新世機生のアポストル 〜Restart with Lost Relic〜

黒城白爵

文字の大きさ
22 / 28

第二十二話 戦闘後の後始末

しおりを挟む


 ◆◇◆◇◆◇


 アザカとの一戦を終えて真っ先に行なったのは、戦闘で消耗した機神粒子の補充だった。
 つまりは、栄養補給だ。


「ねぇ、ディアボロ」

「なんだ」

「それって美味しいの?」


 互いに矛を収めてすぐに栄養バーを食べ始めたのが気を引いたのか、俺の手元にある栄養バーを覗き込みながらアザカがそんなことを尋ねてきた。


「……食べるか?」

「いいの?」

「ああ。少し室内の探索がしたいから、コレでも食べながら外の廊下で待っていてくれ」

「いいわよ。でも、早くしないとターゲットと遺跡の出口で出会す可能性があるから急いでね」

「分かった」


 戦場になった中央管理室内を見渡したアザカは、そう告げてから栄養バーを持って部屋の外へと出ていった。
 アザカの気配がすぐ外の廊下で立ち止まっているのを感じながら、室内に散らばっている武器などのアイテムを素早く回収していく。
 回収したアイテムは、メタトロンの第1次制限解除によって解放された基本能力【亜空庫】へと収納していった。


「技術的には亜空間ポーチに使われているのと同じみたいだな。外側の容れ物が無いのに保管できる仕組みはよく分からないけど……」


 手にしたガトリング銃が一瞬の空間の歪みと共に消え去り、再び空間の歪みが起きるとガトリング銃が手元に出現した。
 亜空間ポーチはポーチという一目で見て分かるがあるため、その中に何かが収納されているかもしれないと想像することができる。
 だが、【亜空庫】にはガワが何もないため、この能力のことを知らなければ、想像のしようがない。

 使い方次第では色々な悪さが出来そうだが、俺の知らないスキルやアイテム、遺物によってバレる可能性はある。
 メタトロンの固有能力ならまだしも、【亜空庫】は基本能力とあるので他の天機使シリーズにも実装されているのは間違いないため、その対抗策が何処かにあるかもしれない。
 そもそも、亜空間ポーチなどの収納アイテムは、天機使シリーズの【亜空庫】を解析して開発された可能性だって考えられる。
 だから、【亜空庫】の力を過信するのを止めておいた方がいいだろうな。


「まぁ、使う時は使わせてもらうけど。さて、戦利品はこんなところでいいか」


 比較的状態の良いアイテムを【亜空庫】に回収し終えると、中央管理室内のコンピュータへと触れる。
 俺達の戦闘で大半は壊れているが、中には無事なコンピュータもあった。
 その内の1つに触れてメタトロンの固有能力【支配】を使用した。


「〈支配ジャック〉」


 探索隊のリーダーであるレイジによって遺跡の警報装置のみが無力化されたが、この【支配】によって遺跡の全システムが掌握された。
 大規模なので一瞬とはいかなかったが、レイジが警報装置の掌握にかかった時間よりは短い時間で終わった。
 遺跡のシステムの掌握と共に全データがメタトロンへダウンロードされていく。
 そのデータの中には様々な情報があり、一部のデータは俺にとって不都合だったので証拠が残らないように削除していった。
 実際に俺が操作するわけでなく、俺がこうしたい、と思えばメタトロンが自動的に処理してくれるので、非常に楽だ。
 

「リーダー達の現在位置も把握できたし、遺跡内ならリアルタイムで追えそうだ」


 メタトロンと遺跡の中央システム間の繋がりが確立されたので、遺跡の中にいる間は遠隔操作ができるようになった。
 これほどの遺跡を僅かな時間で支配下に置くなんて、本当にヤバい遺物なのだということを改めて実感できた。
 こんな力を持つメタトロンの適合者である俺が機神化したら、現在の文明世界は滅びてしまうかもしれない。
 完全適合者は機神化しないという過去のデータを心底信じたいものだな。


「待たせた。外へと向かおう」


 室外で待っていたアザカに声を掛けてから移動を開始する。
 お互いの立ち位置の違いもあって、レイジと出会さないように別ルートから先に脱出するアザカを先に歩かせている。
 彼女の数メートル後ろをついて行く形で遺跡の出入り口へと向かった。

 遺跡のシステムをハッキングした今ならば、遺跡の防衛設備を駆使すればアザカを抹殺することが可能だろう。
 勿論、それだとせっかく結んだ条件が台無しになってしまうので、実行に移すつもりはない。
 だが、切り札があるか無いかでは、心理的な負担が全く違った。
 おかげで、適度な緊張感と心の余裕を持ってアザカの後ろを歩いていくことができた。


「随分と楽しそうね?」

「この後に得られる報酬が楽しみでな」

「そんなにお金が無いのなら、今度私と一緒に殺しの依頼を受けない?」

「犯罪者を相手にした依頼なら考えるが、それ以外は遠慮しておく」
 
「ふぅん。悪魔の名前を名乗ってるのに、ディアボロって良識的なのね。ま、覚えておくわ」


 時折アザカと雑談を交わしながら遺跡内を歩いていき、やがて目的の分岐路に到着した。
 ここでアザカとは別れることになる。


「地上に残っている奴らはモンスターにやられてる可能性が高いんだったか?」

「予定通りならね。もし生きていても、コロニーまでの移動手段が欲しいから邪魔をするようなら片付けるわ。構わないわよね?」

「依頼主の縁者であるリーダーが無事なら好きにすればいい。あ、分かってると思うが俺達の移動手段は残しておいてくれよ」
 
「分かってるわよ。じゃあ、また会いましょう、ディアボロ」


 自然な動きで近寄ってきたアザカに身体が戦闘状態に移るが、それを無視して俺にキスをしてから彼女は走り去っていった。


「……食えない女。さて、合流するか」


 キスをされた唇に触れ、小さく溜め息を吐いてから、レイジ達と合流すべくアザカとは別の通路を駆けていった。


 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

勘当された少年と不思議な少女

レイシール
ファンタジー
15歳を迎えた日、ランティスは父親から勘当を言い渡された。 理由は外れスキルを持ってるから… 眼の色が違うだけで気味が悪いと周りから避けられてる少女。 そんな2人が出会って…

僕だけレベルダウンな件〜敵を倒せば倒すほど弱くなるので、目立たずスローライフを目指します〜

小林一咲
ファンタジー
まったく数奇な人生である。 僕の名前は橋本 善。 正真正銘の日本人だが、今は異世界にいる。 理由なんてわかるはずがない。 死んだのか、はたまた何かの召喚に巻き込まれたのか。 僕には固有スキルがあった。 それは、スキル【レベルダウン】。 魔物を倒し、経験値を得るほどレベルやステータスがさがるというものだ。 だから僕は戦わない。 安心安全のスローライフを目指すんだ!!

氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依
ファンタジー
 氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。  死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。  大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...