、彼らが用いていたのと異なる属性や攻撃手段を取るのは出来る限り避ける必要があった。
 そのような痕跡が現場に残っていると、後々面倒なことになるのは火を見るよりも明らかだ。


「だから、特徴的な攻撃は避けてくれ」

「私の紫炎とかでしょうか?」

「そうだな。マリヤの全身鎧アグレシアの紫炎が残っているとすぐに特定されそうだ。着火した部分を後で全て処分できればいいんだが、戦闘中にどこに着火したかなんて把握しきれないだろうから、なるだけ使わずに戦ってくれ」

「分かりました」


 マリヤの全身鎧〈黒煌魔鎧アグレシア〉の能力である呪いの炎が使えないのは惜しいが、致命的というほどではない。
 紫炎が使えなくてもマリヤの盾役タンクとしての役割に然程影響がないのは幸いだな。


「先ほどの戦いで使われていた魔法の中には私が使える属性の魔法もありましたし、幻想魔法は性質的に痕跡は残らないので、特に制限はありませんよね?」

「確かに属性はそれでいいが……威力は気を付けてくれよ?」

「あ、そうでした。じゃあ、攻撃に関しては中級と下級の魔法で頑張ります。運命属性魔力も使わない方がいいですね」

「そうしてくれ」


 同士討ちなんていう特徴的な手段だけでなく、魔法の威力を上げる効果もある運命属性魔力を使うわけにはいかない。
 運命属性魔力無しでも今のリリアは高火力魔法アタッカーに入るが、中級以下の攻撃魔法しか使わないなら大丈夫だろう。


「エリスは……特に無さそうだな」

「そうね。光属性魔法を使うのもいたから攻撃に参加してもいいけど、私まで攻撃に加わる必要はなさそうだし、3人のサポートに徹するわね」

「ああ。それで頼むよ」


 裏部隊の奴らの中にいた光属性魔法使いよりもエリスの魔法の方が性能は上だし、支援に徹してもらった方が痕跡は残り難い。
 気にしすぎな気がしないでもないが、気を抜いてバレて後悔するぐらいなら、過度に気を付けた方がいいはずだ。


「クロヤはどうするの? 目立つ堕天剣は論外だろうし、さっきの槍を使うつもり?」

「いや、コレを使うよ」

「コレって、あのリーダーっぽいのが使っていた短剣よね?」

「ああ。この短剣なら攻撃の仕方を気にする必要がないからな。周囲に痕跡が残っていても、奴らのリーダーによる物だと思うだろう」


 リリア達と合流する前に、裏部隊のリーダーである〈風刃鬼〉が使っていた二振りの短剣を密かに回収してきた。
 堕天剣バラキエルや白霊剣オルトレールなど俺が使う武器はどれも特徴的な攻撃痕が残るタイプだ。
 槍型具現体である魔槍ゲイボルグは比較的マシだが、風刃鬼の死体に残っている刺突痕を考えると可能な限り使用を避けたい。
 変身してから徒手空拳メインで戦うことも考えていたが、風刃鬼の使っていた短剣が思っていたよりも良い物だったので、道中で拾ってきたのだ。


○冬風剣ボレアス
 等級:叙事エピック級。
 とあるダンジョンで産出された短剣型マジックアイテム。
 同系統の風剣を同時使用することで、各能力の効果が向上する。
・【貪喰の風】……斬り付けた対象に風属性ダメージを持続的に与える。
・【寒風閃撃】……風と氷属性の力を剣身に纏い、使用者次第ではその力を遠くまで放つことが可能。

○春風剣ゼフィロス
 等級:叙事エピック級。
 とあるダンジョンで産出された短剣型マジックアイテム。
 同系統の風剣を同時使用することで、各能力の効果が向上する。
・【豊穣の風】……装備中、使用者の体力と魔力の回復力を強化する。
・【突風閃撃】……強い風属性の力を剣身に纏い、使用者次第ではその力を遠くまで放つことが可能。


 ボレアスとゼフィロスを両手に持って軽く振ってみる。
 【万能通ず陽光王ルー】の【諸芸の達人イルダーナハ】と【百芸に通じたサウィルダーナハ】の補正もあって非常に手に馴染む。
 【双剣術】の発動条件も満たしたことで身体能力も上がっており、戦力の向上の面では申し分ない。
 筋骨隆々な全身を強固な紅い甲殻に覆われているアスラジェネルが相手でも、この2つの短剣がそれなりにダメージを与えられるのは風刃鬼の戦いで確認済みだ。
 そこに俺自身のスキルで攻撃力を底上げすれば、たった4人でもアスラジェネル達を掃討することができるだろう。


「生き残りを探して周辺を徘徊しているボスと接敵するまで周りの雑魚を減らす。ボスが気付いて襲ってきたら、マリヤがボスの注意を引きつけてくれ。2人はマリヤのサポートと近付いてくる雑魚の排除を頼む。俺は果樹園内を走り回って雑魚を殲滅する。それが終わったら全員で総攻撃だ」


 役割分担と戦闘の流れを簡潔に説明すると、さっそく近くにいるクリムゾンホーネットソルジャーに攻撃を仕掛けた。
 アスラジェネルに気付かれるまでに可能な限り雑魚モンスターの数を減らすとしよう。



 
感想 0

あなたにおすすめの小説

ダンジョンのある生活《スマホ片手にレベルアップ》

盾乃あに
ファンタジー
進藤タクマは25歳、彼女にフラれて同棲中の家を追い出され、新しい部屋を借りたがそこにはキッチンに見知らぬ扉が付いていた。床下収納だと思って開けたらそこは始まりのダンジョンだった。  ダンジョンを攻略する自衛隊、タクマは部屋を譲り新しい部屋に引っ越すが、そこにもダンジョンが……  始まりのダンジョンを攻略することになったタクマ。    さぁ、ダンジョン攻略のはじまりだ。

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

俺のレベルが常人では到達不可の領域にある件について ~全ユーザーレベル上限999の中俺だけレベル100億いった~

仮実谷 望
ファンタジー
ダンジョンが当たり前のようにある世界になって3年の月日が流れてずっとダンジョンに入りたいと願っていた青年が自宅にダンジョンが出現する。自宅の押し入れにダンジョンが出現する中、冷静に青年はダンジョンを攻略する。そして自分だけがレベル上限を突破してレベルが無尽蔵に上がり続けてしまう。そうしていづれは最強への探索者として覚醒する青年なのであった。

新世機生のアポストル 〜Restart with Lost Relic〜

黒城白爵
ファンタジー
 異界から突如出現したモンスターによって、古き世界は終わりを告げた。  新たな世界の到来から長い年月が経ち、人類は世界各地に人類生存圏〈コロニー〉を築いて生き残っていた。  旧人類、新人類、コロニー企業、モンスター、魔力、旧文明遺跡、異文明遺跡……etc。  そんな様々な物が溢れ、廃れていく世界で生きていた若きベテランハンターのベリエルは、とある依頼で負った怪我の治療費によって一文無しになってしまう。  命あっての物種、だが金が無ければ何も始まらない。  泣く泣く知り合いから金を借りてマイナススタートを切ることになったベリエルは、依頼で危険なコロニーの外へと向かい、とある遺物を発見する……。  

なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話

TB
ファンタジー
岩崎理(いわさきおさむ)40歳バツ2派遣社員。とっても巻き込まれ体質な主人公のチーレムストーリーです。

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

俺の家に異世界ファンタジーガチャが来た結果→現実世界で最強に ~極大に増えていくスキルの数が膨大になったので現実世界で無双します~

仮実谷 望
ファンタジー
ガチャを廻したいからそんな理由で謎の異世界ガチャを買った主人公はガチャを廻して自分を鍛えて、最強に至る。現実世界で最強になった主人公は難事件やトラブルを解決する。敵の襲来から世界を守るたった一人の最強が誕生した。そしてガチャの真の仕組みに気付く主人公はさらに仲間と共に最強へと至る物語。ダンジョンに挑戦して仲間たちと共に最強へと至る道。 ガチャを廻しまくり次第に世界最強の人物になっていた。 ガチャ好きすぎて書いてしまった。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。