18 / 140
第一章
第十八話 資源ダンジョンでの成果
しおりを挟む◆◇◆◇◆◇
エリアボスである〈女王魔蟻ベラス〉の討伐から少し経ってから、資源ダンジョン〈紅果の森〉を後にした。
── クエスト『モンスターを討伐せよ』が達成されました。
──クエスト対象モンスターの討伐数は108体です。
──エリアボスの討伐が確認されました。
──クエスト対象モンスターの巣の破壊が確認されました。
──報酬が確定します。
──達成報酬としてスキル【蟲殺し】、アイテム〈魔喰の精霊剣バアル〉を獲得しました。
──報酬アイテムを受け取ってください。
──狡猾な戦術を駆使しました。
──特別報酬:スキル【弱点看破】
ダンジョンを出た瞬間に目の前に出現したウィンドウを見ながらその場を離れる。
クエスト達成報酬でアイテムを手に入れるのは初めてだったが、どうやらアイテムを受け取るタイミングは任意らしい。
人目のない場所を探していると近くにコンビニがあったので、そこのトイレに入ってから〈システム〉のウィンドウを開き、アイテム名の部分をタップする。
すると、魔法陣に似てはいるが魔法陣ではない術式陣と呼ばれる円陣が目の前に展開され、その中から一振りの剣が姿を現した。
○魔喰の精霊剣バアル
等級:叙事級。
とあるダンジョンで産出された長剣型マジックアイテム。
使用者の生命力と魔力を常に活性化させる。
・【魔を喰らう刃】……倒した対象の力の一部を使用者に還元する。
・【属性錬化】……剣身に宿した属性魔力を強化し、その効力を高める。
・【精霊王の護り】……凡ゆる環境ダメージを無効化し、状態異常に対する耐性を強化する。
おお、まさか叙事級マジックアイテムが得られるとは思わなかった。
叙事級は遺物級の1つ上の等級であり、文句無しの高位マジックアイテムにあたる。
その性能は高位マジックアイテムに相応しく、前世の知識からの推測だが、この精霊剣バアルは叙事級の中でも上位に属するマジックアイテムだと思われる。
とあるダンジョンで産出されたと表記されているが、クエストが発生したのはダンジョン内だったので間違ってはいないだろう。
黄金の刻印が彫られた紅玉色の剣身と黒い柄は非常に美しく、美術的な価値もありそうな長剣だ。
軽く剣身を眺めてから黒い鞘に納め直し、〈宝納の指環〉の収納空間に収納した。
もっとじっくりと見たいところだが、場所が場所なので、続きは家に帰ってからにするとしよう。
それから帰りに買い出しをしてから自宅に戻った。
諸々の家事を済ませてから再び精霊剣バアルの確認を行う。
その確認が終わった後は、解体したエリアボスの素材を取り出していく。
「うーむ。置く場所がないな……」
素材の部位ごとに並べて確認しようと思ったが、部屋が狭すぎてすぐに置き場所がなくなってしまった。
元よりエリアボスのベラスは巨体なので、その素材も相応に大きい。
だから当然と言えば当然なのだが、改めて自宅の狭さを痛感した。
「やはり引っ越した方がいいよな」
探索者として活動するにあたり、今の自宅の立地は少し不便だ。
前世でもそういった理由から多少稼ぐようになり次第引っ越したのだが、今の俺には天城コーポレーションとの契約時に貰った手付金がある。
7桁の手付金と今後の収入を考えれば、それなりに良い家に引っ越せそうだ。
将来的に出現するダンジョンの内、後々有名になるダンジョンの位置についてはしっかりと覚えている。
通常のダンジョンは攻略が推奨されているため、その近くに家があっても攻略されたらダンジョンは消えてしまうので利点は薄い。
だが、資源ダンジョンならば攻略は厳禁なので継続的に利用することができ、家が近いことは大きなメリットになるだろう。
室内に並べていたベラスの甲殻を端に退けてからベッドに寝転がると、スマホのマップアプリを開いて引っ越し候補地を選定する。
前世の記憶を頼りに、県内に出現するであろうダンジョンの位置にピンを立てていく。
既に出現している資源ダンジョンを赤、出現予定の資源ダンジョンを青で示した後、それらの資源ダンジョンから等距離の地域を表示した。
「交通とか買い物の利便性が良い場所は……この辺りか」
引っ越し候補地の選定を済ませると、ネットでこの一帯の物件について検索する。
「ううむ。資源ダンジョンがあるからか家賃が高いな……」
考えることは皆一緒なのか、幾つかの物件の広告には探索者にオススメ的なキャッチコピーが記載されていた。
まぁ、天城コーポレーションに委託している鑑定宝玉の開発が成功すれば、この程度は簡単に買える。
しかし、装備代などの探索者用の金を差し引いてから考えると、鑑定宝玉が開発されるまでは厳しい生活を強いられることになりそうだ。
高望みをせずに生活レベルを落とせば済む話だが、せっかく過去に回帰したのだから前世よりも良い暮らしがしたい。
「悩ましいところだな……ま、取り敢えず実際の物件を見てから考えるか」
予算が厳しいならばその分だけダンジョンで稼げば済む話だしな。
このベラスの素材だって売りに出せば、まぁまぁの稼ぎになるだろう。
だが、今日処理した外国の工作員のことがあるので、エリアボスであるベラスの素材を市場に流すと彼らの仲間に気付かれるかもしれない。
ベラスの素材を俺の装備の製作に使ってもかなり余ってしまうが、こればかりは仕方ないだろう。
とはいえ、通常のアリ系モンスターの素材なら売っても大丈夫だろうから、大量にあるこの素材を少しずつ売れば金になるのでまだマシか。
「明日は素材を売却してから、装備製作とか物件探しとかかな」
明日の予定を考えながら、室内の限られたスペースにベラスの素材を何度も出し入れして、その数と状態を把握していく。
最後にエリアボスを倒したことで出現した宝箱を取り出すと、その中身を確認した。
31
あなたにおすすめの小説
新世機生のアポストル 〜Restart with Lost Relic〜
黒城白爵
ファンタジー
異界から突如出現したモンスターによって、古き世界は終わりを告げた。
新たな世界の到来から長い年月が経ち、人類は世界各地に人類生存圏〈コロニー〉を築いて生き残っていた。
旧人類、新人類、コロニー企業、モンスター、魔力、旧文明遺跡、異文明遺跡……etc。
そんな様々な物が溢れ、廃れていく世界で生きていた若きベテランハンターのベリエルは、とある依頼で負った怪我の治療費によって一文無しになってしまう。
命あっての物種、だが金が無ければ何も始まらない。
泣く泣く知り合いから金を借りてマイナススタートを切ることになったベリエルは、依頼で危険なコロニーの外へと向かい、とある遺物を発見する……。
この世界にダンジョンが現れたようです ~チートな武器とスキルと魔法と従魔と仲間達と共に世界最強となる~
仮実谷 望
ファンタジー
主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。
祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。
試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。
拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。
さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが……
暫くするとこの世界には異変が起きていた。
謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。
謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。
そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。
その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。
その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。
様々な登場人物が織りなす群像劇です。
主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。
その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。
ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。
タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。
その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。
ダンジョン学園サブカル同好会の日常
くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。
まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。
しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。
一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。
アポカリプスな時代はマイペースな俺に合っていたらしい
黒城白爵
ファンタジー
ーーある日、平穏な世界は終わった。
そうとしか表現できないほどに世界にモンスターという異物が溢れ返り、平穏かつ醜い世界は崩壊した。
そんな世界を自称凡人な男がマイペースに生きる、これはそんな話である。
日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。
wakaba1890
ファンタジー
召喚獣。
それは向こう側とされる所から、10歳を迎えた日本人の子供の下に召喚されるモンスターのことである。
初代天皇・神武天皇が日本を建国した際に書かれた絵画には彼は金鵄と呼ばれる金色に輝く鵄(とび)と契約したのが原初となっている。
そして、縄文、弥生、古墳、飛鳥、平安、戦国時代から近代から今に至るまで、時代を動かしてきた人物の側には確かに召喚獣は介在していた。
また、奇妙な事に、日本国に限り、齢10歳を迎えた日本在住の日本人にのみ体のどこかから多種多様な紋章が発現し、当人が念じると任意の場所から召喚陣が現れ、人ならざるモンスターを召喚される。
そして、彼らモンスターは主人である当人や心を許した者に対して忠実であった。
そのため、古来の日本から、彼ら召喚獣は農耕、治水、土木、科学技術、エネルギー、政治、経済、金融、戦争など国家の基盤となる柱から、ありとあらゆる分野において、今日に至るまで日本国とアジアの繁栄に寄与してきた。
そして、建国から今まで、国益の基盤たる彼ら数万種類以上をも及ぶ召喚獣を取り締まり管理し、2600年以上と脈々と受け継がれてきた名誉ある国家職がーーーーー国家召喚獣管理官である。
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~
尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。
だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。
全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。
勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。
そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。
エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。
これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。
…その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。
妹とは血の繋がりであろうか?
妹とは魂の繋がりである。
兄とは何か?
妹を護る存在である。
かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる